ホーム > タグ > ブラインドマラソン

ブラインドマラソン

2025春を走る・3

【2025春を走る・3】実業団vs大学の直接対決となる、エキスポ駅伝大会が開催されました。駅伝ファンのひとりとしては、とても見応えのある内容でした。選手の皆さん、お疲れ様でした。

今回の駅伝は、初の実業団チームと学生チームとの直接対決になるとのことで、SNSなどでも大きく取り上げていました。しかし、駅伝大会の歴史を紐解くと、それに近い駅伝大会が過去にも存在したことを知ることができます……。

今から30数年前、私も現役時代でしたが、全国で開催されていた駅伝大会をいくつか振り返ってみます(今は開催中止になっている駅伝大会)。はじめに、当時は日本三大駅伝と言われていた「朝日駅伝大会(福岡県・99.9k/7区間)」、「中国駅伝大会(広島県・107.5k/8区間)があげられます(三大駅伝のもうひとつは、今のニューイヤー駅伝大会)。

上記した2つの駅伝大会は、学生チームの参加も可能で、実際に実業団チームと大学チームが直接対決することもありました。かくいう私も当時の日本三大駅伝は走っていました。特に、朝日駅伝大会は私自身にとってもたくさんの思い出がある駅伝大会です。

それ以外にも、九州を10日間かけてタスキをつなぐ世界最長の「九州一周駅伝大会」。また、ほぼ同じ開催日程で、青森から東京までを7日間かけてタスキをつなぐ「東日本縦断駅伝大会(青東駅伝」がありました。

私は、青東駅伝大会に千葉県代表選手として、11年連続出場しました。この駅伝大会は、青森から東京までの約880kを61区間に分け、7日間で競い合う駅伝大会です。

参加する各都道県は、24名の代表選手を選考し、ひとりの選手は最低1回、最大3回走ります。また、ひと区間の距離は、10kから20k程度になります。当時の私は毎年確実に3回出走していました。しかも区間距離は15kを超える長距離区間に配置されることが多かったと記憶しております。

つまり、1週間で3本も15k以上のロードレース(起伏の激しい山岳コースが多かった)を走っていたことにもなります。今振り返っても「よく走っていたな」と、私も含め当時の選手たちは本当にタフでした。

また、この青東駅伝大会や九州一周駅伝大会を皮切りに、ニューイヤー駅伝大会の地区予選会、元日のニューイヤー駅伝大会。そして、朝日駅伝大会を走り、最後は中国駅伝大会へと連戦が続きました。

現在も駅伝大会の過密スケジュールを、マラソンを目指す上での弊害と指摘する関係者は多数いますが、30年以上前の選手たちは、その流れをまるで職人のように平然とこなしていました(それらの駅伝と並行してマラソンも走っていた)。

あらためて、駅伝大会も含め物事には必ず賛否両論ありますが、今となっては薄れゆく記憶に残る良き思い出になっております……。

2025春を走る・2

【2025春を走る・2】ここ数年、「部活動の地域移行」の話題が多くなりました。内容的には、「これまで中学校・高校の教員が担ってきた部活動の指導を、地域のクラブ・団体などに移行すること」です。

もう少し説明すると、文部科学省が2020年9月に「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について」の書面で、「2023年度から公立中学校での休日の部活動の地域移行をスタートすること」を発表したことです。

それを受け、スポーツ庁と文化庁が2022年12月に策定したガイドラインに基づき、まずは2023年度から3年間かけて、「公立中学校」の「休日」の「運動部」の部活動を優先し、「段階的に地域移行しようとしていること」を指します。

さて、前置きが長くなりましたが、私が在住する千葉県君津市においても、上記した方針にしたがって、「部活動の地域移行」を実施していくことに……。もちろん、様々な問題が山積しているので、市の教育関係者などが号令をかけただけでは、実行できるはずもありません。

