安田享平のランニングライフ
2026秋を走る・6
- 2026-10-08 (木)
- 2.マラソントレーニング(合宿)

【2026秋を走る・6】10月3日土曜日から長野県上田市菅平高原においてクラブチームの合宿を実施しました。すでに菅平高原は、朝晩の気温が10度前後まで下がる季節に入っていましたが、逆に走り込みを実施するにはちょうど良い気温でした。
夏の合宿時は、ラグビーやサッカー選手など、多くのスポーツ選手や関係者が訪れていましたが、今回の合宿では、スポーツ選手の姿をほとんど見かけることはありませんでした。したがって、陸上競技場やロードコース、さらにクロスカントリーコースなど、どこも貸し切りのような状態で、のびのびと走ることができました。
さて、今回の合宿は2泊3日の日程でしたが、練習内容も前回とほぼ同じです。初日はトラックで「インターバル」。2日目はロードで「距離走(40k走)」。最終日はクロカン走。
このように、常に同じような練習計画にしている理由は、そもそも2泊3日の短期合宿に大きな変化をつけることは難しい点があります。そして何よりも、前回の合宿や昨年の合宿との比較検証をし易くする狙いもあります。
特に、市民ランナーの方々は、仕事などの理由で、実業団選手や学生選手のように合宿を、年間に何度も実施する時間を捻出することが難しい(お金ではなく時間がない)。つまり、1~2泊程度の合宿を年に数回実施できるか否かの環境下で走っています。
一方、合宿もこれだけ少なくなると、本当に効果があるか否かを判断することも難しくなります。また、「だったらやる意味がない」と考える方もいることでしょう。しかし、少ない頻度だからこそ、逆に充実させることも可能になるともいえます。
ポイントのひとつとして、年間計画の中でも少ない合宿の日程をある程度固定します。その大きな理由は、前述したように前回や前年の合宿実績を比較検証することができるからです(これは実業団選手や学生選手にもいえる)。
具体例として、11月下旬から12月のマラソンを目標にしているランナーなら、10月上旬の合宿で「40k走をどんな設定タイムで、どの程度の余裕を持って走れたか」は、とても重要になります。このタイムを今年の夏合宿や昨年の同時期と比較検証することで、今の状態や調子をある程度正確に把握することが可能になります。
また、週末などに実施している各練習会における「40kをどのような設定タイムでどの程度の余裕を持って走れたか」も同様になります。要は、前回や前年と比較検証しながら走り込みを継続していくことは、マラソンを攻略していく上でとても大切なポイントになるのです。
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2026秋を走る・5

【2026秋を走る・5】今年も10月になりました。いよいよ本格的なマラソン・駅伝シーズン(ロードレース)の到来です。まずは、大学駅伝の開幕となる出雲駅伝が12日に開催されます。その後も全国で各種ロードレース大会が開催されていきます。
そして、17日には箱根駅伝予選会が開催されます。近年は、正月の箱根駅伝でシード権を獲得するよりも、この予選会を通過する方が難しいともいわれています。つまり、この箱根駅伝出場を目標に、本気で強化している大学が増えている裏返しともいえるでしょうか。
先日の富津公園でも箱根駅伝予選会突破を目指す有力大学が4校ほど走っていました。これも毎年のことで、この時期は仕上げの段階に入っており、どの大学もかなり質の高い集団走を実施しています。
そして、これも毎年のことですが、各大学の走りを拝見していると、何となく箱根駅伝予選会を突破できそうな大学も予想できます。また、毎年同じような集団走の練習を実施していますが、走っている選手たちをサポートする関係者が年々充実してきているのも、はっきりとわかります。
特に、先日の富津公園で拝見した大学は、どの大学も例年以上に仕上がっている印象を強く受けました。つまり、これだけ質の高い走りをチーム全体としてそろえているのは、逆に夏の走り込みが充実していた証拠ともいえるのでしょう。また、うがった見方をするなら、充実した夏合宿に必須の資金集めもうまくいっているのでしょうか……。
