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マラソン

期分け・66

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【期分け・66】前回から少し間があきましたが、続きです。前回はスタミナ養成に効果的な走行時間について考えました。今回は、走行距離についてです。

前回は、ゆっくりでも「1時間40分~2時間30分」の間、走り続けることで、スタミナ養成には効果的である話しをしました。今回も同様に、サブスリーレベルランナー(3時間突破)を例に考えていきます。

では早速、前回の走行時間を走行距離に換算していきますが、その計算は、このブログの「期分け・62」で記載したサブスリーランナーの脚くつりに効果的なスピードである「4分28秒~4分44秒(1kあたり)」に、上記時間をあてはめます。

はじめに、4分28秒で計算すると、次の距離になります。

◆距離1:23k~34k≒25k~35k。

面白いことに、マラソンを走った場合のスタミナが枯渇してくる距離と、ほぼ一致しています。実は、前回の走行時間同様、ポイントはゆとりを持った走り込みです。すなわち、実際のマラソンでスタミナが枯渇してくる距離こそが、ひとつの目安となります。そして、ゆとりを持ったペースでその距離を繰り返し走り込んでいくことは、スタミナ養成に効果的な方法のひとつと言えます。

次に、4分44秒で計算します。

◆距離2:21k~31k≒20k~30k。

走るスピードが遅くなるので、当然のことながら走行距離も短くなります。では、この違いはどんな意味があるのでしょうか?

ヒントは気温や天候にあります。ちょうど今の時期が境目になると思いますが、秋から冬のマラソンシーズンがひと段落し、季節が春にかわる4月以降です。気温が一気に上がり、紫外線も強くなってくる季節ですが、身体は暑さに順化していません。

多くのランナーは、「スピード養成期」へと入っていきます。しかし、トレーニングのポイントがスピード系に移行したとしても、スタミナがベースになるのは年間を通じて変わることはありません。したがって、ある程度の距離走は年間を通じて必要不可欠なトレーニングになります。

ところが、気温が高くなってくるこの時期に、秋から冬のマラソンシーズンと同じ距離を同じ設定タイムで走り込むことは、とてもリスクが高いことは誰の目から見ても明らかです。そこで、ちょうどこの時期を境に距離と設定タイムを見直す必要が出てきます。

その目安となる設定タイムと距離が、上記の「距離2」となります。

つづく。

期分け・65

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【期分け・65】前回、スタミナが枯渇してくる時間と距離の目安を導きました。今回からその数値をもとにスタミナ養成に結びつく具体的な走り込みについて考えていきます。

はじめに、前回数値化したスタミナが枯渇する時間についてもう少し掘り下げてみますが、スタミナが枯渇する時間は「1時間40分~2時間30分」と、数値化しました。これは狙ったマラソンで目標タイムどおりにペースを守った場合の例でした。すなわち、ある程度ゆとりあるペースと言いながらも、それなりに速いスピードです。

ところが逆に、ゆっくりでも構わないので、「2時間」走り続けて下さいと、サブスリーレベルのランナーたちにお願いします。それぞれが、ジョギングに相当するゆっくりペースで走りだしますが、1時間を過ぎてくるあたりから様子が…。

「2時間」走り続けて下さいと指示したにも関わらず、急に体操やストレッチをしたり、ウィンドスプリント(流し)を入れたりと、淡々と走り続けることに対する集中力が散漫しているランナーが、増えてきます。更に様子を観察していると、中にはペースを上げてある程度のペースで走りだすランナーも…。そして、多くのランナーは80分~90分程度の時間で止めてしまいます…。

実は、スタミナの話しをしていくと、ほとんどのランナーは肉体的な部分しか考えません。ところが、上記のようにゆっくりでも2時間走り続けることすら苦手なランナーは意外と多いのです。なぜなら肉体的なスタミナは十分でも精神的なスタミナが不足しているからなのです。つまり、多くのランナーは肉体的な限界を感じる前に、淡々と走り続けることに耐えられなくなる、「精神的なスタミナ不足を露呈」してしまうからです。

このように多くのランナーは、走るスピードに関係なく、淡々と走り続ける(動き続ける)ために必要な「精神的なスタミナ養成」も肉体的なスタミナ養成同様に、重要な要素となります。そして、前回数値化した「1時間40分~2時間30分」は、肉体的なスタミナが枯渇する目安だけでなく、精神的なスタミナも枯渇してくる目安なのです。

もちろん個人差もありますが、上記の時間ならある程度のスピードで走っても、ゆっくり走っても大差なく、逆に肉体面、精神面の両スタミナを同時に強化していくためのちょうど良い目安になると考えます。

つづく。

2013年スタート!

