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夏を走る

2024夏を走る・3

【2024夏を走る・3】今月2回目の菅平合宿(長野県上田市)のため、昨日から現地入りしました。また、今回も実業団チームが各地からここ菅平高原に上がってきており、同地で唯一の陸上競技場においては、チームの垣根をこえたトップ選手同士が切磋琢磨していました。

さて、我々は今回も5泊6日の日程ですが、その間に「42k走」を2本走る計画で、前回の菅平合宿とほぼ同じ内容を繰り返す予定です。そして、最終目標のパリパラマラソンは9月8日なので、そこに調子のピークが合うように調整していきますが、今月はそこに向けた強化合宿の1丁目1番地にあたります。

いわゆるマラソントレーニングで言うところの「脚つくり(土台つくり)」に相当するところです。したがって、じっくりと長い距離を走るトレーニングがメインとなります。また、菅平高原は標高が千メートル以上あるので、平地のような速いスピードで走らなくても心肺には、それなりの負荷もかかります。

しかし、変化の少ない楽なロードコースを走り込んでも強化の目的を達成できないので、42k走は全て起伏の激しいコースで実施します。このコースは2016年リオパラ、2021年東京パラに向けた走り込みでも使用してきたコースなので、パラマラソンのメダル獲得に向けた我々のノウハウがつまっています。

具体的には、片道2kの山岳道路を往復するコースです(1往復で4k)。つまり、40k走の場合は10往復になります。しかし、パリパラマラソンに向けた今月からの強化合宿で、このコースを約10年振りにリニューアルしました。と言っても場所を変更した訳ではありません。折り返し地点(2k)を500m先にのばし、1往復を5kにしただけです。

同コースは、折り返しにしていた2k地点から先はさらに急な下り坂です。そして、その下り切った地点までを計測すると、ちょうど500m。つまり、折り返し地点を500m先にずらすことによって「500mの下り坂と500mの上り坂」をあらたに追加することができます。

実は、パリパラマラソンコースを視察したあと、菅平高原の山岳コースでは物足りないと考えていたので、まさに「灯台下暗し」「目からウロコ」。と言っても走るのは選手たちであり、いたずらにコースを厳しくしていっても、ケガや故障をしては元も子もありません。この点は、どこで合宿を実施しようが、共通の最重要課題になります。まさにマラソントレーニングのコース選定は「命」です。

幸い、今月最初の菅平合宿で実施した同コースでの距離走は、特に大きなトラブルもなく終えることができたので……。もちろん、トラブルの意味はひとつではなく、走ったあとの体へのダメージや設定タイム(強度)が適切だったか否かなど、判断するのは簡単そうにみえますが、確認するポイントは多岐にわたります。

引き続き、緊張感を持ってパリパラマラソンの強化を継続していく所存です。

2024夏を走る・2

【2024夏を走る・2】長野県菅平高原での強化合宿は無事に終了しました。この時期の菅平高原は朝晩の気温はかなり下がり、早朝の気温は連日ひとケタでしたが、体調を崩すような選手を出すこともなく、計画どおりに走り込めたのは何よりでした。このまま、順調に9月のパリパラマラソンまで走り込んでほしいと願うばかりです。

さて、視覚障がいランナーの高齢化については、何度か記載してきましたが、パリパラマラソンの日本代表候補選手たちも例外なく高齢化が進んでおります。もちろん、パラマラソンに年齢制限などは存在しないので、何歳になっても挑戦することは可能です。したがって、自分自身で「もう歳だから……」と勝手に判断し、悲観する必要は全くありません。

そんな中、ある選手の伴走者として弓削田眞理子氏が、我々の強化合宿に参加してくれることに(今回で2回目)……。弓削田氏は、60歳以上女子マラソンの元世界記録保持者(2時間52分13秒)で、65歳を過ぎた現在もバリバリにマラソン(3時間前後で)を走っている方です。

弓削田氏の活躍は多くのメディアなどでも取り上げられています。年齢を重ねてもマラソンに挑戦するポジティブな考え方とその生き方は、個人的にも共感することが多く、是非ともお会いしてみたい方でした。

