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秋を走る Archive

期分け・23

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今回も「スピード持久力養成期」のハード面について考えていきます。前回は正確な距離についてでしたが、今回は練習コースのアップダウン(起伏)についてです。

はじめに、皆さんもこれまで何度となく耳にしたことのある話しとして、「上り下りのあるコースや起伏での走り込みはスタミナが付く」、「山道やクロカン(クロスカントリー)での走り込みは脚力や心肺機能を高める」・・・。こんな話しを雑誌や本で読んだり、聞いたことのある人は多いと思います。

実際に山道やクロカンでの走り込みについては、多くのランナーがその効果を体感しており、世界のマラソンを席巻しているアフリカ勢がこれを証明しています。また、国内においてもクロカンでの走り込みを積極的に取り入れている選手やチームの多くが活躍しています。

では、あらためて起伏やクロカンでの走り込みの主な効果を簡単にまとめてみます。◆効果1).路面が舗装されていないので自然とバランスの良い走りが身に付く。◆効果2).斜面を上り下りする時はペースを上げなくても心肺機能を高めることができる。◆効果3).下りを走る時は着地の衝撃が大きくなるので脚筋力のアップにつながる。・・・以上のような効果をはじめ他にもランナーに必要な様々な能力を高めることができます。

しかし、逆にクロカンや起伏のあるコースでの走り込みは相応のリスクも伴い、デメリットになる場合もあります。◆リスク1).路面が舗装されていないので怪我や故障をし易くなる。◆リスク2).斜面を上り下りすることで平地でのペース感覚が狂ってくる。◆リスク3).下りを走る時の着地衝撃が大きく、その分疲労回復が遅れる。・・・このようにクロカンや起伏を走ることの効果は、見方によってはリスクにもなるのです。

実は、「スピード持久力養成期」に移行してからのクロカンや起伏での走り込みは相応の注意が必要になってきます。なぜならこの期の重要なポイントは、「正確な距離を正確なペースで走り込んでいくこと」だからです。そのため、上りや下りでの「5分/kペース(それぞれの設定ペース)」が、平地では何分何秒に相当するのかをしっかりと体感できる能力が備わっていないと、逆にペース感覚が狂ってしまう可能性があります。※平地で本来のスピードが出せなくなったりします。特に走歴の浅いランナーは要注意です。

同じく上り下りでの走り込みは、身体へのダメージが平地より大きくなります。そのため、平地でペース走を実施した後の疲労回復期間に対し、どの程度のズレになるかを予め見越したトレーニング計画を作成していないと、疲労の蓄積により故障する可能性が高くなります。

このように、「アップダウンでの走り込み」と言っても平地との相違点は多々あります。そのため、起伏での走り込みは、少なくとも「ペース感覚のズレ」と「疲労回復期間」、そして、「故障&怪我防止」の3点は常に意識してほしいと思います。

つづく。

期分け・22

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「スピード持久力養成期」の軸となるトレーニングは、20k~40kの長い距離を走るペース走です。もちろん、マラソンを目標にしているランナーならこの点については、既に常識的とも言えます。

しかし、意外と盲点になっている点があります。それは、正確な距離を計測した正確なコースでペース走を実施しているランナーが意外と少ない点です。さて、皆さんはいかがでしょうか?

実はランニング経験の無い一般的な人の距離感覚は、実測距離より長く感じる傾向にあります(私の経験上)。具体例として、ランニング経験の無いAさんに最寄り駅までの距離を聞くと、「3k程度」と教えてくれました。ところが実際にゆっくり走って行くと、10分もかからず目的の駅に到着・・・。ランナーの距離感覚なら大目に見ても2k前後の距離です。

また、別の例ですが、Bさんはマラソンを目指すために近所にある公園でトレーニングをはじめました。その公園は1周まわると1kになる遊歩道があり、距離表示もあります。それは、マラソントレーニングにとっては願ったりかなったりのコースです。

早速Bさんは、その周回コースで30k走にも挑戦し、ペース感覚も体得していきました。そして、目標タイムである3時間30分も十分に狙える充実したトレーニングを積んで、本番のマラソン大会に挑みました。ところが、あんなに楽に走れた「5分/k」ペースが実際のマラソン大会では最初の5kから苦しく感じます。「もう少しで楽になる」と、自分自身に言い聞かせながらそのペースを何とか維持して行きましたが・・・。30k以降は大きく失速してしまい、目標の3時間30分には届きませんでした。