まずは、君津市としては地域移行に向け、今年度と来年度をテスト期間とし、中学校の陸上競技の短距離と長距離に絞って試すことになりました。そして、その長距離部門のコーチ(指導者)として、私もお手伝いすることに……。

具体的には、昨年の9月ころから市の教育関係者や他のコーチとの打ち合わせを重ね、12月から今年の3月までの日曜日を活用して地域クラブ活動を実施しました。また、開催に先立って、君津市内の全中学校に開催案内を配布し、参加希望者を募りました。

もちろん、陸上部の生徒だけが対象ではないので、テニス部やサッカー部など、運動系の生徒や、逆に美術部などの文化系の生徒もいます。参加した生徒たちが記載した目標や目的を拝見すると、「専門的な指導を受けて速くなりたい」、「運動不足を解消したい」など、参加目的は本当に様々でした。

経験上の話になりますが、年齢に関係なく、ある程度走れる人よりも、初心者(未経験者)にランニング指導をする方が、はるかに難しいことは今も昔もかわりません。今回、限られた時間と場所で、経験者(上級者)と初心者を同時に指導することの難しさを、あらためて勉強することができました(部活動なので速くすることが第一の目的ではない)。

一方、コーチたちの指導を真剣な目で聞いている中学生たちの取組み姿勢に、やりがいや達成感を感じることができたのも確かです。この先、どんな方針になっていくのかはわかりませんが、自分にできることは今後も積極的にかかわっていきたい……。

2025春を走る・1

【2025春を走る・1】先日の3月2日は、東京マラソン大会が開催されました。ところが、前週の大阪マラソン大会とは真逆のコンディションとなってしまい、出場した選手たちは暑さとの戦いとなりました。

一般的には、12月から3月上旬の気温は10度前後で安定しており、いわゆるマラソンシーズンとも言われております。ところが、逆に15度を超えるような気温になると、身体が暑さに慣れていないことも相まって、走っている選手たちにとってはある意味、夏マラソンに匹敵するような苦しい体感になります。

今年の東京マラソン大会は、まさにそんな過酷なコンディションだったとも言えます。また、夏マラソン攻略方法のカギは、「前半を抑えて後半ペースアップ」する走法。いわゆる「ネガティブスプリット」の実戦が重要ポイントのひとつになると考えます(詳細は割愛)。

さて、今回の東京マラソン大会は記録を狙える世界屈指の大会でもあるので、男子については、ペースメーカーが3段階に設定されていました。具体的には、「第1グループ:2分52秒~53秒/k」、「第2グループ:2分55秒~56秒/k」、「第3グループ:2分57秒~58秒/k」の3グループです。

スタート後、日本人選手は「第1グループに1名」、「第2グループに数名」、「第3グループに多数」。テレビ観戦で確認した状況ですが、日本人選手たちも積極的に記録へ挑戦していました。

ところが、上記したようにレース後半は気温が20度前後まで上昇し、中間点以降はどの選手も暑さに苦しむ状況へと追い込まれていきました。そんな中で、日本人選手の1位は、市山翼選手が第3グループから後半追い上げ、2時間6分00秒の自己新記録でゴール。しかし、総合順位は10位。世界の壁は厚かったとも言えるのでしょうか。

参考までに上位8選手たちが、中間点通過時に上記したどのグループで走っていたかを確認してみました。「1位~4位と7位の選手:第1グループ」、「5位の選手:第2グループ」、「6位と8位の選手:第3グループ」。

一方、日本人選手の上位6選手は、「日本人1位~2位と5位の選手:第3グループ」、「日本人3位~4位と6位の選手:第2グループ」。また、スタートから第1グループで健闘していた選手は、力尽きて途中リタイヤ。

この結果を振り返ると、世界のトップ選手は、「最初から攻め、暑くなった後半もゴールまで粘り倒した(暑さの中でも極端なペースダウンを回避した)」。一方、日本人選手は「最初から第3グループで力を温存しながら走っていた選手たちが、後半ペースアップして日本人上位でゴールした(勝負に絡めなかったが、暑い中でのマラソン攻略はできていた)」。

