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夏を走る Archive

夏を走る・6

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前回、暑い季節のトレーニング方法のひとつとして、「短時間で集中したトレーニング」の話をしました。そして、その代表的なトレーニング方法として、ショートインターバルについてふれました。

一般的にショートインターバルと言えば、400m前後あたりまでの距離を指します。しかし、1本あたりの距離が、200mをこえてくると、残り100m前後から体感的にかなり苦しくなってきます。そしてその結果、力みが入り、ランニングフォームが崩れてしまう人が傾向的に多くなってきます。・・・皆さんはいかがでしょうか?

更に、この時期は日頃実施している設定タイムで本数をこなしていくことが、暑さや湿度の影響もあり、かなり難しくなります・・・。と言いながら、その日の気温や体調等を考慮し、都度設定タイムを微調整するとしても、かなりの経験やノウハウが必要不可欠となってきます。そんな理由から、後半に失速する確率が低く、ランニングフォームにも比較的意識を向けられる、200m以下のショートインターバルを推奨しました。

では、その具体的なポイントは?

実は、かつてこのブログ(※)でも、ショートインターバルについてふれています。夏に実施するショートインターバルも基本的な考え方は同じです。◆ポイント1).ショートインターバルのトータル距離は3k前後とする。◆ポイント2).設定タイムは、10kのベストタイムから1割程度速くし、それを走る距離に換算する。※「トレーニング計画・5」からを参考にして下さい。

特に、夏のショートインターバルは、日頃あまり実施しない「100m」を取り入れると、気分転換にもなり効果的です。もしも、近くに利用可能なトラックがある場合は、直線の100mをペースアップし、コーナーの100mをリカバリー(回復のためのジョギングやウォーキング)として繰り返していく方法が、わかり易くて良いでしょう。

また、適当なトラックが無い場合は、交通量の少ないロードや河川敷、公園等を利用することで解消できます。その場合の具体的な方法として、適当な直線を20秒から30秒程度の時間ペースアップし、ペースアップした時間と同じ程度の時間をリカバリーとします。そして、そのコースを往復するようにすれば、場所も時間もコンパクトにすることが可能です。

更に、10名以上の仲間が集まる練習会や、ミニ合宿を実施するような機会がある場合は、リレー形式のインターバルである、「エンドレスリレー」をおすすめします。その方法等については、別の機会にあらためて紹介するとして、リレー形式で仲間と競い合うため、苦しいインターバルも楽しく集中して走ることが可能となります。同様に、砂浜やクロカンのような起伏のある場所の確保が可能なら、トレーニング効果も更にアップすることは間違いありません。

「夏だから走りこむ」と、これまで当然と考え、何気なく実施していたトレーニングも、発想や視点をかえてみることは大切です。特に、暑さが苦手な人は、発想の転換をすることで、秋からのマラソンにも好影響が現れるかもしれませんね(笑)。

是非ともお試しを・・・。

夏を走る・5

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今年もとうとう8月に突入です。気温も湿度も更に高くなり、1年で最もランニング適さない月(?)とも言えますが、皆さんにとってはいかがでしょうか?

ところが逆に、この8月にしっかりと走り込みをしておくことは、秋からのマラソンシーズンに向け、とても有効的です。具体的な走り込みのポイントについては、既にこのブログでも何度か取り上げてきましたので、参考にしていただければと思います。

と、言いながら一方で、どうしても暑さが苦手な人や、仕事や家庭の都合で走り込みを実施する時間を、うまく作れない人が多いのも確かです。では、そんな人は、どうすれば良いのでしょうか?・・・やはり、夏に走り込めない人は、秋のマラソンもダメなのでしょうか?

実は、暑い中でのトレーニングについては、別の見方もあります。それは、「短時間で集中したトレーニングを実施する」と、言う考え方です。最近は、何かと涼しい場所や時間帯を活用した走り込みを中心にした話ばかり、目にする気がします。もちろん、私もこのブログで、そんな方法をすすめてきました。

しかし、理由や原因は別にして、暑さが苦手な人が意外と多いのも事実であり、私が指導している選手の中にもいます。そして、そんな人は、涼しい場所や時間帯を活用したとしても、思ったような走り込みができないケースも意外と多いのです。

では、暑さ(夏)が苦手な人はどうすれば良いのでしょうか?

