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安田享平のランニングライフ

マラソンシーズン・総括

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【マラソンシーズン・総括】2016年度の国内メジャーマラソン大会は全て終わり、今年の8月にロンドンで開催される世界陸上の男女マラソン日本代表選手も決定しました。4月からは2017年度がスタートし、いわゆるトラック&フィールドの陸上競技シーズンがはじまります。

一方で、ランニングブームの波に乗り、全国各地でマラソン大会が開催されるようになった結果、1年間を通じてマラソンに挑戦できるようにもなりました。特に全国各地のマラソン大会に出場することを楽しみとしている市民ランナーの方々にとっては喜ばしいことです。

ところが、4月から9月に向かっての季節は気温や湿度がどんどん高くなります。その結果、同じ市民ランナーの方でも自己記録更新を最大の目標にマラソンを走っている方々にとっては、たいへん厳しい季節に入っていきます。

もちろん、マラソンを攻略していくトレーニング方法に正解はありませんので、記録更新が不可能とは言えません。しかし、これから気温や湿度が高くなってくる季節は、逆に短い距離のロードレース(駅伝も)やトラックレース等を積極的に走り、マラソンに不可欠なスピード持久力を身に付けるには適した季節になると思います。

さて、ここで私が直接コーチしてきた市民ランナーの方々が、2016年度(※)に出場した各種マラソン大会での記録を簡単にまとめてみました。※2016年11月から2017年3月までの間に開催されたマラソン大会。

■まとめ1).マラソンを走った市民ランナー数:30名。■まとめ2).出場した大会数:15大会。■まとめ3).15大会に出場した延人数:51名。■まとめ4).自己新記録の達成回数:14回。■まとめ5).目標タイムの達成回数(自己記録達成を除く):9回。

自分で記載しておきながら比較する対象はありませんが、どの方々も本当によく頑張ったと感じます。もちろん、怪我や故障のため今シーズンのマラソンを断念した方もいます。

そんな方々はある意味、マラソンを走って撃沈したよりも苦しかったと思いますが、焦らずじっくりと調子を戻してほしいと思います。上記したように、4月からは陸上競技のシーズンが開幕します。

全国各地でマラソン大会が開催されるのと同様に、いわゆるトラックでの記録会や競技会も各地で開催されるようになってきました。4月からは身体と心のリフレッシュも兼ねてトラックレースにも積極的に挑戦してほしいと願っております。

マラソンシーズン・6

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【マラソンシーズン・6】今年の8月にロンドンで開催される世界陸上マラソンの選考大会となった名古屋ウィメンズマラソンも終わり、男女の日本代表選考大会は全て終わりました。

特に、先日の名古屋ウィメンズマラソンにおいては、日本人トップでゴールした安藤選手は初マラソン日本最高となる「2時間21分36秒」、同じく日本人2位でゴールした清田選手は「2時間23分47秒」の自己新記録と、上位2選手が素晴らしいタイムをマークしました。

上記した2選手は共に「スズキ浜松アスリートクラブ」の所属で、レース中も独特のフォームでトップ集団をキープした2選手の存在感は際立っていました。また、注目すべき点は、スズキ浜松アスリートクラブは諸事情により、2010年3月をもって日本実業団陸上競技連合を脱退している点です。

つまり、いわゆる実業団駅伝(※)に出場しない生粋のクラブチームとして活動しており、長距離選手たちの多くは必然的にマラソンを目標にしている点です。※個別に都道府県対抗駅伝の出場や地方主催の駅伝大会等への出場は可能。

私が偉そうに意見することはできませんが、駅伝によるマラソンの弊害については、既に誰もが一度は耳にしている話題です。しかし、実際に国内のメジャー駅伝をチームとして外している実業団チームや大学チームは、ほぼ皆無と言っていいのが現状です。

そんな中、いきさつは別としても、実業団駅伝を走らないクラブチームに所属する2選手が、同じマラソン大会で同時に快走した点は大いに注目すべきと感じます。個人的にはマラソンを目指す上で、駅伝が必要か否かの考えを簡単に語ることはできませんが、これまでと違った取り組みで結果を残した点は、一石を投じたと思います。

さて、そんな今回の名古屋ウィメンズマラソンにも私がコーチしている女性市民ランナーが多く出場しました。今回出場した方々は、今年に入って既にマラソンを数本走っている方が多く、コーチとしてはそれぞれの調子を正確に把握するのに苦労しました。