あらためて、スポーツはあるレベル以上になると、その選手やチームを取り巻く環境をより良い方向へ整えていくことが重要ポイントになります。そして何よりも、それに必要な資金(強化費)をどのように集めていくかが大きな課題になっていきます。
もちろん、私は偉そうに話せる立場ではありませんが、最近は物価高の影響でスポーツに必要な道具や練習会場使用料なども値上がっております。そんな中、駅伝やマラソンは走るだけなのでお金が掛からないと思っている方も多いのかもしれません。
しかし、単純に走るだけですが、夏は涼しい場所に移動し、冬は暖かい場所に移動して走り込むので、それらの強化合宿に伴う宿泊費や交通費が相当掛かります。また、主な道具はシューズになりますが、最近のシューズは一足あたり数万円します。また、箱根駅伝などを目指すエリート選手は月間1000k前後を走るので、一足数万円のシューズもひと月もつか否か……。
さらに、シューズ以外の道具は使わないスポーツなので、日々の練習は単純に走るだけになります。つまり、身体をもろに酷使していくことになります。したがって、身体に不可欠なメンテ(治療など)や食事(寮費など)に掛かる費用も相当な金額になります。特に、箱根駅伝を目指す学生選手は、どの大学も原則としてバイトは禁止です。というか、バイトをしながら走れるほど甘い練習量ではないのです(バイト・仕事をしながら勝負できる甘いレベルでもない)。
では、その分のお金を誰が負担しているのでしょうか……。また、選手やチームを強化していくには、年々よりたくさんのお金が必要な時代になっていると感じますが、果たしてそれは正しい方向なのでしょうか……。あらためて、学生選手やその大学の強化活動を見る目も厳しくなっていくのでしょう……
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2026秋を走る・4
- 2026-09-25 (金)
- 4.マラソントレーニング(理論) | 5.ブラインドマラソン(合宿)

【2026秋を走る・4】先日のシルバーウィークを活用し、千葉県富津市においてブラインドマラソン強化合宿を実施しました。ところが、千葉県はこのタイミングで台風25号による記録的な豪雨に見舞われ、富津公園内の道路も一部冠水するなど、強化合宿にも影響がありました。
今回の豪雨で千葉県内は甚大な被害を受けた場所も多々ありましたが、我々の強化合宿については富津公園でのロード練習を、陸上競技場のトラックに変更するなどして何とか乗り切ることができました。
あらためて、日々のマラソントレーニングは天候に左右されます。もちろん、生命の危険にかかわるような悪天候なら走ることはできません。しかし、原則としてマラソン大会には中止がありません。つまり、暑かろうが、寒かろうが、道路封鎖(公共交通機関のマヒ)などがない限り大会は実施されます。
したがって、その日の天候が大雨でも、その日のトレーニングがいわゆるポイント練習の場合は、日程を後日へスライドすることはしません。つまり、悪天候の中でも計画どおりにポイント練習を実施します。
このように、どんな天候下においても計画どおりにトレーニングを実施し、それを継続していくことで、逆にどんなコンディション下でも安定したパフォーマンスを発揮できるようにもなっていきます。
そのような話をすると、矛盾しているようにも感じますが、そもそも屋外競技のマラソンは当日の天候に勝敗や記録は大きく左右される競技特性があります。したがって、当日の天候に合わせた準備や心構えをどんな状況下でもできるか否かは、それらに大きな影響を与えます。
もちろん、悪天候下での練習で逆に体調を崩す恐れのある場合は、そのポイント練習の日程をスライドさせることもあります。その場合の懸念する点は、次のポイント練習と連続になったり、重なってしまうことです。
具体的には、スピード練習を翌日にスライドさせた結果、明後日に予定していた次のポイント練習と連続になってしまうことです。この場合の判断は確かに難しいですが、真面目な選手ほど、決めた練習を是が非でも実施しようとする傾向が強いのは確かです(場合によっては3日以上連続でポイント練習を実施しようとするランナーもいる)。
マラソンに向けた本格的な走り込みを開始する時期だからこそ、逆にポイント練習の詰め込み過ぎによるケガや故障を防止することは大切です。したがって、特に天候などを理由にポイント練習をスライドする際は、コーチなど信頼できる方に相談するようにしましょう。
