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盲人マラソン Archive

絆・15

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【絆・15】今年最初の盲人マラソン強化合宿を千葉県富津市において実施しました。日程は1月11日(土)から1月13日(月・祝)にかけての2泊3日で、参加選手は男子が8名、女子が2名、選手をサポートするガイドランナー(伴走者)は10名、更にスタッフ等を含め総勢31名での強化合宿となりました。

また、今回もガイドランナーに国際武道大学陸上部の現役学生選手をはじめ、走力のある方々に参加いただいたことで、量も質も充実した強化合宿を実施することができました。まずは、今回の強化合宿にご尽力いただいた関係各位の皆様方に対し、あらためて御礼申し上げます。

はじめに、この強化合宿に初参加した新田選手を紹介します。彼は、右腕の肘から先端が先天的に欠損している障害を持っており、障害クラスで言えば「T46クラス」に該当する選手です。実は、いつもガイドランナーをお願いしている順天堂大学陸上部に所属している現役学生選手でもあり、本当に偶然知ることになった選手です。

既に皆様方も耳にしたことがあるかと思いますが、ひと口に「パラリンピックへの強化」と言っても、実はどのパラリンピック実施競技に関しても選手層が極端に薄く、新しい選手を発掘・育成していくことは最重点課題であるのと同時に、それが極めて難しい状況でもあります。

そんな中、いつもガイドランナーをお願いしている陸上競技の名門大学でもある順天堂大学陸上部にパラリンピックを目指せる新田選手が所属していたのです。まさに「灯台下暗し」です。早速、今回の強化合宿に参加を呼びかけ、初参加となりました。

と、言いつつ腕の障害は視覚障害と同じで、自身の脚で走ったり跳んだりするため、日頃は一般選手と全く同じ土俵で競技をすることも可能です。したがって、今回の合宿でも視覚障害選手と同じトレーニング内容で切磋琢磨することができます。

◆合宿1日目:午後/体幹トレーニング+調整jog+1k走。◆合宿2日目:早朝/調整jog、午前/30k走、午後/動作解析勉強会+調整jog。◆合宿3日目:早朝/調整jog、午前/1k×10本(ロードで実施)、午後/解散。

そんな新田選手も合宿初日は緊張した面持ちでしたが、パラリンピックに出場した選手たちと一緒に走り、宿舎では同室になることで、2日目からは本来の明るさも見えてきました。そして、最終日のトレーニングでは積極的に集団をリードし、力のあるところも見せてくれました。

合宿終了後、「2日目の日間走行距離は自己最高の53kを走れました」と、新田選手は初参加の強化合宿でしたが、何か自信をつかんだ様子がこちらにも伝わってきました…。

さて、冒頭にも記載したとおり、新しい選手の発掘・育成は待ったなしの状況です。しかし、今回の新田選手同様、かくれた逸材は必ず存在します。同時に、新しい選手を発掘・育成するための様々なプロジェクトや対策も必要不可欠です。

しかし、いつでも新しい選手を受け入れられる態勢をキープしていくためにも、地道な強化合宿の継続は強化全体の土台となります。今年もこのことを肝に銘じて取り組んでいきます。

つづく。

※毎週1回の更新を継続してきたこのブログも、おかげ様で「300回」となりました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

絆・14

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【絆・14】12月15日(日)、第44回防府読売マラソンが山口県防府市において開催されました。既にご存知のとおり、公務員ランナーの川内優希選手が、先日の福岡国際マラソンから連続となる「1ヶ月間で2度のサブテン(2時間10分切)」を見事に達成しました。川内優希選手は2位でしたが、優勝したモンゴルのセルオド・バトオチル選手に最後まで食い下がり、持ち前の粘り強さを発揮する素晴らしい内容でした。

レースは、川内優希選手とセルオド・バトチオル選手の一騎打ちとなりましたが、向かい風の強くなった32k過ぎに強烈なスパートで川内優希選手を引き離しました。結果的には、そのままセルオド・バトチオル選手が優勝しましたが、スパート時についた10数秒前後のタイム差をゴールまで持ち込む見ごたえのあるレースでした。

