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マラソンの完走 Archive

期分け・23

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今回も「スピード持久力養成期」のハード面について考えていきます。前回は正確な距離についてでしたが、今回は練習コースのアップダウン(起伏)についてです。

はじめに、皆さんもこれまで何度となく耳にしたことのある話しとして、「上り下りのあるコースや起伏での走り込みはスタミナが付く」、「山道やクロカン(クロスカントリー)での走り込みは脚力や心肺機能を高める」・・・。こんな話しを雑誌や本で読んだり、聞いたことのある人は多いと思います。

実際に山道やクロカンでの走り込みについては、多くのランナーがその効果を体感しており、世界のマラソンを席巻しているアフリカ勢がこれを証明しています。また、国内においてもクロカンでの走り込みを積極的に取り入れている選手やチームの多くが活躍しています。

では、あらためて起伏やクロカンでの走り込みの主な効果を簡単にまとめてみます。◆効果1).路面が舗装されていないので自然とバランスの良い走りが身に付く。◆効果2).斜面を上り下りする時はペースを上げなくても心肺機能を高めることができる。◆効果3).下りを走る時は着地の衝撃が大きくなるので脚筋力のアップにつながる。・・・以上のような効果をはじめ他にもランナーに必要な様々な能力を高めることができます。

しかし、逆にクロカンや起伏のあるコースでの走り込みは相応のリスクも伴い、デメリットになる場合もあります。◆リスク1).路面が舗装されていないので怪我や故障をし易くなる。◆リスク2).斜面を上り下りすることで平地でのペース感覚が狂ってくる。◆リスク3).下りを走る時の着地衝撃が大きく、その分疲労回復が遅れる。・・・このようにクロカンや起伏を走ることの効果は、見方によってはリスクにもなるのです。

実は、「スピード持久力養成期」に移行してからのクロカンや起伏での走り込みは相応の注意が必要になってきます。なぜならこの期の重要なポイントは、「正確な距離を正確なペースで走り込んでいくこと」だからです。そのため、上りや下りでの「5分/kペース(それぞれの設定ペース)」が、平地では何分何秒に相当するのかをしっかりと体感できる能力が備わっていないと、逆にペース感覚が狂ってしまう可能性があります。※平地で本来のスピードが出せなくなったりします。特に走歴の浅いランナーは要注意です。

同じく上り下りでの走り込みは、身体へのダメージが平地より大きくなります。そのため、平地でペース走を実施した後の疲労回復期間に対し、どの程度のズレになるかを予め見越したトレーニング計画を作成していないと、疲労の蓄積により故障する可能性が高くなります。

このように、「アップダウンでの走り込み」と言っても平地との相違点は多々あります。そのため、起伏での走り込みは、少なくとも「ペース感覚のズレ」と「疲労回復期間」、そして、「故障&怪我防止」の3点は常に意識してほしいと思います。

つづく。

期分け・22

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「スピード持久力養成期」の軸となるトレーニングは、20k~40kの長い距離を走るペース走です。もちろん、マラソンを目標にしているランナーならこの点については、既に常識的とも言えます。

しかし、意外と盲点になっている点があります。それは、正確な距離を計測した正確なコースでペース走を実施しているランナーが意外と少ない点です。さて、皆さんはいかがでしょうか?

実はランニング経験の無い一般的な人の距離感覚は、実測距離より長く感じる傾向にあります(私の経験上)。具体例として、ランニング経験の無いAさんに最寄り駅までの距離を聞くと、「3k程度」と教えてくれました。ところが実際にゆっくり走って行くと、10分もかからず目的の駅に到着・・・。ランナーの距離感覚なら大目に見ても2k前後の距離です。

また、別の例ですが、Bさんはマラソンを目指すために近所にある公園でトレーニングをはじめました。その公園は1周まわると1kになる遊歩道があり、距離表示もあります。それは、マラソントレーニングにとっては願ったりかなったりのコースです。