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【2013年スタート!】新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。今年はパラリンピックの翌年ですが、2016年のパラリンピックに向け、引き続き地道な強化を継続していきます。

さて、今年も元旦から駅伝中継にくぎ付けとなった方々も多かったと思いますが、いかがだったでしょうか。かくいう私も例年どおり、テレビの前から一歩も動けない状況でした。(笑)

特に、箱根駅伝は往路の山登りでトップに立った日本体育大学が、復路も堅実な安定した走りで逃げ切りました。しかも、昨年の箱根駅伝では事実上の最下位(※)となる19位と惨敗し、どん底からの優勝は見事としか言いようがありません。別府駅伝監督を筆頭に、この1年間の努力は並大抵なことではなかったと、我々にも想像できます。※昨年の箱根駅伝で最下位は東京農大ですが、5区でのアクシデントによるものでした。

しかし、現実にはどん底に落ちたチームを立て直すことは、どんな名監督でも簡単なことではありません。そんな中、日本体育大学は、昨年の4月から兵庫県西脇工高を駅伝強豪高に鍛え上げた渡辺公二氏(74歳)を特別強化委員長に迎えました。そして、選手の寮に一緒に住み込んで私生活から徹底指導したと言います。その内容は、毎日10分の雑草取りを厳命したりと、感謝の気持ちを第一にしたようです。

どんなスポーツにも共通しますが、あるレベルを超えてくると、チームや個人毎のトレーニング内容や強度等のレベル差がなくなっていきます。そして同時に、医科学的な要素やメンタル的な要素を取り込んでいこうとします。しかし、日本体育大学が実践した「当たり前の日常生活をいかにして安定させるか」が、実は最も大切な要素であると、今回あらためて証明したとも言えます。

それは、日々進化するトレーニング方法や理論を受け入れて実践していくためにも、まず最初に日々の生活を律し、食事や睡眠時間等の基本的なことを確実に継続していくことが何よりも大切だと…。

今年の強化は初心にかえって、この点をより重視していきます。

(優勝した日本体育大学をはじめ、4位に躍進した帝京大学、伝統の力を発揮して6位に返り咲いた順天堂大学は、盲人マラソン強化合宿に対しても伴走協力として、積極的に学生ランナーを派遣いただいている大学でもあります。)

期分け・55

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【期分け・55】前回は、パターン1である2日間連続でスピードトレーニングを実施する流れを検証しました。今回は、パターン2である「土曜日:スピード系トレーニング+日曜日:スタミナ系トレーニング(土、日曜日を入れかえても可)」についてです。

このパターン2については、既にこのブログでも取り上げたので、詳細につていは割愛しますが、推奨できるパターンとなります。もちろん、その前提としてスピード系トレーニングについては、各ランナーに応じた疾走(スピードアップ)する適切な距離と、その設定タイムと本数を間違わないようにすることは言うまでもありません。同じく、スタミナ系トレーニングについても根拠のない距離を走っても狙った効果を得ることは難しくなります。

また、2日間連続でスピード系とスタミナ系をセットで実施するため、それぞれの強度は特に注意する必要があります。具体的には、自身の全力に近いような強度で2日間連続で実施してしまうと、前回お話しした2日間連続でスピード系トレーニングを実施するパターンと同様のリスクが発生してきます。

ところが、スピード系とスタミナ系トレーニングの両方を6割から8割程度に抑えることで、2日間連続の効果が期待できます。具体的には、土曜日のスピード系トレーニングを8割程度の強度に抑えることで、ゆとりを持ちながら心肺(血管込)に適切な負荷を与えることができます。もちろん、脚筋にも疲労は残りますが、翌日のスタミナ系トレーニングに向けてのフォーム修正や心肺(血管込)への刺激にもなります。