Bさんはマラソン大会が終わった後、練習コースである公園の1kコースを、距離計を用いて実測してみました。すると驚くことに「950m」だったのです。つまり、1k走ると50m短く走っている計算になり、実は間違ったペース感覚を体得していたのです。もちろん、ランニング経験が無ければたったの50mと思いますが、このコースで5kを走ると250mも短くなります。そして、これを時間に置き換えると「約1分」です。ところが、5kで1分の誤差になると、予定していた通過ラップに修正していくことは、走力のあるベテランランナーを持ってしても難しい大きな誤差に匹敵するのです。

このように、公共施設である公園や河川敷にある距離表示も厳密に言えば正確でない場合も多々あります。そのため、公園や河川敷にある遊歩道などを利用したがためにペース感覚が狂ってしまうケースも意外と多いのです。

つづく。

期分け・21

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今回から「第1次走り込み期」の後半にあたる「スピード持久力養成期」について考えていきます。前回までの「基礎体力養成期」は、マラソンを走るためのベースとなる基礎体力(スタミナ)を養成するトレーニングでした。そして、今回はその基礎体力の上にスピード持久力を積み上げていくトレーニングとなります。

これを家に例えると、基礎体力となる部分が家の土台部分(基礎)にあたります。そして、今回の「スピード持久力」は、土台部分の上に組み上げていく家の柱部分となります。もちろん、柱と言っても単に基礎から垂直に立ち上がっている部分もあれば、その柱と柱をつないでいる部分もあります。更に屋根の部分に相当する柱もあります。つまり、この柱が全て組み上がると、その家の大きさや間取り部分の全体像がほぼ決定します。

このように「スピード持久力養成期」は、家の建築同様、マラソンを目指していく上で具体的にどの程度の記録を目指せるかが、ほぼ見えてくる最も重要な期でもあります。具体的な前期との大きな相違点は、身体の感覚を頼りにゆっくり長くの走り込みから、ある設定タイムを守りながら目的の距離を走り込んでいく点です。つまり、同じ走り込みでもタイムと距離に拘束されていく感じになっていきます。

と、言いながら前期の「基礎体力養成期」で走り込みが不足気味のランナーが、この「スピード持久力養成期」で一気に走り込むと、怪我や故障に悩まされて思うような走り込みができなくなるケースも多々あります。この場合は、焦らずもう一度「ゆっくり長く」の走り込みに戻って基礎から積み上げていきましょう。

さて、それでは「スピード持久力養成期」のポイントを、ハード面とソフト面の2点から大きくまとめてみます。

はじめにハード面として、◆ポイント1).長い距離を安全かつ正確なスピードで走り込むための、正確なトレーニングコースの設定及び確保。(トラック含む)

次にソフト面として、◆ポイント2).目標のマラソンを目指したペース走の適切な距離と、そのペースの設定。(20k~40k程度のペース走)

次回からは、それぞれのポイントについて考えていきます。

つづく。

期分け・20

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今回も前回の続きで「長く」について考えていきますが、「基礎体力養成期」の最後となります。

はじめに、「長く」の目安は「2時間」と話しましたが、ひと口に2時間と言っても長時間です。実際にたったひとりで黙々と2時間走り続けることができるランナーなら間違いなくマラソンに対する適正はあると言えます。少なくとも私はそう判断します。

一方で、一度に2時間も走り続けることが可能だとしても、実際は日常生活の中でその時間を確保する方が難しいとも言えます。したがって、2時間を連続で走り続けるには一般的には週末等の休日になります。しかし、平日でも出勤前の早朝や仕事後のアフターファイブをうまく活用することで、1日のトータル走行時間として2時間を確保することは可能です。

このように何事も工夫していくことは大切ですが、はたして2時間を連続で走るのと、2時間を2回にわけ、トータル2時間とするのでは同じような効果を期待できるのでしょうか?

