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第71回福岡国際マラソン

【第71回福岡国際マラソン】12月3日に開催された福岡国際マラソン選手権大会は、国内の期待される選手たちが多数参戦し、久々に活気あるレースとなりました。そして、結果も期待どおりに大迫選手が日本歴代5位の好記録をマークしました。

さて、その伝統ある大会に今年も日本ブラインドマラソン協会の強化指定選手が3名エントリーしました。しかし、その内2名の選手が体調不良のため、無念の欠場と途中リタイヤする厳しい状況となりました。

平和台陸上競技場で選手のゴールを待っている身としては、とても不安な気持ちに包まれていましたが、コーチとしてレース中は何もできません。そんな中、予定どおりのラップをキッチリと刻んでいた、弱視の熊谷選手(伴走無)の快走を祈る思いでした。

果たして、競技場の時計が2時間25分を過ぎたころ、続々と競技場に戻ってくる選手たちの中で唯一ラストスパートを利かせた選手が目に入ってきました。何とそれが熊谷選手でした。残り300mから更に猛スパートをかけ、前を走る選手を次々にゴボウ抜きし、まるで短距離選手のようなフィニッシュでゴール。

記録は、自己記録を大幅に更新する「2時間27分35秒」。もちろん、熊谷選手自身にとっても初の2時間30分突破です。また、この記録は今年のIPC世界ランキング1位に輝く好記録でもありました。

ようやく強化合宿をはじめ日々の走り込みが成果となった瞬間でもありました。コーチの私が言うことではありませんが、熊谷選手ほど走り込んでいる選手をあまり目にしたことがありません。特に強化合宿においては、1日の走行距離が50kから70kになるのは普通で、量も質も確実に消化できる選手です。

今大会は、悲願の2時間30分突破を目標にスタートしましたが、練習量に裏打ちされた安定した走りが光りました。実は、当日のコンディションとしては、後半の気温がかなり上がり、暑さも厳しかったようにも感じました。特に、2時間30分前後の記録を目標に走っていた市民ランナーの多くは30k以降失速していました。

そんな中、熊谷選手は最初から設定タイムをキープし、30k付近で一旦落ちた5kラップを35kからもう一度立て直して粘りました。更に中間点からは誰にも抜かれず、逆に70名以上のランナーをゴボウ抜きする激走。

これまで、練習の成果を実戦で発揮できず苦しんでいましたが、今回のマラソンで良い流れを自らの力で呼び寄せたと、納得できる内容の走りでした。更なる飛躍を期待したいと思います。

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