【春を走る・13】全国各地で陸上競技会や記録会が盛り上がる季節に突入しています。まさにトラックシーズン真最中でしょうか。そして、これも毎年のことですが、この季節は短距離などの種目におても好記録のニュースが耳目に触れます。
もちろん、私は長距離マラソンが専門なので、それ以外の陸上競技種目については素人同然ですが、とても興味関心を持っております。特に、種目によって必要になる能力が全く異なる点は、野球やサッカーなどのスポーツと大きく違う点でもあり、おもしろいと思います。
具体例として、中距離選手とマラソン選手を比較しても、必要とされるその能力はかなり違うと思いますが、マラソン選手と投てき選手では全く異なります。したがって、マラソン選手が砲丸投の種目に出場することはあり得ないし、その逆もありません。
しかし、これが野球選手の場合、打者と投手に大きくわかれますが、投手が打席に立つこともあるし、打者でもマウンドに立つ選手もいます。また、高校や大学などで野球部といえば、みんな仲間であると感じますが、陸上部の場合、上記したように長距離選手と投てき選手の接点はほぼありません(個別の友人関係は別)。
同様に、指導する側のコーチなどの専門知識も大きく異なるので、指導者間の接点も極端に少ないのが現状でしょうか。そのため、高校や大学、さらに実業団チームなどで陸上部と掲げているにも関わらず、実態は長距離選手のみが所属し、それに特化した活動だけのチームも多数存在します(良し悪しは別)。
あらためて陸上競技は、人間が己の身体のみを使ってシンプルに、「どれだけ遠くに投げられるのか?」「どれだけ遠くに跳べるのか?」「どれだけ速く走れるのか?」を極める競技です。そのため、求める能力が種目ごとに大きく異なるので、長距離選手として活躍しながら、片手間に投てき選手としてトップに君臨することは、ほぼ不可能な競技といえるでしょう(十種競技の選手はかなり近いが……)。
さて、6月は陸上競技の日本選手権大会が開催されますが、駅伝やマラソンなどのロードレース大会の応援は、目の前を一瞬で通り過ぎれば終わります。しかし、日本選手権大会は競技場のスタンドから全ての種目を最初から最後まで応援することができます。
日ごろ、コツコツと走り込んでいる市民ランナーの皆様も、鍛え抜かれた超人たちが競い合う陸上競技をぜひとも観戦してほしいと思います。
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