「負けて悔しくないのか?」「なんでもっと走らないのか?」など、合宿中は選手たちに直球で語りかけていました。特に、女子はベテラン選手が多いのですが、年齢的にも走力的にもその上を行く弓削田氏の問いかけに若い選手も含め、答えるすべもありません。

今、我々にとって最大の課題であり、選手たちに最も欠けている部分を、弓削田氏はひと言で、しかもど真中の直球で様々な指摘をしてくれました。弓削田氏は、私が思っていた以上の方でした……。

あらためて、科学的トレーニングやそれにともなうトレーニング器具や測定器具などは、もの凄いスピードで進化しています(シューズも)。その恩恵もあって、かつては30歳前後で引退する選手が多かったマラソンの選手寿命も確実にのびており、世界のトップで活躍しているキプチョゲ選手やベケレ選手も40歳になります。

一方、若くして燃え尽きる選手は今も確実に量産されており、科学的なトレーニング以上に個々の肉体を制御できるメンタル面の強化が重要視されています。もちろん、メンタルトレーニングも進化していますが、フィジカルトレーニングのような目に見える成果を誰もが得られるかと言えば、そうではないと感じます(強化現場で安田が見てきた感想)。

専門的なことは割愛しますが、今のこんな時代だからこそ、逆に弓削田氏のような方からのひと言は……。

2024夏を走る・1

【2024夏を走る・1】6月に入りました。いよいよこれから本格的な暑さとの戦いに入っていきます。そして、暑くなっていくこのタイミングで、パリパラマラソンで戦うための本格的な走り込みを開始します。まずは、長野県上田市菅平高原での走り込みからです。

また、この菅平高原での強化合宿は、毎年実施しており、特にパラマラソンに向けた本格的な走り込みは、必ずこの菅平高原からスタートしてきました。もちろん、パリパラに向けても同じです。そして、昨日から菅平高原に上がってきましたが、昨日の気温が13度、今朝は7度(手元)でした……。

今月はこの菅平高原で、強化合宿を2回実施します。起伏の激しいコースでの距離走がメインになります。特に、パリパラマラソンのコースが厳しいコースであることは、既に確認しているので、そこで勝負するための脚力強化になります。

さて、マラソン(長距離全般)は、いわゆる「厚底カーボン(バネ)入りシューズ」が登場してからは、記録が一変しました。それまでは、修行僧のような摂生と走り込みを繰り返し、強靭なスタミナと精神力を身につけることが活躍するための条件でしたが、そのシューズが登場してからは、マラソンがスマートなイメージに変わってきたと感じます(マラソンは誰でも気楽に走れる)。

ところが、目指すマラソン大会が真夏に開催。そして、そのコースはアップダウンが激しく、路面は荒れた石畳が多く、おまけに鋭角に曲がる箇所も多い……と、なった場合、果たして最新のシューズに頼る戦術で、メダルをかけた勝負をすることは可能なのか否か? 実は、今回のパリパラマラソンコースです(オリはもっと厳しい)。

2021年9月5日、東京パラマラソンが開催されました。そこで、我々は金メダルと銅メダルを獲得する結果を残しました。その東京パラのマラソンコースは、35k以降に上り坂が待っている厳しいコースでした。その対策として、2021年6月から東京パラマラソンに向けた強化合宿を開始し、8月第1週までの間に「40k走を9本」実施しました。

もちろん、出場した選手たちは最新のシューズを履いて、当日は挑みました。しかし、「35k以降の上り坂からペースアップ」の戦術を見事に実戦し、メダルを獲得できたのは苦しい走り込みで身につけた「強靭なスタミナと精神力」のおかげでした。

果たして、パリパラマラソンコースは、東京パラマラソンコースよりもはるかに厳しい。したがって、持ちタイムの「速さ」ではなく、最後までしっかりと粘り倒せるか否かの「強さ」が勝敗を左右する展開が予想されます。

今更ながら、選手が持っている腕時計は走った距離やペースも自動計測できるものや、シューズはカーボン入りなど、最新のテクノロジーがどんどん導入されています。しかし、オリパラのマラソンは真夏に実施され、さらにより厳しいコースを設定するなど、最先端とは真逆のことを意図的に操作している節があります。