逃げるセルオド・バトチオル選手は何度も後ろを振り返り、追いかける川内優希選手は何度も離れては詰めよる粘りを繰り返し、まるで駅伝のアンカー勝負を見ているようでした。優勝したセルオド・バトチオル選手は自己記録を2分以上も短縮する「2時間9分0秒」。2位で粘り抜いた川内優希選手は「2時間9分15秒」と、2人とも見事なタイムでした。しかし、セルオド・バトチオル選手が惜しくも2時間8分台に突入できなかったのは、すぐ後ろで粘り抜いた川内優希選手が阻止したかのようにも感じました…。

さて、今大会には日本盲人マラソン協会の強化指定選手たちが、はじめて公式出場しました。それも11月後半に同大会出場を緊急決定する強行日程でしたが、大会関係各位のご理解ご尽力により、無事に出場することができました。あらためて御礼申し上げます。

今回の防府読売マラソンには、女子強化指定選手全員がエントリーし、男子強化指定選手はベテラン勢が意欲的にエントリーしました。結果は、女子の道下選手(T12/弱視)が、「3時間6分32秒」の日本新記録をマーク。男子選手はベテラン勢が奮起し、福原選手(T11/全盲)が、「2時間53分8秒」。加治佐選手(T11/全盲)が、「2時間57分42秒」。そして、57歳の新野選手(T11/全盲)が、「2時間59分2秒」と、ベテラン3選手が揃ってサブスリーでゴールしました。実は、このベテラン3選手が揃ってサブスリーでゴールするのは、2007年の京都福知山マラソン以来となります。

これらの好記録の理由として最も大きなことは、今年度から女子の強化指定選手が加わり、強化合宿の雰囲気がより明るく意欲的な空気に変わったことです。その結果、少しマンネリ化になりつつあった男子選手たちも刺激を受け、特に若手選手が意欲的になりました。そして、肩身の狭くなっていたベテラン3選手たちが、強化合宿においても久々に積極的な走り込みを積み重ねるようになりました。

そんな意欲的な取組姿勢が実を結び、今回の結果につながったことは言うまでもありません。そして同時に、今回出場しなかった他の強化指定選手たちへの熱いメッセージとなったに違いありません。来年1月に再び強化合宿を実施し、今回出場しなかった強化指定選手の多くは、2月の別大マラソン、3月のびわ湖毎日マラソンと、ビッグレースへの本格参戦も待っています。

引き続き、皆様方の絶大なるご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。

つづく。

絆・13

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【絆・13】盲人マラソン協会主催の強化合宿を千葉県富津市において実施しました。今回は、11月2日(土)から11月4日(月・祝)までと、2泊3日の日程です。しかし、これまでは諸事情によりほとんどの強化合宿は1泊2泊と、週末を活用した慌ただしい日程が多かったので、久々に2泊3日の強化合宿でした。

と、言いながら1泊が2泊へ増えただけですが、時間的にはかなりゆとりが出てきます。そして、捻出できた時間をトレーニング以外の目的に活用することが可能となります。今回の具体的な合宿内容を記載すると、次のようになります。

◆11月2日(土):午後/集合、競技規則講習会(外部講師)、60分ジョグ+1k走。◆11月3日(日):早朝/各自調整ジョグ。午前/40k走。午後/トレーニング方法の意見交換会(現役学生ランナーと)、体幹トレーニング(外部講師)、各自調整ジョグ。◆11月4日(月・祝):早朝/各自調整ジョグ。午前/3k × 3本。午後/解散。

以上のように単に走り込むだけの強化合宿ではなく、様々な視点に立ったプログラムを組み込むことが可能となります。至極当然のことですが、これは極めて重要なことです。

特に、今回はガイドランナー(伴走者)として、国際武道大学陸上部から4名、帝京大学駅伝競走部から5名、計9名の現役学生ランナーをお招きすることができました。そして、彼らを交えての意見交換会は、選手たちはもちろん、私自身にとっても参考になる意見が多く、たいへん有意義な時間でした。

同時に、トレーニングにおいても、単に全盲選手のガイドランナーのみならず、単独走となっている弱視選手のペースメーカーも担っていただきました。特に、全日本インカレで入賞実績のある学生ランナーにも参加いただいたことで、かつてない質の高いトレーニングを実施することができました。

さて、今月23日に開催予定でした「京都福知山マラソン」が、先日の台風被害により中止となりました。この大会は盲人マラソンの日本選手権も兼ねており、今回参加した強化選手の多くがエントリーしていました。そこで急遽、大会申込が間に合った12月の防府マラソンを選手に紹介することになりました。※但し、日本選手権としては実施しない。

