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安田享平のランニングライフ

2024冬を走る・1

【2024冬を走る・1】先日の日曜日は、防府読売マラソン大会が開催されました。また、同大会においては、視覚障がいの部(IPC登録の部)も実施されました。その視覚障がいの部は、多くの方々のご理解とご支援のおかげで10回目となりました。関係者の皆様には、あらためて厚く御礼申し上げます。

今大会の結果は、男子は高井俊治選手(T13)が、自己新記録となるアジア新記録(T13クラス)で優勝。女子はパリパラリンピック銅メダリスト(3大会連続メダル)の道下美里選手が優勝。また、男子期待の若手選手でもある大石航翼選手(T12)が自己新記録で2位に入るなど、一定の成果を残すことができました。

さて、既にご存知のとおり、一般のマラソン人口と比較すると、視覚障がいマラソン人口は極端に少ないのが現状です。さらに、その少数の中において、パラリンピックを目標に掲げるような走力(IPC登録者など)を有する視覚障がいランナーは、さらにレアな存在になります。

今大会において、はじめて視覚障がいの部(IPC登録の部)を実施頂いたのが、2015年の第46回大会。その時の視覚障がい男子優勝は熊谷豊選手、女子は道下美里選手。一方、一般男子の優勝は藤原新選手で、2位は川内優希選手でした。

当時のリザルトを見ると、今大会にもエントリーしている一般男子の上位選手は、川内優希選手くらいでしょうか。ところが、我々の視覚障がいの部については、当時から出場メンバーはほぼ変わっていません。もちろん、走力が落ちているのに無理矢理走らせているわけではありませんが……。

オリンピックを目標にしている一般のマラソンは競争が激烈なため、特定の選手が長くトップレベルに君臨していくことは相当難しい。一方、パラリンピックの視覚障がいマラソンは、選手が極端に少ないため、一度トップレベルにまで到達すると、長くトップをキープしていくことは可能です。

ところが、逆に国内トップレベルに到達してもパラリンピックの日本代表選手になることは簡単ではありません。例として、日本ランキング2位にもかかわらず、パラリンピック代表に選出されなかったこともあります。

要は、日本ランキングの上位選手を集めて強化しているのに、その選手たちをパラリンピック代表選手に導くのが難しいことの矛盾(?)が存在します。同時に、競争原理が極端に少ない環境下で、それをどのように克服(強化)していくのかが、今も10年前も変わらない課題でもあります。

また、今さらながら「意識改革」は、言うほど簡単なことではないと、再認識した今年の防府読売マラソン大会でした。

2024秋を走る・12

【2024秋を走る・12】先日の11月24日は、各地でマラソン大会が数多く開催されていました。また、当日は天候にも恵まれた地域が多く、絶好のマラソン日和になった大会も多かったのはないでしょうか。もちろん、富津合同マラソン練習会で切磋琢磨してきた仲間たちもそれぞれの大会に出場し、練習会での成果を発揮していました。

一方、千葉県木更津市においては、陸上競技場において公認記録会が開催されました。この時期になると、多くの公認記録会は長距離種目に特化されていくことが多いのですが、今回の公認記録会は短距離種目も実施され、多くの中学生や高校生たちも出場していました。

一般的には、概ね11月を過ぎると気温も下がってくるので、短距離選手たちは冬季練習に入っていきます。したがって、短距離選手たちが11月以降の公認記録会(屋外)に出場することは減少していきます(ほぼ見ない)。

ところが、千葉県の房総など、国内には年間を通じて比較的温暖な地域も多く、個人的には「地域によっては短距離種目も年間を通じて記録会(屋外)などを開催できるのでは?」と考えたりもします。もちろん、私は長距離・マラソンが専門なので、これ以上のことは言えませんが……。

しかし、公認記録会の短距離種目に出場していた中学生や高校生たちの生き生きとした姿はとても印象的でした。同時に、顧問の先生方も短距離種目の公認記録会や大会そのものが少ない点を悩んでいました(長距離種目と比較して)。

