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ブラインドマラソン

2024春を走る・12

【2024春を走る・12】陸上競技はいわゆる「トラックシーズン」に入っており、神戸でも世界パラ陸上競技選手権大会が開催されております。今年はパリパラも開催されますが、そのパリパラを目指すトップ選手たちが世界から集まっております。もちろん、日本選手たちも多数出場しております。

同大会は、5月25日が最終日となりますが、どの選手も最後まで自身の力を出し切ってほしいと願っております……。

先日の5月18日と19日の両日は、埼玉県熊谷市において東日本実業団陸上競技選手権大会が開催されました。同大会は、オリンピックを目指す実業団選手だけでなく、シニア部門や視覚障がいの1500mや5000mなども実施しております。

このように様々な年齢層や競技レベルの視点に立った競技運営をしている陸上競技大会が増えてきました。パラ競技に携わる者としては感謝のひと言です。あたらめて、御礼申し上げます。

さて、国内の陸上競技大会や記録会などを拝見していると、長距離種目の参加人数だけが突出している大会が多く、他の種目はその競技を成立させることができるか否か、ギリギリの人数で競い合う状況などもままありました。

しかし、日本人がオリンピックの男子400mリレーでメダルを獲得し、さらに100mで9秒台に突入したあたりからでしょうか、各種陸上競技大会においても短距離選手の参加人数があきらかに増えてきました。

前述した東日本実業団陸上競技選手権大会においても、男子100mの予選は29組もありました。こうなると、予選からタイムレースになります。また、その予選を拝見していると、どの組の選手も速く、100mを10秒台で軽く走っている選手の多さに驚きました(日本代表経験選手も予選敗退するケースもある)。

どのスポーツも例外なく競技人口を増やすことが最重要課題となりますが、そのポイントは「強化と普及の両輪(循環サイクル)」をうまく回していくことにつきます。かつては、日本陸上競技界の短距離は、世界と勝負することのできない種目の代名詞でした。

しかし、前述したようにオリンピックでメダルを獲得するなど、強化が好転しだすと、それに憧れを持つ小中高生(一般人も)が増えます。つまり、山で言うとこの「すその(普及)」が広がります。その結果、さらに山を「高くしていくこと(強化)」が可能となり、世界で活躍できる選手が輩出される確率が高まります(強化と普及の好循環サイクル)。

残念ながらブラインド種目を含むパラ陸上競技は、そのような好循環サイクルに至っておりません。もちろん、一般競技と何もかも同じようにはいきませんが、日本陸上競技界の短距離種目が大躍進してきたその過程と取組みなどを……。

2024春を走る・11

【2024春を走る・11】ブラインドマラソンに欠くことのできない存在は伴走者です。具体的な役目としては、視覚障がいランナーの目や杖となり、横で並走しながら安全にゴールまで導くことです。

近年は、どのマラソン大会においても視覚障がいランナーが参加することを拒むようなことはなくなり(かつては安全上の理由などから拒まれた)、各地のマラソン大会においても伴走者と楽しく走る視覚障がいランナーを拝見する機会は増えました。

また、その伴走者を養成するための研修会を、日本ブラインドマラソン協会などが中心となって開催しております。かくいう私もそのお手伝いをすることがあり、先日も伴走者養成講習会の講師をしてきましたが、最近は伴走に興味関心を持って頂ける一般ランナーが増えました。

一方、「視覚障がいランナーは増えているのか?」と言えば、実はそうではありません。正確な数字での確認はできませんが、30歳代より若い世代の視覚障がいランナーは確実に減っていると感じます。逆に、視覚障がいランナーの高齢化はどんどん進んでおり、年齢や体力的な理由からランニングをやめていく人は増えています。

その結果、前述したように視覚障がい者のマラソン人口は減少傾向にあります。

視覚障がいランナー(特に若い世代)が減少している理由を正確に把握することは難しいですが、事実として全国にある特別支援学校(旧盲学校)の在籍生徒数は毎年減り続けています。これは、視覚障がい児童や生徒も地元の学校(一般の普通学校)にかよう「インクルーシブ教育」が浸透してきたこともその一因と言われています(良い意味で)。

