【春を走る・11】5月7日、東京国立競技場において「日本選手権10000m」が開催されましたが、同大会の女子10000mには、富津合同練習会で切磋琢磨している山口遥選手も出場しました。
ご存知のとおり、同大会は国内最高峰に位置付けられている大会なので、参加標準記録も国内最高レベルであり、実業団選手をもってしても簡単に参加することはできない大会です。そんなハイレベルな大会に彼女は、今年で3年連続の出場になりました。
また、女子10000mにエントリーしている選手の中において、実業団(駅伝強豪大学も)に所属していない選手は彼女だけです。もちろん、同大会に出場できることだけでも名誉なことなのに、昨年は8位入賞を果たしております。
そして、今年の目標は順位よりも記録を意識しました。具体的には「31分台」、イーブンペースの展開なら「31分40秒前後」を……。しかし、当日は湿度が高く、長距離には厳しいコンディションだったこともあり、結果は「32分20秒33」の記録で、8位入賞。目標記録には届きませんでしたが、2年連続の入賞は「すごい!」の一言です。
さて、日本選手権のようなタイトルのかかった大会は、各地で開催されている記録会や競技会とは雰囲気が異なります。長距離種目の場合、スタート直後からレースのかけ引きがはじまります。同時に、出場している選手個々が背負ってきた思い(欲望)やプレッシャーが、複雑に絡み合います。
とくに、日本代表選考大会に指定されている場合、確実に代表入りを狙う大本命の選手や、一発逆転を狙って捨て身で挑む選手が直接ぶつかり合うので、個々のレースプランや目標と、かけ離れたレース展開になるケースが多いと感じます。また、言い方を変えるなら、ライバルと競い合うことで逆に、持てる力を「発揮できない、阻止される、つぶされる」……。
しかし、男女とも優勝(2位まで)したのは、東京五輪代表選手たちでした。もちろん、下馬評の高い選手たちもいましたが、東京五輪代表選手たちを倒すことはできなかったのです。やはり、東京五輪代表選考を勝ち抜き、さらに大会当日までの長期間にわたって国民からの期待を背負わされ、様々な風評にさらされながらトレーニングを重ねた経験と実績や、その精神力は他の選手たちとは次元が違うのでしょう……。
最後になりましたが、出場された選手の皆様、今年も見ごたえのある素晴らしいレースと感動をありがとうございました。
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