思うに、オリパラのマラソンは、「世界で一番タフな男女」を決める目的(責任)があるからなのでしょう。したがって、パリパラマラソンに向けての走り込みは、「東京パラ以上の走り込みを積み上げることで勝負できる」とも言えます。それは、忍耐や我慢する力が試されることにもなり、我々にとっては最も得意とする「泥臭い練習」に他ならない……。

2023夏を走る・11

【2023夏を走る・11】8月4日から北海道北見市において強化合宿を実施しましたが、現地入りした当日から天候は雨が続き、気温も20度を下回る日が続きました。したがって、選手たちは35度を超える猛暑の中で走り込んでいたので、気温が一気に20度近くも下がった環境にさらされることになりました。

もう少し具体的な表現をすると、ウォーミングアップからランシャツ・ランパンで過ごせた環境から、いわゆるウインドヴレーカーを着用していないと、体が温まらない環境です。

このようにコンディションは一気に暑いから寒いへ激変しましたが、「人は楽な方にはすぐ慣れる」とも言います。案の定、合宿2日目に実施した40k走より、後半に実施した32k走の方が個々の動きもタイムも好転しました。もちろん、疲労がたまってきている状態にもかかわらず……。

同じように暑いから寒いへの事例としては、秋からのマラソンや駅伝・ロードレースで戦うための「夏の走り込み」でしょうか。これについては、もはや日本長距離界の慣習ともいえます。要は、あえて夏の暑い季節に走り込みを実施しておくと、涼しくなっていく秋以降に向かって調子は上がっていくサイクルです(詳細は割愛)。

このように、マラソンや長距離の競技特性上、暑いコンディションよりも涼しいコンディションの方がパフォーマンスは確実に向上します。したがって、夏(暑い)から秋・冬(寒い)に向かっていく季節の流れに対しては、確立されたトレーニング理論や方法論が数多く存在します。

一方、目標にした大会などが真夏の場合、そのトレーニング方法などは、いまだ手探りの状態が続いているともいえるでしょうか。その理由はいくつかありますが、まずは選手個々の暑さに対する適応力差が大きいことです。具体例としては、秋冬マラソンの走り込み期における距離走やその設定タイムなどは多くの選手に合致しますが、夏の走り込み期に対してはその法則がほぼあてになりません(私の経験上)。

つまり、選手個々の暑さに対する「強い弱い」が色濃く出るからです。また、昨年の夏は、しっかり走れた選手でも「今年の夏は全く走れない」というように、暑いコンディション下においてはパフォーマンスの再現性も難しいと感じます。

さて、我々が最大の目標にしているパラリンピックは夏に開催されます。前述したとおり、再現性の難しい夏の大会ですが、最も重要な大会です。そして、東京パラ同様、メダル獲得の再現を達成することが目標になります。

まずは、今月27日に開催される夏の北海道マラソンで……。

2023夏を走る・10

【2023夏を走る・10】8月に入りましたが、記録的な猛暑は続いております。また、7月の平均気温(?)は観測史上最高だったようですが、実際に屋外で活動をしている者としては、まさにそう感じました。

と、言いながらランナーたちにとって、夏の走り込みを中止することなど簡単にできません。もちろん、その日のコンディションや体調を重視するので、こちらから無理強いはしませんが……。しかし、目的意識の高いランナーほど、過酷な状況に追い込まれても無理(我慢)をするのは至極当然です。

そのため、練習をサポートしながら「今日はもう限界だな」と、見受けられるランナーに対してはどんなタイミングでも「中止」を伝え、走るのをやめさせます。ところが、そんなランナーほど、その状態からさらに頑張ります。

同様に、休養後(完全休息や軽めの練習)にもかかわらず、うまく走れないランナーも意外に多く見受けます。もちろん「なぜだろう?」と、本人と話をしたり、トレーニング実績などを振り返ります。すると、こちらが把握していないところで、さらに走り込んでいたり、追い込む練習をしているケースがあります(もちろん、個々にその理由は違います)。