と、言いながら公認記録会を簡単に開催することは難しく、多くの方の協力や準備が必要なのは言うまでもありません。ところが、公認記録会の肝となる公認審判員の方々がかなり高齢化しており、公認記録会を開催するために必要な公認審判員の人数が、あきらかに不足しているのも確かです。

さて、陸上記録会は、若い選手がチャンスをつかめる貴重な場である点は、今も昔もゆるぎないことです。かくいう私も10代のころから出場していた記録会で少しずつ自信をつけ、大きな大会に挑んでいった経験があります。

高齢化社会と言われる昨今ですが、残念ながら陸上記録会にもその影響が、出てきているのが現状でしょうか。少なくとも、若者たちの夢を育む様々なスポーツイベントにまで、その影響が及ばないことを……。

2024秋を走る・11

【2024秋を走る・11】先日の16日土曜日から4泊5日で、強化合宿を実施しました。場所はいつもの千葉県富津市富津公園で、今回の強化合宿は2週間後に迫った防府読売マラソンに向け、調子を引き上げることが主な目的でした(量を落として質を上げる)。

そんな中、合宿中は気温が一気に下がり、冬のような寒さになりました。こうなると、調子を引き上げること以上に体調管理が重視されます。具体的には風邪をひかないことです。すでに何度も話していますが、脚の違和感は何とかごまかせますが、風邪をひいたら走れません(発熱や咳など)。

かくいう私も現役時代、風邪で失敗した経験は何度かあります。特に、駅伝においては、区間最下位の大ブレーキをした経験もあります。また、好調なときほど、風邪をひきやすくなると昔から言いますが、全くそのとおりだと思います(詳細は割愛)。今週末の日曜日も各地でマラソン大会が目白押しなので、出場される皆様は最後まで風邪に注意して下さい。

さて、今回の合宿に参加した選手たちは予定どおりの内容を消化することができました。あとは上記したとおり、風邪に注意しながら体調を引き上げていくだけです。ところが、長く選手強化に携わっていると、大会まで積み上げてきたトレーニングと、大会で走った記録や成績が大きく乖離してしまう選手がいます。

つまり、好調だと思っていた選手が力を発揮できなかったり、逆に不調だった選手が、ある意味神がかった好走をしたりと……。

もちろん、単なるメンタル面の問題なのかを簡単に判断することは難しいですが、スタートするとまるで別人のような走りをしてしまう選手を見受けるのは確かです。しかし、良し悪しにしろ、走った結果を正確に受け止め、正しい振り返りができれば問題ありません。要は、悪かった場合は修正し、良かった場合は次回も再現することができるか否かです。

今回の合宿中、同じ富津公園内で福岡国際マラソン2024の招待選手を数名見かけました。同大会は我々が出場する防府読売マラソンと同じ日に開催されるので、内容は別にしても量を落として質を上げたトレーニングをしていました。

しかし、彼らの実力を持ってしても、狙った大会で常に同じような安定したパフォーマンスを維持することは難しい。そう考えると、安定したパフォーマンスに最も必要な要素は何なのか……。

例年同様、今シーズンも楽しみであり、その難解の攻略方法を探していくシーズンがはじまります。

2024秋を走る・10

【2024秋を走る・10】11月10日、徳島県徳島市において伴走教室が開催されました。その伴走教室に講師として私も参加してきました。その会場は地元の小学校体育館でしたが、当日は天候にも恵まれ、65名の参加予定者全員が無事に足を運んでくれました。

伴走教室の内容は、はじめに「視覚障がい」や「介助方法」などを説明する講義と、その内容を実際に体験する実技の2本立てになっています。原則として、これはどこで開催しても同じ流れになりますが、徳島の皆様はとても熱心に受講してくれました。

最初の講義が終わり、いよいよ実技です。その実技の最初は2人組になって、交代でアイマスクを着用して歩く体験からはじめます。日ごろ、目隠しをして歩いたり、目をつぶって何かに触ることはほぼ無いので、どの参加者も戸惑います。しかし、この経験が最も視覚障がい者のことを理解できる体験であることは確かです。

さて、一般的な話になりますが、人は1分間に15回から20回程度まばたきをしているそうです。仮に1日16時間ほど起きていると仮定した場合、約15,000回もまばたきをしていることになります。また、まばたきは1回に0.1秒から0.15秒かかると言われているので、かけ算をすると、起きている間も24分から48分程度は目を閉じていることになります。