早速Bさんは、その周回コースで30k走にも挑戦し、ペース感覚も体得していきました。そして、目標タイムである3時間30分も十分に狙える充実したトレーニングを積んで、本番のマラソン大会に挑みました。ところが、あんなに楽に走れた「5分/k」ペースが実際のマラソン大会では最初の5kから苦しく感じます。「もう少しで楽になる」と、自分自身に言い聞かせながらそのペースを何とか維持して行きましたが・・・。30k以降は大きく失速してしまい、目標の3時間30分には届きませんでした。

Bさんはマラソン大会が終わった後、練習コースである公園の1kコースを、距離計を用いて実測してみました。すると驚くことに「950m」だったのです。つまり、1k走ると50m短く走っている計算になり、実は間違ったペース感覚を体得していたのです。もちろん、ランニング経験が無ければたったの50mと思いますが、このコースで5kを走ると250mも短くなります。そして、これを時間に置き換えると「約1分」です。ところが、5kで1分の誤差になると、予定していた通過ラップに修正していくことは、走力のあるベテランランナーを持ってしても難しい大きな誤差に匹敵するのです。

このように、公共施設である公園や河川敷にある距離表示も厳密に言えば正確でない場合も多々あります。そのため、公園や河川敷にある遊歩道などを利用したがためにペース感覚が狂ってしまうケースも意外と多いのです。

つづく。

期分け・21

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今回から「第1次走り込み期」の後半にあたる「スピード持久力養成期」について考えていきます。前回までの「基礎体力養成期」は、マラソンを走るためのベースとなる基礎体力(スタミナ)を養成するトレーニングでした。そして、今回はその基礎体力の上にスピード持久力を積み上げていくトレーニングとなります。

これを家に例えると、基礎体力となる部分が家の土台部分(基礎)にあたります。そして、今回の「スピード持久力」は、土台部分の上に組み上げていく家の柱部分となります。もちろん、柱と言っても単に基礎から垂直に立ち上がっている部分もあれば、その柱と柱をつないでいる部分もあります。更に屋根の部分に相当する柱もあります。つまり、この柱が全て組み上がると、その家の大きさや間取り部分の全体像がほぼ決定します。

このように「スピード持久力養成期」は、家の建築同様、マラソンを目指していく上で具体的にどの程度の記録を目指せるかが、ほぼ見えてくる最も重要な期でもあります。具体的な前期との大きな相違点は、身体の感覚を頼りにゆっくり長くの走り込みから、ある設定タイムを守りながら目的の距離を走り込んでいく点です。つまり、同じ走り込みでもタイムと距離に拘束されていく感じになっていきます。

と、言いながら前期の「基礎体力養成期」で走り込みが不足気味のランナーが、この「スピード持久力養成期」で一気に走り込むと、怪我や故障に悩まされて思うような走り込みができなくなるケースも多々あります。この場合は、焦らずもう一度「ゆっくり長く」の走り込みに戻って基礎から積み上げていきましょう。

さて、それでは「スピード持久力養成期」のポイントを、ハード面とソフト面の2点から大きくまとめてみます。

はじめにハード面として、◆ポイント1).長い距離を安全かつ正確なスピードで走り込むための、正確なトレーニングコースの設定及び確保。(トラック含む)

次にソフト面として、◆ポイント2).目標のマラソンを目指したペース走の適切な距離と、そのペースの設定。(20k~40k程度のペース走)

次回からは、それぞれのポイントについて考えていきます。

つづく。

期分け・20

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今回も前回の続きで「長く」について考えていきますが、「基礎体力養成期」の最後となります。

はじめに、「長く」の目安は「2時間」と話しましたが、ひと口に2時間と言っても長時間です。実際にたったひとりで黙々と2時間走り続けることができるランナーなら間違いなくマラソンに対する適正はあると言えます。少なくとも私はそう判断します。

一方で、一度に2時間も走り続けることが可能だとしても、実際は日常生活の中でその時間を確保する方が難しいとも言えます。したがって、2時間を連続で走り続けるには一般的には週末等の休日になります。しかし、平日でも出勤前の早朝や仕事後のアフターファイブをうまく活用することで、1日のトータル走行時間として2時間を確保することは可能です。

このように何事も工夫していくことは大切ですが、はたして2時間を連続で走るのと、2時間を2回にわけ、トータル2時間とするのでは同じような効果を期待できるのでしょうか?