どの選手も調整計画を大幅に変更し、モチベーションを維持させることに苦労していました。しかし、今回の強化合宿において、現役学生ランナーたちの積極的なサポートのおかげで、気持ちと身体をもう一度スイッチすることができました。

最後になりしましたが、大切な選手を快く強化合宿に派遣いただいた国際武道大学の前河先生、帝京大学の中野監督、講習会にご足労いただいた講師の先生方、そして、毎度お世話になっている富津岬荘の皆様方に、あらためて感謝申し上げます。

つづく。

絆・12

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【絆・12】盲人マラソン協会主催の強化合宿を10月5日(土)から1泊2日の日程で、千葉県富津市富津公園にて実施しました。今回の強化合宿は、選手と伴走者及びスタッフの合計が38名と、過去最大の参加人数となりました。

また、今回は医科学サポートのご協力により、トレーニング中の乳酸値測定とハートレートモニターを着装して心拍数を記録しました。至極当然のことですが、医科学的な測定や解析を実施したからと言って直ちにトレーニングやパフォーマンスに反映できるものではありません。日々のトレーニング同様、今後も定期的にデータを積み重ねていくことが重要です。

同時に、測定した数値に異常があったからと言って、その選手の記録が悪くなるとも言えません。私の経験談になりますが、私も現役時代、月に1回以上は必ず血液検査を受けていました。当時の走行距離は、多い月は千キロに達していたので、貧血と常に隣り合わせの状況でした。もちろん、食生活や睡眠時間等にも注意していましたが、血液検査の数値が良い方に改善された場合、当時のお世話になった先生に必ず言われたのは、「今月は練習をかなり落としているね(サボっているね)」でした。

つまり、激しいトレーニングをしている選手の各種数値が改善されることは、逆にトレーニングを落としている(サボっている)疑いもあり、必要以上に練習を休めば必ず数値は改善されます。その証拠に、先生から強豪チームの血液データを見せていただいたことが何度かありましたが、力のない選手ほど各種数値が良い傾向にあったのです。つまり、力のない選手は練習量や質が足りていないのと、自分自身を追い込めない証拠でもあると教えていただきました。※参考までに今現在の私はジョギング程度なので、貧血とは全く無縁の健康的な数値となっております。

そして、医科学的なデータや栄養学的なサポートを取り入れることは、トレーニング量を減らして効率を上げることではありません。医科学的なデータや栄養学的なサポートが後押しすることで、トレーニング量や質を更に上げるためにあると考えます。即ち、これまで以上に苦しく厳しいトレーニングを可能にしていくためのサポートであるとも考えます。

今回、はじめて各種測定を受ける選手も多かったのですが、データ的に見ても強い選手は自分自身をキッチリと追い込みきれており、やはりデータは嘘をつかないとも感じました。もちろん、今後も定期的に医科学サポートを受けながら、世界と勝負できるトレーニングを目指していきます。同時に、選手たちの意識レベル向上にもつなげていきます。

つづく。

絆・11

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【絆・11】先日の9月7日(土)から2日間の日程で、障害者陸上の国内最高峰大会である「2013ジャパンパラ陸上競技大会」が、山口県で開催されました。2日間とも残暑の厳しいコンディションでしたが、どの種目も熱戦でした。

特に、日本盲人マラソン協会として立ち上げた強化指定女子選手たちが、長距離種目に初参戦しました。実は、視覚障害者女子マラソンは2016年ブラジルで開催されるパラリンピックの候補種目にもなっており、強化としては待ったなしの状況です。

しかし、今年度から選考した強化指定女子選手のほとんどは、市民ランナーです。したがって、マラソンを走った経験は豊富ですが、トラックレースや10k以下のロードレースへの出場は多くありません。

もちろん、単にマラソンを走り続けるだけなら、トラックレースや短いロードレースを走る必要はないかもしれません。しかし、目標を世界に切り替え、今の記録を大きく更新していくには、強化の一環としてもトラックレースを避ける訳にはいきません…。

今回、5名の強化指定女子選手がトラックの5000mに挑戦しました。5選手とも伴走者と息の合った走りで、苦戦しながらも最後まで走り切り、記録的にも想定内でした。

ところが、公式発表に目を疑いました。何と1位と2位でゴールした選手が失格だったのです。しかもその理由は、フィニッシュラインを伴走者が選手より先にこえたのです。これには驚きましたが、このようなトラブルは国際大会でも目にします。