実は、起きていても見ていない時間がそんなにあるとは何とも不思議ですが……。逆に言えば、人は見えていることが普通であり、情報のほとんどは目から得ているとも言えるでしょうか。だからこそ、あえて見えない体験をすることで、目以外からの情報をどのように得るのかを考えたり、視覚障がい者に対し、言葉で見えている情報を、どのように伝えるかを考える時間にもなります。

つまり、「視覚情報の言語化」です。

伴走(介助)は、伴走者が目から得た情報を横にいる視覚障がい者にどのような言葉で伝えるかが、最大のポイントになります。特に、一緒に並走していると、目の前の景色は一瞬で変わっていきます。そんな中、視覚障がい者の安全を確保するためには、伴走者がその都度的確に情報をつかみ、短い言葉で正確に素早く伝えなくてはいけません。

まさに「視覚情報の言語化」です。今の時代はSNSによる情報のやり取りが多くなり、自分が見たことや体験したことを、自分の言葉で直接相手に伝える機会が少なくなってきたように感じます。つまり、言葉によるやり取りが激減し、SNSの影響から逆に情報過多の状態に陥り易くなっています。

その結果、詐欺やフェイクにほんろうされる時代になってきたとも言えるのでしょうか。だからこそ、「視覚情報の言語化」が必須の伴走教室は、もっと注目される活動になっていくのかもしれません……。

2024秋を走る・9

【2024秋を走る・9】ようやく秋らしい季節になってきたでしょうか……。千葉県富津市富津公園で実施している富津合同マラソン練習会においても、最後まで集団が崩れなくなってきました。いわゆる距離走と言われる長い距離を走る練習は、マラソンで記録を狙うためには欠かすことのできないポイント練習です。

そして、同練習会においては、その距離走をいくつかのグループに分け、集団で走ります。至極当然のことながら、ひとりで30k以上の距離走をたんたんと走れる人は、この練習会に参加する必要はありません。なぜなら、自分のスケジュールに合わせ、自分の好きな時間とコースで走ることが最も効率的だからです。

しかし、距離走と言われるマラソン練習は、単純に長い距離を走るのではなく、目的を持った一定のペースで最初から最後まで走ることも必要です。つまり、距離走にはマラソンの目標タイムから導いた適切な設定ペース(ゾーン)が存在し、この適切な設定ペースを保って最後まで走れたか否かが距離走の肝になるのです。

そして、この適切な設定ペースを保った距離走を定期的に繰り返すことが、マラソンを攻略する重要ポイントのひとつになります。もちろん、他にもスピード練習など、マラソンを攻略していく上で不可欠な練習はたくさんあります。また、どのトレーニング方法が絶対に正しいと言うこともありません。

しかし、マラソンは「42.195k」と、この長い距離をどれだけ速く走れるかを競う競技です。したがって、まずはその長い距離を最後まで完走できなければ、勝負することもできません。つまり、はじめに完走できるスタミナがないと、持ち味のスピードも活かすことはできません。だからこそ、距離走はマラソンを攻略していく上で重要な練習に位置付けされるのです。

そして、その距離走を常にひとりで継続できる人は本当に強い選手です。ところが、距離走を毎週繰り返し、継続していくことは、実は簡単ではありません。なぜなら、練習当日のコンディションなどは常に変わり、夏は30度を超える猛暑になり、冬は寒風が吹き荒れる冷雨だったりと、年間を通じて日々変化するからです。

また、どんなコンディション下でも常に同じような調子でたんたんと距離走を重ねていける強い精神力があれば問題ありませんが、人はそれほど強くありません(私の経験上)。また、長い距離を走るには、途中の給水や距離走コースの確保など、スタート前の準備やそれに伴う手間暇なども必須になります。

だからこそ、練習会などに参加し、マラソンを目標にしている仲間の力を借りながら、一緒に距離走を重ねていくことは、実は最も効率的であるのと同時に効果的だと考えるのです。