ところが、視覚障がい者が一般の普通学校で学ぶ場合、体育については安全上などの理由から「見学になる可能性が高い」との調査報告もあります。つまり、本来なら体育(運動会や校内マラソン大会なども)で走ることを学んだり、体験もしていきます。しかし、皮肉にもその体験する機会を得ること自体が、逆に難しい環境になってしまうのです。

もちろん、インクルーシブ教育を否定しているわけではありません。しかし、小中高時代に「走ること」をほとんど経験しないまま成人することで、その後も「走ること」とは無縁の生活が続く可能性は高まると推察できます。

これまでは、視覚障がいランナーが「走りたいけど伴走者がいない」との話が多数でしたが、逆に「伴走したいけど視覚障がいランナーがいない」の時代に移ってきていると感じます。それも急激なスピードで……。

伴走講習会を受講された皆様におかれましては、視覚障がいランナーから「伴走できますか?」などの依頼を待つだけでなく、「一緒に走ってみませんか?私が伴走しますよ!」と、逆に声をかけて下さい。そして、運動経験の少ない視覚障がい者に「走る機会を提供」して頂きたいと、勝手ながらもせつに願う次第です。

2024春を走る・10

【2024春を走る・10】恒例のGW菅平合宿(長野県上田市)は無事に終了しました。この時期の菅平高原は、気温が下がる日も多く、午前中の気温が10度以下の日もありました……。

今回の合宿は、マラソン後の調子などを確認することが最大の目的だったので、質も量も落とした内容でした。また、6月からは、パリパラに向けた本格的な走り込みを実施していくので、その準備をするような意味合いもありました。

幸い、主力選手たちの状態は問題なく、6月からは計画どおりの走り込みにシフトしていけそうです……。

さて、パラリンピックの開催はオリンピックの後になるので、開催期間は8月後半から9月前半の日程になります。そして、パラマラソンは、パリ大会も最終日に実施されることが決定しているので、それに向けた走り込みは、6月から8月になります。

したがって、最も暑い季節に最もたくさん走り込むことになるので、身体への負担が大きくなるのは言うまでもありません。もちろん、菅平高原など比較的涼しい場所での走り込みをメインにしていきますが、最終的には暑い中でもしっかりと走れる身体に仕上げていくことが不可欠になります。

また、冬のマラソンと違って、本番直前に練習を落としたからと言っても、簡単に疲労が抜けていくとは限らないのが、夏マラソンの最も難しいところです。もちろん、マラソンに向けた走り込みができていないと、本番でも走れないのは冬マラソンと同じです。

同時に、冬マラソンによくある「成功するための王道」のようなトレーニング方法は、夏マラソンには見当たらず、常に手探り状態のも確かです。まさに「過去の経験とカン」に頼る部分が多いのも「夏マラソン」とも言えるでしょうか。

そんな中、ひとつ言えるのは、トレーニングの量も質も冬マラソンのように追い込み過ぎると、最後は疲労を抜いていくのが困難な状況に追い込まれるリスクが高くなるのも夏マラソンの特徴です。

と、言いながら逆に落とし過ぎると、本番に勝負ができなくなるのは冬マラソンと同じなので、とても矛盾したバランスを保ちながら走り込んでいくことになります。

このようにパリパラに向け、いよいよ「難解なパズル」を組み合わせていく作業に挑む時期に入っていきます……。

2024春を走る・9

【2024春を走る・9】今年もGWに突入しました。そして、今年のGWも長野県上田市の菅平高原において強化合宿を実施しております。

今年の菅平高原は、ラグビーやサッカー選手たちの姿も多くなり、コロナ以前の活気が戻りつつあります。もちろん、長距離選手が走っている姿も多く、GW中の菅平高原は実業団選手の姿を多く目にします。

さて、前回のブログでも記載したとおり、パリパラに日本のブラインドマラソン選手を派遣できるか否かも不明な状況です。と、言いながら至極当然のことですが、パリパラに出場することを前提に強化を進めていきます。

そして、そのパリパラのマラソンは、9月8日の実施予定です。日程を逆算していくと、6月から本格的な走り込みに入り、真夏に突入する7月から8月にかけての走り込みがカギになります。