そして、レース中のトラブルは原則として選手の責任です。厳しい言い方ですが、最初に伴走者へルールを教えるのは、他でもない一緒に走っている選手自身だからです。もちろん、次回の強化合宿で、国際ルールの勉強会を実施し、同じ失敗をしないよう徹底していきたいと思います。

さて、2020年のオリンピック・パラリンピックが東京に決定しました。今回のジャパンパラ陸上競技大会に出場した選手たちはもちろん、誰にでも平等にチャンスがあります。ひとりでも多くの選手に、そのチャンスを与えられるよう、これまで以上に選手たちの後押しをしていきます。

あらためて、皆様方のご声援をよろしくお願い申し上げます。

つづく。

IPC世界陸上競技選手権・3

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【IPC世界陸上競技選手権・3】大会最終日のマラソンも無事に終了しました。結果は、全盲(T11クラス)の和田選手が銀メダルを獲得。続いて実施された車イスマラソンでは、男子の部で洞ノ上選手が銅メダル、女子の部で土田選手が銀メダルを獲得し、日本チームとしては有終の美を飾ることができました。

あらためて、選手の皆様、スタッフの皆様、お疲れ様でした。また、この大会に参加するにあたってたくさんの方々からご支援ご協力を賜りました。この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。

さて、今大会は、昨年のロンドンパラリンピックで惨敗した翌年の大会だけに、選手の選考段階から様々な不安要素ばかりに目が行きました。大きな理由のひとつとして、実際にロンドンパラリンピックで陸上競技が獲得したメダル数は、たったの4個です。そして、その内の3個はひとりの選手が複数種目で獲得したメダルです。更に、その選手はロンドンパラリンピック後に競技を引退しただけに、今大会はチームの軸となる選手が抜けた状態での戦いとなるからです。

ところが、最終日のマラソンを含め、日本チームは合計10個のメダル(金1個、銀5個、銅4個)を獲得しました。これは、監督としての目標であった6個を上回り、今後の強化に弾みのつく好成績だったと言えます。更に、メダルや入賞と違った視点から見た場合、自己記録を更新した種目が12種目もあり、暑さの厳しいコンディションでしたが、各選手のピーキングもほぼうまくいったと評価できる記録も多かったと感じます。

一方で、種目毎に精査していくと、勝負するには日本とのレベル差が大きすぎる種目、高いレベルで各国の選手が拮抗して今後の強化策が難しい種目等、頭の痛い課題も浮き彫りになりました…。

いずれにしろ、今回メダルを獲得した種目を軸に一層の強化をすすめていく所存です。

また、次世代を担う若手選手の発掘及び育成についても待ったなしの状況です。しかし、今大会に参加した20代前半の若手選手は、世界の雰囲気にのまれることなく力を出し切った選手が多かった点については今後の希望となりました。特に、大会初日の男子車イス1万メートル(T54クラス)で、今大会初のメダルを獲得した渡辺選手は2016年のパラリンピックだけでなく、更にその先の大会も視野に入る将来性豊かな選手と感じました。

帰国後は今大会の成績を細かく解析し、あらためて今後の強化につなげていきます。

今後とも皆様方の絶大なるご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。

おわり。

IPC世界陸上競技選手権・2

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【IPC世界陸上競技選手権・2】競技がはじまって4日目が終了しました。ここまでの日本チームは、メダル4個(金1個、銀1個、銅2個)を獲得です。監督の立場として、メダル獲得数の目標(予想)は6個と考えているので、選手たちは健闘しています。もちろん、スタッフたちの支えがあってのことです。また、メダル獲得以上に自己記録更新が既に7個もでており、現地入りしてからどの選手も調子を崩さず、ピーキングがうまくいっていることが何よりです。後半戦に向け、更に気を引き締めていきます。

さて、あらためてリヨンのコンディションですが、当初の予想に反して連日猛暑です。気温は35度前後まで上昇し、夜の22時頃まで明るいため、競技が進行している時間帯は全て暑さとの戦いでもあります。選手はもちろんですが、選手のため早朝から深夜まで動き回っているスタッフたちの体調も心配なところです…。