しかし、出場したどの方々も練習どおりの粘り強い走りを発揮し、特に3時間30分前後を目標にした方々の頑張りは目を見張るものがありました。マラソンは当日のコンディションに最も左右され易い競技ですが、やはり経験がものを言う競技であるに違いありません。

どのランナーも今回の経験を次のレースに活かしてほしいと願っております。

マラソンシーズン・5

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【マラソンシーズン・5】3月5日(日)、伝統の第39回千葉県民マラソン大会が千葉県富津市において開催されました。同大会が千葉県富津市に会場を移して10回目の節目になるのと同時に、日本盲人マラソン協会の選手たちがゲストランナーとして参加させて頂けるようになって10回目。

つまり、千葉県富津市に会場を移してから毎年参加しております。あらためて、ご理解ご支援頂いた大会関係者、富津市の皆様方に厚く御礼申し上げます。

また、開催日となっている3月の第1日曜日は季節の変わり目と言うこともあり、富津市に会場を移してからは雨や強風等の悪天候下での開催が多かったと記憶しております。果たして今年の大会は雲ひとつない晴天となり、絶好のマラソン日和となりました。

今大会には、日本盲人マラソン協会・強化指定選手の中から15選手がエントリーし、13選手が出走しました。内訳は、ハーフマラソンに4選手、10kの部に9選手です。今回は4月に開催されるマラソン等の各種大会に向け、現時点での調子を確認する最重要ポイントと位置付けてスタートしました。

結果は、全選手がほぼ予定どおりのタイムでゴールしてくれました。特に、10kの部に出場した9選手中6選手が自己新記録をマークし、どの選手もトレーニングの流れが順調であることを確認することができました。

そんな中、20代の若手選手として大いに期待している全盲の男女2選手(T11クラス)が、共に10kで自己新記録をマークしてくれたことは、チームに大きな刺激を与える結果となりました。

そして翌日は、そのまま富津公園において全員で25k走を実施。走力別に3つのグループに分け、20kまではゆとりあるペースで刻み、残り5kを気持ちよくペースアップする内容です。どの選手もレースでの疲労は少なく、安定した走りを見せてくれました。

強化責任者である私自身が言うことではありませんが、「本当に強くなってきた」と、実感できる姿に変貌してきました。また、マラソンに向けて闇雲に走り込むことには賛成しませんが、あらためて「距離は力である」と、実感と手応えを感じた今年の千葉県民マラソン大会でした。

マラソンシーズン・4

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【マラソンシーズン・4】ランニングブームの火付け役となった「東京マラソン」が、2月26日に開催されました。今回からコースは、記録を意識した高速コースへとリニューアルされました。

果たして、大会当日は絶好のコンディションにも恵まれ、期待どおりにスタートから歴史的なハイペースとなりました。記録的には男女とも国内最高タイムがマークされるなど、高速コースに相応しい結果となりました。

そして、今大会も富津公園において共に切磋琢磨している市民ランナーの仲間たちが多数出走しました。もちろん、私が直接コーチしている方々も新コースを駆け抜けましたが、今回は自己新記録ラッシュとはいきませんでした。

至極当然のことながらコースがリニューアルしても、それまでのトレーニングと最後の調整で結果を左右するのがマラソンなので、個人的にはコーチとして課題の残った大会となりました。特に、鬼門となる年末年始の走り込みをうまく乗り越えた後、期待をしていた数名が1月に入って調子を崩した点は今後の課題となりました。

さて、今週末も全国各地でマラソン大会が開催され、更に今月一杯はその流れが続きます。また、3月に入ると、今年に入って2本目以上のマラソン出場になる方も多く、その疲労が蓄積してくる時期でもあります。

特に、3月は寒暖の差も大きく、晴れば気温が20度近くにまで上昇し、天候が悪化すれば雪が降ったりと、体調を整えていくのが難しい月でもあります。と、言いながら特別な調整は難しく、日々の体調管理と地道な走り込みが頼りになるのは同じです。

更に、何度も記載しておりますが、調整の基本は「迷ったら休養」です。特に、3月のマラソンが2本目以上になる方は、休養第一で調整してほしいと思います。

強化合宿

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【強化合宿】先日の2月18日(土)から2泊3日の日程で、日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を我々の練習拠点としている千葉県富津市富津公園で実施しました。