もちろん、パリパラに向けた6月からの走り込みは、ここ菅平高原からスタートします。今回の菅平合宿は、本格的な走り込みに入る前の足慣らし的な意味合いもあります。また、どの選手も先月の「かすみがうらマラソン大会」を走っており、その回復状況を確認することも重要な目的になります。

前回の東京パラのマラソンに向けても、6月から本格的な走り込みに入り、そのスタートも菅平高原でした。そして、7月から8月は北海道で走り込み、最後は千葉県富津市で調整と暑熱順化を実施し、選手村に入村しました(女子は金メダル、男子は銅メダルを獲得)。

今回のパリパラに向けた流れも、その実績をベースに計画していきます。また、東京パラのマラソンコースは後半に上り坂が続く「難コース」でした。しかし、今回のパリパラのマラソンコースを視察した結果、その東京パラを上回る「超難コース」であることを確認しました。

したがって、東京パラ以上にスピードよりもスタミナが要求されます。そしてさらに、石畳に耐え得る強靭な脚力も必須であり、その超難コースでのメダル争いとなります。しかし、それはチームジャパンの選手たちが最も得意とするコースとも言えます。

ますは、今回の菅平合宿を良い流れで乗り切り、6月からの本格的な走り込みにつなげていきます。

2024春を走る・8

【2024春を走る・8】4月21日の日曜日は「かすみがうらマラソン大会」が開催されました。大会当日の天候は晴れ。気温も23度前後まで上がりました。実は、前日の予報では曇だったので、「直射日光されなければ暑さは大丈夫かな?」と祈る気持ちでいました……。

さて、今回の同大会は、ブラインドマラソンの選手たちにとっては、パリパラ出場権を狙える最後の大会でした(最後の国内選考レース)。どの選手たちもこの大会を目標に調整してきました。幸い、どの選手も仕上がり状態は良好だったので、あとは天候次第と言った状況でした。

しかし、前述したように大会当日の天候は晴れました。同時に、気温もこの時期にしては高めとなり、かなり厳しいコンディションになったのです。特に、選手たちが25k付近を通過するあたりから、さらに気温が上がっていたので、どの選手も終盤は苦しみました。

そんな中、ブラインドマラソン男子は、堀越信司選手が「WPA世界ランキング1位」となる記録で優勝。同女子は道下美里選手が優勝しました。ご存知のとおり、両選手とも東京パラのメダリストです。しかし、両選手が残した今回の記録でパリパラに出場できるか否かは、現時点においてはわかりません。

実は、このように日本のブラインドマラソンは、パリパラへの道筋がはっきりしない暗中模索の中にいます(パリパラに代表選手を派遣できるか否か)。そのため、かつてないほどのプレッシャーが、どの選手にもかかりました。さらに、大会当日の暑さとも相まって、どの選手も「自分の力を出し切る」こと自体が難しい状況に追い込まれたレースでした。

優勝した堀越選手と道下選手は、ここまで多くの経験を積みながら自身の目標を達成してきた選手です。しかし、その経験の多くは「自分の思いとはかなり違う理不尽なこと」の繰り返しでした。特に、レースは自分自身の思いどおりにならない最も理不尽なことのひとつです。

その中でも、パラリンピックのように4年ごとに開催される大会は、理不尽の極みでもあり、当日のコンディションが想定外になる確率も高いと感じます(私の経験上)。今回優勝した堀越選手と道下選手は、目の前にある理不尽なことから逃げることなく、自ら進んでその戦いに挑み続けてきた選手です。

今回の「かすみがうらマラソン大会」においては、その積み重ねてきた「理不尽な経験」が活かされました。そして、今回の経験が、次の「理不尽な大会」へとつながっていくことでしょう。

※旭化成陸上部の皆様、ありがとうございました!