今回、私は監督なので、原則として競技中はスタンドで全ての競技を観察しながら全体を把握するようにしています。同時に、国際大会への帯同はそれなりに経験していますが、競技を最初から最後までスタンドで観る機会は意外と経験しておりません。ご存知のとおり、障害者の陸上競技は、車イスをはじめ手足の切断(機能障害等)、視覚障害、脳性まひ、知的障害等、それぞれの障害と程度によってクラスが分かれています。そのため、同じ100mと言ってもその記録や競技スタイルは様々で、同じように評価することはできません。

しかし、一般の陸上競技同様、障害者の陸上競技も強豪国はアメリカを軸に形成されており、その記録も驚異的なスピードで更新され続けています。特に、視覚障害や切断クラスの短距離種目については、日本の一般競技者と遜色ないレベルまで到達している種目も多く、障害者の域を超えている感もあります。

具体例として、T11クラス(全盲)の男子200mは、伴走者と走って22秒台の記録が当たり前です。そして、程度の軽いT13クラス(弱視)の男子200mは、21秒06と驚異的な速さです。更に、T43クラス(両脚下腿切断)の男子200mは20秒66と、もはやオリンピックレベルにまで到達しており、これまでのような障害者陸上の関係者だけでの強化や選手発掘は困難な状況になりつつあります。

そんな厳しい状況の中ですが、冒頭に記載したとおり、日本チームはここまで4個のメダルを獲得するなど、健闘しています。

後半戦に向け、引き続き選手とスタッフがひとつになり、各選手が最高の調子でスタートに立つためのピーキングをしっかりとしていきます。

つづく。

IPC世界陸上競技選手権

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【IPC世界陸上競技選手権】障害者陸上の世界選手権がフランス・リヨンで開催されます。今回、私は日本チームの監督として帯同します。

7月15日(月)11時に日本を出発し、パリ経由でリヨンに到着したのは現地時間の深夜0時過ぎでした。途中、パリでの乗り継ぎや待ち時間等もあったので、約24時間の長旅となりましたが、毎度のことながら海外遠征は移動時にコンディションを崩す選手もいるので、特に障害の重たい選手に対するサポートは細心の注意をはらいます。

また、これまで大きな海外での大会は、日本選手団として全員一緒に移動するケースが多かったのですが、今回は各選手の競技スケジュールに合わせて幾つかのグループ別での移動となりました。したがって、一緒に行動できない選手の調子を把握することが難しいので、現地にて直接顔を合わせるまでは安心できません。幸い、今のところ調子を崩している選手やスタッフは出ておりませんが、最後まで気を抜けない重要事項となります。

そして、現地入りが完了すると、翌日から順次トレーニングを開始します。至極当然のことですが、現地でのトレーニングは最終調整です。いわゆる狙ったレースへのピーキングです。

「迷ったら休養」です。

もちろん、これについてはどの選手も頭では理解できています。しかし、同じ練習会場にライバル国の選手や自分よりはるかに大きな身体をした外国選手を目の当たりにすると、状況が変わってくる選手もでてきます…。

ある意味、どのスポーツにも共通することですが、普段と違う環境下に置かれると、急に自分自身のフォームや調整内容に対する「不安」が心の中に芽生えてきます(不安症候群)。そして、厄介なことにその「不安の芽」が成長するスピードの速さは、これまで膨大な時間を費やして構築してきた「自信」をはるかに上回ります。つまり、狙った大会に向け、身体と心をつくっていくには膨大な時間と手間がかかりますが、それを崩すのは一瞬のことなのです。だからこそ、「迷ったら休養」を実践できるか否かは、重要なキーワードとなります。

また、世界選手権やパラリンピックは、世界ナンバーワンを決める極めて注目度も高い大会です。だからこそ、そこで結果を残せる選手は、末永く讃え続けられます。今回、日本代表選手として参戦する34名の選手については、最高の調子でスタートラインに立てるようスタッフが一丸となって選手をサポートしていきます。

皆様方の絶大なるご声援をよろしくお願い申し上げます。

つづく。

絆・10

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【絆・10】梅雨入りし、気温も湿度も一気に上がってきました。そんな中、6月15日(土)から6月16日(日)の日程で盲人マラソン強化合宿を実施しました。今回の合宿は、来月にフランスで開催されるIPC世界陸上競技選手権の代表選手を対象にした強化合宿です。