もちろん、私がこの結果を正確に分析することはできませんが、世界は暑い中でも積極的に攻めていく選手が増えてきているのは確かなようです。また、オリパラなど世界的に大きな大会は夏開催がメインなので、「日本人でも暑い中ならマラソンで勝負できる」と言われてきました。

しかし、その考え方をあらためていく時期かもしれません(パラも)……。

2024冬を走る・13

【2024冬を走る・13】先日の大阪マラソン大会はマラソンファンの期待どおり、好記録が続出するレースとなりました。そんな中、日本人1位は、初マラソンの近藤亮太選手が初マラソン日本最高記録を樹立。また、「初マラソン初優勝」の快挙まであと少しでしたが、とても感動的な走りでした。ありがとうございました。

さて、そんな好記録続出だった大阪マラソン大会でしたが、残念なことに30.5kの折返し地点を間違えるアクシデントが発生しました。もちろん、テレビ観戦をしていてもその誘導ミスは、瞬間的にわかりました。幸い、先頭集団の選手たちが長く走った距離は約30m程度だったので、その被害は最小限(?)だったようです。

あらためて、マラソンコースに関する国際ルールだと、「距離の誤差は、42.195kの0.1%よりも長くなってはいけない」。つまり、今回はたまたま偶然、15m先に固定中継カメラが設置してあり、あたかも折返し地点のようだったので、先頭集団の選手たちはそこを折返した(したがって、42mよりも短くなった)。もしも、このカメラが22m先に設置してあったなら、先頭集団の選手たちは全員が失格になっていたのです。

また、このときのロスタイムを考慮すると、あと数名の日本人選手が2時間5分台でフィニッシュしていた可能性は高かったと思われます。いずれにしろ、国際マラソン大会の運営常識としては考えられない失態だったことは確かです。

実は、このようなマラソン大会などのロードレース大会における誘導ミスは過去にも発生しています。かくいう私が30数年前の現役時代に出場した別府大分毎日マラソン大会でも起こりました。もちろん、今のコースとは違いますが、先頭を独走していた海外選手が折返し地点手前で折返したテレビ中継車などについていき、そのまま先頭でゴール。しかし、ゴール後に失格。私は自分がゴールした後にそのことを知りましたが、何とも気の毒なアクシデントでした。

また、ある日本陸連公認のハーフマラソン大会で、選手に帯同したときのことです。いつものように、選手たちのスタートを見送り、ゴール地点で選手を待っていると、ゴールしてくる選手たちのタイムが、明らかに1分以上は速いのです。私は直ちに審判長を見つけ、「途中で誘導ミスがあったのでは?」と、確認のために抗議しました。

案の定、その審判長は「公認大会なのでそんなことはあり得ない」との一点張りでした。ところが、大会後日に審判員のミスで、折返し地点に設置するはずのコーンをかなり手前に置いてしまったことが発覚しました。もちろん、大会運営の中においても「選手誘導」に関することは、最重要項目のひとつなはずですが……。

しかし、同じようなミスはどこの大会においても起こり得る可能性があるとも言えるのでしょう。あらためて、今回の大阪マラソン大会における誘導ミスは、これ以上の大きな問題には発展しないと思われますが、今後も有効な対策は本当にあるのでしょうか……。

2024冬を走る・12

【2024冬を走る・12】別府大分毎日マラソン大会後の強化合宿を、2月15日土曜日から2月19日水曜日までの日程で実施しました。もちろん、場所は千葉県富津市富津公園です。

今回の強化合宿は、別府大分毎日マラソン大会後と言うこともあって、参加選手は少なかったです。しかし、同マラソン大会で自己記録を更新した男子の熊谷選手、大石選手と女子の和木選手は参加し、元気に走り込んでいました。