判断の難しいところですが、特に走歴の浅いランナーや比較的体重の重たいランナーにとっては、2回にわけることで身体や足腰等への負担を軽減することが可能になります。同時に、無理なく走行距離をのばしていくことが可能となるので、ダイエット効果も期待でき、同時に基礎体力をアップさせることが可能となります。

さて、私の経験ですが、実はスタミナが付くか否かの境目の時間は、2時間よりも少し短い「100分」前後になります。実際に走っていると感じますが、60分をこえて80分連続で走るのも90分連続で走るのも同じような疲労を感じます。しかし、あと10分足して100分をこえてくると、スタミナが枯渇してきたことを感じてきます。このように100分連続で走り続ければ2時間と同じような効果を期待できます。

あらためて基礎体力養成期は、「ゆっくり長く」走ることで、マラソンを完走するためのベースとなる体力(スタミナ)をじっくりと養成していきます。それは、仲間と雑談できるスピードで2時間(≒100分以上)走り続けることがひとつの目安となります。そして、このようにじっくり走ることで、マラソンを走るために必要不可欠な「忍耐力」も培われていきます。

既に何度か話していますが、マラソンは球技のように道具を使用せず、単純に長時間走り続けるスポーツです。そのため技術的な部分は極端に少なく、自分自身の「身体と心」だけで勝負していくシンプルなスポーツです。だからこそ、基礎体力養成期では「ゆっくり長く」走ることを通じて身体だけでなく、「心のスタミナ」も養成していくのです。

つづく。

富津合同マラソン練習会・9

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前回からの続きで、「ポイント3」についてです。

既に何度も話していますが、富津合同マラソン練習会は1kあたりのペースが、「4分30秒」と「5分00秒」のスピードでキッチリと刻んでいく距離走。更に、ゆっくりと走り込む「LSD」の3グループで構成されています。そのため、面識のない人でも走力の近いランナー同士が一緒に走ることになります。もちろんスタートしてからゴールする間は、お互いに言葉を交わすことはほとんどありません。

それは、はじめて練習会に参加した人でも、2時間から3時間以上も初対面の人たちと一緒に走り続けることになります。そして、その長時間を同じグループ内でお互いが耐え抜き、ゴールを共にすると、不思議なことにもう何年も一緒に切磋琢磨してきたかのような仲間意識が芽生えています。

ゴール後は、スタート前の緊張した面持ちとは一変し、日々の練習のことや、目標にしているマラソン大会等について、笑顔で談笑している光景をいつも目にします。それは、どこにでもあるような光景ですが、実は意外とそうではないのです。

ひとつの例として、同じクラブチームの会員だけに限定した練習会の場合、同じレベルのランナーが10名以上も揃っているケースはとても稀です。仮に揃っていたとしても、常に競争意識ばかりが働いてしまうケースを多く目にしてきました。つまり、練習中は同じチーム内で、「勝った負けた」の話しばかりに終始し、多くの場合、トレーニングの目的から大きく逸脱しているパターンになっています。

それは、常に先頭でゴールする人にとっても、常にラストで遅れる人にとっても、常にレースと同じような状況になっていると言えます。即ち、それだけ故障や怪我のリスクが大きく高まっている状況であるとも言えます。その結果、同じチームメートと切磋琢磨したことが逆に「故障や怪我」、更には「マンネリ化」へとつながり、マラソンに対するモチベーションの低下につながる可能性も出てきます。この点については、決して大げさな話しではなく、軽く見てはいけない点のひとつと考えます。

さて、富津合同マラソン練習会のように、誰でも参加できる練習会は全国各地に数多く存在します。また、ペースメーカーを付けている練習会も同様に多くあります。しかし、ペースメーカーが寸分の狂いもなく先頭をキッチリと先導することで、富津合同マラソン練習会は驚くほど引き締まっています。そのことは、練習会に参加する人たちにとって、絶大な信頼と安心感にもつながっています。

そして、その安心感と、面識のない人たちと一緒に走ることへの緊張感とが、バランス良く調和することで、充実した富津合同マラソン練習会に結び付いていると・・・。

皆さんの参加している練習会はいかがでしょうか?

