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第32回大阪国際女子マラソン

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【第32回大阪国際女子マラソン】今年、モスクワで開催される第14回世界陸上競技選手権の日本代表選考競技会を兼ねた今回の大阪国際女子マラソンに私の選手(市民ランナー)も2名出場しました。

当日のコンディションは、気温が6度前後で風もほとんど無いとの公式発表でした。しかし、実際に沿道で応援した感じでは、風は逆にかなり強く、途中で小雪が舞うなど、体感温度はもっと低く、厳しいコンディションだったと思います。

今回出場した私の2選手は、昨年11月のマラソンで不本意な結果に終わった選手たちです。その後、気持ちを切り替えて2月末の東京マラソンを目標に走り込みを続けています。今回、大阪での目標は、11月のマラソンで失敗したイメージを早く払しょくすべく、実際のレースを活用してペース走的な感覚で、最後までしっかりと走り切ることでした。

実は、マラソンを目指して走り込みを続けていく段階で、いくつかのタイプに選手を分けることができます。もちろん、私が経験的につかんだことなので、絶対ではありません。

◆タイプ1).スピードがあり、スタミナもある。◆タイプ2).スピードがあり、スタミナがない。◆タイプ3).スピードはないが、スタミナがある。

もっともっと細かく分類できますが、大きく分けると上記の3タイプにほぼ当てはまります。タイプ1は、誰が見ても理想的ですが、このようなタイプはマラソンの歴史を振り返っても多くはいません。では、タイプ2とタイプ3についてですが、一見するとタイプ2の方が将来性はあるように感じます。

ところが、実際に選手たちの走り込みを見ていくと、タイプ2は、「スタミナが付きにくく、スタミナが抜けやすい」と、長い距離への移行が難しいケースも多く、苦労する選手がほとんどです。逆に、タイプ3の選手は、走り込みの量と質がそのままマラソンのタイムに反映されていくケースが多く、マラソンでは安定したパフォーマンスを残している選手が多いと感じます。(市民ランナーも含めて)

また、タイプ1は、タイプ2の選手が苦労してたどり着いた姿とも言えます。しかし、実際のマラソンでは、30k以降に大きく失速するパターンを何度も繰り返し、スピードランナーと言われた多くの選手たちは、道半ばでマラソンへの移行を断念するケースも意外に多いと感じます。(市民ランナーも含めて)

さて、前置きが長くなりましたが、大阪を走った私の2選手は、タイプ2の選手です。市民ランナーですが、スピードがあり、長い距離もしっかりと走り込むことができています。しかし、実際のマラソンでは、練習量に見合った目標どおりの走りがうまくできないケースが多く、2選手ともその点は苦労しています。

はたして、今回の大阪でも35kから失速し、目標タイムでゴールすることはできませんでした。しかし、昨年11月のマラソンより調子は好転しており、2月の東京マラソンに向け、明るい兆しは見えました。

毎度のことですが、マラソンは奥が深く、うまくいかないケースばかりです。しかし、最後まで粘り強く走り込み、粘り強く最後までマラソンを走った選手が成功します。今回、優勝したガメラシュミルコ選手のように、最後の最後まであきらめない粘り強い姿を見習いたい…。

第66回福岡国際マラソン選手権大会

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【第66回福岡国際マラソン選手権大会】先日の12月2日(日)、国内最高峰のマラソン大会である「第66回福岡国際マラソン選手権大会」が開催されました。ロンドンオリンピック代表の藤原選手と公務員ランナーの川内選手との直接対決で何かと話題の多い大会でしたが、日本人トップは旭化成の堀端選手が2時間8分24秒の自己新記録での2位でした。

私も久々に現地にて応援をしましたが、曇り空でほぼ無風のコンディションに、記録への期待を込めての応援となりました。さて、私の選手は3名出場しましたが、3選手とも参加資格はマラソンを2時間42分以内のBグループです。そのため、スタートは平和台陸上競技場ではなく、隣の大濠公園となります。

実は、私自身にとっても大濠公園から選手を見送るのは初めての経験ですが、人数的に言うと、今回エントリーしたほとんどの選手は、この大濠公園からのスタートになります。また、今大会のようにスタート地点を分けてのスタートは、実際にどのようにスタートしていくのか、様々な視点から興味がありました。しかし、大濠公園からのスタートは陸上競技場とは違い、どの選手もスタート直前まで応援にかけつけた家族や仲間たちと談笑したり記念写真を撮ったりと、とてもリラックスした様子でした。

