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ブラインドマラソン

2023夏を走る・8

【2023夏を走る・8】7月15日からの3連休は、長野県上田市菅平高原において例年どおりに合宿を実施しました。ところが、涼しい高原と言っても日中の気温は30度を優に超え、厳しいコンディション下での走り込みでした。先日の北海道北見市での合宿もそうでしたが、もはや日本の夏で涼しい場所は存在しないのでしょうか……。

さて、毎年この時期の菅平合宿は、起伏の激しいロードコースとクロカンコースでの走り込みになります。つまり、合宿期間中は平地をほとんど走りません。そのため、合宿2日目は太腿などに激しい筋肉痛を訴える参加者も多く、こちらとしては、今年も狙い通りの走り込みができました。

さて、筋肉痛についてですが、そのメカニズムの詳細はいまだ解明されていないようです。しかし、ランナーならどなたでも、マラソン完走後や慣れないスピード練習などを実施した後、筋肉痛になった経験はあるでしょう。

特に、筋肉痛の多い部位としては「ふくらはぎ、太腿、臀部」の3つでしょうか。また、この筋肉痛の部位によってランニングフォームが正しいか否かの判断に用いる指導者も多く、ある程度の目安になるのは確かなようです。

かくいう私も目安のひとつにしています。特に、ふくらはぎの筋肉痛は注視する部位になります。また、ふくらはぎの筋肉痛は、一般的にはランニングフォームが悪い人に多いとも言われます。しかし、個人的にはランニング経験が浅く、筋力不足な人により当てはまると感じます。

太腿は、前側の筋肉を大腿四頭筋、後側をハムストリングと言います。どちらもランニングによって筋肉痛に陥り易い部位です。特に、今回のように起伏の激しいコースでのランニングを繰り返すと、筋肉痛が顕著に表れる部位でしょうか。

一般的に言うと、前側の大腿四頭筋は腰が落ちているなど、フォームが崩れていると痛くなり易い部位と言われています。つまり、フォーム修正を検討する目安にもなります。逆に後側のハムストリングはお尻の大臀筋とも連動して動きます。したがって、その部位の筋肉痛は大きな筋肉を使えている証拠にもなるので、フォーム的には心配ないとも言われています。

と、うんちくは様々ですが、筋肉痛になる部位や程度は個々に違います。したがって、練習日誌には走行距離やそのタイムだけでなく、筋肉痛になった部位や痛みの程度なども記録し、振り返って過去の自分自身と比較検証できるようにしておくと……。

2023夏を走る・7

【2023夏を走る・7】今年も恒例の北海道北見市において、ブラインドマラソン強化合宿を実施することができました。そして、これも例年どおり、「ホクレンディスタンス大会」の網走大会と北見大会に出場させていただきました。

まずは、ご理解ご支援いただいた北見市の皆様、大会関係の皆様に厚く御礼申し上げます。

また、強化合宿の内容もほぼ例年どおり、「徹底した走り込み」を目的に北見市へ入りました。したがって、ホクレンディスタンス大会についても、選手たちは「調整なし」の厳しい状態で挑んだのも例年どおりです。

このようにあえて記録を狙うのが難しい状況下に身を置き、どのように自分自身の現状と向き合って折り合いをつけるかは、マラソンには必要な能力です。今年もそんな目に見えない難しい課題に挑むことができました。

具体的な流れとしては、最初に網走5000mを走り、翌日は40k走。次の日の午前にスピード練習、午後は2時間走。その翌日は北見5000mの前日になるので、その日だけはフリー(各自調整)。そして、北見5000mを走った翌日の午前は42k走(起伏コース)、午後は2時間走……。

もちろん、普通に見れば、かなり無茶苦茶な流れとも言えます。しかし、毎年このような流れをキープし、北見市での強化合宿を継続してきました。その結果、2021年に開催された東京パラでは、男女ともにメダルを獲得しました。

あらためて、マラソンの練習方法は様々ですが、我々が継続してきた練習方法は、走り込んでいくほど調子が上がっていくのが特徴です。つまり、その流れを何年も継続してきたことで、選手たちの体と心がそのように変わっていったのです。

そして、今年は東京パラ前のように、8月に入ったら再び北見市で強化合宿を実施し、8月27日開催の北海道マラソンに出場します。大局的にみると、ここまでが夏の走り込みになります。

今年の夏は「現状打破」をテーマに、一層の走り込みを実施します!