そして、2日目のスタミナ系トレーニングを前日同様、8割程度の強度で実施します。と、言うより前日の疲労も残っているので、8割程度の感覚ではいつもより遅くなります。そのため、8割と言いつつ、もう少し頑張るような感覚が必要となるはずです。実はこの感覚が大切で、いつもの8割程度の内容にも関わらず、強度的にはもう少し苦しくなります。つまり、全力に近い負荷を身体に与えなくてもそれと同様の効果が期待できるとも言えます。これは、スピード系とスタミナ系を逆の日程にした場合も同様の感覚になります。

このように、本来1回のスピード系やスタミナ系トレーニングで心肺(血管込)や脚筋を別々にそれぞれ追い込むところを、強度を抑えることで、2日間連続のセットトレーニングが可能になります。その結果、負荷をかける心肺(血管込)や脚筋の異なる個所を連続で強化することが可能となり、短期間で効率的かつ効果的なトレーニングが期待できると考えます。

つづく。

期分け・54

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【期分け・54】前回は週末集中型トレーニングパターンを大きく3つに分け、それぞれを評価しました。今回はそれぞれのパターンを詳しく考えていきます。

はじめに、パターン1の「土曜日:スピード系トレーニング+日曜日:スピード系トレーニング」についてです。このパターンは、おすすめできない「X」と判定しましたが、具体的なトレーニング実施例を記載します。

実施例1).土曜日:400m×10本+日曜日:300m×15本。実施例2).土曜日:200m×15本+日曜日:1000m×5本。実施例3).土曜日:1000m×5本+日曜日:400m×10本。

以上のように2日間連続で、「ゼーゼーハーハー」と、かなり苦しむトレーニングですが、意外と多くの人が実施しているパターンです。もちろん、内容的には上記したパターンと異なるケースもありますが、全力失速に近いスピードで頑張るトレーニングです。

実は、マラソンを目指して走り込みをしていく段階で、各種ロードレース大会や駅伝大会に参加するようになります。そのとき一緒に参加した仲間たちから指摘されることが、「スピードがないとマラソンのタイムも悪くなる」、「長い距離ばかり走るからスピードが出なくなる」等々のスピードが出ないことに対する注釈です。ある意味、指摘されたことは間違いではありませんが、それを鵜呑みにした結果、上記のようなトレーニングパターンに…。

ではなぜ、このパターンを「X」と判定したかです。その理由はいくつかありますが、1つ目の理由は、「怪我や故障のリスクが大幅に上がる」。既に皆さんも経験していることですが、スピードを上げて走ることで、心拍数が上がり、呼吸もかなり苦しくなります。しかし、それ以上に筋肉へのダメージは相当なものになります。特に、スピードに苦手意識の強い人が更に翌日も同様なスピードトレーニングを実施することは、怪我や故障を誘発させる自殺行為とも言えます。

2つ目は、「精神的に燃え尽きる(バーンアウト)」。これについては、個人差もありますが、スピードトレーニングはどちらかと言えば即効性があります。しかし、頭打ちになる時期も意外と早く、逆に苦しい割には効果が見え難くなっていきます。そのため、更に負荷のある内容にシフトしていくのですが、ほとんどの人は苦しいことに耐え続けることが難しくなり、気が付けば走ることからも遠ざかっているケースは意外と多いのです。

3つ目は、「スピードを上げる適切な距離や本数、設定タイムを導くことが難しい」。まさに記載したとおりで、それぞれの走力に合った適切なスピードを導き、どんな距離をどんな設定タイムで走るかを判断できるようになるには相応の経験と知識も必要です。かといって、単に自分自身より速い人と一緒に走ることは、上記した1つ目と2つ目のリスクだけが大きくなる可能性もあります。

以上、大きく3つの理由から2日間連続でのスピード系トレーニングは避けた方が賢明と考えます。

つづく。

期分け・53

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【期分け・53】この期分けシリーズをスタートして1年が過ぎました。大まかですが、年間を通じたマラソントレーニングの話しが少しはできたと勝手に判断しております。また、途中で話しがあちこちに飛んでしまったことをお詫び申し上げます…。と、言いながらこのまま話しを続けていきます。

