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マラソンブーム

2012名古屋ウィメンズマラソン

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女性ランナーだけに限定した「2012名古屋ウィメンズマラソン」が、盛大に開催されました。また、この大会は、昨年までの名古屋国際女子マラソンを引き継ぐ大会です。そのため、今回はロンドンオリンピックの国内最後の選考レースでもありました。

その結果は既にご存知のとおり、尾崎選手が日本人トップでゴールし、ロンドンオリンピックの代表切符を見事につかみました。また、ロンドンオリンピックに向けた代表選考レースはかつてない注目を集め、何かと話題の多い選考だったと思います。

そして、その中心だったのが、川内優希選手であることは誰もが認めるところです。しかし、残念ながら川内選手は代表入りを果たせませんでしたが、その果敢な走りと自己の結果に対する厳しいコメントは、これまでの常識だった壁をいくつも突き崩したと感じます。

そのひとつは、代表選考レースに複数回挑戦したことです。これにより、実業団選手や代表有力候補とされる選手までもが、再挑戦する姿が数多くありました。その結果、今回の名古屋で快走した尾崎選手は再挑戦での代表入りとなりました。一方で、堀端選手や赤羽選手は裏目に出てしまった感も残りました。いずれにしろ、これまでの代表選考に比べ、透明感は格段に増したように思います。

そして、川内選手が残した最も大きな功績は、マラソンで日本代表になれる可能性は誰にでも平等にあることを示した点ではないでしょうか。具体的には、どんな生活スタイルやトレーニング環境であろうと、記録と結果が伴えば、必ず道はひらけることを証明したことです。

実は、どのスポーツもチャンスは平等にあると思いがちですが、よく分析していくと多くのスポーツが必ずしもそうではありません。しかし、マラソンは過去の実績や経験に関係なく誰でも選考レースに出場できるチャンスがあります。そして、たとえ無名のランナーであってたとしても記録と結果を残せば日本代表入りは実現します。これは、他のスポーツではほとんどあり得ないことです。そして、この極めてシンプルな仕組みを川内選手があらためて示したのです。

さて、今回の名古屋では1万人以上の女性市民ランナーが参加しました。これだけでも画期的なことだと思いますが、サブスリーを達成したランナーも90名をこえていました。もちろん、全体から見た割合は少ないですが、女性市民ランナーのレベルは確実にアップしています。

また、私の個人的な意見になりますが、女性ランナーは子供を出産した後、30代から力を発揮しているケースがとても多いと感じます。また、学生時代に陸上競技経験の有無がマラソンのパフォーマンスに直結しない点も女性ランナーの大きな特徴でもあります。残念ながらこの点は、男性ランナーにはあまり当てはまりません。

このことから川内優希選手のようなランナーは、実は女性市民ランナーから現れてくる可能性の方が高いのではないでしょうか。あくまでも個人的な意見ですが、次回のオリンピックあたりから、子育てをしている専業主婦から日本代表に名乗りをあげる女性市民ランナーが出現してくるかもしれません。

大いに期待したいと思います・・・。

2012東京マラソン

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絶好のコンディションに恵まれた「2012東京マラソン」でしたが、まさにそのとおりの素晴らしい大会となりました。特に、男子の部については、ロンドンオリンピックの代表選考レースのひとつになっており、藤原新選手が見事な走りで、代表切符の1枚をほぼ手中におさめました。

そして、公務員ランナーとして注目を集めている川内優希選手は惜しくも14位でしたが、その果敢な挑戦は今後も日本マラソン界を牽引していくに違いありません。

また、既にご存知のとおり、藤原新選手と川内優希選手に共通している点として、強いチームに所属せず、マラソンに向けた取組み全てをたったひとりで切り盛りしていることです。一見すると、市民ランナーの誰もがしていることなので、至極当然のような感じを受けます。しかし、あれだけの注目を一身に集め、応援される以上に批判も受けながら自身の目標に突き進んでいく精神力は、逆に「プロ選手」と言えるでしょう。

仕事や家庭を理由にマラソンの結果を振り返るランナーが圧倒的に多い中、藤原新選手と川内優希選手がマラソンで見せた走りや各会見でのメッセージは、マラソンを攻略していく上で何が最も大切なのかを問いかけているようにも感じます。(先日の別大マラソンで快走した猫ひろし選手も同様)

そして同時に、日本の男子マラソンは長期にわたり低迷していましたが、ふたりの取組み姿勢やその走りは、男子マラソンを再び上昇気流に乗せる風穴をあけました。もちろん、この良い流れが、更にロンドンオリンピックまで続いていくことを信じています。

さて、私がコーチする選手(市民ランナー)たちもこの東京マラソンに出場し、自己の記録に挑戦しました。主な記録は次のとおりです。

◆男性市民ランナー:M・K選手/2時間59分28秒(自己新記録)。◆女性市民ランナー:H・Y選手/2時間50分40秒(セカンド記録)、M・Y選手/2時間52分33秒、C・I選手/3時間12分57秒(セカンド記録)。

なかでもM・K選手(男性市民ランナー)は、数年前から何度もサブスリーに挑戦し、ことごとく3時間の壁に押し戻されていました。今回の東京マラソンでもサブスリーを目標に地道な走り込みを積み重ねてきましたが、ようなく念願のサブスリーを達成しました。

特に、東京マラソンのコースはスタートから5k過ぎまで下りが続きます。そして、35k以降はアップダウンが続きます。したがって、このコースは出足の5kをどのように走るかが最も重要なポイントのひとつになります。

今回、初のサブスリーを達成したM・K選手は、多少のスタートロス時間もありましたが、この出足の5kが全体の5k毎ラップタイムで最も遅いタイムと、力を温存しながらうまく下り切りました。そして、前半のハーフを1時間29分55秒で通過し、後半のハーフを1時間29分33秒と、スタートからゴールまで見事なイーブンペースを貫いての目標達成です。

マラソンは、一定のペースで最後まで走り切るのが最も効率的です。ところが、前半を抑えていくことは、かなりの勇気と我慢が必要になります。特に、東京マラソンのような数万人規模で走る大会は、周りに惑わされて自分の設定ペースを見失う確率が高くなります。しかし、M・K選手は自分自身のペース感覚と我慢を富津練習会等で体得し、東京マラソンの舞台で見事に発揮したのでした。

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