特に、男子の熊谷選手は、5年弱振りの自己記録更新で優勝(IPC登録の部)。その熊谷選手は、2019年12月の福岡国際マラソンで達成した自己記録を今回更新しました。しかし、この間に2度のパラリンピック(東京とパリ)が開催されており、熊谷選手は両パラリンピックともにマラソン日本代表選手として出場しました。

つまり、マラソンの記録は5年振りの更新でしたが、この間に走力は着実に上がっていたとも言えます。今回の別府大分毎日マラソン大会で、これまでの自己記録を一気に80秒更新しましたが、言い方を変えると、毎年16秒ずつ成長していたとも……。

また、熊谷選手は今回の別府大分毎日マラソン大会の3週間前にハーフマラソン大会に出場しました。その大会で、自己新記録(ネットタイム)を達成し、好調をキープしたままマラソンに挑むことができました。前回のブログにも記載しましたが、多くのトップランナーたちも目標のマラソン大会前の30日から20日前後に、調整の一環としてハーフマラソンを走るパターンは定着しています。

ところが、選手自身は調整の一環としてハーフマラソンを走ったつもりでも、ライバル選手たちとの過当な競り合いで、マラソンのために蓄えてきた力を、そのハーフマラソン大会で出し切ってしまうケースがあります(走った本人にはその自覚がない)。その結果、目標のマラソン大会で思うような記録を出せなかった選手も多く拝見してきました。

熊谷選手も今回の別府大分毎日マラソン大会に向け、同様の調整方法でハーフマラソン大会を走りました。ところが、その大会がウェーブスタート方式(時差スタート)を採用しており、熊谷選手は幸か不幸か、後方のグループからスタートすることに……。

その結果、スタート直後からその後方グループの先頭で独走になり、終始自分のペース感覚でゴールまで走り通すことになりました。結局は、単独走でも自己記録を更新(ネットタイム)。逆に、他の選手と必要以上に競り合って、力を出し尽くすことを回避することにもなりました(まさに練習の一環として、普段の練習と同じように走れた)。

今回は、ハーフマラソン大会を調整の一環として走ったことが、マラソンでの自己記録更新にもつながりました。しかし、次回のマラソンで同じことを再現できるか否かは、ハーフマラソン大会のレース展開次第になります。つまり、出場する相手次第とも言えます。また、レースは生き物なので、自分の意思でレースをコントロールすることも難しい。したがって、調整の一環としてレースを活用する方法は、再現性が難しいとも言えるのでしょうか……。

2024冬を走る・11

【2024冬を走る・11】今回も前回の続きになります。要は、目標にしているマラソン大会前の30日前後あたりに20k前後の駅伝大会やロードレース大会を調整の一環として走った場合についての振り返りです(安田の主観)。

特に、初マラソンの場合、そのままの勢いでマラソンも快走しているケースが多く、ひとつの成功パターンとして確立しているのは確かなようです。ところが、同じような流れで初マラソンから2回目のマラソンに挑む場合、逆にうまくいかないケースも意外と多く、再現性が難しい調整方法とも言えそうです。

さて、2月24日に大阪マラソン大会、続く3月2日には東京マラソン大会が開催されます。多くの市民ランナーはもちろん、世界からエリートランナーが多数招待されており、記録への期待が大きな大会でもあります。

さらに、国内のエリートランナーたちも多数出場します。特に、今年開催される東京世界陸上のマラソン日本代表を狙っている国内トップ選手たちが上位入賞(日本人上位)と記録を狙います。もちろん、マラソンファンのひとりとしても目の離せない大会となります。

また、両マラソン大会前の20日から30日前後にあたる2月2日は丸亀ハーフマラソン大会が開催され、2月9日には全日本実業団ハーフマラソン大会が開催されました。そして、どちらの大会も男子は歴史的な記録ラッシュとなりました。同時に、これらのハーフマラソン大会を大阪マラソン大会と東京マラソン大会出場のため、調整の一環として出走した男子選手も多数いました。