さて、厳しかった残暑もようやく影をひそめ、秋らしい季節に移りました。本格的なマラソンシーズンの到来です。これから全国各地でマラソン大会が目白押しとなり、週末毎に各種大会が開催されます。同時に、マラソントレーニングに関する雑誌等もたくさん目にするようになってきます。

既に何度も話しをしていますが、マラソントレーニングに絶対はありません。もちろん、おすすめできないトレーニングもありますが、マラソントレーニングの基本は、「走ってなんぼ」です。特に、走る以前から情報過多に陥り、理論や理屈ばかりが先行しているパターンは意外に多く見受けます。

かといって、場当たり的に40kを走ったり、インターバルトレーニングに挑戦することは、怪我や故障の大きな原因になります。この点は、自分自身の走歴や走力等に合わせたトレーニングを実践してほしいところです。

前置きが長くなりましたが、前回はLSDとスピードトレーニングの関係について取り上げました。引き続き、LSDについて考えていきますが、今回からマラソントレーニングの中で、LSDをどのタイミングで組み込んでいくかを考えていきます。

はじめに、多くの市民ランナーが週末の休日にポイントとなるトレーニングを集中させています。もちろん、マラソンに向けた走り込みもこのパターンに当てはまります。そこで、この週末集中型のトレーニングパターンを検証してみます。

◆パターン1).土曜日:スピード系トレーニング+日曜日:スピード系トレーニング=X。◆パターン2).土曜日:スピード系トレーニング+日曜日:スタミナ系トレーニング=〇(土、日曜日が逆でもOK)。◆パターン3).土曜日:スタミナ系トレーニング+日曜日:スタミナ系トレーニング=〇。※「X」は、推奨できないパターン。「〇」は、推奨できるパターン。

上記のように、走歴や走力に関係なく、主に3つのパターンに集約されますが、皆さんはいかがでしょうか?

次回は、更に掘り下げていきます。

つづく。

荒川30k

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【荒川30k】10月14日(日)、東京都荒川の河川敷において、30kの大会が開催されました。しかし、この大会は普通の大会とは目的や趣旨が若干違います。それは、目標のマラソン大会に向け、走り込みの一環として開催している点です。具体的には、1kを4分15秒ペースから7分00秒までのペースメーカーをたてたグループ毎にスタートし、それぞれのペースを維持して30kを走ります。

実はこのような方法は、私が主宰している富津合同マラソン練習会と同じスタイルであり、多くのクラブチームの練習会で実施している内容でもあります。ところが、どこの練習会にも共通している点として、ペース感覚の優れたペースメーカーをコンスタントに確保することは意外と難しく、常に悩みのタネになっている点です。

また、練習会に参加いただいている多くの市民ランナーは、速い人はどんなペースでもペースメーカーを務められると思っていることが多く、そのような期待をしています。ところが、箱根駅伝や実業団選手として活躍したエリートランナーの多くは、市民ランナーが思っているほど、「ゆっくり走る」ことに慣れていません。具体的には、1kを4分30秒ペースより遅いペースになってくると、逆にそんなにゆっくり走った経験が少ないため、ペースを一定に保つことが難しいこともあります。

実際に私が主宰する富津合同マラソン練習会でも現役学生選手に4分30秒や5分00秒のペースメーカーをお願いすると、速くなる傾向にあります。したがって、速いランナーが遅いペースを引っ張っていくことは、多くの市民ランナーが考えているほど簡単なことではないのです。

しかし、今回の荒川30kでは、そんな不安を抱く必要のない素晴らしい方々が各グループのペースメーカーをキッチリと務めていました。もちろん、参加人数も回を重ねるごとに増加しており、今回は4343人と普通の大会並みの規模になっています。そして、私が担当したグループは1kを6分30秒のペースでしたが、436人のランナーと一緒で、かなりの人数でした。

更に、この大会のもうひとつの特徴は、実際のレースと同じ方式で給水を準備してある点です。マラソンを攻略していく上で最重要項目のひとつに給水があります。これは誰もが知るところですが、実際に走りながら水を飲むことは簡単ではありません。それをこの荒川30kで体験できる点は、重要なポイントです。なぜなら、集団の中にいながら給水を取りにいく難しさや、給水している間にペースメーカーから遅れていく距離感は実際のレース経験からつかんでいくしかないからです。

さて、今回参加された皆様方は、どんな経験をしたでしょうか?