2023夏を走る・6

【2023夏を走る・6】先日の7月1日は、千葉県佐倉市において伴走者養成研修会を実施しました。今回は、佐倉市を主な拠点に活動を展開しているニッポンランナーズ様の全面的なご協力(共催)のもと、無事に開催することができました。

当日は、あいにくの雨模様で、特に実技講習の場所や実施内容を変更するか否かの判断に迫られましたが、実技講習を開始する直前には雨があがりました。そして、予定していた実技講習は、「小出義雄記念陸上競技場(岩名陸上競技場)」のトラックで無事に実施しました。

あらためて、ニッポンランナーズの皆様、ご参加いただいた皆様に御礼申し上げます。

さて、毎度のことですが、伴走養成講習会の実技は実際に伴走ロープ(絆)を持って、歩いたり走ったりの実践講習となります。したがって、最初は歩き(伴歩)から入りますが、途中から走り(伴走)に移行し、繰り返し走ります。

そのため、講習会と言うよりも練習会に近い内容に移行していくことになります。もちろん、講習会なので無理なことは実施しませんが、実技の後半は体力的にしんどそうな方を見受けるのも常です。このように、スポーツに関する講習会は多かれ少なかれ体力を使うので、主催者側としても最善の注意をはらいながら進めていきます。

しかし、今回の講習会に関しては、ニッポンランナーズ会員の皆様がメインだったこともあり、そんな不安を抱くことは全くありませんでした。実は、当日の午前中は激しい雨が降っていたにもかかわらず、同会員の皆様は元気にクロスカントリーコースを走っていたのです。

雨天のクロスカントリー走は足元が極端に悪くなるので、競技レベルで走っている選手たちでも嫌がります。ところが、そんなことはお構いなく、黙々と走っている姿は驚きでした。そして、その皆様は走り終えると、そのまま午後の伴走養成講習会の受講者へと……。

ニッポンランナーズ様は齊藤太郎理事長のもと、ランニングに関する講習会や練習会を愚直に継続しています。特に会員の皆様は、マラソンのタイムに一喜一憂することなく、どんなコンディション下でもランニングを楽しめる体力と気力を身につけています。

そして何よりも、会員の皆様はランニングを継続することで、逆にどんなことにも挑戦し、そこから何かを学ぼうとするポジティブな気持ちにも満たされています。その結果、それぞれの人生がより豊かになっていくと……。

2023夏を走る・5

【2023夏を走る・5】千葉県も梅雨入りし、蒸し暑い日々が続いております。そんな中、強化合宿をいつもの千葉県富津市で実施しました。もちろん、合宿期間中の天気も予報どおり、気温は30度前後で推移し、湿度も70%以上とマラソントレーニングを実施するには過酷なコンディションでした。

さて、来年に迫ったパリパラリンピックも過去の気象実績を見る限り、暑さ対策は必須です。また、8月の北海道マラソンなどの夏マラソンを目標にした場合も過去の気象実績を振り返り、暑さ対策などを検討します。

至極当然のことですが、夏マラソンの難しいところは、大会当日の暑さ対策だけではありません。つまり、大会当日に向けた走り込みを、暑い中で実施していく必要がある点です。前述した8月の北海道マラソンを目標にした場合、まさにこの6月から7月が走り込みのピークになります。

しかし、連日30度以上の気温が続く場所で走り込むのは危険も伴い、相当過酷になる点は想像に難くない……。逆に、涼しい場所に移動して走り込みを実施したとしても、大会当日は暑い中で走るので、どこかのタイミングで体を暑さに慣れさせる必要があります。しかし、その絶妙なタイミングを計るのが、相当難しい点も想像に難くない……。

また、オリンピックやパラリンピック、あるいは陸上競技の世界選手権大会などは、ほぼ真夏に開催されます。そのため、いろいろな意味で常に問題視されてきたのは「マラソン」です。したがって、夏マラソンに向けたトレーニング方法を確立し、うまく実践できたか否かが、国際大会でのメダル獲得にも影響してきました。

来年に迫ったパリパラリンピックに向け、残された夏は今年だけです。しかも、すでに6月が終わろうとしています。このあと、7月と8月は北海道で強化合宿を実施し、8月の北海道マラソンに参戦します。

この流れは、何年も変えておりません。そして、この流れを確実に踏襲し、暑さに対する対処方法などを確立してきた選手は、夏の国際大会でも結果を残してきた実績があります。