それは、先に述べたように、「短時間で集中したトレーニングを実施する」ことを軸に置いたトレーニング内容を考えていくことが、ポイントとなります。もう少し具体的な言い方をするなら、◆1).時間を短縮する分、質を高めたトレーニング。◆2).ランニングフォームや体幹部の補強を中心にした基礎的な部分を固めるトレーニング。・・・以上のように大きく二つに集約すると、具体的なトレーニング内容が見えてきます。

特に、トレーニング内容の質を高めることは、重要なカギとなります。そして、それを満たす代表的なトレーニングとして、インターバルトレーニングがあげられます。更に、ランニングフォームを矯正することも考慮すると、ショートインターバルがとても有効的なトレーニングとしてあげられます。(私の経験上)

具体的には、100mから200mまでのショートインターバルは、短時間で質を高めるトレーニングとしてはもちろん、ランニングフォームを矯正するトレーニングとしてもおすすめです。その理由として、同じショートインターバルでも300mから400mあたりの距離になると、後半は本当に苦しくなり、ある設定タイムを守りながら、ランニングフォームも意識して走ることは、かなり難しくなります。(苦しくて力む)

一方、200m以下の距離なら、ある程度速いスピードを保ちながらでも最後までリラックスして走ることが、比較的可能となります。つまりその分、自分自身の動きに対しても意識を保つことが可能となります。その結果、スピードを上げた状態でのフォーム矯正にもつながるのです。※もちろん、個人差がありますのでご了承願います。

次回は、そのショートインターバルの内容を、より具体的に考えていきます。

夏を走る・4

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関東地方の梅雨もあけました・・・。そして、いよいよ本格的な夏の到来です!

気温の高さ、湿度の高さ、更に不快感・・・、どれをとってもランニングには、最悪の季節となります。と言いながら、ランニングを日々の日課にしている人が、暑さを理由に7月から8月の2ヶ月間、全く走らないことは、逆に難しいことでもありますね(笑)。

そこで今回は、これまでも何度か考えてきた夏のランニングに対する注意点をもう一度復習していきます。

◆注意1).涼しい時間帯や場所を見つけて走る。

基本中の基本ですね。日中の暑い時間帯や炎天下でのランニングは余計な体力を消耗するだけでなく、熱中症や脱水症になる危険が伴います。やはり、涼しくなってきた夕方からか、早朝ランニングが良いでしょう。更にもう少し細かく見ると、夕方から夜にかけての時間帯より、早朝の方が気温が下がっています。つまり、夏のランニングは涼しい早朝が最も快適とも言えます。また、ランナー的な規則正しい生活リズムを保つためにも、早朝ランニングを定着させることはとても有効的です。

◆注意2).距離(距離走)でなく、時間(時間走)で。

早朝や夕方の涼しい時間帯を選んで走ったとしても、ランニングを実施するには厳しいコンディションであることに違いありません。そのため夏のトレーニングの場合、ある距離を走ろうとしたとき、その日の気温や湿度を考慮した適切な設定タイムを導きだすことが必要です。ところが、気温が10度のときと、気温が30度のときの違いを判断するには、相当な経験と知識が必要になってきます。そして、実際にある設定タイムでスタートし、気温が高過ぎて途中で止めてしまった場合、肉体的にも精神的にも大きなダメージが残ります。そこで、最初から距離と言う概念を捨て、時間で走るようにします。もちろん、気温が高いと感じたなら、ウォーキングからスタートし、少しずつランニングに移行していく方法も良いでしょう。つまり、ゆっくりでも動き続けることを考えていきましょう。

◆注意3).水分補給は確実に。

今更説明する必要もないと思いますが、夏のランニングにとって最重要事項ですね。その最大の理由として、人は汗をかくことで体内の熱を外に逃がしているので、水分補給をせず走り続けることは体温の上昇と共に、体内がどんどんオーバーヒートしていき、まさに自殺行為となるからです。だからこそ、しっかりと確実に水分補給を実施して下さい。次に、給水をとる具体的な目安として、15分から20分程度に1回、水分補給をしてほしいと思います。また、給水の中身は単純に水のみを補給するのでなく、ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム等)が含まれているスポーツドリンクを薄めたものを飲むようにしましょう。なぜなら、ミネラルが不足すると筋ケイレン(脚がつったりする状態)がおこり易くなるからです。特にランニング中に、よく足のつる人は給水の中身を再検討してみると良いでしょう。

以上、主だった事項について記載しましたが、暑さに対する適応力や体質等については、個人差が大きいのも事実です。大切なことは自分自身の身体と体調によく耳を傾けるのと、自分自身の体力を過信しないことです。