その丸亀ハーフマラソン大会において、61分59秒以内で完走した男子選手は82名。同様に、全日本実業団ハーフマラソン大会においては45名。机上の計算になりますが、ハーフマラソンを61分59秒以内で走れる男子選手は、マラソンで2時間8分以内の記録を狙える確率はかなり高くなります。

もちろん、両ハーフマラソンを走った選手たち全員がマラソンを走るわけではありませんが、少なく見ても相当数の選手が走ると思われます。つまり、どちらかのハーフマラソンを調整の一環として走り、設定タイムどおりの61分台で走れた男子選手にとっても、逆に自分よりも好調な選手がすでに相当数いることを見せつけられたハーフマラソン大会だったとも言えます。

但し、どんな選手も最終的な調子の良し悪しは、実際にマラソンを走ってみないとわかりませんが、どちらのマラソン大会も歴史的(?)な記録ラッシュになるのはほぼ間違いないと思われます。そして、調整の一環として走ったハーフマラソン大会(丸亀&全日本実業団)の順位が、目標のマラソン大会(大阪&東京)でどのように変動したかを注目したいと思います(勝ち負けへの影響)。

2024冬を走る・10

【2024冬を走る・10】第73回別府大分毎日マラソン大会が開催されました。そして、今年も「新人の登竜門」に相応しいレースとなり、素晴らしい記録が誕生しました。また、同大会は、IPC公認視覚障がいマラソンの部も2016年大会から設置頂き、今年も男女8名の視覚障がい選手が記録に挑戦しました(男子2名、女子2名の選手が自己記録を更新)。

また、ここ数年は箱根駅伝などで活躍した学生選手が、そのまま別府大分毎日マラソン大会で初マラソンに挑み、快走している流れが定着しています。かつては箱根駅伝を走った後の2月から3月のマラソンに挑む学生選手は多くありませんでしたが、今は箱根駅伝後にマラソンを走る学生選手も増えました。

さて、あらためてマラソントレーニングの最終調整に入っていく30日から40日前に20k前後の駅伝やロードレース大会を「調整の一環として走ること」について少し振り返ってみます(安田の主観)。至極当然のことですが、このときの記録や順位は、目標としているマラソンの結果にも大きな影響を与えます。

具体例として、駅伝なら区間賞を獲得。ロードレース大会なら上位入賞など、いわゆる快走した場合、そのまま目標のマラソンまで走れてしまうケースが多いのは確かです。特にマラソンよりも速いペースで20k前後の距離を走る駅伝やロードレース大会で快走した場合、目標のマラソンで快走する確率は高くなります。さらに、それが初マラソンに挑む場合、その確率はより高くなると考えます。

イメージとして「ハーフマラソンまでの距離をマラソンペースよりも速く走れているので、初マラソンもゆとりを持って最後まで走れる(しかも無欲で)」と……。

ところが、この調整パターンは意外と再現性が難しく、まさに初マラソンから2回連続で成功したケース(選手)をあまり見かけません……。なぜなら、調整の一環として出場する駅伝やロードレース大会を自分のイメージどおりにコントロールすることは難しいからです(特に駅伝)。

「昨年の駅伝では区間賞を獲得したが、今年も同区間を走り、昨年の記録を更新したにもかかわらず区間8位だった」。同様に、「昨年は3位に入ったハーフマラソン大会で、今年は自己記録を更新したが、順位は12位だった」。などなど、ライバルたちも出場する大会は生き物なので、前年の成功パターンと同じような内容を再現することは極めて難しいのです(ほぼ不可能)。

繰り返しになりますが、昨年と同じ駅伝やロードレース大会を走り、前年の記録を更新しているにもかかわらず順位を落としたケースの場合、そのレースでは想定以上に力を出し切っている可能性が高い(調整の域を超える)。そして、さらにメンタル面のダメージも残る可能性がある(ライバルに負けた)。