ご存知のとおり、富津公園は箱根駅伝3連覇を達成した青山学院大学をはじめ、多くの大学や実業団チームが練習拠点として走り込んでいます。今回の合宿間においても実業団チームのHONDAを筆頭に東京農業大学、東海大学、神奈川大学、中央学院大学の軽やかな走りを見ることができました。

さて、今回の合宿は、選手18名、伴走者21名、それにスタッフを加えた合計43名での合宿となりました。特に昨年のリオパラリンピック後、次世代候補選手も加えたので、合宿参加人数は40名をこえるのが常態化してきました。

また、練習においては良い意味で走力別にグループが形成されるようになり、選手間での競争も激しくなってきました。同時に伴走者への負担も相当なもので、1日の走行距離が50k以上になる日も常態化してきました。

リオパラリンピック代表で全盲の和田選手は、合宿初日に「2k(6分20秒)× 4本+1k(3分以内)」のインターバルを実施し、翌日は「30k走(3分45秒/k)」を実施するなど、走り込みの質もかなり高くなっております。

今回、和田選手の伴走者は順天堂大学の学生選手2名にサポート頂き、上記したハードなトレーニングを実施することができましたが、学生選手たちのダメージも相当なものになりました。

一方、リオパラリンピック代表の堀越選手は伴走者無の単独走ですが、脚の故障もようやく完治しました。合宿2日目に「40k走(3分45秒/k)」を実施し、翌日は強風の中でしたが「3k(9分30秒以内)× 3本」を消化するまでに復調してきました。

同様に、先日の別大マラソンで快走した選手たちも順調に回復してきており、次のチーム目標は4月に開催される「ワールドカップマラソン(ロンドン)」になります。そして、そこに向け、今回の合宿から5週連続の強化合宿となります。選手・伴走者にとってはかなりハードな日程になりますが、「しっかりと鍛えて、しっかりと成果」を残せるように取り組んでいきます。

マラソンシーズン・3

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【マラソンシーズン・3】前回に引き続き、別府大分毎日マラソン大会の話題です。

毎年のことですが、同大会には私がコーチする市民ランナー方も多数参加します。特に、女子の部が新設されてからは伝統の大会を目指す方も多くなりました。

そんな中、女子の部で堂々の優勝を果たした山口選手もその1人です。山口選手はこの大会での相性も良く、2014年大会においては自己新記録で優勝、昨年も2位と好成績を残しています。今大会も「2時間40分31秒の自己新記録」で、2度目の優勝と、本当によく頑張りました。

しかし、山口選手自身は、2時間40分突破を目標にしていたので、ゴール後は逆に悔し涙を流していました。ところが、男子選手の中でレースを進めていたので前後の状況が分からず、3年振りの優勝をあらためて確認すると、ようやく笑顔を取り戻していました。

さて、2年前の2015年、山口選手は同大会での連覇と2時間40分突破を目標に、トレーニングも順調に重ねていました。ところが、大会2週間前の練習中に後方から走ってきた車にひき逃げされ、首の骨を折る大怪我を負い、連覇どころか走れる身体に戻れるか否かのどん底に突き落とされました。

幸い折れた個所が運よく、後遺症もなく無事に退院し、マラソンにも復帰することができました。しかし退院後、何度マラソンを走っても本来の調子に戻らず、更に辛い期間を過ごすことになりました。

無責任な言い方ですが、こんな時ほどコーチは無力で、見守るしかできません。

もちろん、山口選手は誰のせいにする訳でもなく、誰に当たることもなく、だた黙々と走り込んでいきました。今回の優勝は、そんな山口選手の人としての成長が、最大の勝因だった点は誰もが認めるところです。

男子で優勝した中本選手の素晴らしい走りもそうでしたが、今年の別府大分毎日マラソン大会は、マラソンは「地道に腐らず、コツコツ走り込むこと」の大切さを、全国のランナーに示した素晴らしい大会でした。

マラソンシーズン・2

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【マラソンシーズン・2】2月の第1日曜日は、伝統の「別府大分毎日マラソン大会」の開催日です。今年も期待の若手選手から復活をかけるベテラン選手まで多くのランナーが別大国道をかけ抜けました。