12時10分、号砲と共に一斉に福岡の街に駈け出していきました。途中、地下鉄を乗り継いで選手を応援しましたが、女子選手の応援と違って、スピードが速いのでゆっくり応援する時間はありません。数ヶ所のポイントで声をかけた後、ゴールの平和台陸上競技場に戻りました。果たして、私の3選手とも無事にゴールし、2選手は自己新記録をマークすることができました。

また、私がもうひとつ注目していた点として、川内選手を除く市民ランナーたちの中から何人の選手が「2時間20分」を突破してゴールするかです。しかし、残念ながら今回はそれに該当する選手はいませんでした。沿道で応援していると、ちょうど2時間20分突破を狙っている20数名の集団は形成されていたのですが…。

個人的な考えですが、高校時代や大学時代に陸上競技選手としての実績がほとんどない純粋な市民ランナーたちの中から「2時間20分」を突破できるランナーが次々に輩出される流れになったときが、本当の日本マラソン界の底上げだと思います。

と、言いながらマラソンの楽しみ方や価値観は様々です。同時に、仕事や家庭との合間をぬって走り込みを積み重ねている市民ランナーが、「2時間30分」を突破することも並大抵の努力ではありません。しかし、更にその上の「2時間20分の壁」に向かって本気で挑戦する市民ランナーが多くなることを期待するのと同時に、可能な限り応援していきたいと、強く感じた久々の福岡でした…。

福知山&つくばマラソン大会

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【福知山&つくばマラソン大会】先日の3連休は全国各地で数多くのマラソン大会が開催されました。私も京都で開催された「福知山マラソン大会」と茨城で開催された「つくばマラソン大会」の2大会に足を運び、現地にて直接応援してきました。

今回、23日(金・祝)に開催された福知山マラソン大会、2日後の25日(日)に開催されたつくばマラソン大会ともにコンディションは良好でした。特に、2大会ともほぼ無風状態と、前週に開催された横浜国際女子マラソン大会とは正反対のコンディションとなり、どちらも好記録への期待が高まりました。

福知山マラソン大会では、視覚障害者マラソンの日本選手権も兼ねており、狙いどおりの好記録が誕生しました。特に、ロンドンパラリンピック日本代表の和田選手(全盲クラス)が、2時間36分32秒のアジア新記録&日本新記録をマークしたのをはじめ、期待の若手もキッチリと記録を残してくれました。

一方、つくばマラソン大会では、私がコーチする選手も6名出走しました。女子の部では、M・Sさんが堂々の3位入賞を果たしました。また、男子の部では、41歳のM・Kさんが、2時間52分27秒の大幅自己新記録。更に52歳のK・Kさんが、3時間4分44秒のこれまた自己新記録。同じく、51歳のK・Yさんも3時間6分32秒と目標を達成し、地元で一緒に走り込みを積んできた同世代のランナーたちへの熱いメッセージとなりました。

さて、前回もこのブログで取り上げましたが、マラソンはその日の天候に大きく影響を受け、天候の良し悪しが記録に直結するスポーツです。更に、レース中は常に暑さや寒さ等々、様々な状況に遭遇しますが、なかでも風による影響は記録に最もダメージを与える要因のひとつです。

また、私の経験上の話しになりますが、好調に仕上がった選手ほど当日の天候に左右される確率が高いと感じます。その理由はいくつかありますが、物を切る刃物に例えると理解し易くなります。すなわち、好調に仕上がった状態をカミソリとし、やや重い状態に仕上がった状態をナタとします。カミソリの場合、鋭い切れ味で物をきれいに素早く切ることが可能ですが、刃こぼれをし易く、切れる物が限定されます。一方、ナタの場合、鋭い切れ味と言うより、切りにくい物に対しても威力を発揮し、刃こぼれも少なく丈夫なつくりになっています。

これをマラソンに置きかえた場合、カミソリのように仕上がりが良かった場合、天候が少しでも悪い方に傾くと、一気に切れ味が悪くなり、失速していきます。逆に身体にキレのないナタのような仕上がりは、天候が悪い方に傾いても切れ味への影響は少なく、更にその状態を長くキープして後半に入っても粘れるケースが多いと感じます。