予定より速いグループについていき、残念ながら途中でグループから脱落した方もいたことでしょう。また、ゆとりを持って走ることの重要性に気が付いた方もいたことでしょう。今回の荒川30kは、目標のマラソン大会に向けた貴重な経験と、自分自身の適正ペース等を考える機会になることは間違いありません。

そして、今回の経験を目標のマラソンレースで、少しでも活かしていただければと願っております…。

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【絆】ロンドンパラリンピックが閉幕し、ちょうど1ヶ月が経ちました。帰国後、各種報告会や慰労会等々、慌ただしかった選手及び関係者の方々も少しは落ち着いてきた時期でしょうか。また、次のパラリンピックであるブラジル・リオに向けた課題や対策についても、より具体的な方針等がそろそろ見えてくる頃でもあります。

さて、先日の10月6日(土)から2泊3日の日程で、千葉県富津市において盲人マラソン強化合宿を実施しました。この合宿は、先日のロンドンパラリンピック強化とは別に、今年度の強化計画に予め組み込んでいたもので、特別な合宿ではありません。しかし、来年には、はやくもIPC世界陸上競技選手権がフランスで開催されます。したがって、今回の合宿はその大会に向けた最初の強化合宿でもあります。

既にご報告したとおり、ロンドンパラリンピックへは、日本盲人マラソン協会から4名の選手が選出され、それぞれが素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれました。そして、今回の合宿には、そのロンドンで戦ってきた全盲の和田選手、弱視の堀越選手の2選手をはじめ、期待の若手選手やパラリンピックを経験したベテラン選手たちと、久々に多彩な顔ぶれがそろいました。同時に、選手を支える伴走者も箱根駅伝を目指す現役学生ランナーにも多数ご協力いただき、量と質ともに充実した合宿でした。

しかし、一方で盲人マラソンと言っても一般ランナーたちのように全国各地に何万人もの視覚障害者ランナーは存在しません。そのため、マラソンでサブスリーレベルの視覚障害者ランナーは、全国的にも今回の合宿に参加した7名のランナーと、あと数名程度と圧倒的に数は少ないのです。したがって、言葉は不適切ですが、選ばれた選手と言うより、数少ないビックリ人間と言った表現が近いかもしれません。

ところが、この4年間で本当にビックリするほど選手たちは成長しました。それは、今回の合宿でも、選手たちの粘り強い走りを目の当たりすることで、その成長を強く感じることができました。また、若い選手と話しをしている中で、マラソンに対するモチベーションが高くなっていることを強く感じることもできました。

と、言いながら来年のIPC世界陸上競技選手権をはじめ、4年後のブラジル・リオに向け、課題はたくさんあります。しかし、少ない人数でもお互いがお互いを意識し、切磋琢磨していくことで、仲間意識や絆はより深まります。そして、その深い絆こそが、選手たちを大きく飛躍させる最大のエネルギーとなり、大きな目標へと向かっていく原動力となるのです。

これから4年後のブラジル・リオを目指していきますが、仮に強化費や環境が大きく改善されたとしても世界を目指せる視覚障害者ランナーが劇的に増加することは簡単なことではないと感じます。しかし、これまで以上に選手間や伴走者との絆が深まるなら、世界との距離は更に縮まっていくと確信しております。

今後とも皆様方の絶大なるご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。

つづく。

期分け・52

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【期分け・52】LSDをスピードトレーニングの翌日に実施することによって、より効果的になると、前回は話しをしました。このように、2日間連続でポイント(メイン)となるトレーニングを実施することは、仕事の合間をぬってトレーニングを重ねている多くの市民ランナーにてきしたトレーニングとも言えます。それは、少ない時間でより効果的なトレーニングを実施していくためにも、週末の休日をより効率的に活用する必要があるからです。

ところで、逆のパターンはどうでしょうか?

