Home > Archives > 2021-03-15

2021-03-15

3月を走る・3

【3月を走る・3】今年の名古屋ウィメンズマラソン大会は、最も危惧していた強風下での開催となりました。それも最大風速10m近い強風がスタートからゴールまで吹荒れる最悪のコンディションでした。また、同大会のコースは、折り返し地点と交差点を90度に曲がる箇所が多く、風が吹くと追い風と向い風を交互に受け続ける難コースに豹変する特性もあります。

そんな悪コンディションの中、松田選手の走りは圧巻でした。まるでひとりだけ別のマラソンコースを走っているような安定した力強いフォームで最後まで駆け抜けました。その松田選手は、この1年間は特に精神的に厳しい状況だったとのことですが、そんな苦難を全く感じさせない見事な走りでした。アッパレでした!

さて、今大会の強風はスタートから10k付近まで強い追い風、逆に10kから15k過ぎまでは強い向い風。もちろん、それ以降もゴールまで強い追い風と向い風が交錯。また、このコースは全体的にはフラットですが、実はスタートから10k付近まではゆるやかに下り、その先を折り返したら同じ道を16k付近まで帰るので、15k付近まではゆるやかな上りになります。

マラソンを攻略する上で基本となるのは、最初の10k程度は抑え気味に走る点です。もちろん、どのように走るかは個々の戦術になりますが、特にこの名古屋ウィメンズマラソン大会のコースは、最初の10kまでは体力を温存しながら目標ラップタイムで確実に通過できるか否かが攻略ポイントのひとつと考えてきました。

しかし、今大会に限ってはそれが逆になったケースが多かったようです。つまり、追い風とゆるやかに下る最初の10kまでを無理におさえて目標設定タイムどおりに通過したランナーの多くは、結果的にはそれがあだとなりました。それは、10k過ぎを折り返した後、まともな強い向い風とゆるやかな上りとなる15kまでに大きくラップタイムを落とし、そのままリズムに乗り損ねてしまったケースが意外と多かったからです(15k地点の通過タイムを見て戦意喪失状態)。

ところが、逆に最初の10kを強い追い風とゆるやかな下りの勢いに身を任せ、目標より少し速いタイムで通過したランナーは、強い向い風と上りになる15kまでのラップタイムが相当落ちても、トータル的には目標タイムを狙える状況と余力が十分に残っていました。そして、それ以降も追い風と向い風を交互に受けながらも、リズムとラップタイムを風向きに合わせられていたランナーたちが記録を残せていた印象です(15k以降も記録に対するモチベーションをキープ)。

果たして富津合同マラソン練習会から今大会に参加したメンバーたちの多くは、10kから15kの強い向い風にレース全体の流れを崩されたケースが多数でした。今回出走したメンバーたちの多くは好調だっただけに、コーチの私がスタート前にこの点を、的確に指示できなかったことが失敗原因のひとつとなりました……。

「何度も足を運んでいる大会にも関わらず、常に何かを見落としている」

私自身が大いに反省し、その現場で得た情報から臨機応変に対応して発信する現場力を……。

最後になりましたが、大会準備と安全で安心な大会開催に導いていただいた大会関係の皆様に重ねて御礼申し上げます。

Home > Archives > 2021-03-15

Search
Feeds

ページの先頭へ