実は、先週の横浜国際女子マラソン大会では、好調に仕上がり期待していた3選手は強風にあおられ見事に失速し、逆に最後まで調整に苦しんだ他の3選手が目標どおりの走りを見せました。今回の2大会に出場したランナーたちの記録が当日の天候にどの程度影響を受けていたかは、もう少し解析する必要はありますが、絶好の天候により全員が良い方向に影響したことは間違いありません。

私が現役の頃からもトラックはカミソリのような仕上がり、マラソンはナタのような仕上がりが良いと言われてきました。今後は、この点をより具体的なデータとして実際の調整期に落とし込んでいくことが重要なポイントになると考えます。

しかし、これが最も難しい…。

第4回横浜国際女子マラソン

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【第4回横浜国際女子マラソン】先日の11月18日(日)、第4回横浜国際女子マラソンが開催されました。結果は、ケニアのチェロメイ選手が15k過ぎから独走し、強風が吹き荒れる悪コンディションの中、2時間23分7秒の大会新記録で圧勝しました。

2位は、日本人トップとなる那須川選手でしたが、チェロメイ選手から1k弱も離される内容に評価も様々でした。また、私がコーチしている選手も6名出場しましたが、今回は厳しい結果となりました。

さて、マラソンは、ひとつのマラソンのために膨大な量を走り込んでいく競技なので、ひとつのマラソン大会に向けた準備期間の長さも他の種目とは比較になりません。ところが、どんなに良い練習を積み重ね、絶好調に仕上がったとしても、記録はその日のコンディション(天候)に大きく左右されるスポーツでもあります。

また、マラソンを少し違う角度から見ると、登山に似ていると感じます。特に、富士山をこえるような標高の高い登山に近い気がします。つまり、目指している大きな山に向け、どれだけトレーニングを積んでも、最新の装備を準備しても、登頂成功の有無を決める重要なカギは、その日の天候です。同時に、どんなに経験豊富な登山家でもその日の天候を変えることはできないのです。したがって、最終的には運を天に任せる状態となります。

実は、マラソンも同様のことが当てはまるスポーツなのです。今回の横浜国際女子マラソンに向け、ほとんどのランナーは夏頃から走り込みを開始しています。もちろん、万全の調子に仕上げてきたランナーも多かったはずですが、今回の強風を変えることはできませんでした。

特に、オリンピックや世界選手権の日本代表を目指すことが難しい市民ランナーの目標は、順位ではなく「記録」となります。そのため、悪天候になったからと言って、勝負に徹するようなことはあり得ません。それだけに、当日の天候は最も重要であり、記録を目指す上での最重要事項とも言えます。

更に見方を変えると、今回の横浜国際女子マラソンが開催される日は、毎年11月の第3日曜日となっています。実は、この日の天候を振り返ってみると、今回のような強風だったり、ミゾレに近い冷雨だったり、逆に高温だったりと、天候が安定しない代名詞となっているような日なのです。

私自身もこれまであまり注意していませんでしたが、今後は目標のマラソン大会当日の天候がどのようになるのかをもっと注視していく必要があると、強く感じております。マラソンは登山に似ていると話しましたが、同じ悪天候でも登山は登頂する日をずらすことができます。しかし、マラソンはスタートする日時が決まっているので、どんな悪天候だったとしても必ずスタートします。

今後は、マラソンを目指す上で過去の天候等の分析も重視し、天候が悪化するリスクの高いマラソン大会には最初からエントリーしないことも必要なのかもしれません。

荒川30k

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【荒川30k】10月14日(日)、東京都荒川の河川敷において、30kの大会が開催されました。しかし、この大会は普通の大会とは目的や趣旨が若干違います。それは、目標のマラソン大会に向け、走り込みの一環として開催している点です。具体的には、1kを4分15秒ペースから7分00秒までのペースメーカーをたてたグループ毎にスタートし、それぞれのペースを維持して30kを走ります。

実はこのような方法は、私が主宰している富津合同マラソン練習会と同じスタイルであり、多くのクラブチームの練習会で実施している内容でもあります。ところが、どこの練習会にも共通している点として、ペース感覚の優れたペースメーカーをコンスタントに確保することは意外と難しく、常に悩みのタネになっている点です。