すなわち、LSDを実施した翌日にスピードトレーニングを実施するパターンです。実は、日曜日にランニング仲間と近くの競技場や公園等に集まり、一緒にスピードトレーニングを実施するケースは多くの市民ランナーが実施しています。そのため、日曜日のスピードトレーニングを実施する前日の土曜日にLSDを組込むパターンとなります。

パターン的には、前回と同じように2日間連続で、ポイントとなるトレーニングを実施することになるのですが、体感的には微妙な違いがでてきます。具体的には、スピードトレーニングの翌日に実施した場合、疲労を回復させることと、体調を引き上げることを重視しながらのLSDでした。しかし、今回のようにLSDを先に実施し、翌日にスピードトレーニングを実施する場合、回復よりスタミナ(体力)を養成する強化的な目的が強くなります。

そのため、LSDの翌日に実施するスピードトレーニングは、身体が少し重たい感じになります。もちろん、個人差があるので、全てのランナーが同じような状況にはなりませんが、スピードが出にくくなる傾向です。

したがって、いつもと同じ設定タイムでスピードトレーニングを実施しようとしても、身体が重たく感じる分、設定タイムに到達する前にいつもと同じ苦しさを感じます。もう少し別の言い方をするなら、本来より遅い設定タイムで、いつもと同じ負荷を身体に与えることになります。

この感覚はとても大切で、前日にLSDを実施することで翌日のスピードトレーニングを速く走ることが難しくなります。しかし、身体にかかる負荷はいつもと同程度です。つまり、スピードを上げて走れない分、逆に怪我や故障防止につながるとも言えます。

このように、スピードトレーニングを軸にLSDを前日に実施するのか、後日に実施するかで、かなりの違いがあります。もちろん、どちらが効果的なのかを簡単に決めることは難しく、理論的なことはもちろん、ランナー毎の経験やデータの蓄積がより重要になってきます。

つづく。

期分け・50

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【期分け・50】前回は、LSDの目的や方法について話しをしました。今回は、LSDをスピード養成期の中にどんなタイミングで取り入れていくかについて考えていきます。

はじめに、走歴の浅い方やランニングが日々の生活に定着していないような方の場合についてです。いわゆる初心者と呼ばれている方々についてですが、ゆっくり長く走ること自体が強度の高いトレーニングとなります。したがって、週末や休日はLSDのみを継続していても、十分なトレーニング効果を得ることができます。

また、このレベルの方は、スピードトレーニングを実施することが怪我や故障に直結し易くなるので、LSDを軸にしたトレーニング計画を推奨します。前回のブログでも話しましたが、LSDの効果は主に、「体内の毛細結果を発達させ、全身の筋持久力を向上させる」、「体脂肪を燃焼させ、マラソン向きのスリムな身体をつくる」の2点があります。

実は、LSDを継続し、この2点の効果がしっかりと見えてくれば、無理なスピードトレーニングを実施しなくてもそれに近い効果を得ることが可能です。もちろん、初心者の方だけでなく、マラソン経験のあるベテランランナーの方でも怪我や故障を防止していく意味でも、このLSDをもう一度見直してみる価値は大いにあります。

では、実際にスピードトレーニングとの組み合わせをどのようにしていくかを考えていきます。

ポイントは、スピードトレーニングを実施する日を基準に考えてどのタイミングでLSDを実施するかです。どんなトレーニングにも共通しますが、何を何時、どんなタイミングで実施するかの判断が最も重要になってきます。今回の場合、ゆっくり長く走るトレーニングをどのタイミングで実施するかになります。

具体的には、「スピードトレーニングを実施する日の前なのか後なのか?」、「スピードトレーニングを実施する日の前後にセットで実施するのか?」、「スピードトレーニングを実施する日から少し日にちをあけて実施するのか?」、いづれかになります。

至極当然のことですが、たかだかLSDを実施するタイミングに対しても様々な組み合わせがあり、どれが正しい方法かを簡単に判断することはできません。しかし、長年の経験や残してきたデーター等から効果の得やすい組み合わせを推奨することはできます。それは、スピードトレーニングの翌日にLSDを実施する組み合わせです。

すなわち、「スピード+ゆっくり長く」と、2日間連続でポイント練習を実施する方法です。

次回は、更に掘り下げていきます。

つづく。

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