また、昨年から伝統あるこの大会に「視覚障がいマラソンの部」を新設頂き、今大会からは男子の日本選手権を兼ねることになりました。まずは、ご尽力頂いた大会関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。

振り返ると、昨年の同大会においては、2016リオパラリンピックの日本代表選考レースと位置づけ、男女優勝選手が、それぞれ銅メダルと銀メダルを獲得することができました。まさに伝統の力が視覚障がい選手たちの後押しをして頂いたと、重ねて感謝申し上げます。

さて、今年の大会は2020東京を目指す次世代選手たちを軸に、伝統あるこの大会に挑みました。結果は、昨年の大会で3位に入った熊谷選手(T12クラス)が念願の初優勝。更に3位の山下選手(T12クラス)、4位に入った米岡選手(T11クラス)が自己記録を更新。

また、女子選手は2名の参加でしたが、1位の安部選手(T11クラス)、2位の青木選手(T12クラス)共に自己記録を更新。特に、1位の安部選手に至っては、自身が持つ日本記録を更新する激走でした。

昨年のリオ帰国後、直ちに2020東京を目指した強化をスタートしましたが、リオで獲得したメダルが共に切磋琢磨してきた仲間たちの意識改革にもつながりました。そして更に、その成果として今大会の記録にもあらわれました。

次の目標は、4月のワールドカップマラソン(ロンドン)においてメダル獲得と記録更新になりますが、引き続き全員で切磋琢磨しながら「チーム力」を高めて挑みます。

皆様方の絶大なるご声援をお願い申し上げます。

マラソンシーズン

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【マラソンシーズン】いよいよ2016年度(2017年3月末まで)後半のマラソンシーズンが本格的にスタートしました。その皮切りとして先日の1月29日(日)は、多くのマラソン大会が全国各地で開催されました。

特に、同日開催された大阪国際女子マラソン大会は2020東京五輪に向け、新しいヒロイン誕生を期待して大いに注目。結果は、重友選手が後半追い上げて見事な復活優勝を果たしました。

さて、私が主宰する富津合同マラソン練習会で切磋琢磨している女性市民ランナーの方々からもこの大阪国際女子マラソン大会を目標に多数の方が走り込んできました。ところが、今回は不調から復帰途上の方も多く、自己記録更新を目指したトレーニングを順調に積んでこれた方は2名のみでした。

2人とも40歳代の女性市民ランナーで、1人は初のサブスリー達成を目標に頑張ってきた方です。2人とも昨年夏以降の同練習会において、30k以上の距離走も順調に消化し、昨年11月に開催された「つくばマラソン大会」においては2人とも自己記録更新を達成しております。

またその後も、怪我や故障もなく順調に走り込み、今月に入ってからの最終調整期においても、量から質に変換するポイント練習も無事に走り切ることができていました。こうなると、記録更新はほぼ間違いありません。

ところが、大会が近づいてくるに従い「私は本当に大丈夫なのか?」と、精神的な不安は加速度的に増していきます(私は不安症候群と呼んでいる)。これは一流の実業団選手をはじめ、どのランナーにもあることです。

そして、意外と多くのランナーがこの不安な気持ちに負けてしまい、調整期に入っているにも関わらず、不必要な走り込みやスピード練習、経験のない補強運動や各種治療、あるいはサプリメント等を取り入れて最後は自滅しています。更に、このような負のスパイラルに陥る方は毎回繰返す傾向が強くなっていくのも特徴です。

その対応策としては、これらの不安を払拭できる本人の「度胸とハッタリ(自信と開き直り)」をどれだけ持てるか否かになります。もちろん、自分自身の力で解決できる方は問題ありませんが、他人の力(コーチ等)を必要としている方もいることでしょう。

果たして大阪国際女子マラソン大会に出場した2人の女性市民ランナーの方は、これらの不安を見事に断ち切り、目標の記録達成を手にすることができました。自身3度目のサブスリー達成となったEさんは「2時間56分20秒」の自己新記録達成。初のサブスリーを狙ったTさんは「2時間58分28秒」の見事な初サブスリー達成。

この後も3月一杯までは、全国各地で大きなマラソン大会が多数開催されます。もちろん、富津合同マラソン練習会で切磋琢磨している市民ランナーの方々もそれぞれの大会で自己記録に挑戦します。