富津合同マラソン練習会・8

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今回から「ポイント3」について考えていきます。

◆ポイント3).富津合同マラソン練習会では、面識のないランナーたちも一緒に走るので、モチベーションを高めながら良い刺激を受けることができる。

これについては至極当然のことですが、どんな練習会でも感じることのできる最も一般的なことです。同時に、このことを感じるからこそ、わざわざ練習会に参加する意味があるとも言えます。

ところで皆さんは、30k以上の距離走やペース走を単独練習で走りきることができるでしょうか?同じく、2時間以上のLSDをたったひとりで淡々と走り続けることができるでしょうか?

実は、マラソンに向いているタイプか否かを判断するひとつの目安として、たったひとりの練習でも淡々と長い距離を走れるかを見たりします。もちろんマラソンに対する考え方は様々なので、全ての人に当てはまるとは言えませんが、少なくとも私の経験上からは、大きなウェートを占める判断材料となります。ところが、その中には練習に対する意欲や情熱は人一倍で、長い距離の練習に対しても意欲的なのですが、一緒にスタートしても途中で止めてばかりの人もいます。

このように意欲や情熱があっても、長い距離の練習に結び付かない人も意外と多く、見極めの難しい点でもあります。また、たったひとりでの長い距離を走れるタイプとしても、毎週末コンスタントに継続していくことは、簡単なことではありません。なぜなら、日々の生活は、仕事や家庭、その日の天候等、取り巻く環境や状況は常に変化しており、その日の体調やモチベーションにも大きく影響を与えるからです。

しかし、どんな正当な理由でもトレーニングが継続できないのなら、それはストレートに記録やパフォーマンスの低下に直結していくスポーツが、マラソンです。つまり、マラソンは誰にでもチャンスがあり、誰でも気楽にはじめられる半面、ランニング以外のトレーニングだけで、ある一定以上の走力を維持していくことは、かなり難しいのです。それはある意味、とても残酷なスポーツとも言えます・・・。

だが、富津合同マラソン練習会や各種練習会をうまく活用していくことで、少なくともトレーニングの継続は可能となります。同時に、面識のない人たちと一緒に走ることにもなり、適度な緊張感を保つことも可能です。それは、日々単調な走り込みが中心となるマラソンにとって、大きな課題のひとつとなる、「マンネリ化の防止」にもつながっていくと考えます。

つづく。

富津合同マラソン練習会・7

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前回に引き続き、「ポイント2」についてですが、今回はランナー側から考えていきます。

さて、皆さんは正確なペースを刻んでくれるペースメーカーの後ろについてペース走や距離走、あるいはレースを経験したことはあるでしょうか?また、ペースメーカーと一緒に走ったことのある人は、どのように感じたでしょうか?更に、ペース走や距離走の途中やレース中の給水は確実にとれているでしょうか?

そこで、富津合同マラソン練習会に参加したランナーたちにその感想を聞いてみると、ほどんどの人が、「走り易かった」、「ペースが逆に遅く感じた」と、話してくれます。同じく給水についても、「走りながらでも確実に給水がとれた」、「確実に給水がとれたので最後までゆとりを持って走れた」、等々の話しを多く耳にします。

その理由として、次の2点があげられます。◆理由1).ペースメーカーは、最初の100mから設定ペースを確認できるので、スタート直後から正確なペースで先導できる。◆理由2).給水は専用ボトルに入れ、手渡しでランナーに渡すので、給水を取り損なう心配がほとんどない。

実はほとんどの練習会では、スタートして最初にラップを確認できるのは、1k地点以上の場合が多く、その地点では既にオーバーペースになっているパターンが意外と多いのです。そのためペースメーカーは、慌ててペースダウンしながら設定ペースに修正します。

ところが、次のポイント地点では逆にペースを落とし過ぎていて、再びペースアップすることになったりします。その結果、ペースのアップダウンを繰り返しながら何とか設定ペースをキープする走りになり、そのペースの変化に対応できない多くのランナー(参加者)は、途中で力尽きてしまうのです。

給水についても、実際のマラソン大会同様に小さな紙コップで給水している練習会が多く、慣れないコップでの給水を取り損なったり、中身のほとんどをこぼしたりします。特に、集団で走っている場合、他の給水トラブルにもつながります。また、気温が高い悪コンディションになった時、給水トラブルはランナー(参加者)の安全や健康に直結する、重大トラブルに発展する確率が高くなります。