こうなると、前年は無欲で無心に走れた初マラソンも、マラソン2回目の今年は不安要素ばかりが気になり、最終調整の段階から失敗する方向に心も体も流れていくリスクが高くなると思われます。

その結果、昨年は自分自身が無欲で走った初マラソンを快走したように、今年は初マラソンに無欲で挑戦したライバルたちの後塵を拝することに(ある意味、残酷な世界)……。

2024冬を走る・9

【2024冬を走る・9】先日の大阪国際女子マラソン大会は、久々に自宅でのテレビ観戦となりましたが、マラソンファンとしてはとても見応えのあるレースでした。まずは、出場された選手の皆様、たいへんお疲れ様でした。

その中においても、日本人1位(2時間21分19秒)でゴールした小林香菜選手の走りは見事でした。その小林選手は、昨年の12月に開催された防府読売マラソン大会において、2時間24分59秒の自己新記録(当時)で優勝していました。

実は、防府読売マラソン大会は視覚障がい女子マラソンの日本選手権も兼ねているので、私も毎年現地で選手たちを応援しております。特に、昨年12月の同大会はひときわ軽快なピッチ走法で女子の先頭を走っていたのが小林選手だったので、その姿はハッキリと記憶しております。

また、私はいつもの場所から応援していましたが、目の前を通過する小林選手のタイムを見て、すぐに記録の計算ができませんでした。つまり、小林選手の通過タイムが想定以上に速過ぎて、頭の中でゴールタイムの予測ができなかったのです。

また、同大会での後半も今回の大阪国際女子マラソン大会で見せたような単独走になっていましたが、軽快なピッチ走法はゴールまで衰えることなく、素晴らしいタイムでゴールしたのです。その時マークした「2時間24分59秒」は、全国ネットでテレビ中継されているマラソン大会以外の大会で記録した国内女子最高記録だと思われます(安田の記憶では)。

もちろん、私もゴールでその姿を拝見していましたが、その快走と快記録に驚きました。

そして、先日の大阪国際女子マラソン大会に小林選手の名前があったので、「これは間違いなく上位でゴールする!」とマラソンファンのひとりとして大いに期待をしておりました。案の定、先頭集団がばらけた30k以降の単独走は、見事な追い上げと粘り強さでした。

さて、小林選手の競技歴や日ごろの練習などが、ネットニュースなどに多数掲載されていましたが、「月間走行距離が1200kを超えている」との話もありました。特に、女子選手については、ほっとけば「いつまでも走っている(走るのが大好き)」と言った持ち味を持っている選手はほぼ間違いなく、マラソンが速くなります(安田の経験上)。

同時に、この「いつまでも走り続けることができる(走るのが大好き)」能力は、女子選手にとってはスピードの有無よりも重要な素質のひとつと考えます(詳細は割愛)。そして、この古くて新しい「たくさん走れる能力」を持っている小林選手が、今年の東京世界陸上選手権でも快走してくれると、大いに期待しております。

2024冬を走る・8

【2024冬を走る・8】大阪国際女子マラソンを皮切りに、各地でマラソン大会が目白押しとなります。また、マラソンのコンディションとしては最も安定する季節なので、各大会での好記録も期待できます。果たして、男女の日本記録更新が達成されるのか?マラソンファンのひとりとして、大いに期待したいと思います。

さて、2月2日に開催される別府大分毎日マラソン大会へは、富津合同マラソン練習会において切磋琢磨してきた20名前後の仲間たちが出場します。また、この出場人数は、同練習会においては過去最高かもしれません。

その別府大分毎日マラソン大会は、昔から「新人の登竜門」と言われてきた大会です。近年においては、箱根駅伝で活躍した学生選手たちが、箱根駅伝後にそのまま同マラソン大会に挑戦するケースが増えています。