皆さんも無理のない範囲で、夏のランニングを楽しんでほしいと思います。

夏を走る・3

8月に入りました。そろそろ具体的な目標となる秋のマラソンを決める時期でもありますね。皆さんは決めたでしょうか?特に、11月中旬から12月上旬にかけて、全国各地でマラソン大会が目白押しです。もちろん初めてマラソンに挑戦しようと考えている方から何度もマラソンを経験されているベテランランナーの方まで、様々なレベルの方が安心して参加できる大会ばかりです。是非ともこの時期のマラソンに挑戦してほしいところです。

そして、この8月はその秋のマラソンを目指した走り込みをスタートさせる時期にあたります。ところが、8月は1年で最も暑い季節でもあり、普通に走ること自体難しかったりします。しかし、走り込みを開始しなければいけない・・・と、この矛盾を解決する練習方法のひとつが、「時間走」なのです。

前回は、初心者の方を対象にした30分間動き続ける方法の話をしました。今回は、その走行時間をどのように増やし、1週間をどのように組み立てていくかを考えていきます。

まず、1週間で何日位走れば良いのか?理想を言えばコンスタントに4日以上は継続してほしいところです。同様に、走力アップを目指しているのなら5日以上は走ってほしいところですが・・・。仕事の関係等で理想どおりにいかない方が多いのも事実ですね。つまりほとんどの方が、週末や休日を中心に走り込んでいくことになってきます。

そこで、前回お話したウォーキングとジョギングをセットにした走り方を、週末時は少し時間を増やしていきます。具体的には、5分ウォーキング+10分ジョギング(給水)を2回繰り返したのを3回繰り返し、まずはトータル時間45分を目標にします。そして、少しずつ慣らしながらトータル時間60分走れる(動き続ける)ことを目指します。※もちろん平日も同じ要領です。

何とか60分間動き続けることができるようになった方は、更にセット数を増やしていくのかと言うと、実はそうではありません。特に時間のある週末や休日は、この60分間をもう一度実施するのです。即ち、早朝:60分間(ウォーキング&ジョギング)+夕方:60分間(ウォーキング&ジョギング)。体力に自信の無い方は、夕方を30分間に短縮しても構いません。

このように1回の走行時間をのばしていくのでなく、1回の走行時間を60分以内に抑え、これを1日に2回(3回)実施するのです。これにより暑さによる体力の消耗と身体に掛かる負担も大幅に軽減させ、更に故障防止もしながら無理なく走り込んでいけます。

◆1週間練習計画例).月曜日:休養、火曜日〜木曜日:(5分ウォーキング+10分ジョギング)×2〜4セット、金曜日:休養、土曜日〜日曜日:(5分ウォーキング+10分ジョギング)×2〜4セット×2回。

以上のように週末や休日を軸にした流れをベースにすることで、無理なく楽しく走り込んでいけます。そして、暑い時期の練習は、「もう少し走れそう」と、感じるところで切り上げることがポイントです。また、「何キロ走った」でなく、動き続ける時間を意識して行きましょう。

夏を走る・2

今回も前回と同じような話になります・・・。

距離を決めて走る「距離走」。時間を決めて走る「時間走」。どちらもマラソン練習には欠かすことのできない重要な練習方法であります。しかし、夏を中心に気温や湿度が高くなると、どんなレベルの方でも体力等の消耗が激しくなり、これまでのようにあるペースを一定に保ちながら長距離を走ることが難しくなってきます。と、言うよりは、気温や湿度が高い中で、各自の走力に合った適切な設定タイムや走行距離を導き出すことが難しくなってきます。これは、単に気温や湿度の問題だけでなく、各自の暑さに対する適応力が高いか低いかの部分も関係してくるからです。

逆に、暑い中でも関係なく秋や冬の練習と同じような設定タイムで距離走を実施し、途中でリタイヤ、もしくは後半大幅なペースダウンをしてしまったとします。この時、身体への大きなダメージ等が懸念されることはもちろんですが、練習をやり遂げることができなかったことに対する精神的なダメージと暑さに対する恐怖心が残ってしまいます。

実は、身体へのダメージは、練習後の休養や栄養補給等で回復させることが可能です。ところが、精神的なダメージは、簡単には回復しません。それどころか、秋や冬のマラソンシーズンに入っても、天候が晴れると暑さに対する不安を口にする選手もいるくらいです。そして、その原因を辿っていった時、夏の失敗体験を引きずっていることが意外と多いのです。