「夏の走り込み期」は、どのランナーも秋からのマラソンシーズンに備え、意欲的に走り込みます。その結果、前述したような不調に陥っていくランナーもいます。しかし、自主的に走り込みをするランナーほど、結果を残しているのも違いなく、不調に陥るケースとは紙一重なのも確かです。

そして、その見極めを客観的にすることがサポートしている者の役目ですが、それ以上に本人の意欲が上回っているランナーに対する対応(コーチ)は、いつの時代も本当に難しいと感じます(もちろん、そのレベルに到達しているランナーはそんなに多くない)。

さて、今年の暑くて熱い夏(残暑?)は当面続きそうですが、いろいろな意味でこちらがオーバーヒートしないよう、ランナーたちをサポートしていく所存です。

暑い日々が続きますが、皆様もお体をご自愛くださいませ……。

2023夏を走る・9

【2023夏を走る・9】先週の金曜日から土曜日の日程で、順天堂大学において強化指定選手たちの各種測定を実施しました。今回の測定は、同大学大学院スポーツ健康科学研究科教授、町田修一先生のご支援ご指導のもと、無事に実施することができました。ありがとうございました。

また、今回の測定を実施するにあたり、準備や調整などにご尽力いただいた順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科スポーツ健康医科学研究所長(教授)、内藤久士先生はじめ同大学院生の皆様に厚く御礼申し上げます。

コロナ禍の影響で定期的に実施していた各種測定が実施できない状況が続いていましたが、久々に選手たちの状態を数値で把握することができました。もちろん、たった1回の測定で選手たちの状態を把握することなどはできません。しかし、今回の測定を継続していくことによって、選手たちの長所や弱点などを数値で把握していくことができます。

一方、長距離やマラソンは前述した測定結果がそのままパフォーマンスに直結するとは限りません。特に、夏マラソンなど過酷なコンディション下でのレースになるほど、選手個々の内に秘めた「根性」「我慢」「忍耐」など、目に見えない要素が強く影響してくるからです(私の経験上)。

そして、勝手ながら「これらの精神力も数値化できれば」と、選手たちが炎天下で40kを走っているときなどは、いつも考えます……。

さて、今回の測定も含め、特に最大値や最高値を測定するような場面においては、かなり苦しい状態に選手を追い込みます。そして、その苦しい局面に到達したとき、選手の真横で「がんばれ!」などの声をかけることで、測定をしている選手たちはさらに高い数値を叩き出します。それもできるだけ大きな声で。また、そのような測定時には声をかけるのが一般的でもあります。

したがって、科学的な数値を測定しているにもかかわらず、最終的に効いてくるのは個々の「根性」「我慢」「忍耐」などの精神力とも言えるでしょうか。実際に力のある選手ほど苦しい局面で声をかけると、さらに粘り倒します。そして、その「精神力」にはいつも驚かされるのです。

もちろん、科学的な数値を否定するつもりは毛頭ございませんが、長距離やマラソンはどんな場面においても、この精神的な要素が見え隠れする競技特性が強いと、あらためて感じた次第です。

では、その精神力を強化するには……。今回の測定を見ていて、この古くて新しい課題を、あらためて考えるきっかけにもなりました。

引き続き、ご支援ご指導をお願い申し上げます。

◆M高史の陸上まるかじり
陸上・駅伝 – 世界の走りを体感 驚きばかりの超ハードなブラインドマラソン合宿をリポート | 4years. #学生スポーツ (asahi.com)                       

2023夏を走る・8

【2023夏を走る・8】7月15日からの3連休は、長野県上田市菅平高原において例年どおりに合宿を実施しました。ところが、涼しい高原と言っても日中の気温は30度を優に超え、厳しいコンディション下での走り込みでした。先日の北海道北見市での合宿もそうでしたが、もはや日本の夏で涼しい場所は存在しないのでしょうか……。

さて、毎年この時期の菅平合宿は、起伏の激しいロードコースとクロカンコースでの走り込みになります。つまり、合宿期間中は平地をほとんど走りません。そのため、合宿2日目は太腿などに激しい筋肉痛を訴える参加者も多く、こちらとしては、今年も狙い通りの走り込みができました。