※写真:弓削田眞理子氏(左)とM高史氏(右)のお二人は日本ブラインドマラソン協会の強化委員でもあります。
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2026秋を走る・3
- 2026-09-17 (木)
- 7.ブラインドマラソン(研修会)

【2026秋を走る・3】都内で開催された「伴走指導者養成研修会」に参加してきました。この研修会は、日本ブラインドマラソン協会が主催しています。もちろん、この研修会は公的な資格に該当するものではなく、普及活動の一環として同協会が実施しているものです(原則として各競技団体が開催している研修会などについては公的な資格に該当しない)。
同協会は、伴走者養成研修会など、年間を通じて多くの普及活動(研修会や練習会など)も実施しております。そして、今回の研修会は、いつもの伴走者養成研修会から一歩踏み込んだ、伴走者を指導する立場の方に対する研修会でした。
その研修内容(講義)はいつもの「視覚障がいや伴走についての理解」「視覚障がい・ブラインドマラソンについて」「伴走理論」などに加え、「パラリンピック強化について」や、「国際ルール」や「国際クラス分け」など、多岐に渡る内容でした。
パラリンピックを目指すための強化活動の仕組みやその歴史などについては、逆に正しく理解している人はほとんどいないといっても良いでしょう。また、そもそもとてもニッチな世界でもあるので、どうすればパラリンピックに出場できるのかを正しく説明できる関係者(一般の伴走サポートをしている方)は、ほぼ皆無といっても良いでしょう。
あらためて、ブラインドマラソンは視覚障がい者が伴走者と並走して走る独特な競技です。過去に、伴走者と共にコツコツと走り込みを継続した結果、国内の国際マラソン大会に出場できるようになった視覚障がいランナーがいました。また、走力の高い視覚障がいランナーが突然現れることもありました(一般ランナーが病気や事故などを理由に)。
しかし、視覚障がいランナーが国内の国際マラソン大会などで、パラリンピック出場を目指せるような好記録をマークしたとしても、その記録をそのままパラリンピックの世界に持ち込めるとは限りません。
つまり、その記録が日本陸連公認記録だったとしても、パラリンピックに出場するためのIPC(WPA)公認記録につながるとは限らないからです。要はルールや制度が違うため、それらの諸条件をクリアしていなければ、パラリンピックの世界では公認されないのです。
さて、マラソンは日々の走り込みを継続していないと、狙った記録を達成することは難しいのは誰もが認めることです。一方、当日のコンディションやレース展開などの好条件が偶発的にそろった結果、思いがけない好記録を達成することがあるのもマラソンです(無欲の初マラソンなど)。
そんな視点からも、ブラインドマラソンに関係するクラブチームを統括している責任者(監督やコーチなども)の皆様については、前述したような国際ルールやクラス分けなどについても正しい知識を学び、視覚障がいランナーの可能性をさらに広めてほしいと願っております。
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2026秋を走る・2
- 2026-09-10 (木)
- 1.マラソントレーニング(練習会)

【2026秋を走る・2】今年は9月に入ってから雨が多く、今のところ厳しい残暑は遠ざかっております。したがって、マラソントレーニングの視点に立つと、とても走りやすいコンディションとなっているでしょうか。
先日の富津合同マラソン練習会も雨天の中での開催となりましたが、30名前後のランナーたちが30k走に挑みました。特に、9月の雨は、30k以上の長い距離を走り込むには絶好のコンディションとなります。
すでにこのブログでも記載してきましたが、11月以降のマラソンを目標にしているランナーにとって、9月からの走り込みはとても重要です。そんな視点からも9月の雨は長い距離の練習(距離走など)を実施するには最適です。
あらためて、マラソン練習は目標のマラソン大会から概ね3ヶ月前から取り組むのが良いといわれていますが、それはなぜなのでしょうか?