また、練習会に参加いただいている多くの市民ランナーは、速い人はどんなペースでもペースメーカーを務められると思っていることが多く、そのような期待をしています。ところが、箱根駅伝や実業団選手として活躍したエリートランナーの多くは、市民ランナーが思っているほど、「ゆっくり走る」ことに慣れていません。具体的には、1kを4分30秒ペースより遅いペースになってくると、逆にそんなにゆっくり走った経験が少ないため、ペースを一定に保つことが難しいこともあります。

実際に私が主宰する富津合同マラソン練習会でも現役学生選手に4分30秒や5分00秒のペースメーカーをお願いすると、速くなる傾向にあります。したがって、速いランナーが遅いペースを引っ張っていくことは、多くの市民ランナーが考えているほど簡単なことではないのです。

しかし、今回の荒川30kでは、そんな不安を抱く必要のない素晴らしい方々が各グループのペースメーカーをキッチリと務めていました。もちろん、参加人数も回を重ねるごとに増加しており、今回は4343人と普通の大会並みの規模になっています。そして、私が担当したグループは1kを6分30秒のペースでしたが、436人のランナーと一緒で、かなりの人数でした。

更に、この大会のもうひとつの特徴は、実際のレースと同じ方式で給水を準備してある点です。マラソンを攻略していく上で最重要項目のひとつに給水があります。これは誰もが知るところですが、実際に走りながら水を飲むことは簡単ではありません。それをこの荒川30kで体験できる点は、重要なポイントです。なぜなら、集団の中にいながら給水を取りにいく難しさや、給水している間にペースメーカーから遅れていく距離感は実際のレース経験からつかんでいくしかないからです。

さて、今回参加された皆様方は、どんな経験をしたでしょうか?

予定より速いグループについていき、残念ながら途中でグループから脱落した方もいたことでしょう。また、ゆとりを持って走ることの重要性に気が付いた方もいたことでしょう。今回の荒川30kは、目標のマラソン大会に向けた貴重な経験と、自分自身の適正ペース等を考える機会になることは間違いありません。

そして、今回の経験を目標のマラソンレースで、少しでも活かしていただければと願っております…。

第29回富里スイカロードレース大会

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6月24日、千葉県富里市において「第29回富里スイカロードレース大会」が、開催されました。この大会は、富里市の名産であるスイカを給水にするユニークなアイディアで、1万人以上のランナーが参加する大きな大会となりました。

また、この時期は気温や湿度も一気に高くなりますが、安全面も考慮してかメイン種目は10kまでとしてあるのも特徴です。同時にマラソンブームが高まり、ハーフマラソンをメインにする大会が増えている中、10kまでの距離で1万人以上のランナーが参加する大会は国内屈指ではないでしょうか。

さて、私がコーチする選手(市民ランナー)たちも毎年参加しておりますが、今年は参加申込が抽選となったため、涙をのんだ選手もいました。そんな中、なぜか、私の女子選手はほぼ全員が抽選に当たっていました(笑)。

このブログでも記載しておりますが、この時期は「スピード養成期」と位置付け、積極的にトラックや10k以下の短い距離のロードレースを走る期です。もちろん、私がコーチする選手(市民ランナー)たちもこの流れに沿って日々のトレーニングに励んでおります。

今回の富里スイカロードレース大会は、スピード養成期の後半にあたり、積極的に短い距離を走ってきたこれまでの成果を見極める意味でも重要視していました。

結果は下記のとおり、参加した選手全員がほぼ予定どおりの内容でした。また、ロンドンパラリンピック代表候補選手である弱視の岡村選手も40歳以上男子10kの部で大会新をマークし、断トツの優勝でした。

◆一般女子10kの部:優勝/H・Y選手/36分23秒(大会新)、2位/M・S選手/38分16秒、3位/M・S選手/38分56秒、5位/A・K選手/39分14秒、6位/M・K選手/39分33秒。◆40歳以上女子10kの部:優勝/M・Y選手/38分10秒(大会新)、2位/A・K選手/39分32秒。

この大会は毎年、気温や湿度が高くなるのも特徴で、今回もかなり厳しいコンディションとなりました。実は、スピード養成期と言って、インターバル系のトレーニングばかりでは、逆に思うような成果はでません。

