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安田享平のランニングライフ

スピード養成期・12

【スピード養成期・12】さて、あらためて「正確なスピード感覚の体得」についてですが、単にロードレースのような「ペース感覚」とは少し捉え方が違う感じがします。

具体的には、400m毎にラップタイムを確認できるが故に、目標タイムに対しても1秒以下の誤差を確認することが可能です。そのため、その1秒以下の誤差がレース後半に、どのような影響をもたらすかを個々に考えておく必要があります。

同様に、スタートから他の選手が速いペースで前を引っ張り、先頭から離されていく展開になった時、自身の目からは遅れていく情報となります。しかし、実際は目標タイムより速いタイムで通過するケースはよくあります。

この時、先頭から離されながらも自分自身のペースをコントロールしていく能力が必須となります。実は、このようなレース展開に対応するのは最も難しい走法のひとつであり、逆にトラックレースではよくあるレース展開でもあります。

このように考えていくと、逆にトラックレースは避けた方が良いようにも感じますが、ロードのマラソンでは経験できないスピード感やそれに伴う苦しさを体感することは不可欠です。

一方で、このように話しを進めてくると、単にトラックレースだけでは正確なスピード感覚を体得することは難しいことにも気が付きます。そこで、あらためて重視する点としてトラックでのスピード練習になります。

具体的には、インターバルトレーニング時の設定タイムやリカバリーの時間に相当します。多くの市民ランナー方もインターバルトレーニングを実施していますが、多くの方がその設定タイムを正確に維持せず、単に一生懸命走っているだけの姿を多く目にします。

例として200mを疾走する際、設定タイムを40秒と決めているにも関わらず、最初は37秒とかでスタートし、最後は40秒すらキープできなくなるパターンです。このように、実際のタイムとスピード感覚が一致しないままトラックレースを走ることで、せっかくのトラックレースを台無しにしているのです。

定期的に実施しているインターバルトレーニングについては、設定タイムに対し、1秒以内の誤差で疾走することが基本です。まずはこのスピード感覚を身に付け、更にトラックレースでそれを実戦していくことで、「正確なスピード感覚の体得」につながると考えます。

スピード養成期・11

【スピード養成期・11】マラソンを最大の目標とするランナーにとって、スピード養成は必須の課題です。そして、その課題を克服する手段のひとつとして、トラックレースを積極的に走ることは重要なポイントです。今回は、その「理由2」について考えていきます。

■理由2).正確なスピード感覚の体得。

トラックは1周400mです。更に、100m毎にその正確な位置を確認することが可能です。すなわち、自分自身が目標とするタイムを100m毎に換算し、それを確認しながら走ることが可能です。

その結果、目標タイムを確実に達成できるはずですが、そう簡単には達成できません。それどころか、正確なラップを確認できるにも関わらず、そのラップどおりにレースを進めていけるケースの方が圧倒的に少ないのが現状ではないでしょうか。

その主な要因として、相手との駆け引きがトラックレースでは激しく、最初から速くなったり、遅くなったりと、スピードの変化が大きいことがあげられます。また、トラックの弾むような感覚から速いスピードで入っても、そのスピードが速いと感じにくい点もあるでしょうか。

ところが、一旦速く入ってしまうと、当然のことながら途中からそのペースを維持することが難しくなり、多くのランナーはレース終盤にかけて失速。更に、一旦失速するとロードレースのように後半盛り返すような展開は、ほぼ不可能になります。

まさに正確なペース感覚が欠如しているからに違いありませんが、トラックレースの難しいところでもあります。このようにトラックレースは、正確なペースを確認できるにも関わらず、相手のペースに巻き込まれるパターンも多く、設定タイムどおりにレースを進めるのは想像以上に難しい面もあるのです…。

スピード養成期・10

【スピード養成期・10】年間を通じてハーフマラソンやマラソンに絞ったレース出場を繰り返していくと、短期間で記録の頭打ちに陥る市民ランナーが多いと話しをしました。

その理由は常にゆとりあるスピードを維持し、長時間走り続けることを繰り返しているからに他なりません。つまり、スピードを上げて走ることを実施していないからでもあり、「スピードを出せるランニングフォームが出来ない」からでもあります。

この点を解決する代表的なトレーニングとしては、インターバルトレーニングがあります。そして、トラックレースになります。インターバルトレーニングは言うまでもなく、心肺機能を高めますが、実は神経系のトレーニングも兼ねています。

速く走るためには、手足を速く動かす必要がありますが、脳から速く走れと指令を出しても手足が反応しなければ速く走ることはできません。つまり、脳からの指令どおりに手足を動かす能力を高める必要があります。

専門的な説明は割愛しますが、美しく走ると言うより、手足を脳からの指示どおりに動かし、目標どおりのスピードをコントロールする能力とも言えます。もちろん、これが出来れば誰もが世界記録や日本記録を達成することが可能になるので、簡単に出来ることではありません。