まずは、誰でも最初から42kを走り切れる身体にはなっていません。特に日々の生活において、42kを走るような出来事に遭遇することはほぼ皆無であり、身体も心もそのようになっていないのが一般的です(何十キロや何時間も走り続けるようなトラブルや事件に巻き込まれることはほぼ無い)。
したがって逆に、身体が長距離走(42k)に適応するための準備期間(走り込み)が必要であり、身体の心肺機能や筋肉がマラソンを走れるように再構築されるサイクルは数ヶ月から半年単位の時間を要するといわれているからです。また、運動生理学の一般論としても、有酸素運動能力(VO2max)はトレーニング開始から8〜12週間程度で顕著な改善が見られるといわれていることも、その理由のひとつです。
もちろん、個々に身体の特性が違うので、絶対にそうとは言い切れません。しかし、過去の名ランナーたちが残してきたトレーニング実績を紐解いてみると、やはり概ね3ヶ月前からとなっているケースが多いのも確かです。
そんな視点からマラソントレーニング(走り込み)を考えると、11月後半から12月のマラソンを目標にしているランナーにとっては、この9月から本格的な走り込みを開始するタイミングはベストといえるでしょう。
このように、目標のマラソン大会3ヶ月前からマラソントレーニングを開始することは、身体をマラソン仕様に再構築し、レース当日にフレッシュな状態(調整期間)でスタートラインに立つためにも推奨されているといえます。
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2026秋を走る・1
- 2026-09-03 (木)
- 6.ブラインドマラソン(大会)

【2026秋を走る・1】北海道マラソンが開催されました。今年も「視覚障がい者の部」を設置頂き、ブラインドマラソン強化指定選手たちも無事に走り切ることができました。まずは、大会関係者の皆様に御礼申し上げます。
今年の同大会は気温が25度に届くことなく、夏マラソンとは思えないほどの涼しいコンディションとなりました。そのため、一般の男女マラソンともハイレベルなレースが展開され、上位3名ずつがMGCの切符を手にしていました。もちろん、素晴らしいタイムでした。
一方、ブラインドマラソン強化指定選手たちも同様に、個々の目標タイムをクリアした選手が多かったです。中でも、男子の部では熊谷選手が、「2時間27分57秒(グロス)」の大会新で2連覇。また、若手の大石選手が自己記録にあと20数秒に迫る「2時間36分23秒(グロス)」のセカンド記録で3位と、夏合宿の成果を見せてくれました。
そして、そのレース内容(5k毎のラップ)も理想的でした。特に、夏マラソンの攻略方法のひとつとして、「ネガティブスプリットに徹する」があります。具体的には、残り5kからもう一度ペースアップできるか否かが、夏マラソンの攻略ポイントになります。
もちろん、冬マラソンなら中間点をハイペースで通過し、後半はペースダウンしながらも粘り倒すことは可能です。ところが、夏マラソンの場合、一度ペースダウンすると、それを最小限に食い止めながらゴールまで粘ることは相当難しい。少なくとも私が見聞してきた夏マラソンの経験(パラリンピックなど)に当てはめてみてもそうだといえます。
今回、男子優勝の熊谷選手と女子優勝の藤井選手は、35k以降からビルドアップしており、理想的な夏マラソンのレース展開を体現できていました。また、その視点で振り返ると、一般女子優勝の新谷選手も35k以降から最速ラップを叩き出すなど、理想的な走りをしていました。一般男子は集団のまま終盤でけん制し合う場面もありましたが、40kからのスパート合戦は見応えがありました。
あらためて、今回の北海道マラソンはコンディションが良かったといいながらも、ブラインドマラソン強化指定選手たちは夏合宿の成果を見せてくれました。9月からは12月のマラソンを目標に、逆に前半からある程度攻めていけるようなスタミナとスピードを再構築していきます。
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2026夏を走る・13
- 2026-08-25 (火)
- ■マラソンの雑感

【2026夏を走る・13】クラブチームの仲間たちと長野県菅平高原で夏合宿を実施してきました。これは毎年恒例となっている菅平合宿(2泊3日)ですが、今年も充実した走り込みと、仲間たちとの親睦を深めることができました。
また、同じ旅館には箱根駅伝出場を目指しているH大学も合宿をしていました。実は、昨年も一緒でした。もちろん、彼らはひと月以上の長期間に渡ってこの夏合宿を実施しているので、我々のようなクラブチームの短期合宿とは内容も目的も異なります。
毎日、旅館の玄関に置いてあるホワイトボードに大学のマネージャーが、その日の練習メニューを書き込みます。そして、何気なく拝見すると、かなりレベルの高いトレーニング内容に驚かされました(失礼な言い方で申し訳ありません)。
あらためて、今の時代は情報化社会なので、いわゆるSNSなどを通じて箱根駅伝常連大学の練習メニューなどを簡単に知ることができます。したがって、箱根駅伝に出場できないチームの練習メニューを拝見しても、その内容などに大きな違いはありません。しかも夏合宿は、長期間に渡って実施しており、走り込みの量に関しても遜色ないと思われます。
では、箱根駅伝常連大学(強いチームや選手)との違いは何なのでしょうか?