さて、筋肉痛についてですが、そのメカニズムの詳細はいまだ解明されていないようです。しかし、ランナーならどなたでも、マラソン完走後や慣れないスピード練習などを実施した後、筋肉痛になった経験はあるでしょう。

特に、筋肉痛の多い部位としては「ふくらはぎ、太腿、臀部」の3つでしょうか。また、この筋肉痛の部位によってランニングフォームが正しいか否かの判断に用いる指導者も多く、ある程度の目安になるのは確かなようです。

かくいう私も目安のひとつにしています。特に、ふくらはぎの筋肉痛は注視する部位になります。また、ふくらはぎの筋肉痛は、一般的にはランニングフォームが悪い人に多いとも言われます。しかし、個人的にはランニング経験が浅く、筋力不足な人により当てはまると感じます。

太腿は、前側の筋肉を大腿四頭筋、後側をハムストリングと言います。どちらもランニングによって筋肉痛に陥り易い部位です。特に、今回のように起伏の激しいコースでのランニングを繰り返すと、筋肉痛が顕著に表れる部位でしょうか。

一般的に言うと、前側の大腿四頭筋は腰が落ちているなど、フォームが崩れていると痛くなり易い部位と言われています。つまり、フォーム修正を検討する目安にもなります。逆に後側のハムストリングはお尻の大臀筋とも連動して動きます。したがって、その部位の筋肉痛は大きな筋肉を使えている証拠にもなるので、フォーム的には心配ないとも言われています。

と、うんちくは様々ですが、筋肉痛になる部位や程度は個々に違います。したがって、練習日誌には走行距離やそのタイムだけでなく、筋肉痛になった部位や痛みの程度なども記録し、振り返って過去の自分自身と比較検証できるようにしておくと……。

2023夏を走る・7

【2023夏を走る・7】今年も恒例の北海道北見市において、ブラインドマラソン強化合宿を実施することができました。そして、これも例年どおり、「ホクレンディスタンス大会」の網走大会と北見大会に出場させていただきました。

まずは、ご理解ご支援いただいた北見市の皆様、大会関係の皆様に厚く御礼申し上げます。

また、強化合宿の内容もほぼ例年どおり、「徹底した走り込み」を目的に北見市へ入りました。したがって、ホクレンディスタンス大会についても、選手たちは「調整なし」の厳しい状態で挑んだのも例年どおりです。

このようにあえて記録を狙うのが難しい状況下に身を置き、どのように自分自身の現状と向き合って折り合いをつけるかは、マラソンには必要な能力です。今年もそんな目に見えない難しい課題に挑むことができました。

具体的な流れとしては、最初に網走5000mを走り、翌日は40k走。次の日の午前にスピード練習、午後は2時間走。その翌日は北見5000mの前日になるので、その日だけはフリー(各自調整)。そして、北見5000mを走った翌日の午前は42k走(起伏コース)、午後は2時間走……。

もちろん、普通に見れば、かなり無茶苦茶な流れとも言えます。しかし、毎年このような流れをキープし、北見市での強化合宿を継続してきました。その結果、2021年に開催された東京パラでは、男女ともにメダルを獲得しました。

あらためて、マラソンの練習方法は様々ですが、我々が継続してきた練習方法は、走り込んでいくほど調子が上がっていくのが特徴です。つまり、その流れを何年も継続してきたことで、選手たちの体と心がそのように変わっていったのです。

そして、今年は東京パラ前のように、8月に入ったら再び北見市で強化合宿を実施し、8月27日開催の北海道マラソンに出場します。大局的にみると、ここまでが夏の走り込みになります。

今年の夏は「現状打破」をテーマに、一層の走り込みを実施します!