判断の難しいところですが、特に走歴の浅いランナーや比較的体重の重たいランナーにとっては、2回にわけることで身体や足腰等への負担を軽減することが可能になります。同時に、無理なく走行距離をのばしていくことが可能となるので、ダイエット効果も期待でき、同時に基礎体力をアップさせることが可能となります。

さて、私の経験ですが、実はスタミナが付くか否かの境目の時間は、2時間よりも少し短い「100分」前後になります。実際に走っていると感じますが、60分をこえて80分連続で走るのも90分連続で走るのも同じような疲労を感じます。しかし、あと10分足して100分をこえてくると、スタミナが枯渇してきたことを感じてきます。このように100分連続で走り続ければ2時間と同じような効果を期待できます。

あらためて基礎体力養成期は、「ゆっくり長く」走ることで、マラソンを完走するためのベースとなる体力(スタミナ)をじっくりと養成していきます。それは、仲間と雑談できるスピードで2時間(≒100分以上)走り続けることがひとつの目安となります。そして、このようにじっくり走ることで、マラソンを走るために必要不可欠な「忍耐力」も培われていきます。

既に何度か話していますが、マラソンは球技のように道具を使用せず、単純に長時間走り続けるスポーツです。そのため技術的な部分は極端に少なく、自分自身の「身体と心」だけで勝負していくシンプルなスポーツです。だからこそ、基礎体力養成期では「ゆっくり長く」走ることを通じて身体だけでなく、「心のスタミナ」も養成していくのです。

つづく。

東京マラソン2011・下

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今回は、先日開催された東京マラソンで、エリート女子の部に出場した3選手(市民ランナー)の記録をもう少し詳しく解析していきます。

はじめに、皆さんもマラソンに挑戦するとき、自分自身の走力や体力に合った設定ペースや、ペース配分を少なからず考えてからスタートすると思います。ところが、号砲と共にスタートすると、一緒にスタートした多くのランナーや大会の雰囲気にのまれてしまうケースが相変わらず後を絶ちません。

特に、スタート直後から自分自身の設定タイムよりもかなり速い集団やランナーに付いていくパターンは、どのマラソン大会でも多く見受けられます。そして、その結果として、後半の大失速へとつながり、最終的には目標タイムを大きく下回る結果へと・・・。

皆さんは、いかがでしょうか?

では、上記3選手(女性市民ランナー)の東京マラソンでの設定タイムと実績タイムを前半のハーフと後半のハーフに分けて解析します。

◆M・I女子選手:設定タイム/2時間37分50秒(1時間18分16秒+1時間19分34秒・▽1分18秒)→実績タイム/2時間37分34秒(1時間18分15秒+1時間19分19秒・▽1分4秒)。◆M・Y女子選手:設定タイム/2時間49分49秒(1時間23分53秒+1時間25分56秒・▽2分3秒)→実績タイム/2時間49分51秒(1時間24分22秒+1時間25分29秒・▽1分7秒)。◆M・S女子選手:設定タイム/2時間55分48秒(1時間27分54秒+1時間27分54秒・±0分0秒)→実績タイム/2時間54分18秒(1時間25分21秒+1時間28分57秒・▽3分36秒)。

このように前後半のハーフに分けて解析すると、設定タイムに対し、最も記録の良かったのはM・S女子選手ですが、実は後半の落ち込みが最も大きいことがわかります。また、自己記録を更新したM・I女子選手とM・Y女子選手については、40kの通過地点では、設定タイムに対し、「▽4秒と△10秒」でしたが、ゴールでは逆に、「△16秒と▽2秒」と逆転しました。特に、M・I女子選手のラスト2.195kは、「8分00秒」と、女子選手の中では何と5番目の速さとなる素晴らしいラストスパートでした。