いわゆる練習メニューやレースを走ることなどは、ある程度マニュアル化できる「形式知」になります。これはSNSなどを通じてだれでも情報として得ることができ、真似することができます。ところが、その得た情報を成果にするためには、どこがポイントになるかを常に考えながら継続することも必要です。つまり、積み重ねてきた経験や勘による「暗黙知」が不可欠になります。
私の主観になりますが、強いチームや個人はいつの時代も、日々の練習やその成果をレースで発揮するために、その土台となる私生活に乱れがありません。つまり、「規則正しい生活を送り、人間性を高めること(感謝の気持ちなどを忘れない)」に徹しています(習慣化)。
このような徹底した日々のルーティーンを通じて、体や心の小さな変化も選手自身で感じ取れる能力が高まっています。箱根駅伝常連大学は、まさに新聞紙を一枚ずつ重ねていくような日々の努力を継続していくことで、「暗黙知」が備わっているのでしょう。
もちろん、今回一緒だったH大学の大学生活を拝見することはできません。しかし、夏合宿そのものに大きな違いを感じなかったことで、逆に私自身がいろいろと振り返るきっかけになりました。つまり、これらはブラインドマラソン強化指定選手たちにも当てはまり、地元での日々の生活や練習にこそ課題が残っていることを……。
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2026夏を走る・12
- 2026-08-21 (金)
- 4.マラソントレーニング(理論)

【2026夏を走る・12】千葉県印西市にある順天堂大学さくらキャンパスにおいて、ブラインドマラソン強化指定選手たちの乳酸カーブテストを実施してきました。今回の測定も前回同様、同大学大学院スポーツ健康科学研究科教授、町田先生のご支援ご指導のもと、無事に実施することができました。あらためて、御礼申し上げます。
さて、乳酸カーブテストは、マラソンや自転車ロードレース、トライアスロンなどの持久力が重要な競技において、自身の持久力レベルを数値化(可視化)することが主な目的になります。特に、乳酸閾値(LT値)を把握することで、レースやトレーニングにおける設定ペースや心拍数の目安を数値化(可視化)することができるようになります。
この測定は段階的に負荷を上げながら行われ、各ステージで血中乳酸濃度と心拍数を測定します。ランニングではトレッドミル、バイクではペダリングを用い、各ステージは3分間の運動と1分間の休息で構成されます。休息中に耳たぶや指先から微量の血液を採取し乳酸濃度を測定します。ステージごとに負荷を増加させ、乳酸濃度の変化をプロットすることで「乳酸カーブ」が得られます (抜粋資料から)。
血中乳酸値とは、血液中に含まれる乳酸の濃度(mmol/L)を指します。乳酸はかつて「疲労物質」として悪者扱いされていましたが、現在のスポーツ科学ではエネルギー源として重要な役割を果たすことが明らかになっています(抜粋資料から)。
運動強度が低い場合、体は主に有酸素系のエネルギーシステムを利用し、乳酸は産生されてもすぐに除去されるため血中乳酸値は低く保たれます。しかし、運動強度が上がると乳酸の産生量が除去能力を上回り、血中乳酸値が急激に上昇し始めます。この変曲点が「乳酸閾値(LT)」と呼ばれるポイントです(抜粋資料から)。
そして、この乳酸閾値(LT値)を定期的に測定していくことで、そのデータをもとに選手個々の状態を科学的に把握することでできます。さらに、トレーニング内容を科学的に修正していくことも可能になります。今回、測定した選手たちの状態は概ね良好でした(トレーニングも的確な内容でできている)。
一方、このようなデータやトレーニング内容などは、AIなどを活用すれば簡単に知ることが可能になってきました。その結果、専門的な知識がなくでも、誰でも簡単にトレーニング理論やトレーニング方法などを知ることも可能になりました。
ところが、AIなどを活用して現状を把握し、それを改善するための適切なトレーニング方法を知ることができたとしても、成果を出すためには実際に走ること(練習)が不可欠です。
つまり、どんなに科学的な測定方法やトレーニング方法を知ったところで、知識だけでは「速くなる(強くなる)」ことはできません。この点は、いつの時代も「知識(知る)」から「成果(できた)」の過程には「練習(生みの苦しみ)」があり、必ずアナログ的な行動を踏むことが不可欠なのは変わりません(情報過多に陥ってはいけない)。
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2026夏を走る・11
- 2026-08-13 (木)
- 5.ブラインドマラソン(合宿)

【2026夏を走る・11】北海道北見市での強化合宿(2回目)は無事に終了しました。今年も北見市教育委員会の皆様をはじめ、多くの方からのご支援を賜りました。あらためて、御礼申し上げます。
さて、今回の強化合宿は、コンディションにも恵まれました。具体的には、合宿後半になるほど、天候は曇り空が多くなり、トレーニング中の気温も20度前後と、走り込むには絶好のコンディションが続いたからです。
そんな中、計画どおり、7泊8日間の強化合宿でメインになる「40k走」を3本消化することができました。もちろん、ケガや故障もなく……。また、今回の強化合宿には、箱根駅伝常連大学でもある帝京大学駅伝競走部から来田(らいでん)選手に伴走サポートとして参加頂きました。
同大学からの伴走サポートは、年間を通じてコンスタントに派遣頂いており、本当にありがたい存在です(中野孝行監督に感謝です)。特に、今回は伴走サポートよりもトレーニングパートナー的な要素がメインとなりましたが、堅実な走りでブラインド選手たちをけん引してくれました。
ところが、合宿初日に来田選手曰く、「40k走はやったことがない」。普通なら「ちょっと自信がありません」などと言いそうな状況でしたが、40k走を指定された設定ペースで最後までキッチリと引っ張ってくれました。もちろん、3本とも!