2023夏を走る・6

【2023夏を走る・6】先日の7月1日は、千葉県佐倉市において伴走者養成研修会を実施しました。今回は、佐倉市を主な拠点に活動を展開しているニッポンランナーズ様の全面的なご協力(共催)のもと、無事に開催することができました。

当日は、あいにくの雨模様で、特に実技講習の場所や実施内容を変更するか否かの判断に迫られましたが、実技講習を開始する直前には雨があがりました。そして、予定していた実技講習は、「小出義雄記念陸上競技場(岩名陸上競技場)」のトラックで無事に実施しました。

あらためて、ニッポンランナーズの皆様、ご参加いただいた皆様に御礼申し上げます。

さて、毎度のことですが、伴走養成講習会の実技は実際に伴走ロープ(絆)を持って、歩いたり走ったりの実践講習となります。したがって、最初は歩き(伴歩)から入りますが、途中から走り(伴走)に移行し、繰り返し走ります。

そのため、講習会と言うよりも練習会に近い内容に移行していくことになります。もちろん、講習会なので無理なことは実施しませんが、実技の後半は体力的にしんどそうな方を見受けるのも常です。このように、スポーツに関する講習会は多かれ少なかれ体力を使うので、主催者側としても最善の注意をはらいながら進めていきます。

しかし、今回の講習会に関しては、ニッポンランナーズ会員の皆様がメインだったこともあり、そんな不安を抱くことは全くありませんでした。実は、当日の午前中は激しい雨が降っていたにもかかわらず、同会員の皆様は元気にクロスカントリーコースを走っていたのです。

雨天のクロスカントリー走は足元が極端に悪くなるので、競技レベルで走っている選手たちでも嫌がります。ところが、そんなことはお構いなく、黙々と走っている姿は驚きでした。そして、その皆様は走り終えると、そのまま午後の伴走養成講習会の受講者へと……。

ニッポンランナーズ様は齊藤太郎理事長のもと、ランニングに関する講習会や練習会を愚直に継続しています。特に会員の皆様は、マラソンのタイムに一喜一憂することなく、どんなコンディション下でもランニングを楽しめる体力と気力を身につけています。

そして何よりも、会員の皆様はランニングを継続することで、逆にどんなことにも挑戦し、そこから何かを学ぼうとするポジティブな気持ちにも満たされています。その結果、それぞれの人生がより豊かになっていくと……。

2023夏を走る・5

【2023夏を走る・5】千葉県も梅雨入りし、蒸し暑い日々が続いております。そんな中、強化合宿をいつもの千葉県富津市で実施しました。もちろん、合宿期間中の天気も予報どおり、気温は30度前後で推移し、湿度も70%以上とマラソントレーニングを実施するには過酷なコンディションでした。

さて、来年に迫ったパリパラリンピックも過去の気象実績を見る限り、暑さ対策は必須です。また、8月の北海道マラソンなどの夏マラソンを目標にした場合も過去の気象実績を振り返り、暑さ対策などを検討します。

至極当然のことですが、夏マラソンの難しいところは、大会当日の暑さ対策だけではありません。つまり、大会当日に向けた走り込みを、暑い中で実施していく必要がある点です。前述した8月の北海道マラソンを目標にした場合、まさにこの6月から7月が走り込みのピークになります。

しかし、連日30度以上の気温が続く場所で走り込むのは危険も伴い、相当過酷になる点は想像に難くない……。逆に、涼しい場所に移動して走り込みを実施したとしても、大会当日は暑い中で走るので、どこかのタイミングで体を暑さに慣れさせる必要があります。しかし、その絶妙なタイミングを計るのが、相当難しい点も想像に難くない……。

また、オリンピックやパラリンピック、あるいは陸上競技の世界選手権大会などは、ほぼ真夏に開催されます。そのため、いろいろな意味で常に問題視されてきたのは「マラソン」です。したがって、夏マラソンに向けたトレーニング方法を確立し、うまく実践できたか否かが、国際大会でのメダル獲得にも影響してきました。

来年に迫ったパリパラリンピックに向け、残された夏は今年だけです。しかも、すでに6月が終わろうとしています。このあと、7月と8月は北海道で強化合宿を実施し、8月の北海道マラソンに参戦します。

この流れは、何年も変えておりません。そして、この流れを確実に踏襲し、暑さに対する対処方法などを確立してきた選手は、夏の国際大会でも結果を残してきた実績があります。

一方、夏マラソンは冬マラソンと違い、暑い中で走り込む距離やその設定タイムの見極めが難しく、過去のデータよりも、その日その場の状況判断に頼る部分が多いのも確かです。

いよいよ今年も「暑くて難しい夏」の到来です……。

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