特に、トラックレースではコンパクトにまとまったランニングフォームを一旦切り離し、とにかく1秒でも速く前へ進むことを第一に、手足をダイナミックに動かすことが求められます。同時に、ハーフマラソンやマラソンばかり走ってきた市民ランナーの皆様にとっては、トラックレースは過去に経験のない苦しみも伴うと思います。

具体的には、トラックレースはスタート直後から速いペースになる傾向が強く、そのため前半から苦しくなります。その結果、ランニングフォームは乱れ、速く走ろうとしても手足は固まって動かなくなっていきます。

しかし、この手足を懸命に動かして前へ進もうとする意識が重要で、トラックレースを繰り返すことで神経系も発達し、速い動きに対応できるようになっていきます。つまり、速い動きに対応できるランニングフォームの体得にもつながるのです。

神経系のトレーニングは、いわゆるドリル、ラダー等の補助的な運動が代表的ですが、上記したように、市民ランナーの方々はトラックレースを積極的に走ることでも十分に代用できると考えます。

スピード養成期・9

【スピード養成期・9】前々回、トラックレースを積極的に走る理由について3つあげましたが、今回からそれぞれについて考えていきます。

■理由1).スピードを出せるランニングフォームの体得。

最初から話が矛盾しますが、まずははじめに理解しておく点として、「正しいランニングフォームは存在しない!?」。もう少し言い方を変えると、「ランニングフォームは個々に違う」と、言う点です。

つまり、個々に顔や体型が違うように、ランニングフォームも個々に違い、個々の体型や身体の特徴に合ったランニングフォームがあります。そのため、ランニングフォームの美しさと、怪我や故障のリスクが高いか否か、速く走れるか否かとの関連性は必ずしも一致しません。

従って、上記した「スピードを出せるランニングフォームの体得」と、言うのは個々にランニングフォームの違いがあり、個々にとっての「スピードを出せるランニングフォーム」と、言うことになります。

前置きが長くなりましたが、ランニングフォームについて最も重要な視点のひとつなので、まずはこの点を理解しておく必要があります。

次に、ハーフマラソンやマラソンはアスファルトやコンクリート等で舗装された硬い路面上を走ります。同時に、スタートからゆとりある一定のペースを保ち、長時間走り続けるため、ランニングフォームもエネルギーロスを抑えようと、コンパクトに効率的になっていきます。

これはどのランナーもそのようになっていきます。具体的には、上下動が少なくなっていき、腕振りはダイナミックからコンパクトへ、更にストライドからピッチを意識したランニングフォームに変化していきます。

もちろん、ランニングフォームの効率化としては喜ばしいことで、怪我や故障防止にもつながります。ところが、年間を通じてハーフマラソンやマラソンばかり走っていると、短い距離からマラソンまで全て同じようなスピードしか出せないランニングフォームに陥ることがあります。少なくとも市民ランナーの方々を指導していると、意外と多く見受けます。

その結果、ハーフマラソンやマラソンの記録も短期間で頭打ちになります。

スピード養成期・8

【スピード養成期・8】先日の5月20日、秋田県秋田市において第59回東日本実業団陸上競技選手権大会が開催されました。今回も同大会において「視覚障害5000m」を実施して頂きました。

「視覚障害5000m」を初めて実施頂いたのが、2012年の第54回大会。そして、今回は初めてIPC公認として実施することができました。まずはご尽力頂いた大会関係の皆様方に厚く御礼申し上げます。

今回、初めてIPC公認記録になることで、男子6名、女子7名の強化指定選手が記録に挑戦しました。特に、女子T11クラス(全盲)と女子T12クラス(弱視)においては、日本記録更新の可能性が高く、大いに期待されました。

また、この時期は日本盲人マラソン協会としても秋以降のマラソンに向けた「スピード強化」と位置付け、トレーニングやレースも積極的にトラックで強化しているところでもあります。

結果は、女子T12クラスで道下美里選手が従来の日本記録を大幅に更新する「19分10秒66」の自己新記録でゴール。他の選手たちも気温が26度以上に上昇する厳しいコンディションでしたが、最後まで粘りある走りを披露してくれました。

同時に、今年もオリンピックを目指す実業団選手をはじめ、日本陸上界を牽引している各実業団チームの関係者が見守る中でのレースは、視覚障害マラソンを理解して頂く上でも最高の舞台となりました。

この後も6月と7月にIPC公認のトラックレースが続きます。数少ないチャンスで結果を残す必要があるのは、視覚障害マラソンの宿命です。更に、これからの季節は暑さが厳しくなっていき、トラックでのレースは過酷を極めます。