また、自己記録を更新した2名の女子選手は、タイプ的にはどちらともスピードタイプであるが故に、スタミナが付きにくく、後半は失速するマラソンを繰り返してきました。しかし、マラソンに挑戦する毎に、5k毎の設定タイムと実績タイムを対比していくことで、自分自身の弱点や課題を明確にしていくことができました。そして更に、マラソントレーニングの中では永遠に変わることのない単調な日々の走り込みも、意欲的にかつ継続的な取り組みが可能になっていきました。

さて、マラソンを攻略するためのペース配分に絶対はありません。もちろん一定のイーブンペースで走り切ることは、最も効率的な走法のひとつであることは言うまでもありません。また、前半おさえて後半ビルドアップしていく走法は、マラソンの完走を目標にするならとても有効的な走り方です。しかし、どの走法を選んだとしても自分自身の走力や特徴に合っていなければ安定した記録や成績を残すことはできません。

そして、マラソンで最も重要な要素は、常に安定したパフォーマンスを発揮することと、私は考えます。そのためには、故障や怪我をしにくい「丈夫な身体」。更に、自分自身の感情をコントロールできる「強い精神力」のふたつを兼ね備える必要があります。

・・・と言いながら、理想と現実のギャップはまだまだ大きいですが、次のマラソンに向け、今回の経験とデータを選手と共有しながら地道な取り組みを継続していきます。

おわり。

東京マラソン2011・上

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先日開催された「東京マラソン2011」は、久々の晴天に恵まれました。同時に、その絶好のコンディションに後押しされて、自己記録を更新したランナーも多かったのではないでしょうか。特に、日本人男子のトップでゴールした川内選手の走りは素晴らしかったですね。川内選手の記録や内容についてのコメントは割愛しますが、これから一気に増えてくると予想される外野からの声や情報に惑わされることなく、川内選手らしいこれまでのスタイルを淡々と貫いてほしいと、陰ながら応援しております・・・。

さて、私が直接コーチする選手(市民ランナー)も川内選手同様、この「東京マラソン2011」に挑みました。具体的には、エリート女子の部に3名、一般女子の部に2名と、5名とも女性市民ランナーです。

では最初に、今回の東京マラソンに挑んだ5選手の設定タイムと実績タイムを振り返ります。

◆M・I女子選手:設定タイム/2時間37分50秒→実績タイム/2時間37分34秒(自己新記録)、◆M・Y女子選手:設定タイム/2時間49分49秒→実績タイム/2時間49分51秒(自己新記録)、◆M・S女子選手:設定タイム/2時間55分48秒→実績タイム/2時間54分18秒、◆C・I女子選手:設定タイム/3時間18分59秒→実績タイム/3時間19分23秒(自己新記録)、◆K・F女子選手:設定タイム/3時間19分59秒→実績タイム/3時間32分29秒

以上のような結果となり、ほぼ目標どおりの記録を残すことができました。特に、エリート女子の部に出場した3選手につていは、この1年間、個々に故障や体調不良に苦しむ時期もありましたが、それらの困難を乗り越えての快走でした。

至極当然のことですが、マラソンは記録や走力がアップすることに伴い、トレーニングの量や質も向上していくので、故障や体調不良に陥る確率も上がっていきます。また、上記3選手ともフルタイムで仕事をこなし、それぞれが家庭を持っている典型的な市民ランナーです。ところが、マラソンの記録を短縮していくに従って、3選手とも慢性的な故障個所を抱えてきていることも事実です。

特に、フルタイムで仕事をしている市民ランナーの場合、故障や体調不良に対する対応が適切にできないケースが多いと感じます。その最大の理由として、実業団選手(プロ)のように専属のトレーナーやチームドクターが存在しないことがあげられます。それは、身体に問題が発生した時点での適切な対応や処置が遅れることにつながり、結果的には完治や復帰させる時期を遅らせる結果にもつながるからです。