そんな中、富津合同マラソン練習会ではシンプルに、「設定ペースのキープ」と「給水の手渡し」を確実に継続してきました。そのことは逆に、練習会に参加するランナーたちの安全と健康を確保してきたのと同時に、走力アップにも結び付いてきたと強く感じます。

つづく。

富津合同マラソン練習会・6

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今回から「ポイント2」について考えていきます。

◆ポイント2).富津合同マラソン練習会の距離走は、正確なペースメーカーがグループ別にペースメークしながら集団で走っていく。

これは、全国どこの練習会でも実施する最も一般的なトレーニング方法です。また、この方法が最も効率的で効果的なトレーニング方法のひとつであることも間違いありません。同時に、ペースメーカーが可能なコーチが一人いれば、少なくともそのコーチが先導するグループは、ほぼ間違いなくトレーニングの目的を達成できる、はずですが・・・。

実は、「ポイント2」については、ペースメーカーを実施するコーチ側と、それについていくランナー側とにわけ、それぞれについて考える必要があります。まずは、ペースメーカーを実施するコーチ側から取り上げていきます。

はじめに、ある一定の走力が備わったランナーなら誰でもできそうなペースメーカーと思いがちですが・・・。このペースメーカーを最初から最後までキッチリとペースを乱さずに全うできるランナーは、意外と少ないのです(私の経験上)。

富津合同マラソン練習会では、原則として1kあたり「4分30秒、5分00秒ペース」と、二つのグループで実施しています。このペースは、多くの市民ランナーにとっては、速いと感じる方のペースに該当します。しかし、実業団や学生時代に活躍したランナーにとっては、ジョギング以下の超スローペースとなります。そのため、現役を引退したばかりのランナーがペースメーカーを実施すると、そのグループのペースが設定より速くなる傾向になり、前半でグループが崩壊するケースも多々あります。

しかし逆に、設定を下げて1kあたり「6分00秒、7分00秒ペース」と、落としていった場合も、今度は遅過ぎて更にうまく走れないと言った珍現象がおこったりします。そこで、同じ目線の市民ランナーがペースメーカーを実施して、30k以上の距離走を実施するとします。ところが、今度はペースが遅い分、長時間走り続ける必要がでてきます。その結果、ペースメーカーの方がスタミナ切れをおこし、最後まで走りきれないケースもありました。

この他にも、後ろについている市民ランナーからペースを乱され、いつの間にかグループ全体が競争になっていくパターンも良くあります。更に、横についているランナーの質問に答えながら走ることで、ペースが大幅に乱されたりと、ペースメーカーに起因する練習会のトラブルは意外と多いのです。

皆さんの練習会は大丈夫でしょうか?

さて、富津合同マラソン練習会では、あえて二つのグループに特化することで、逆にペースメーカーを担当するコーチたちのペース感覚をより高めることにもなり、安定した練習会の継続につながっております。もちろん、ペース感覚の優れたコーチを更に育成し、練習会でのグループを増やしていくことは、最重要課題のひとつです。

しかし、上記のとおり、単に走力だけでペースメーカーとしての適正を判断することは難しく、どの練習会でもペースメーカーのできるコーチを育成していくことは、難しい課題のひとつかもしれませんね。

つづく。

富津合同マラソン練習会・5

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今回も富津合同マラソン練習会の「ポイント1」について考えていきます。前回は、富津合同マラソン練習会を実施しているトレーニングコースについて考えましたが、今回はその練習会場までのアクセスについて取り上げます。

さて、ランニングブームに伴い、ランナーが殺到している場所が都内を中心にいくつかあります。その最も代表的な場所としては、何と言っても皇居があげられます。その理由は様々ですが、主な理由のひとつに「アクセスの良さ」があげられます。

休日はもちろん、平日の仕事帰りでも、地下鉄やJR等を利用することで、どこからでも容易に立ち寄ることが可能です。また、皇居周辺には着替えや荷物を預かる施設も充実していることもランナーたちを後押ししています。しかし、富津合同マラソン練習会を実施している千葉県富津市富津公園は、都内からのアクセスは良いとは言えません。