それらに負けない体力と精神力を日々のトレーニングで培い、皆様方の前で記録更新達成ができるよう精進していく所存です。

あらためてご声援をお願い申し上げます。

スピード養成期・7

【スピード養成期・7】前回の続きになりますが、トラックレースはスピード、ロードレースはスタミナのような印象を受けると、話しをしました。

これについては前回説明したとおり、走る路面の違いからの影響が大きく、トラックレースは弾むような路面からより速いスピードを追及できるような軽やかなランニングフォームが要求されます。

一方のロードレースは、硬い路面からのダメージを抑えながらより長い距離を走り切れる効率的なランニングフォームが必須です。もちろん、単純にランニングフォームから全てを説明することはできませんが、大きな違いのひとつであると思います。

そして、トラックレースとロードレースの最も大きな違いは、レース中の景色が同じか否かです。つまり、トラックレースは1周400mの同じトラック上をひたすら周回するため、景色に変化がありません。しかし、ロードレースは一般の公道を使って街中や郊外を走るので、レース中の景色が変わります。

そのため、同じ場所を単に周回するトラックレースは、精神的に苦手とする声はよく耳にします。逆に、トラックレースは400m毎のラップタイムを正確に把握できるので、ロードレースより走り易いと言った声も耳にします。

このようにトラックレースとロードレースでは感覚的な違いもあり、どちらが走り易いかについては個々によって違います。しかし、マラソンを最大の目標とするランナーにとって、課題のひとつであるスピード養成を実現するためには、トラックレースは必須であると言えます。

その主な理由を上記した中から集約してみます。

■理由1).スピードを出せるランニングフォームの体得。■理由2).正確なスピード感覚の体得。■理由3).精神的スタミナの体得。

もちろん、他にもあると思いますが、次回からこの3つについて掘り下げていきます。

スピード養成期・6

【スピード養成期・6】ゴールデンウィークも終わり、通常の生活リズムに戻りました。同時に、連休を活用し、合宿やレースを連戦した方は疲労が出てくる頃と思いますが、皆さんは大丈夫でしょうか。

さて、今回からスピード強化の代名詞とも言える「トラックレース」について考えていきます。今更いうまでもありませんが、陸上競技大会はいわゆるトラックと呼ばれる陸上競技場にて開催されます。もちろん、世界選手権やオリンピックにおいても、マラソンや競歩以外の競技は全て陸上競技場内で実施されます。

はじめに、トラックレースとロードレースの違いを幾つかあげてみます。

1つ目は、何と言っても走る路面が違います。具体的には路面の硬さ、硬度が違います。トラックの場合、路面がゴムのような素材になっているので、走ると弾む感覚があります。一方のロードは、アスファルトかコンクリートで覆われているので、弾む感覚を感じることはほとんどないと思います。

つまり、路面の硬さや硬度の違いは、そのまま脚や身体に伝わる衝撃の違いに現れます。そのため、一般的にロードを走る時のシューズは、路面からの衝撃を吸収するためソールに厚みがあり、その素材にも工夫がされています。

逆にトラックを走る時のシューズは、路面の弾力をうまく推進力に変える必要があるため、素足感覚に近くピンの付いたスパイクを履きます。もちろん、長距離選手はスパイクを使用しなくてもソールの薄いシューズを履いたりもします。

2つ目は、競技の距離が違います。既にご存知のとおり、トラックレースの長距離種目は、1周400mのトラックを周回することになり、最長でも1万mまでです。一方のロードレースは、トラックレースの倍以上のハーフマラソンや4倍以上のマラソン、更にウルトラマラソンへと、距離はどんどんのびていきます。

以上のようにたった2つの視点からトラックレースとロードレースを比較しても、トラックレースはスピード、ロードレースはスタミナの印象を受けると思いますが如何でしょうか。

次回もトラックレースとロードレースの比較をしながらその違いを考えていきます。

スピード養成期・5

【スピード養成期・5】5月2日(火)から5月6日(土)の日程で、日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を長野県菅平高原において実施しました。

今回の合宿は「スピード強化」をテーマにトレーニングを実施しました。したがってポイント練習はトラックでのトレーニングがメインとなります。いわゆるインターバル走やペース走です。

同時に4月までは、ロンドンマラソンやかすみがうらマラソンを目標にしたマラソントレーニングが中心だったので、トレーニングの流れを切り替える移行期にも相当します。

また、菅平高原の標高は1200mから1500m前後の高地でもあるので、心肺の強化に最適なのは言うまでもありません。実際に走ってみると分かりますが、菅平高原に到着して直ぐにジョギングをすると、心拍数が普段より多く、息苦しさを感じます。

さて、そんな環境の中、今回のトレーニングは、インターバル走とペース走の2本立てです。具体的には、どちらも設定ペースを落とし気味にし、途中でペースを切り替える内容としました。