一方、夏マラソンは冬マラソンと違い、暑い中で走り込む距離やその設定タイムの見極めが難しく、過去のデータよりも、その日その場の状況判断に頼る部分が多いのも確かです。

いよいよ今年も「暑くて難しい夏」の到来です……。

2023夏を走る・4

【2023夏を走る・4】先日の「富里スイカロードレース大会」は、予報どおりの暑い一日でした。かくいう私も久々に現地で応援しましたが、どのランナーも暑さに負けない力走を見せていました。また、暑い中でも期待どおりの仮装で大会を盛り上げた皆様も、無事(?)にゴールしていました……。

さて、同大会もコロナ禍の影響で久々の開催でしたが、エントリー数はかなり減少していたようです。同様に、コロナ禍で延長や中止に追い込まれた大会は多く、大会を走れないことが、ランニングから遠のいていくことに直結した方も多かったようです。

ランニングは、誰でもどこでも簡単にはじめることが可能なスポーツです。また、道具を使わないので、技術面やルールなども無いに等しく、敷居が低いのも魅力です。したがって、各種マラソン大会にエントリーして走ることは、原則として誰でも簡単にできます。

一方、道具を使わない分、己の肉体と精神だけが頼りのスポーツとも言えます。逆に言えば、いかなる理由があっても、走るのをやめればただの人になってしまう残酷なスポーツとも言えます。まさに「継続は力なり」のスポーツでしょうか。

ところが、経験の少ない方々が単調なランニングを日々継続していくには、「頭で考えているよりも簡単で難しい」。特に、この時期のように暑い中では、そもそも走る気力もわきにくく、逆に冬の冷雨や寒風の中では更に意欲や気力は失せることでしょう。

しかし、それらのマイナス面を補ってきたのが、各地で開催されているマラソン大会だったでしょうか。日々のランニングを継続していくことは難しくても、マラソン大会に申し込みをしてしまえば、少なくともその大会は走ります。

このように各種マラソン大会を定期的に走ることで、モチベーションをキープし、走力向上につなげてきた方も多かったことでしょう。そして、今回の「富里スイカロードレース大会」が久々のレースだった方も多かったと思いますが、これを期に各種マラソン大会への本格復帰につながることを祈念しております。

2023夏を走る・3

【2023夏を走る・3】コロナ禍から解放され、各種マラソン大会が復活してきました。一方、多くの方がコロナ禍の間、レースから遠のいていたのも確かです。したがって、久々の大会でハーフマラソンやマラソンのレース感覚を取り戻すことは難しく、どんなレベルのランナーも段階的な実戦経験が不可欠です。

今週末の日曜日は千葉県富里市において「富里スイカロードレース大会」が開催されますが、コロナ禍の影響を受け、2020年から中止になっていたので、久々の開催です。また、同大会は「10kの部」が最長距離にもかかわらず、過去に大会エントリー者数が1万人を突破したことでも有名です。

すでに何度も記載してきましたが、6月は気温も湿度も高くなるので長距離やマラソンにとっては過酷なコンディションに入っていきます。しかし、6月の雨天時は逆に走り易く、記録を狙えるメリットもあります。

果たして今度の日曜日、千葉県富里市の天候は「晴時々曇、最高気温33度(6月16日現在)」の予報となっております。残念ながら相当厳しいコンディションになる可能性が高いと言えます。大会当日は暑さ対策の準備をお忘れなく……。

さて、秋からのマラソンシーズンを考えたとき、この時期はどんな距離のレースを走ったら良いかの質問を多く受けます。もちろん、正解はなく、大会をエントリーする本人が好きな距離を自由に走れば良いのです。しかし、晴れて気温が30度を超えるコンディション下において、ハーフマラソン以上の距離は、かなりの危険を伴うことは想像に難くありません。

また、雨天時は走り易いと言っても、レースでハーフマラソン以上の距離になると、逆に様々なデメリットも出てきます(詳細は割愛します)。そう考えると、暑い季節は10k程度までのレースが、どんなコンディション下でも比較的安全に完走できる距離と言えるでしょう。

以上のように、コロナ禍の影響から久々のレース出場である点も考慮すると、暑い季節の大会は10k程度までの距離が良いでしょうか。さらに、秋以降のマラソンシーズンを目標にした場合、この時期は「スピード養成」に適した時期にもなります。まさに、10kまでのレースは、その目的にも合致します。