一方、都内から日帰り可能で、人気のある主なマラソン大会としては、「つくばマラソン大会」、「大田原マラソン大会」、「河口湖マラソン大会」・・・等が、あげられます。もちろん、都内から近いのですが、皇居のようなアクセスではなく、富津公園に行く感覚に近くなります。

そのため大会当日は、◆1).何時に起床して何時の電車やバスにのるのか?◆2).最寄駅から大会会場までのアクセスは?◆3).車で行くなら駐車場はあるのか?◆4).車の渋滞はないのか?◆5).駐車場は会場から近いのか?◆6).大会会場のレイアウトは?◆7).受付場所や受付方法は?◆8).大会会場でのトイレは?◆9).大会会場での着替えや荷物の管理は?◆10).雨天時は大丈夫か?・・・等々の問題を想定しておく必要があります。もちろん、それ以外でもスタート前の食事内容や食事時間など、他にも想定しておく事項はたくさんあります。

ところが更に追い打ちをかけるように、人気大会の当日は、出場ランナーだけでなく、その家族や友人も大会に同行してくるので、会場はたいへんな状況となります。同時に、最寄駅から大会会場への道も人の渋滞が発生し、受付すら間に合わないランナーも最近は目にすることもあります。

近年、大会申込はほとんどIT化され、日々のトレーニングコースもアクセスの良さを最優先し、実施するトレーニング内容も効率を意識しているランナーが増えています。しかし、肝心なマラソン大会は、ある意味どんどん非効率的になってきており、そのギャップのせいで狙った記録や成績を逃がしているランナーも多くなってきていると感じます。

さて、富津合同マラソン練習会にわざわざ参加する意味として、上記のように想定できる様々な問題を予め疑似体験できることにあります。それにより、大会当日の行動パターンの確立や想定外のトラブルにも対応できるようになっていきます。そして前回同様、その積み重ねが調整能力の向上となり、ピーキングの向上にもつながるのです。

つづく。

富津合同マラソン練習会・4

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前回、富津合同マラソン練習会のポイントを大きく3つに絞りました。今回からは、それぞれについて更に詳しく考えていきます。

◆ポイント1).富津合同マラソン練習会の練習会場は交通量も少なく、100m毎にポイントした正確で平坦なコースを使用する。

最初に、マラソンを攻略していく上で、絶対に押さえておく重要なポイントがあります。それは、正確な距離(コース)を走り、正確な記録で競い合う競技が、マラソンであることです。

具体的には、マラソンは「42.195k」と、中途半端な距離のようですが、40kくらいではありません。また、43kくらいでもなく、「42.195k」と正確な距離で競い合う競技です。同じく記録についても、2時間くらいとは言いません。マラソンの記録は、「○時間○○分○○秒」と、正確な時間で記録を残し、その記録で競い合う競技です。

また、マラソントレーニングの効果的な方法として、ペース走やインターバルトレーニングがあります。それは、マラソンに必要なスタミナをつけたり、心肺機能を強化するのに、とても効果的だからです。そして、それらのトレーニングを実施する上で重要な前提条件となるのが、正確な距離を正確なペースで刻んでいけるトレーニングコースとなります。

即ち、マラソンに必要不可欠な「ペース感覚」を養成するには、正確な距離表示があり、可能な限り平坦なコースが、有効的なトレーニングコースとも言えます。実は、その究極のトレーニングコースは、トラックとなるのです。

逆に起伏のあるコースについては、様々なトレーニング効果を期待できますが、一定のペースでアップダウンのあるコースを正確に刻んでいくことは、ベテランランナーでもかなり難しいと言えます。そのため、ペース感覚を養成していくトレーニングコースとしては、おすすめできません。

しかし、富津合同マラソン練習会を開催しているトレーニングコースは、正確な距離表示と、ほぼフラットな周回コースで実施しております。それは、淡々と同じトレーニングをただ繰り返している単調な練習会のように感じます。

ところが、平坦で正確なコースでのトレーニングを継続していくからこそ、逆にその日の調子や体調も正確に把握し易くなります。それは、狙ったマラソン大会に調子を合わせるピーキングの向上にもつながっていきます。

つづく。

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