2024秋を走る・8

【2024秋を走る・8】今日から11月です。厳しかった残暑(?)も解消され、朝晩は冷え込むようになってきました。そして、いよいよ本格的なマラソンや駅伝など、ロードレースシーズンの開幕です。

早速、11月3日は学生3大駅伝の第2戦、全日本大学駅伝が開催されます。また、同日には東日本実業団駅伝も開催され、駅伝ファンにとっても駅伝シーズンの到来となります。もちろん、どちらもテレビ中継があるので、その日はテレビの前から動くことができません。

さて、駅伝やマラソン中継は「走っている姿を撮っているだけ」の最もシンプルな映像ですが、多くの人がその映像にクギ付けとなり、感動もします。また、先頭を走っているのが「1番」であり、ルールを知らなくても一目でわかる最もシンプルなスポーツである点も確かです。

かくいう私も駅伝ファンのひとりとして、駅伝中継を欠かすことはできません。私もかつては駅伝を走る側でしたが、今はすっかり応援する側となりました。また、応援する側に座ってしまうと、もはや走る側に戻りたいとは……。それほど、駅伝中継は魅力的であり、同じような気持ちになっている方も多いのでしょうか。

と、応援する側はいつの時代も好き勝手なことを言っていますが、走る側は本当にたいへんです。学生駅伝を目標にしている学生選手は4年間(原則)の限られた期間しかチャレンジすることができず、特に4年生は最後のチャンスになります。

一方、実業団駅伝を目標にしている実業団選手は、生活や人生をかけて勝負をしているので、単純に「その駅伝に勝った負けた」だけでは済まされません。いずれにしろ、何かを背負って勝負している姿(走り)は、多くの方に勇気と感動を与えているのは間違いありません。

あらためて、冒頭に記載したとおり、ようやく秋らしい冷え込みも出てきました。長距離・マラソン選手たちにとっては、走りやすい季節になってきました。半面、体調管理が勝負を左右する季節にもなり、特に風邪対策は万全にしてほしいと思います。

もちろん、脚が多少痛むとか、違和感があるとかもたいへんですが、何とかだましながら走ることは可能です。しかし、風邪による発熱や寝込んでしまうと、調子を維持していくこと自体が難しくなります。どうか万全の体調でテレビに映ってほしいと願っております。

2024秋を走る・7

【2024秋を走る・7】寒暖の差が大きくなりましたが、なかなか秋らしいさわやかな気候になりません……。先日の箱根駅伝予選会も厳しい暑さの中でのレースでした。しかし、その翌日に開催された東京レガシーハーフマラソン大会は秋らしい天候となり、好記録も誕生していました。

特に、10k以上の長距離レースを走る場合、当日の気温に記録は大きく左右されます。一般的には、暑くなっていく春から夏に実施される10k以上の長距離レースは、速さよりも強さ(スタミナ)が求められます。一方、涼しくなっていく秋から冬にかけては、強さよりも速さ(スピード)を追求していくのが一般的な流れでしょうか。

したがって、先日の箱根駅伝予選会に出場した有力大学やその選手たちは、最終的には「1kを3分ペース」でハーフマラソンを押していける調子に仕上げ、そのまま予選会に挑む流れが主流のようです(過去の大会実績を振り返ると)。

ところが、先日のように気温が25度を超えるような過酷なコンディションになると、ハーフマラソンをまともに完走すること自体が難しくなります。もちろん、当日の天候に合わせ、設定ペースを落として走れば問題ないのですが、1kを3分ペースで刻める状態に仕上げた感覚(リズム)を、逆に下方修正することは意外と難しいのです。

また、予選会のレースでは、各大学に所属している外国人選手やエースたちが、暑くなってもスタートからそれなりのハイペースで刻んでいくのは毎年のことです。したがって、気温が高くなっても、スタートからレース全体のペースもそれなりに速くなることは予測できます。

このとき、気温が高いことを理由に、先頭集団から離れていきながらもチームや個人のペースをしっかりと死守できる精神力の強さがあれば良いのですが……。つまり、スタート後、前の集団や選手たちがどんどん視界から消えていく恐怖に耐え、「残り3kで追いつける」と信じて自分たちのペースで走り続けることは、実は簡単ではありません。