そのIPC世界陸上競技選手権には、盲人マラソン協会から全盲の和田、高橋、谷口の3選手を日本代表選手として派遣します。今回の合宿は、代表選手としての参加は全盲の谷口選手ひとりでしたが、ロンドンパラリンピック代表の岡村選手も参加してくれました。

今回も1泊2日の短期合宿で、トレーニング内容については次のとおりです。

◆1日目:午後/3000m+2000m+1000m+600m+300m。◆2日目:早朝/各自フリー、午前/30k走。

上記のように、トレーニングの流れは「スピード+スタミナ」です。谷口選手は、トラックの1500mと5000m、そして、マラソンの3種目に出場します。特に、トラック種目については、大幅な自己記録更新が期待されます。この点も考慮し、、初日にスピード系のトレーニングを実施しました。

余談になりますが、全盲の谷口選手には、必ず伴走者が必要になります。ところが、谷口選手もこれまでパラリンピックに出場してきた全盲ランナーたち同様、「伴走者泣かせ」の選手に成長してきました。

具体的には、これまでのトレーニング成果が実を結びだし、走力がグングン上がってきております。その結果、市民ランナー方の伴走対応が難しいレベルになってきたのです。実際に今回の合宿も、当初は現役学生選手に伴走の打診をしましたが、ちょうどこの時期は学生選手たちもトラックシーズンです。そのため、週末毎に各種トラックレースに出場するので、とても伴走をお願いできる状況ではありません。

そんな中、今回は何とか2時間35分前後でマラソンを走れる2人の市民ランナーにお願いしました。しかし、上記のようなスピードトレーニングになると、2人で交代しながらやっと谷口選手の伴走ができる状況でした。

視覚障害者マラソンの強化を仰せつかってもう何年にもなりますが、選手の育成同様に伴走者に対する走力の要求レベルが更に高くなってきたのも事実です。もちろん、他にも課題はありますが、これまで同様、様々な方々のお力を賜りながら少しずつでも選手のトレーニング環境を改善していきたいと思います。

つづく。

絆・9

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【絆・9】去る6月8日(土)から2日間の日程で、第24回日本身体障害者陸上競技選手権が大阪において開催されました。今更ながら、この時期のトラック競技は、気温や湿度が高くなり、特に長距離種目にとっては過酷なコンディションとなります。案の定、初日の6月8日(土)は、梅雨明けを思わせるほどの天候となり、厳しい状況でした。

そんな中、日本盲人マラソン協会の強化指定選手も多数参戦し、自己記録の更新へ挑みました。

◆1日目:T11男子800m/和田伸也/2分11秒05(優勝・日本新)、T11男子5000m/谷口真大/16分57秒83(優勝)、T12女子800m/近藤寛子/2分56秒32(優勝・自己新)。

◆2日目:T11男子1500m/和田伸也/4分22秒11(優勝)、T11男子10000m/谷口真大/35分09秒58(優勝・自己新)、T12男子10000m/熊谷豊/33分30秒96(優勝)、T12女子1500m/西島美保子/5分38秒58(優勝・自己新)、T12女子1500m/近藤寛子/5分52秒23(2位・自己新)。

以上のように結果を並べると、概ね全員が合格点に届く内容でした。中でも女子強化選手の西島選手と近藤選手は、慣れないトラックレースでしたが、見事に自己記録をマークしました。

今回の結果は、今年度から立ち上げた女子強化の成果とは言えませんが、少なくとも彼女たちの「マラソン(走ること)」に対する意識が大きくプラスに転じてきたことは間違いありません。そして、この「意識改革」こそが、強化の第一歩であり、全てのベースになると考えます。

また、男女とも若い高校生選手も出場しており、選手が極端に少ないこの世界においては、とても明るい収穫となりました。同時に、若い選手たちが目標を持って競技に取り組める環境整備や情報提供が重要なことは言うまでもなく、我々の方から積極的に歩み寄っていく姿勢がより重要であると、あらためて感じた次第です。

さて、話しは変わりますが、7月(来月)にフランスで開催される「IPC世界陸上競技選手権」に、日本盲人マラソン協会からは、全盲の和田、谷口、高橋の3選手が選考されました。また、私も日本チームの監督として帯同します。

あらためて、日本代表選手たちに対する皆様方の絶大なるご声援を、よろしくお願い申し上げます。

つづく。

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