2024春を走る・7

【2024春を走る・7】今週末は「かすみがうらマラソン大会」が開催されます。また、同日は全国各地で、マラソンなどのロードレース大会も開催され、多くの市民ランナーが出場します。あらためて、出場される皆様方の快走を祈念いたします。

4月は季節的には春ですが、気温が一気に上がってくる時期でもあります。また、「今年も春まで続くエルニーニョ現象の影響などにより、日本付近は暖かい空気に覆われやすく、4月から最高気温が30度以上となる真夏日が出る可能性がある」と話している専門家もいます。

幸い、「かすみがうらマラソン大会」が開催される地域の週間天気予報においては、そこまで気温が上がる可能性は低いですが、最高気温は20度を超える予報です。もちろん、30度を超える中を走ることは厳しいですが、この時期の20度を超える気温も体にはこたえます。

また、スタート時間が、9時から10時の間に設定しているマラソン大会は多いので、結果的にはゴールに向かうにしたがって、気温はグングン上昇していきます。つまり、スタートの気温が10数度でも、ゴール時は20度を超えている可能性があります。

多くのランナーが、十分な暑熱順化ができていない時期だけに、熱中症や脱水などに対する注意が必須です。と、言いながら明後日のマラソン大会に向け、今から暑熱順化を実施することは相当難しいですが、レース中の暑さ対策やその準備は可能な限り実施しましょう。

そこで具体的な対策として、いくつか書き出してみます(安田の思いついたもの)。特に、5時間以上の完走を目標にしている市民ランナーの皆様ほど、暑さ対策の準備は入念にしてほしいと思います。

一つ目は、給水に関することです。特に、後半は給水用の水などが不足している場合もあります。その対策として「小銭などを持参して走る」のが良いでしょう(スマホを持参し、電子マネーでも良い)。

二つ目も給水に関することです。これも後半の給水地点においては、紙コップなどが不足する可能性があります。そこで「給水用のマイカップを持参して走る」。いつでもすぐに飲める折りたためる簡易的なカップなどを持参しておくことを推奨します。

三つ目は「服装」です。帽子やサングラスはもちろんですが、可能な限り薄着でスタートするようにしましょう。日焼け防止や膝や脚筋などを守るための服装は理解できますが、その結果、暑さに負けてしまっては逆効果になります(可能な限り簡易的なサポーターを)。

そして、最後は「勇気ある撤退」です。そもそも暑さに自信のない方は、スタート地点に立たない選択も正解です。もちろん、スタート後、厳しいと感じたなら途中で歩いたり、休んだりしましょう。それでも体調が回復しない場合は、迷わず「リタイヤ(棄権)」。

以上、ありきたりな対策を記載しましたが、4月以降のマラソン大会は本当に危険が伴います。この点は十分に理解して挑むようにしましょう。

2024春を走る・6

【2024春を走る・6】新年度がスタートしましたが、今年度も強化合宿を軸に選手強化を継続していきます。そして、今年度最初の強化合宿をいつもの千葉県富津市において実施しました。

今月21日に開催予定の「かすみがうらマラソン大会」に向けた最後の強化合宿でした。もちろん、どの選手も最終調整に入っているので、強化合宿に参加せず、自分自身のペースで調整する選手もいますが、目標は「パリパラ」なのは同じです。

あらためて、マラソントレーニングやその調整方法は様々で、どれが正しいとかの判断をすることはできません。また、何よりもシューズが劇的に進化し、それに見合ったトレーニング方法なども確立しつつあります。

それらのトレーニング方法のひとつに、スピードに重点を置き、そのままマラソンも攻略していく流れがあります。例えるなら、自身の持ち味であるスピードを、狩りをするための「ヤリ」に見立てたとします。日々のトレーニングでは、そのヤリをヤスリなどで磨き、油なども塗って切れ味をよくしていきます。そして、本番のレース(狩り)では、目標(獲物)を一息で突き刺し、手にしていくようなイメージです。

一方、スタミナに重点を置き、じっくりと走り込んでいく流れもあります。例えるなら、自身の持ち味である「スタミナ」を畑で育てる野菜に見立てたとします。日々のトレーニングでは、畑にまいた野菜の種に水をかけ、肥料をまいたりと、時間をかけてじっくりと育てます。そして、本番のレース(収穫)で自己記録更新(豊作)を達成できるよう、最後まで天候なども確認しながら慎重にじっくりと調整しくイメージでしょうか。