いわゆる後半ペースアップしていく「ネガティブスプリット」は、特に暑い中での長距離レースでは必須です(夏マラソンなど)。しかし、箱根駅伝予選会はタイム以上に順位です。したがって、単純に後半ペースアップする戦術は指示して何とか実行できます。ところが、後半ペースアップしながら狙った順位でゴールすることは、相手の実力や状況にも大きく左右されるので、狙いどおりにはいきません……。

さて、厳しい暑さの中での勝負となった今回の箱根駅伝予選会でしたが、上位通過した大学とその選手たちは、日々の走り込みに裏付けされた「強い精神力(暑さにも強い)」も兼ね備えていました。その勢いで、正月の本戦での快走を心より祈念しております!

2024秋を走る・6

【2024秋を走る・6】駅伝ファン待望の学生3大駅伝の開幕となる出雲大学駅伝が開催されました。そして、今年の出雲大学駅伝は、まるで駅伝ファンの期待に応えるかのように、優勝候補の駒澤大学と国学院大学が最終区間まで見応えのある素晴らしいレースを見せてくれました。

この後、いよいよ箱根駅伝予選会があり、全日本大学駅伝へと続いていきます……。

同じように、実業団選手たちも元旦のニューイヤー駅伝を目指し、各地区の予選会が迫ってきました。そんな中、いつもの千葉県富津市富津公園で練習会をしていると、11月3日に開催される東日本実業団対抗駅伝に出場する実業団チーム(強豪2チーム)が、実戦に近いペースでのトライアルをしていました。

たまたま両チームのスタッフの方々とお話をする時間があったので、状況などを伺ってみたところ、特に東日本地区は厳しい戦いになるとのことでした。詳細は割愛しますが、要は東日本地区からニューイヤー駅伝に出場できる枠が、12枠から10枠に減ったからです。

ただでさえ東日本地区の出場権争いは激烈になっている中、2枠減は想像を絶する争いになることは必至です。一方、駅伝は日本の長距離界においては欠かすことのできない伝統競技であり、特に実業団選手にとっては選手生活の根幹でもあります。

それだけに、いつも拝見している実業団選手たちの様子と、この時期の緊張感などは明らかに違います。特に、プロスポーツは努力すれば誰もが報われることはなく、自己新記録を達成しても相手に負ければ、それで選手生命が終わりになることもあります。

また、私の現役時代と違い、今の実業団選手たちは、箱根駅伝(大学駅伝)を走った選手たちが多数を占めています。その大学駅伝では、仮に負けても「最後までよくやった」「最後の粘りは次につながる」など、選手もファンも涙にくれ、最後は情に流されていくような話で完結することは多いと感じます。

もちろん、実業団選手にもそのようなことはありますが、ニューイヤー駅伝に出場できるか否かのボーダー争いをしているチームの現状は本当に厳しいと思います。具体例としては、次年度以降のチーム存続問題。選手個々の移籍や引退問題など、成績次第では厳しい現実がまっている場合もあります。

駅伝ファンのひとりとしては、どのチームも選手たちも力を出し切ってほしいと願っております。そして何よりも、最後まであきらめない「熱い走り」が、次世代選手の夢や希望などにもつながっていくと信じております。

2024秋を走る・5

【2024秋を走る・5】先日の5日土曜日から4泊5日の日程で、いつもの千葉県富津市富津公園において強化合宿を実施しました。また、厳しい残暑が続いていましたが、急に寒暖の差が大きくなってきました。

さて、今回の強化合宿は、これまでのトレーニングパターンを少し変更し、きつくなる方向へ調整しました。詳細は割愛しますが、最終日まで参加した選手たちは、問題なく計画どおりに走り切ることができました。

また、我々が32k走を実施した日は、地元(君津市と富津市)の中学校駅伝大会と一緒になりました。実は、強化合宿や練習会などで走っている富津公園内の周回コースは地元中学校の駅伝大会と同じコースになっています。

このコースは1周2.8kで、中学生たちはひとり1周ずつ走り、6名でタスキをつないでいきます。そして、この周回コースでの駅伝大会は、私が中学生時代から変わっていません。したがって、少なくとも40年以上はこのコースで走り続けているのです(数年間、開催場所が変わった時期もあったが……)。