今年の大会も、青山学院大学や國學院大學など、箱根駅伝で活躍した大学から多数の選手がエントリーしています。特に、箱根駅伝においては、主力区間で活躍した選手たちには注目が集まります。また、マラソンの場合、初マラソンの方がプレッシャーもなく、逆にのびのびと走れるメリットもあります。

これについては、学生選手だけでなく、実業団選手についても初マラソンから快走するケースは増えていると感じます。もちろん、シューズの進化など様々な要因があることも確かですが……。一方で、初マラソンの記録が生涯記録となり、引退までにマラソンを何度も走ったにもかかわらず、自己記録を更新した経験が無い選手も意外と増えています。

もちろん、オリンピックを目標にしているトップ選手たちにとっては、自己記録の更新回数など気にすることもなく、初マラソンであろうと、記録を狙って走ることが重要であるのも確かです。

今大会も学生選手の中から「初マラソン初優勝」の快走を体現する選手が出てくるかもしれません。まさに新人の登竜門に相応しい選手が飛び出てくるかを、マラソンファンのひとりとしても注目していきたいと思います。

そして、いよいよ最後の1週間に入りますが、トレーニング量を落とし、回復優先で挑戦してほしいと思います。また、インフルも流行っているので、マスクの着用や手洗いうがいなども忘れないように……。

「迷ったら休養」です。

2024冬を走る・7

【2024冬を走る・7】2025年も千葉県富津市富津公園で強化合宿をスタートしました。今回の合宿は、2月の別大マラソンに向けた最後の合宿でした。内容は、量を落として質を上げる方にシフト。具体的には距離走の距離を短くし、設定タイムを上げる内容です。

中でも、パリパラ日本代表選手として活躍した、男子の和田選手と熊谷選手が好調を維持しており、2月の別大マラソンでは、日本人初の「2時間20分突破」を達成してもらいたいと……。

さて、大きな駅伝大会もひと段落し、個々のマラソンや各種ロードレースなどに目標がシフトしていきます。今回の富津合宿においても、実業団や大学チームがマラソン練習に取り組んでいました。特に、先日の箱根駅伝には惜しくも出場できなかったT大学の選手たちが積極的に長い距離を走っていました。

そこには、かつて箱根の名門大学として華々しい活躍をしていた面影はなく、ただ愚直に走り込む姿がありました。もちろん、選手を指導している監督は変わることなく、選手の後ろをしっかりとついていき、指示を出していました。

富津公園で合宿をしていると、実業団や学生チームが入れ替わりでやってきます。好成績を継続しているチームや、逆に何か歯車が狂い、チーム力が下降に入っているチームなど様々です。言えるのは、いつの時代も魔法の練習はなく、愚直に走り込みを継続していくのが一番の近道でしょうか。

また、チーム力が下降に入っている局面での指導は本当にたいへんです。特に、SNSなどで事実とは異なる話や内容が流され、結果的には優秀な選手を勧誘することも困難な状況に追い込まれていくからです。まさに負の連鎖です。

このように富津で合宿をしていると、様々なチームを拝見することができます。その中において、箱根駅伝は一旦出場を逃がすと、復活していくのが簡単ではありません。ところが、監督が変わると劇的にチーム力が復活することがあるのは確かであり、指導者の力は本当に大切だと感じます。

さらに、箱根駅伝においては、指導者自身が苦労をしてきたか否かが、とても指導には大切な要素だと感じます。学生は原則として4年間しかチャンスがありません。そして、実業団選手とは違い、監督の指示や指導はより強く(絶対であり)、学生選手が監督に逆らう(?)ことは相当難しい。

だからこそ、学生選手を指導していく上で、監督自身が苦労してきた経験は必須であり、人生経験の少ない学生選手たちからの信頼と信用を勝ち取るためには必要なのでしょう。ちょうど、各チームの監督などの人事が発表される季節になってきました。

監督が変わることによって、チーム力がどのように変わっていくのかを拝見していきたい……。

Home > Tags > ブラインドマラソン

Search
Feeds

ページの先頭へ