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2023夏を走る・11

【2023夏を走る・11】8月4日から北海道北見市において強化合宿を実施しましたが、現地入りした当日から天候は雨が続き、気温も20度を下回る日が続きました。したがって、選手たちは35度を超える猛暑の中で走り込んでいたので、気温が一気に20度近くも下がった環境にさらされることになりました。

もう少し具体的な表現をすると、ウォーミングアップからランシャツ・ランパンで過ごせた環境から、いわゆるウインドヴレーカーを着用していないと、体が温まらない環境です。

このようにコンディションは一気に暑いから寒いへ激変しましたが、「人は楽な方にはすぐ慣れる」とも言います。案の定、合宿2日目に実施した40k走より、後半に実施した32k走の方が個々の動きもタイムも好転しました。もちろん、疲労がたまってきている状態にもかかわらず……。

同じように暑いから寒いへの事例としては、秋からのマラソンや駅伝・ロードレースで戦うための「夏の走り込み」でしょうか。これについては、もはや日本長距離界の慣習ともいえます。要は、あえて夏の暑い季節に走り込みを実施しておくと、涼しくなっていく秋以降に向かって調子は上がっていくサイクルです(詳細は割愛)。

このように、マラソンや長距離の競技特性上、暑いコンディションよりも涼しいコンディションの方がパフォーマンスは確実に向上します。したがって、夏(暑い)から秋・冬(寒い)に向かっていく季節の流れに対しては、確立されたトレーニング理論や方法論が数多く存在します。

一方、目標にした大会などが真夏の場合、そのトレーニング方法などは、いまだ手探りの状態が続いているともいえるでしょうか。その理由はいくつかありますが、まずは選手個々の暑さに対する適応力差が大きいことです。具体例としては、秋冬マラソンの走り込み期における距離走やその設定タイムなどは多くの選手に合致しますが、夏の走り込み期に対してはその法則がほぼあてになりません(私の経験上)。

つまり、選手個々の暑さに対する「強い弱い」が色濃く出るからです。また、昨年の夏は、しっかり走れた選手でも「今年の夏は全く走れない」というように、暑いコンディション下においてはパフォーマンスの再現性も難しいと感じます。

さて、我々が最大の目標にしているパラリンピックは夏に開催されます。前述したとおり、再現性の難しい夏の大会ですが、最も重要な大会です。そして、東京パラ同様、メダル獲得の再現を達成することが目標になります。

まずは、今月27日に開催される夏の北海道マラソンで……。

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