また、どちらのパターンが良いとか悪いとかの判断はできませんが、前者のスピード重視は最先端トレーニング。後者のスタミナ重視は古いトレーニングと、一般的には思われている節があります。しかし、スピード重視の場合、目標(獲物)を外してしまった場合、収穫が何もない可能性があり、その後も目標(獲物)を外し続けるパターンに陥る選手は意外に多いと感じます。

もちろん、スタミナ重視の場合も失敗するケースはあります。しかし、レース(収穫)の結果が自己記録更新(豊作)でなくても、何も取れなかったことにはなり難く、次のレースにつながる結果(収穫)を得る可能性は比較的高いと感じます。

さて、SNSなどによる様々な情報があふれています。したがって、トレーニング方法なども常に最先端情報ばかりに注意が向きます。ところが、結果が伴っていない情報(トレーニング方法)も多々あります。よく「歴史は繰り返す」と言いますが、まさにそのとおりの時代に入っているかもしれません……。

2024春を走る・5

【2024春を走る・5】令和6年度がスタートしました。そして、毎年のことながら「気持ちをあらたに」と思うのですが、いつの間にか流される日々に戻ってしまいます。もちろん、そうならないよう、今年度こそは……。

さて、4月に入ると、陸上競技も本格的なシーズンに入っていきます。具体的には、いわゆるロードで競い合うマラソンや駅伝から陸上競技場内のトラックで競い合う種目に移っていきます(トラックシーズン)。そして、これから6月あたりまでを「スピード養成期」と、とらえるマラソン指導者も多いでしょうか。

ここでマラソンのスピードとスタミナの関係を数学の「xy座標」に置き換えて考えてみます。まずは、x軸にあたる横方向を「スタミナ」とし、右方向にいくほどスタミナがあるとします。次に、y軸にあたる縦方向を「スピード」とし、上方向にいくほどスピードがあるとします。

仮に、x軸方向に「+5」、y軸方向に「+5」の場合、その選手の座標は(5,5)となります。そして、その座標(5,5)で直交している四角形の面積を、現在の「マラソン走力」と、簡易的に置き換えて考えます。

前述したように、4月からはトラックシーズンとなり、いわゆる「スピード養成期」です。つまり、y軸を上方向に持っていく時期に当たります。したがって、縦方向にのばすことで、その選手の座標位置も変わり、直交する四角形の面積も大きくなります。その結果、「マラソン走力」もアップするはずです。

このように1年間を期分けし、マラソンに必用なスピードを強化する「スピード養成期(y軸)」。同様に、スタミナを強化する「走り込み期(x軸)」など、縦軸と横軸とを分けて考えると、「マラソン走力」をアップする方法もわかり易くなります。いわゆる「見える化」のひとつとも言えるでしょうか。

ところが、人の体はスピード強化として、y軸を上方向に強化していくと、x軸のスタミナは右方向から左方向に減っていく特性があります。同様に、スタミナ強化として、x軸を右方向に強化していくと、y軸のスピードは下方向に落ちていく特性もあります。実は、人の体は理屈どおりにはいかず、四角形の面積を大きくしていくのは簡単ではないのです。

要は、人の体はスピードとスタミナを同時に追いかけることは相当難しい(極端な例として、100mを9秒台で走り、マラソンも2時間9分で走れる人間は存在しない)。したがって、スピード養成期においてもスタミナを維持していくために、最低限の走り込みが不可欠な点も確かなのです。

もちろん、この点のさじ加減は個々に違うので、試行錯誤をしながら新年度もマラソンにトライしてほしいと思います(自分自身の特性をつかんで独自の練習方法を考えていくのも、マラソンの醍醐味)。

2024春を走る・4

【2024春を走る・4】今年度最後の強化合宿を千葉県富津市富津公園において実施しました。ちょうど寒暖の差が大きい季節ですが、今回の合宿は雨天が多く気温も低く、厳しいコンディションでの走り込みでした。