今週末に開催される「富里スイカロードレース大会」は、この時期に最も相応しい大会のひとつと言えるでしょう。

2023夏を走る・2

【2023夏を走る・2】千葉県も雨の日が多くなり、そろそろ梅雨入りでしょうか。前回記載したように、この時期は雨天時をうまく活用することで、逆に長い距離が走り易くなります。と、言いながらも晴れの日は、もはや夏のような気温と湿度に上がるので、長距離やマラソンにとっては厳しいコンディションであるのは確かです。

そして、これも毎年の課題になりますが、いわゆる「暑熱順化」です。つまり、暑さを避けられない季節に移っていくなら、その暑さに体を慣らしていく必要があり、それが暑熱順化です。

この暑熱順化ができてくると、暑さに適した発汗が可能になっていくことで、体温の上昇や塩分損失を抑えられるようになっていきます(詳細は割愛)。特に、この6月は日々の練習はもちろんですが、暑熱順化も含めた練習内容を考えていく必要があります。

では、暑熱順化はどのようにしていくのでしょうか?

最も理にかなった方法は、「暑い環境で運動をする」。要は、暑い環境に慣れるには、暑い環境で練習をすることが推奨されています。具体的には、暑さを利用した環境下でのランニングを一定期間繰り返す。すると、暑さへの抵抗力が強まり、体が暑さに慣れていくのが自覚できると言われています。

このほかにも専門的な話を見聞しても、ほぼ同じような内容に終始します。つまり、より厳しい環境下に体を慣らしていくには、我慢や根性も必要であると……。

そんな中、暑い中では「ゆっくり長く走る」ことが推奨されています。具体的には「LSD」と呼ばれるランニングです。特に、6月は、晴天時は「LSD」。そして、雨天時は「ビルドアップ走」などを取り入れながら暑熱順化を進めてほしいと思います。

もちろん、暑さに強い弱いは幼少時の育った環境にも影響を受けると言われているので、同じ暑熱対策を実施しても暑さが苦手な人は必ずいます。この点は個人差が大きく、明らかに暑さが苦手と感じる人は、炎天下でのランニングを控えるのが賢明でしょう。

また、暑さが苦手にもかかわらず、夏のマラソンにエントリーしたり、夏のレースを積極的に走ることは、肉体的にも精神的にもダメージを残すだけになります。この点は、自分自身をよく振り返り、個々に吟味してほしいと思います。

2023夏を走る・1

【2023夏を走る・1】今年も6月に突入しました。そして、梅雨に入っていきます。また、これも毎年のことですが、気温も湿度も高くなっていくので、長距離やマラソンにとっては、より過酷なコンディションへと移っていきます。

しかし、夏に向かっていくこの時期は、逆に雨天時を活用することで距離走など、スタミナ系の練習負担を軽減できます。ご存知のとおり、気温が上がると長距離やマラソンを走ることが苦痛に感じる主な理由は、体温が上昇するからです(詳細は割愛します)。

つまり、体温上昇を抑えることが可能なら、気温がある程度高い中でも走り続けることは可能とも言えるでしょうか。そして、その体温上昇を抑える条件に最も適しているのは雨天です。したがって、これから夏に向かっていく季節においては、雨天時をうまく活用することで、上記したようにスタミナ系(距離走など)の練習負荷を軽減することも可能になります。

もちろん、雨天時と言っても気温が高いのは変わりないので、冬のマラソンシーズンと同じような設定タイムで走ることは、身体への負担が大き過ぎます。また、具体的な数値を示すことは難しいですが、ゆっくり目のスピードからスタートし、中間点あたりから少しずつペースを上げていく「ビルドアップ走」が良いでしょう。

特に、この時期の距離走は、マラソンのスタミナ養成をすることではなく、「スピード練習を継続していくためのスタミナを維持する」ことが主な目的になります。すなわち、質の高いスピード練習を実施していくために必要なスタミナをキープしていくことになります(夏マラソンを目標にしている選手は違ってきますが)。

同様に、雨天時の各種ロードレースやトラックレースは、スタートするまでのウォーミングアップや着替えなどは負担を感じますが、逆にスタートしたら最初から目標タイムを狙った攻めのレースができるチャンスになります。特に、6月のレースは、1週間前あたりから天気予報を注視し、雨天になる確率が高そうなときは、記録を狙える調整にシフトしていくことを推奨します。

意外な感じがしますが、6月は10k前後までのロードレースやトラックレースにおいて、自己記録更新を狙い易い月でもあるのです(私の経験上)。

2023春を走る・13

【2023春を走る・13】第65回東日本実業団陸上選手権大会が栃木県の「カンセキスタジアムとちぎ」において開催されました。そして、今大会も男女視覚障がいの部(1500mと5000m)を実施いただきました。まずは大会関係者の皆様に御礼申し上げます。