今年もたくさんの感動に出会えたらと思います。

マラソンに向けて・11

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【マラソンに向けて・11】今回は、失速の原因がエネルギーに起因するケースについてです。前回同様、今度はエネルギーのA1ゾーン、B1ゾーン、C1ゾーンで考えていきます。

マラソンのスピードはB1ゾーンに相当しますが、C1ゾーンとの境目のスピードで走っていた場合、後半は苦しくなってきたのでB1ゾーンのペースに落としたとしても、間もなく更に失速してしまうケースがあります。

この場合、B1ゾーンのペースに落としたと言え、依然としてB1ゾーンのペースで走っている以上、グリコーゲンを確実に消費していきます。同時に、前半でC1ゾーンに近いスピードでグリコーゲンを多量に消費してしまったので、やがてグリコーゲンが枯渇して再びペースダウンに陥ります。こうなると、もはや回復の見込みは難しくなります。

次に、持ち味のスピードを武器にトラックや駅伝で大活躍し、マラソンに挑戦してきたばかりの男子選手に多い例です。スタート直後からのハイペースにも関わらず、見た目も本人の感覚も非常に軽く、中盤までは余裕で走っていたのに25kあたりから突然の失速に見舞われるケースです。

この選手の場合、スピード豊かで耐乳酸性が高いのが特徴です。また、酸素負債で説明すると、BゾーンとCゾーンの境目が高いので、速いスピードに対応できる能力も高い。したがって、前半はハイペースの割には、乳酸の蓄積が意外と進んでいなかったと考えられます。

ところが、エネルギー的にはC1ゾーンに近いB1ゾーンで走り続けていたことになり、グリコーゲンの消費は確実に進み、グリコーゲンが枯渇した時点で終わってしまったと思われます。

もちろん、この判断は難しく原因をつかむのはとても難しいのは事実です。しかし、原因がグリコーゲン不足やグリコーゲンの消費効率の悪さだとしたなら、単にスピード練習を増やしただけでは次回以降のマラソンを攻略していくことは難しいと考えます。

また、このタイプの選手がマラソンをしっかりと走れるまでには、相応の苦労と時間を伴い、前半軽く後半失速するパターンを繰り返します。少なくとも私の経験上そう思います。

マラソンにおいてもスピードのある選手が有利である点に違いありませんが、ハーフマラソンや30kとは違い、マラソンはスピードに頼って走り切れる距離ではないとも言えます。

マラソンに向けて・10

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【マラソンに向けて・10】今回からマラソンにおける最も重要課題のひとつである「失速」について考えていきます。

単に失速と言っても「酸素摂取量<酸素消費量」に陥り、酸素負債による失速があります。この場合、ペースを落とし「酸素摂取量≒酸素消費量」に戻せば乳酸も除去できて再び元気に走れるはずです。

ところが、同じ失速でも原因がエネルギーである場合、復活が相当難しくなります。特に、グリコーゲン枯渇による失速の場合、単にペースを落としたとしても復活することは、ほぼ不可能と言えます。

もちろん、どちらも失速ですが、2つの失速に違いがあるのと同時に、その原因を判断することはとても難しいのも事実です。まずは、具体的な失速例を参考にしながら更に掘り下げていきます。最初は酸素負債による失敗例です。

その具体例として、後半苦しくなってペースダウンしたが、落ち込みを最小限に防いでゴールできたケースです。この場合、いわゆるBゾーンとCゾーンの境目だったペースがCゾーンのペースに上がったため、酸素負債が限界近くに達したのです。

従って、ペースをBゾーンに落とすことにより、乳酸をうまく除去しながらゴールできたと考えられます。ところがこの時、ペースの落とし方が足りず、BゾーンとCゾーンの境目ギリギリで走っていると、再び酸素負債が発生します。

しかし、今度は限界点を超えて筋肉が耐えられなくなり、大失速になる可能性が高まります。もちろん、こうなると筋肉のダメージが大きくなり、修復不可能に陥ります。では、Bゾーンまで落とせば絶対に復活できるかと言えば、必ずしもそうではありません。

この場合、失速の原因が単に乳酸の蓄積だけではないからです。この点がとても難儀なところですが、次回は同じ失速でもエネルギーの視点から考えていきます。

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