それは、今回のような過酷なコンディション下では、スピードと同様にスタミナも要求されるからです。そのため、スピード養成期のトレーニングにおいても、ある程度の距離走やペース走を取り入れておかないと、実はスピードも効率よくアップしていかないのです。※この点の詳細については、あらためて、このブログにもアップしていく予定です。

今回、この点のバランスを見極めることができたことは、大きな収穫でした。そして、秋からのマラソンシーズンに向け、これから本格的な走り込みに入っていけそうです。

横浜駅伝大会

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先日の4月30日に横浜駅伝大会が開催されました。この駅伝大会は今回で24回目と、ランニングブーム以前から開催されている市民駅伝大会です。しかも区間数や距離は高校駅伝と同じ7区間42.195kと本格的です。したがって、ランニング経験の浅いランナーたちが、軽い気持ちで出場するには少しハードルが高い駅伝大会と感じます。

ところが、ここ数年のランニングブームは全国各地で開催されている各種駅伝大会にも波及し、この大会も今年は650チーム以上のエントリー数となりました。

大会は鶴見川にある河川敷のランニングコースで開催されます。具体的にはスタート及びゴール地点と各区間の中継点は全て同じ地点にし、その中継点をさかいに上流と下流に設置してあるそれぞれの折り返し地点を往復するコースです。そのため、応援する側にとっては、常に同じ場所で全区間を応援できるため、とても盛り上がります。

そして、私がコーチするチームも男女混合の部(奇数区間が男子、偶数区間が女子)に3チーム出場しました。結果は、3チームとも6位入賞をはたし、AC・KITAチームは7連覇を達成することができました。

もちろん公式な大会ではないので、特に何がある訳でもありません。しかし、同じ大会で連続して勝ち続けることは、選手(市民ランナー)やチームにとっても大きな自信につながります。特にこの駅伝大会は区間数が多く、区間毎の距離も長いので、チーム全員がそれぞれの区間をキッチリと走ることが必要不可欠となります。また、メンバーに起用した選手は7区間中4名が初出場と、来年以降につながる内容でした。

さて、この駅伝大会を毎年応援していると、様々なことを感じます。特に、チーム数が増加し、トップ争いのチームと楽しみながら走る下位チームとの差が年々大きくなってきている点です。その結果、同じコースを繰り返し走るため、コース上に区間違いのランナーが多数混在し、上位チームは常に下位チームを追い抜く展開となります。

そして、この展開こそがこの駅伝大会を攻略していく上で最も難しい点のひとつと感じます。それは、後ろからゴボウ抜きをしている展開なら誰でもスピードに乗っていけるように見えます。ところが、この駅伝大会ではゴボウ抜きに近い状況となる後半の区間に配置している選手ほど、設定タイムどおりに走れません。少なくとも7連覇の経験からそう感じます。

もちろん、いくつかの要因はありますが、大きな要因のひとつとしてゴボウ抜きをしているチームが、自チームより前を走るチームではなく、下位を走るチームである点です。その結果、本来のスピード感覚より遅い方に感覚がずれ、ゴボウ抜きをしているにも関わらずスピードは上がらない負の連鎖にはまるのです。

実は、正月の箱根駅伝やニューイヤー駅伝でも似たような展開があります。例として、1区からトップでタスキを受けた選手が2チームに抜かれて3位で次の3区につないだとします。一方、下位の方でタスキを受け、10チームを抜いて7位まで引き上げた選手がいたとします。

この2選手の区間順位を比較したとき、2チームに抜かれて3位に後退したにも関わらず区間順位も3位。ところが、10チームを抜いて7位に躍進したが区間順位は6位と、見た目の走りと実際の区間順位が違うケースは意外と多く、区間順位はタスキを受け取った順位に影響を受け易いのです。それだけに、後方からタスキを受け取って、区間上位に食い込むことは相当な走力と共に、自分自身を追い込める強い精神力も要求されるのです。

以上のように、横浜駅伝の後半区間の選手は、常に後方からタスキを受け取るような展開になり、自分自身の力を出し切ることが難しいと感じます。しかし、逆にそのことが選手のメンタル面を強化することにもつながり、目標のマラソンにも生きてくると…。