また、仮に掛かり付けの治療院があったとしても、今日電話して今日の17時に予約がとれる保証はなく、むしろ希望する日時に予約をとり、身体の治療を受けられるケースの方が圧倒的に少ないのです。更に、「なるべく立ち仕事は避けるように」とか、「車の運転は控えるように」と、治療院の先生からアドバイスを受けたとしても、仕事上それが困難なケースは多く、逆に仕事を通じて症状を悪化させることにもなり、ランニングそのものを断念する市民ランナーも意外と多いのです。

実は、上記3選手も同じような問題を少なからず抱えており、多くの市民ランナーにとっては永遠の課題なのかもしれません・・・。

次回は、エリート女子の部に出場した3選手の実績タイムをもう少し詳しく解析していきます。

つづく。

第2回横浜国際女子マラソン大会

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先日の2月20日に、「第2回横浜国際女子マラソン大会」が開催されました。この大会は、本来なら昨年11月に開催される予定でしたが、APEC横浜の開催に伴い、今月にスライドしました。従って、今回の開催は2010年度開催分となるので、今年の11月にもう一度、「第3回横浜国際女子マラソン大会」が開催されます。

・・・と、前置きが長くなりましたが、今回の大会には、私がコーチする女子選手(市民ランナー)も2名出場しました。2選手とも私がコーチする選手(市民ランナー)の中では、比較的トレーニングの流れが安定しており、更に練習量の多いグループに入る選手たちです。

更に、ふたりとも年間を通じて故障や体調不良が少なく、それは「身体が丈夫」であることの裏返しでもあります。また、至極当然のことですが、そのことはライバルより量と質をあげたトレーニングを積めることにもなり、それだけ記録に対する期待や可能性が広がってくることにもつながります。ところが、今回の結果は明暗を分ける内容となりました。

◆K選手:2時間55分49秒。◆O選手:3時間3分16秒。

実は、今回のマラソンを目指した走り込みの中では、若さと勢いのあったO選手の方に記録への期待がありました。もちろん、ベテランのK選手も自分自身の流れを崩さず堅実な走り込みを継続していました。

しかし、実際のマラソンでは、最後まで設定タイムを堅持し、力を出し切ったのはK選手でした。そして、期待のO選手でしたが、設定タイムを維持できたのは、25kまでで、その後は無念の失速・・・。

ふたりの明暗を分けた要因は様々ですが、トレーニングの段階でも設定タイムや走行距離を常に意識しながら走り込めていたのは、K選手でした。そして、O選手に関しては、若さと勢いに任せた内容が多く、逆に自分自身の調子を正確に把握することができていない感もありました。

さて、ベテランの域に入ってきたK選手が初めてサブスリーを達成したのは、2004年1月です。その後も毎年安定した結果と記録を残し続け、今回のタイムは彼女自身にとっては、なんと11回目のサブスリーでした。

一方のO選手は、昨年11月に初マラソンに挑戦し、今回が2回目のマラソンでした。ところが、O選手にとっては、今回も厳しい結果となりました。しかし、マラソンランナーとしての大切な資質である「身体が丈夫」であり、「スピード」と「スタミナ」も兼ね備えています。あとは、焦らず経験を積んでいくことが大切なポイントになるでしょう。

今回のマラソンは、自分自身の体調はもちろん、はやる気持ちを如何にしてコントロールしていけるかが重要なポイントであるかを、あらためて教えてくれました。

「ハーフマラソンは10kの延長だが、マラソンはハーフマラソンの延長ではない」

そして、コーチとしては選手への結果を求め過ぎず、腰を据えてじっくりと向き合っていくことが・・・。

第60回別大マラソン大会・下

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2月6日の別大マラソン大会に出場した6選手(市民ランナー)の設定タイムと実績タイムは前回のブログで紹介しました。今回は、目標の別大マラソン大会に向けたトレーニングの流れ及び調整のポイントを振り返ります。