そんなことも考慮し、最初から不安になるような要素を取り除くためにも、夏の練習は時間走を推奨するのです。もちろん時間走も最初から速いスピードで走ってしまい、予定時間より短い時間で切り上げてしまう可能性もあります。しかし、距離走と違い、速いスピードで走ったとしても時間で管理しているので、時間が短縮する訳ではありません。つまり、速く走ってもゆっくり走っても同じ時間なのです。

それならできるだけ楽をするために、ゆっくり走る方が・・・。実は夏の練習に関しては、この考え方が正しく、できるだけ身体に負担の掛からない走り方を考えていくことが基本になります。これは、水分補給や帽子着用等の暑さ対策と同じくらい大切なことなので、夏の練習に関しては、これまでの考え方と切り離してほしいと思います。

さて、具体的な走行時間についてですが、20分から60分程度をひとつの目安に、まずは朝晩のできるだけ涼しい時間帯を選んで走って下さい。特に、初心者の方はウォーミングアップを兼ねてウォーキングからスタートし、トータルで30分程度になるように動き続けてみましょう。その際、ウォーキングとジョギングを交互に繰返すようにすれば、身体への負担もかなり軽減できます。そして、その境目で給水をとると更に効率的です。

◆例1).ウォーキング5分+ジョギング10分(給水)+ウォーキング5分(給水)+ジョギング10分=合計30分。◆例2).ウォーキング10分(給水)+ジョギング20分=合計30分。・・・以上のような組合せを参考に自分の走力に合った流れを作り、1週間単位を目安に少しずつジョギング時間をのばしながらトータル時間ものばしていきます。もちろんできるだけ日陰のある公園等を選び、給水も確実に。特に湿度が高めの時は、タオルを1本ランパン等にはさんでおき、給水時に汗を拭いてから走ると、身体への負担も軽減できます。

次回は、もう少し詳しく時間走を中心にした1週間の練習について考えます。

夏を走る

いよいよ本格的な夏に突入です。ご存知のとおり、実業団選手や箱根駅伝を目指す学生選手達も秋の駅伝やマラソンに向け、夏場の走りこみを精力的に実施しています。もちろん市民ランナーの皆さんにとっても秋の各種レースに向け、走りこみの重要な時期であることは全く同じです。暑さに負けず頑張ってほしいところです。

と、言いながら実業団選手や学生選手達は、涼しい高原や北海道等に移動し、なおかつ長期滞在することが可能なため、彼らと同じような走りこみを市民ランナーの方々が実施していくことは・・・。やはり、自宅周辺の暑い環境下でどのような走りこみをしていくかの工夫が必要不可欠になります。

長距離走の練習として正確な距離を正確なラップで刻んでいくことが、基本となることは今更言うまでもありません。日々の練習も可能な限り正確な距離を正確なラップで刻んでいく練習を実施してほしいと思います。ところが、夏場の練習に関してはこのことが例外になります。実は、この点が重要なポイントとなります。

暑さや湿度の高い中でのランニングは様々な危険を伴う場合があり、積極的におすすめできない部分もあります(専門的な話は割愛します)。しかし、暑いからと言って何もしない訳にはいきません。この矛盾と戦いつつ最効率な練習を模索し、実施していくのが、夏の練習です。

そこで、夏におすすめしたい練習は「時間走(1時間走とか時間で走る練習)」です。なんだぁと、思う方がほとんどかもしれませんが、夏の練習で走りこめない最大の原因は意外にも距離走(30k走とか距離で走る練習)だったりするのです。失敗例として、比較的涼しい早朝に30k走を実施しようとしたとします。当然、暑さを考慮し設定タイムをいつもより落としてスタートします。出足は余裕を持って走れていたのですが、途中からペースを保てなくなり・・・、更に暑さにバテ・・・、22k地点で打ち切り・・・。また、最後まで走りきれたとしても後半は大幅なペースダウン。如何でしょうか?実は、私が指導している選手の中にも毎年数名の選手が、このようなことになります。

このケースで問題なのは、単に走りきれなかったことだけでなく、秋のマラソンに向けて脚つくりを実施し、距離に対する不安を払拭させることが目的なのに、逆に距離や暑さに対する不安を残す結果となることです。実は、このことを簡単に考えてはいけません。意外と秋以降も不安を引きずっていくタイプの方は多く、うまくマラソンを走りきれない大きな原因のひとつとなっているのです。そして、マラソンは技術的なことより、メンタル的な部分が大きいと言われる大きなゆえんでもあるのです(メンタル的な部分が全てと言っても良いくらい)。

では、暑い環境下でどのように時間走を実施していくのか?次回は具体的な方法を考えていきます。

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