第22回かすみがうらマラソン大会

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「第22回かすみがうらマラソン大会」が、茨城県土浦市で2年ぶりに開催されました。この大会も回を重ねる度に規模は大きくなり、今年の参加者は何と2万7千名をこえ、国内3番目の大会へと成長しました。

また、この大会は国際盲人マラソン大会も兼ねており、特に今年はロンドンパラリンピック日本代表推薦選考でもありました。今回、その選考対象となる部門には7名の視覚障害者ランナーが挑戦しました。

日本人トップは、アテネパラリンピック金メダリストであるT11クラス(全盲)の高橋勇市選手でした。既に大ベテランの域に入っていますが、ここ一発の集中力と狙った大会に調子を合わせるピーキングは他の選手を圧倒していました。

その高橋選手のトレーニング方法は、狙ったマラソン大会に向け、たくさんのレースに出場していきます。そして、レースでの実戦をトレーニングと位置付けながら狙ったマラソン大会に調子を合わせていく調整で数々の実績を残してきた選手です。

一方、今大会の総合優勝は、あの川内優希選手でした。記録は2時間22分38秒と平凡でしたが、40kからの2.195kは6分9秒と、驚異的なスパートでカバーし、力の違いを見せつけました。しかし、実績のある選手が、格下のレースに出場すると様々な批判を受けるケースも多々あります。また、下手な成績を残すと、更に批判を受けるケースも多いので、実績を残せば残すほど好きなレースに出場していくことは難しくなります。

ところが、川内選手はそんな周りの言葉に惑わされることなく、自分自身のマラソンに対する理論と情熱で突き進んでいます。実は、全盲の高橋選手もこの点は似ていると感じます。

特に、レースを「質の高いトレーニング」と位置付け、思い通りのランニングライフを満喫しながらレベルの高い実績を残している点は二人に共通しています。

また、二人とも何かと話題の多い選手と感じますが、自分自身の考え方の軸が絶対にブレません。このメンタル面の強さこそが、数々の大きな実績を残してきた大きな要因のひとつに違いありません。

そして、これからも二人はマラソン界の常識を覆していくような快走を見せてくれることでしょう。

2012名古屋ウィメンズマラソン

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女性ランナーだけに限定した「2012名古屋ウィメンズマラソン」が、盛大に開催されました。また、この大会は、昨年までの名古屋国際女子マラソンを引き継ぐ大会です。そのため、今回はロンドンオリンピックの国内最後の選考レースでもありました。

その結果は既にご存知のとおり、尾崎選手が日本人トップでゴールし、ロンドンオリンピックの代表切符を見事につかみました。また、ロンドンオリンピックに向けた代表選考レースはかつてない注目を集め、何かと話題の多い選考だったと思います。

そして、その中心だったのが、川内優希選手であることは誰もが認めるところです。しかし、残念ながら川内選手は代表入りを果たせませんでしたが、その果敢な走りと自己の結果に対する厳しいコメントは、これまでの常識だった壁をいくつも突き崩したと感じます。

そのひとつは、代表選考レースに複数回挑戦したことです。これにより、実業団選手や代表有力候補とされる選手までもが、再挑戦する姿が数多くありました。その結果、今回の名古屋で快走した尾崎選手は再挑戦での代表入りとなりました。一方で、堀端選手や赤羽選手は裏目に出てしまった感も残りました。いずれにしろ、これまでの代表選考に比べ、透明感は格段に増したように思います。

そして、川内選手が残した最も大きな功績は、マラソンで日本代表になれる可能性は誰にでも平等にあることを示した点ではないでしょうか。具体的には、どんな生活スタイルやトレーニング環境であろうと、記録と結果が伴えば、必ず道はひらけることを証明したことです。

実は、どのスポーツもチャンスは平等にあると思いがちですが、よく分析していくと多くのスポーツが必ずしもそうではありません。しかし、マラソンは過去の実績や経験に関係なく誰でも選考レースに出場できるチャンスがあります。そして、たとえ無名のランナーであってたとしても記録と結果を残せば日本代表入りは実現します。これは、他のスポーツではほとんどあり得ないことです。そして、この極めてシンプルな仕組みを川内選手があらためて示したのです。