と、言いながら結果的には、6選手とも同じようなトレーニングの流れと調整を実施しています。これは、コーチの私が意図的に指示した訳ではなく、個々の調子や体調を重視した結果としてのことです。つまり、その流れは、1月下旬から2月上旬のマラソンを目指しているランナーにとっては、ひとつのトレーニングパターンとして参考になると考えます・・・。

◆ポイント1).昨年11月下旬から12月上旬のマラソンで自己新記録か、それに準ずる記録をマークしている。◆ポイント2).そのマラソン後に故障や体調不良もなく、12月から年末年始のトレーニングで走れなくなるようなトラブルは無かった。◆ポイント3).別大マラソン大会の2週間前と3週間前の距離走をほぼ完璧に実施できていた。

以上のような共通したポイントに絞れますが、特に目新しいことではありませんね。では、各ポイントについて少し解説を加えてみます。

◆ポイント1の解説).「トレーニングの継続」:6選手とも夏以降、大きな体調不良等もなく、秋のマラソンに向けたトレーニングを計画的に継続できていた。◆ポイント2の解説).「自己管理の徹底」:目標のマラソンに向けて、日々の体調管理(食事や睡眠)や身体の手入れについても日常生活の中で習慣化されていた。従って、秋のマラソン後も大きなダメージもなく、通常のトレーニングを短期休養で再開できた。◆ポイント3の解説).「自身の身体と感情のコントロール」:常に全力のトレーニングではなく、メリハリを付けながらトレーニングを継続し、特にポイント練習(距離走)では、より集中していた。

さて、何度かこのブログにも記載していますが、マラソンは道具を使うスポーツではありません。そのため、「走る」だけの単調なトレーニングを如何にして継続していけるかが、最も重要なポイントになります。ところが、単調な上に、たかだた半年や1年程度の継続で目標の記録や成果を出せるほど、簡単なスポーツではありません。そして更に、焦って欲を出し過ぎると必ず怪我や故障をします。これらは、他のスポーツと大きく違う部分(上手い下手がない)であり、マラソンの難しく残酷な部分でもあります。

「努力は簡単に報われない」

今回紹介した6選手(市民ランナー)についても、試行錯誤を数年単位で繰り返しながら身の丈に合ったトレーニング方法やマラソンを体得していきました。もちろん、これからも上記記載のポイントを軸に地道なトレーニングを継続していくことこそが、重要なカギであることは間違いありません。

「継続は力なり」

このように、マラソンは自分自身の目標に到達するまで、膨大な手間と時間がかかるスポーツです。しかし、それが逆にマラソンの魅力であり、ゴール後の深い満足感や大きな達成感につながる部分なのです。

おわり。

第60回別大マラソン大会・上

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第60回の記念大会となった「別大マラソン大会」が、2月6日(日)に大分県で開催されました。私が直接コーチする選手(市民ランナー)も6名参加しました。そして、その中には女性ランナーも3名含まれています。実は、今回の60回記念大会から女子の部が新たに加わり、伝統の別大マラソン大会に、女性ランナーも堂々と出場できることになったのです。

一方で、残念ながら日本マラソン界の低迷が、ここ数年指摘されています。しかし、今回のように、伝統ある大会が積極的に間口を広げていくことは、マラソン低迷を打開するひとつのきっかけにつながると、私は信じています。

さて、今回出場した6名の選手(市民ランナー)たちも、あこがれの別大マラソン大会を目指し、昨年の秋ごろから本格的な走り込みを継続してきました。また、何度かこのブログでも指摘していますが、1月下旬から2月上旬のマラソン大会は、市民ランナーにとって、記録を狙いにくい時期と言えます。それは、目標のマラソン大会時期から逆算すると、最も走り込みが重要な時期が、1年で最も忙しい12月から年末年始にあたるからです。