今合宿の主な目的は、来月開催予定の「かすみがうらマラソン大会」への走り込みでした。同大会は、来月21日に開催予定なので、逆算すると走り込み期の最後に当たるでしょうか……。もちろん、主力選手たちはほぼ全員が参加し、精力的に走り込んでいました。

あらためて、マラソンは自分自身の肉体と精神だけで戦うシンプルな競技です。したがって、目標のマラソン大会に向け、しっかりと走り込みなどのトレーニングを積めてきたか否かが、当日の記録や成績にも大きく影響します。至極当然のことですが……。

ところが、それ以上に記録や成績に影響を与える要因があります。それは、当日のコンディションです。つまり、天候です。シンプルに「晴曇、気温10度、無風」と、なれば良いのですが、逆に「冷雨、気温0度、北風10m」などの悪コンディションになったあかつきには、とても記録などを狙える状況ではなくなります。

また、違う見方をするなら、目標のマラソン大会当日、体調も天候も良いコンディションを「100%」としたとき、当日の天候により記録が左右される割合は少なく見積もっても半分の「50%」以上でしょうか。しかし、冷雨や強風になった場合、悪影響を受ける割合は「70~80%」以上になるかもしれません。つまり、マラソンの記録は努力よりも、当日の天候次第と言うことにもなります(私の主観です)。

特に、4月は1年間の中で寒暖の差も大きく、天候が変わりやすい季節とも言えます。4月21日に開催予定の「かすみがうらマラソン大会」のコンディションがどうなるかは、過去のデータを見返しても全く予測できません。

しかし、今回の強化合宿は、悪天候の中でも40k走やインターバル走を実施しました。そして、どの選手もしっかりと走れていました。今回の経験が、大会当日が悪天候になった場合、その悪影響を受ける割合を少しでも緩和させる対策につながったと……。

2024春を走る・3

【2024春を走る・3】3月も後半に入り、寒暖の差が大きい季節になってきました。また、花粉が舞う季節でもあり、マラソンを走るには厳しい季節とも言えるでしょう。また、ランナーにとっては苦しい条件が重なりますが、体調重視で乗り切ってほしいと思います。

さて、パリ五輪マラソン日本代表選考も終わり、国内の主要なマラソン大会はひと段落と言ったところでしょうか。もちろん、一年を通じ、全国各地でマラソン大会は開催されていますが、陸上競技的に言えば、ここからトラック競技に移行していきます。

このブログでも過去に何度か記載してきましたが、ランニングの魅力に目覚め、各種マラソン大会に参加をしている市民ランナーの方々は、私が現役時代当時よりも格段に増えました。一方、その方々の話を聞いてみると、ハーフマラソンとフルマラソンの経験しかない方が多いことに驚くこともあります。

また、私は練習会などで「1k走(全力走)」を実施することがあります。例として、その1k走を5分前後で走り切ったランナーがいたとします。ところが、その方にフルマラソンの自己記録を訪ねると、「3時間31分」だったりします。つまり、1k走もフルマラソンも、ほぼ同じスピードなのです。

この点は、駅伝やマラソンを競技として取り組んできた選手の視点からすると、信じられない話になります。しかし、どんな距離を走っても、同じようなスピードでしか走れない市民ランナーの方が意外に多いもの確かです。

あらためて、昨年の10月から今月までの間、ハーフマラソンやフルマラソンを何度か走ってきた市民ランナーの方は多いことでしょう。また、走ってきた大会を振り返ったとき、「なんで記録がのびないのだろう?」と、悩む方もいることでしょう。

それぞれの課題やその対策方法は個々に違いますが、前述したように「短い距離も長い距離も同じスピード」になってしまう方も多く、そこの対策がカギになるとも考えられます。そして、その具体策のひとつとして、「短い距離のレースへの参戦(10k以下)」を強く推奨します。

詳細は割愛しますが、速く走るためには手足を素早く動かす必要もあります。そのためには、日々の練習に「短い距離のダッシュ」などを取り入れることは有効です。同様に、スタートから速いペースを体現できる短い距離のレースや駅伝なども効果的と考えます。

大きなマラソン大会もひと段落したこれからの季節だからこそ、逆に短い距離のレースに参戦していくことは、大いに価値があると考えます。

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