実は、私が走るきっかけになったのも中学3年生時に、このコースで駅伝を走ったからでした。今回、久々に母校の後輩たちがこのコースでタスキをつなぐ姿を拝見し、40数年前を思い出すことができました。

また、今回の同駅伝大会には、いわゆる全日中の3000mに出場した選手もいたので、どんなタイムで走るかを注目していました。そして、4区に登場したその選手はタスキを受け取ると、まさに飛ぶような走りで目の前を駆け抜けていきました。

果たしてそのタイムは……。

惜しくもコースレコードを達成することはできませんでしたが、私の知る限りでは歴代上位に入るような好タイムでした。実は、この大会のコースレコードは私の2学年下だった選手が保持しています(この後、私もその選手も実業団まで走り続けました)。

つまり、40年以上もその記録は破られていないことになります。当時、その選手は全国的にも活躍し、ジュニアオリンピック大会の3000mで優勝もしました。と、言いながらも当時とはトレーニング方法やシューズなどが大きく変わり、単純に比較することが難しくなりましたが……。

もちろん、当時がすごいとか、今が良いとかを指摘しているのではありません。今回、この富津公園でタスキをつないだ中学生たちが、この先も切磋琢磨しながら長く走ってほしいと……。

2024秋を走る・4

【2024秋を走る・4】10月に入りましたが、30度を超える日がこれからもありそうです。至極当然のことながら本格的なマラソンシーズンに向けた走り込み期に入っているにもかかわらず、距離走自体がまるで夏マラソンのようです。

と、言いながらも富津合同練習会では予定どおり、40k走を実施しました。当日は、気温が30度に到達することがなかったので、速いグループのランナーたちは、何とか設定タイムどおりに完走することができました。しかし、準備した給水は途中で完売するなど、まさに夏マラソンのようでした。

そんな中、前週と同じように、箱根駅伝予選会に出場する大学を4校見かけました。しかもその4校とも予選会突破有力大学でした。そして、その内の3校は16kを速いペースで走っていましたが、3校とも一糸乱れぬ集団走を最後まで崩すことなく走り切っていました。

さて、スポーツには出場するだけで、高い評価を得ることができる大会が存在します。その最も代表的なのは「オリンピック」でしょう。同じように長距離では、箱根駅伝やニューイヤー駅伝など、ある意味においてはオリンピック以上の注目を集めることもあります。まさに日本独自の伝統とも言えるでしょうか。

特に、箱根駅伝に出場することは、大学もその選手も国内では間違いなく注目されます。その盛り上がりは、年々エスカレートしていくばかりです。そして、今では箱根駅伝予選会もテレビ中継されるまでになっています。

その箱根駅伝のシード権を持っている大学の中には、優勝を目標に掲げている大学や選手がいます。そして、予選会には箱根駅伝に出場することを最大の目標に掲げている大学や選手がいます。

しかし、箱根駅伝で4連覇を達成したとしても、その大学の箱根メンバーとして一度も本線を走ることがなければ、箱根駅伝を走ったこと(参加したこと)にはなりません。一方、予選会をギリギリで通過し、本戦では繰り上げスタートになった選手でも箱根駅伝を走った事実は永久に残ります。

長距離に長く携わっていると、過去に出場した箱根駅伝の順位(母校の成績)よりも、箱根駅伝を走ったか否かを問われることが多いと感じます。特に、その選手が年齢を重ねていけばいくほど、箱根駅伝を走ったことの価値が高まっていくような時代に……。

優勝チームに所属し、最後まで切磋琢磨したが、一度も箱根駅伝を走れなかった選手。一方、何とか予選会を突破し、繰り上げスタートになりながらも箱根駅伝を走った選手。価値観は個々に違いますが、目標を「箱根駅伝の優勝」か「箱根駅伝の出場」かの選択によっては、その後の人生にも大きな影響を与えることは確かなようです。

要は、身の丈にあった「目標の設定(大学の選択)」ができるか否かは、何よりも優先されると言うことでしょうか……。

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