実際にインターバル走で1200mを5本実施する場合、最初の800mを抑え気味に走り、最後の400mをペースアップします。同様に、12000mのペース走の場合は、2000mを抑え気味に走り、次の1000mをペースアップする3000mを1セットとし、それを4回繰り返しながら12000mを走ります。

そして、午前中にインターバル走を実施したら午後はペース走と、1日に2つのポイント練習を実施する流れにもしました。もちろん、強度は高くなりますが、マラソンを目指した合宿と違い、1日の走行距離は半分程度になります。

ところが、スピード練習に移行できていない選手が多いこともあり、こちらが指示した設定タイムどおりに走れた選手は少なく、強化合宿のトレーニングとしては厳しい内容となりました。

一方で、どの選手も身体に大きな刺激が入った点は間違いなく、どの選手もこの強化合宿の後に続くトラックレースにつながる有意義な苦しみだったと思います。

ロンドンマラソン

【ロンドンマラソン】先日の23日はロンドンマラソンが開催されました。そして、今年も昨年同様、「2017 World Para Athletics Marathon World Cup」も同大会において同時開催されました。

結果は、男子が金メダルと銅メダル、女子も金メダルと銅メダルを獲得することができました。まずは、今回のロンドン遠征にご尽力頂いた関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。

さて、今大会においては、渡航前から男女ともに金メダル獲得は必須だったので、そのとおりの結果を残すことができ、力を出し切った選手と伴走者には感謝の気持ちです。一方で今大会は多くの課題を残すことにもなりました。

中でも大会に向けたピーキングがうまくいかず、本来の調子と程遠い状態だった選手が多かった点は、今後の課題となりました。特に、大会1ヶ月前からの調整がかみ合わず、調整に苦慮した選手が多かったと感じました。

同様に伴走者の中にも調整がうまくいかず、最後まで苦しんでいた方がいた点も課題として残りました。至極当然のことですが、視覚障害マラソンの場合、選手が絶好調でも伴走者にアクシデントが発生すると、ゴールできないことになります。

しかし、そんな劣勢の中においても、メダルを取りこぼさなかった点はチームとして底力が付いてきたとも言えますが、やはり反省の多い大会でした。

あらためて、今大会はチームとして気持ちを引き締め、日々の生活習慣やトレーニング状況等を見つめ直す良い機会だったと思えるよう、今回の課題を2020東京パラに向けた強化に落とし込んで行きます。

スピード養成期・4

【スピード養成期・4】今回はスピード練習に移行する前の準備期における具体的なトレーニングを考えていきます。

前回記載したとおり、スピード練習に入る前に必要な準備として、「筋力の養成」と「フォームの養成」の2つをあげました。この2つの課題を満たせるトレーニングとして推奨するのは起伏走です。いわゆるアップダウンのあるコースを走る「クロスカントリー」がその代表的なトレーニングになります。

理想は芝生のある広い公園で適度な起伏があり、ある程度の距離を周回できるコースを作れれば問題ありません。もちろん、そんな広い公園が近くにある方は限られていると思いますが、近所の道路でも起伏のあるコースであれば大丈夫です。但し、起伏と言っても山道を走るような険しいコースは、怪我や故障のリスクが高まるので避けるようにしましょう。

果たして、実際に適度な起伏のあるコースで、スピードの強弱をつけて走ったり、上り坂を勢いよく駆け上がったりしながら一定の距離や時間を走ると、多くの方が翌日以降は筋肉痛になります。それは、3月までしっかりとマラソンを走ってきた多くの方も同様です。

つまり、マラソンや平地でのロング走で使われなかった筋肉を刺激している証拠でもあり、起伏走は平地以上の負荷がかかるトレーニングと言えます。もちろん、起伏を走ることで心肺機能への負荷も加わるので、そちらの強化にもなります。

更に、起伏を走るとスピードや全身への負荷も変化に富むので、必然的にそれに合わせた自在でダイナミックな動きも必須になります。つまり、変化に合わせられるランニングフォームの養成にもつながります。その結果、スピードの変化に対応できる自分自身に合ったランニングフォームに修正されていきます。

また、起伏のあるコースで走るのが難しい方は、単に100m程度の坂道走(上りも下りも)を取り入れる。また、平地やトラックにおいては、100m程度の距離をスピードに強弱をつけて走るウィンドスプリント(流し)を何本か繰り返すことでも同様の効果を期待できます。

実際は、上記したようなトレーニングを週に何回か取り入れながら、その間に軽めのスピード練習を加えていくと良いでしょう。それをある一定期間継続し、身体の筋肉痛も感じなくなり、スピードに乗れるスムーズなフォームが身についてきたと体感できてから、本格的にスピード練習の質と量を上げていきましょう。

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