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2013-05-22

絆・8

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【絆・8】先日の5月18日(土)、茨城県笠松運動公園陸上競技場において、第55回東日本実業団陸上競技選手権大会が開催されました。そして、今年も昨年同様、同大会のプログラムに「視覚障害者1500m」を加えていただきました。まずは、ご尽力いただいた関係各位に感謝申し上げます。

今年の出場選手は、昨年のロンドンパラリンピックで銅メダルを獲得した全盲の和田選手を筆頭に4名でしたが、4選手ともかなり調子を上げており、自己記録更新も十分に可能な調子で挑みました。

◆視覚障害者男子1500m決勝:1位/和田伸也(全盲)/4分23秒11。2位/岡村正広(弱視)/4分26秒88。3位/谷口真大(全盲)/4分36秒21。4位/米岡聡(全盲)/5分25秒08。

残念ながらマラソンを狙っている岡村選手を除く全盲の3選手とも、目標タイムに届かない結果となりました。中でも、全盲の和田選手と谷口選手については、7月にフランスで開催されるIPC世界選手権(※)をイメージして挑んだだけに課題が残りました。※5月22日現在、日本代表選手は決定しておりません。

翌日の5月19日(日)は、兵庫県尼崎市において、第57回関西実業団陸上競技選手権大会の5000mが実施されました。同種目には弱視の堀越選手も出場し、ロンドンパラリンピックで自身がマークした日本記録更新を狙いましたが、後半大きく失速し、目標タイムには届かない結果となりました。

特に、ロンドンパラリンピックで好成績と好記録の両方を達成した和田選手と堀越選手については、周囲からの期待も大きかっただけに本人たちも落ち込んでいました。

至極当然のことですが、自分自身を評価してほしいとか、注目されたいと思ったなら、まずは相応の実績を残す必要があります。その逆はありません。昨年のロンドンパラリンピックにおいて、和田選手と堀越選手は素晴らしい結果を残しました。帰国後は、多くの関係者から表彰を受け、周囲から認められる選手へとステップアップしました。

しかし、周囲からの期待が重荷に感じる場面も増えており、記録や結果に対するプレッシャーを感じることが多くなってきたのも事実です。もちろん、ロンドンパラリンピック前もプレッシャーはあったと思いますが、心のどこかで「ダメで元々」と、プレッシャーを感じるより、チャレンジ精神の方が上回っていました。

ところが、最近は本来のチャレンジ精神以上に周囲からの期待(プレッシャー)が強くなり、それが各レースで見受けられるようになってきたのです。具体的には、レース中の「力み」です。特に、トラックレースでは、スタート直後からの「力み」は後半の大きな失速に直結します。

これは、多くの学生選手や実業団選手にも見受けられます。プレッシャーよりチャレンジ精神の方が上回る各種記録会や海外競技会では、常に好記録を残せる選手は多く見受けます。しかし、タイトルのかかった国際大会、国内の選手権大会や駅伝大会のように、プレッシャーの方が強く、結果を求められる大会で自己記録(目標タイム)を更新できる選手は意外と少ないのです。

和田選手、堀越選手ともに、周囲の期待を正面から受け止め、更に狙った大会で結果を残せる強い選手に脱皮するためにも、ここは避けてとおれない壁でもあるのです…。

つづく。

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