今回、別大マラソン大会に出場した6名の選手(市民ランナー)たちも、様々な苦労と工夫を重ねながら地道な走り込みを継続してきました・・・。

まずは、今回の別大マラソン大会での設定タイムと実績タイムを記載します。

◆N・T男子選手:設定タイム/2時間41分59秒→実績タイム/2時間40分53秒(自己新記録)。◆H・Y男子選手:設定タイム/2時間46分59秒→実績タイム/2時間47分47秒(自己新記録)。◆K・Y男子選手:設定タイム/3時間9分40秒→実績タイム/3時間8分6秒(自己新記録)。◆M・T女子選手:設定タイム/2時間55分48秒→実績タイム/2時間55分46秒(5位入賞)。◆M・K女子選手:設定タイム/2時間57分14秒→実績タイム/2時間56分52秒(7位入賞)。◆K・F女子選手:設定タイム/3時間21分59秒→実績タイム/3時間20分58秒(自己新記録)。

以上のように出場した6名全員が、設定タイムをほぼクリヤーすることができました。・・・と、言うものの個々には、反省する部分も多々あり、この点については、次回以降のマラソンに活かしていく課題でもあります。しかし、6名とも今回の別大マラソン大会に向けたピーキングが良かったことは確かであり、それが貴重な経験と財産になったことは間違いありません。

そこで次回は、今回の別大マラソン大会に向けた、最後の調整部分を振り返っていきたいと思います。

つづく。

第30回つくばマラソン大会

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先週の栃木県・大田原マラソン大会に引き続き、茨城県・つくばマラソン大会が開催されました。今回は第30回の記念大会として、コースも新しくなり、天候にも恵まれました。

もちろん、私がコーチする選手(市民ランナー)も出場し、自己の限界に挑戦しました。はじめに主な成績を記載します。

◆H・T男子選手/2時間41分04秒(初マラソン)、Y・H男子選手/3時間1分54秒。◆M・S女子選手/2位/2時間50分20秒(自己新記録)、M・K女子選手/6位/2時間54分46秒(自己新記録)、H・O女子選手/3時間0分13秒(初マラソン)、A・K女子選手/3時間3分17秒、M・N女子選手/3時間7分39秒、K・F女子選手/3時間21分17秒(自己新記録)、T・I女子選手/3時間25分34秒(自己新記録)。・・・以上のような成績でしたが、全体的には力を出し切れたと感じました。

また、今回は久々に初マラソンに挑む選手が男女1名ずつおり、これまでと違った緊張感を持ってサポートすることができました。もちろん、その2選手とも最後までレースを投げ出すことなく無事にゴールしました。それは、選手自身にとっても貴重な経験となり、ランニングに対する視野も広くなったに違いありません。

さて、今回も富津合同マラソン練習会を中心に切磋琢磨しながらトレーニングを積み重ねてきました。しかし、毎度のことですが、同じような内容の走り込みを実施してきたにも関わらず、大会当日の調子はそれぞれが微妙に違います。至極当然のことですが、その微妙な違いを修正しながらマラソン当日に調子を合わせていくのがコーチの役目であり、コーチの手腕を問われるところでもあります。

ところが、今回のつくばマラソン大会に向けた各種練習会の中で、その見極めの甘い部分がありました。実は上記の結果は、コーチとして自己記録更新が可能であると期待できた選手と、かなり難しいと思われた選手の結果が、逆になってしまった選手がいました。それはコーチとして、大いに反省する点でもあります。

具体的には、調子のピークが下降に入っていた選手に対し、前半から積極的なラップを刻んでいく指示をし、後半の失速につながった選手がいました。また、逆に調子が上がってきている選手に対し、より慎重に走る指示をしたため、ゴール後も力を残している選手がいました・・・。このようにコーチとしては反省の多い大会となり、最終調整での見極めの難しさを再認識させられました。

そして、今大会を目指してきた各選手のトレーニング計画や実績から調子の流れを分析し、富津合同マラソン練習会をはじめ各種練習会で注視するポイントを修正していきたいと思います。

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