あらためて、ブラインドマラソン強化合宿の目的でもあり、特徴的なのは「質より量」を重視した「走り込み」です。マラソントレーニングは様々なトレーニング理論や方法がありますが、特に夏の同合宿においては何よりも走り込みを重視します(マラソン攻略の基本は走ってなんぼ)。
これまで、多くの学生選手たちの伴走サポートを受けてきましたが、走る量の多さに途中でギブアップする学生選手たちもいました。今回、単身で伴走サポートとして同合宿に参加頂いた来田選手は、抜群のペース感覚を持っており、起伏のあるコースでも「1秒」の誤差もなく、たんたんと先頭を走っていました。
また、来田選手は暑さにも強く、フォームも安定していました(私世代にいた駅伝になると力を発揮した職人選手のような走り)。これは私の主観になりますが、このまま鍛えていければ、箱根駅伝の復路後半区間の候補選手に名を連ねる可能性も……。もちろん、ブラインド選手たちも10月のアジアパラや12月のマラソンに向け、来田選手のような安定感のある走りを発揮してほしいと……。
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2026夏を走る・10
- 2026-08-06 (木)
- 5.ブラインドマラソン(合宿)

【2026夏を走る・10】8月3日(月)から北海道北見市において、ブラインドマラソン強化合宿を実施しております。都内や千葉県は30度を超える厳しい暑さが続いておりますが、ここ北見市においても日中の気温は30度を超える暑さとなっております。
一方、ちょうどひと月前の同合宿に比べるすると、朝晩の気温がグッと下がってきた感じがあります。具体的には、早朝の気温は20度以下まで落ちるので、Tシャツ・短パン姿で表に出ると、逆に寒く感じます。
ところが、お昼を過ぎたあたりから気温は一気に上昇し、30度を大きく超える暑さになります(寒暖の差が大きい)。そんな中での強化合宿ですが、陸上競技場でのスピード練習時は、夏休みということもあって、中学生や高校生が大勢走っております。
トラック上では照り返しなどもあるので、外気温よりもさらに上昇します。特に、北見市に住んでいる地元の中高生たちは暑さによる影響で、動きが緩慢になっている様子が伺えます。私が強化選手たちのタイムを計測していると、ある高校生がトラックを疾走したあとそのままフィールドでへたり込み、「暑くて走れない」と弱音を吐いていました。
そのとき、顧問の先生が「視覚障がい選手たちは、気温40度の本土からわざわざここに来ているので、きちんと走れているぞ!」「暑さに負けるな!」と……。このとき、手元の寒暖計は気温28度前後でしたが、湿度が50%程度だったので、私の主観でも暑さはほとんど気にならないレベルでした。
特に、湿度が50%前後以下だと発汗した汗がうまく蒸発していくので、Tシャツもサラッとした感じが、最後まで続きます。つまり、都内や千葉県のように汗がまとわりつくような不快感をほとんど感じないのです。
案の定、強化選手たちは計画したスピードトレーニングをキッチリとこなし、翌日の40k走(起伏走)もしっかりと走り切っていました。そして、練習後は多くの選手たちが「今年は走りやすい(涼しい)」と、話していました(気温が30度を超えていても)。
さて、千葉県富津市富津公園などでは、暑さの中での強化合宿や練習会を継続しています。しかし、「こんな過酷なコンディション下での強化合宿は、本当に効果があるのか?」と、私自身が不安に感じることも多々ありました。
今回の北見合宿において、暑さを克服していくにはある程度過酷な環境下における暑熱順化が必須であると、あらためて感じた次第です。また、強化選手たちは「暑さに強くなっている」とも……。北見合宿も後半に入りますが、残りの40k走(2本)をきっちりと走ります。
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