さて、今回の名古屋では1万人以上の女性市民ランナーが参加しました。これだけでも画期的なことだと思いますが、サブスリーを達成したランナーも90名をこえていました。もちろん、全体から見た割合は少ないですが、女性市民ランナーのレベルは確実にアップしています。

また、私の個人的な意見になりますが、女性ランナーは子供を出産した後、30代から力を発揮しているケースがとても多いと感じます。また、学生時代に陸上競技経験の有無がマラソンのパフォーマンスに直結しない点も女性ランナーの大きな特徴でもあります。残念ながらこの点は、男性ランナーにはあまり当てはまりません。

このことから川内優希選手のようなランナーは、実は女性市民ランナーから現れてくる可能性の方が高いのではないでしょうか。あくまでも個人的な意見ですが、次回のオリンピックあたりから、子育てをしている専業主婦から日本代表に名乗りをあげる女性市民ランナーが出現してくるかもしれません。

大いに期待したいと思います・・・。

2012東京マラソン

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絶好のコンディションに恵まれた「2012東京マラソン」でしたが、まさにそのとおりの素晴らしい大会となりました。特に、男子の部については、ロンドンオリンピックの代表選考レースのひとつになっており、藤原新選手が見事な走りで、代表切符の1枚をほぼ手中におさめました。

そして、公務員ランナーとして注目を集めている川内優希選手は惜しくも14位でしたが、その果敢な挑戦は今後も日本マラソン界を牽引していくに違いありません。

また、既にご存知のとおり、藤原新選手と川内優希選手に共通している点として、強いチームに所属せず、マラソンに向けた取組み全てをたったひとりで切り盛りしていることです。一見すると、市民ランナーの誰もがしていることなので、至極当然のような感じを受けます。しかし、あれだけの注目を一身に集め、応援される以上に批判も受けながら自身の目標に突き進んでいく精神力は、逆に「プロ選手」と言えるでしょう。

仕事や家庭を理由にマラソンの結果を振り返るランナーが圧倒的に多い中、藤原新選手と川内優希選手がマラソンで見せた走りや各会見でのメッセージは、マラソンを攻略していく上で何が最も大切なのかを問いかけているようにも感じます。(先日の別大マラソンで快走した猫ひろし選手も同様)

そして同時に、日本の男子マラソンは長期にわたり低迷していましたが、ふたりの取組み姿勢やその走りは、男子マラソンを再び上昇気流に乗せる風穴をあけました。もちろん、この良い流れが、更にロンドンオリンピックまで続いていくことを信じています。

さて、私がコーチする選手(市民ランナー)たちもこの東京マラソンに出場し、自己の記録に挑戦しました。主な記録は次のとおりです。

◆男性市民ランナー:M・K選手/2時間59分28秒(自己新記録)。◆女性市民ランナー:H・Y選手/2時間50分40秒(セカンド記録)、M・Y選手/2時間52分33秒、C・I選手/3時間12分57秒(セカンド記録)。

なかでもM・K選手(男性市民ランナー)は、数年前から何度もサブスリーに挑戦し、ことごとく3時間の壁に押し戻されていました。今回の東京マラソンでもサブスリーを目標に地道な走り込みを積み重ねてきましたが、ようなく念願のサブスリーを達成しました。

特に、東京マラソンのコースはスタートから5k過ぎまで下りが続きます。そして、35k以降はアップダウンが続きます。したがって、このコースは出足の5kをどのように走るかが最も重要なポイントのひとつになります。

今回、初のサブスリーを達成したM・K選手は、多少のスタートロス時間もありましたが、この出足の5kが全体の5k毎ラップタイムで最も遅いタイムと、力を温存しながらうまく下り切りました。そして、前半のハーフを1時間29分55秒で通過し、後半のハーフを1時間29分33秒と、スタートからゴールまで見事なイーブンペースを貫いての目標達成です。

マラソンは、一定のペースで最後まで走り切るのが最も効率的です。ところが、前半を抑えていくことは、かなりの勇気と我慢が必要になります。特に、東京マラソンのような数万人規模で走る大会は、周りに惑わされて自分の設定ペースを見失う確率が高くなります。しかし、M・K選手は自分自身のペース感覚と我慢を富津練習会等で体得し、東京マラソンの舞台で見事に発揮したのでした。

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