視覚障がい男子5000mは、東京パラT12男子マラソン・銅メダリストの堀越選手と、東京パラT11男子5000m・銅メダリストの和田選手の直接対決となりました。結果は、3000mから先頭に立った堀越選手がそのまま大会新記録でゴール。

また、同じレースでT11クラスの米岡選手とT12クラスの大石選手が、それぞれセカンド記録をマーク。気温が高く、湿度も高い中での5000mでしたが、どの選手も暑さや湿度に負けることなく、最後までしっかりとしたフォームでゴールしていました。

引き続き、6月の「2023ジャパンパラ陸上」と、7月の「ホクレンディスタンス」でのトラックレースが残っているので、トラック種目での自己記録更新を目標に強化していきます。

さて、すでに何度も記載していますが、マラソンのスピード基準のひとつが「5000m」です。グラフに例えると、縦軸がスピードで横軸が持久力です。この時期は縦軸のスピード強化をメインにしているので、縦軸を可能な限り、上へのばそうとしているイメージです。

最終的には、上記した縦軸の到達点と横軸の到達点で囲った四角形の面積がマラソンに必要な走力(スピード持久力)になるイメージです。このように言葉で言うと簡単にイメージできますが、実際の練習ではそう簡単にいかないのがマラソンです。

人の体は、縦軸のスピードを上へのばしていくと、横軸のスタミナは右から左(0方向)へと縮んでいきます。逆に、横軸のスタミナを右へのばしていくと、縦軸のスピードは下(0方向)へ落ちていく傾向があるので、四角形の面積を簡単に広げることはできません。

つまり、スピード練習だけではマラソンに必要な走力は身につかない。逆に走り込みだけでもマラソンに必要な走力は身につかない。この縦軸と横軸の「いい塩梅」を、つかみながら四角形の面積を大きくしていけるか否かが、マラソン攻略のカギになると考えます(イメージとして)。

第65回 東日本実業団陸上競技選手権大会【トラック競技 5/21】 – YouTube

2023春を走る・12

【2023春を走る・12】福島県会津若松市において開催された伴走者養成研修会のお手伝いをしてきました。今回の研修会も伴走に関すること、視覚障がいに関することなどの講義と、視覚障がい者に対する介助や伴走の実技からなる2本立ての内容でした。また、今回は視覚障がいランナーの参加者も多く、どの参加者も熱心に受講していました。

あらためて、視覚障がい者が歩いたり、走ったりするには、横でエスコートする伴走者が必要になります(単独行動が可能な弱視の方は除く)。そして、その伴走者の役目は「安全の確保」であり、何よりもこれが最優先されます。

もちろん、伴走者は誰でも簡単にできるので、難しく考える必要はありません。実際に、各種マラソン大会では、視覚障がいランナーが伴走者と一緒に走っている姿を目にすることは一般的な光景になりました。それだけ全国各地にも普及し、視覚障がいランナーに対する垣根が無くなってきた点は、たいへん喜ばしいことです。

一方、正しい伴走ができていないケースを拝見することが多いのも確かです。よくあるケースのひとつとして、伴走者の方が記録や順位への気持ちが先行し、最後は「気合と根性」で視覚障がいランナーを強引に走らせている姿は、意外に多いと感じます。

また、そんな姿を拝見していると、単に「気合と根性」だけでなく、伴走者としての技術や知識が不足しているがゆえに、視覚障がいランナーは単に苦しいだけで、自身の力を出し切れていないことが多いのです。これは、パラリンピックなどの国際大会を目指している視覚障がいランナーの伴走者にも該当することです。

かくいう私も25年以上、ブラインドマラソン(パラ陸上)の国際大会などに帯同してきましたが、伴走者の要因で視覚障がい選手が失格や途中棄権に陥った事例は、私が把握しているだけでも両手では足りません。また、その要因を振り返っていくと、そのほとんどが伴走者の「技術と知識不足」に起因するのです。

今回の伴走者養成研修会で、誰よりも私自身が刺激を受けましたが、来年のパリパラを目指している視覚障がいランナーやその伴走者たちにも、伴走などに関する「知識と技術」の学びなおしが必須であると、強く感じた次第です……。

最後になりましたが、今回の伴走者養成研修会の開催にご尽力いただいた地元関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

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