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マラソンの完走 Archive

再びマラソン・1

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2010年も約2週間が経過し、そろそろ今年の初レースを出走した人も多いかと思います。また、3月末までにマラソンを計画している人は、既に本格的な走り込みをはじめている時期でもあります。特に、1月末から2月上旬のマラソンを目指している人にとっては、実は走り込みではなく、これから調整段階に入る時期です。準備は大丈夫でしょうか?

さて、ここ数年来のランニングブームのおかげで、一年を通じて全国各地でマラソン大会が開催されるようになってきました。しかし、日本の四季と伝統を考慮したとき、ほとんどの人が、秋から冬にあたる10月から3月頃までのマラソンを走るパターンがほとんどかと思います。かくいう私も、かつてはそのように走ってきました。

更にその時期を大きくふたつの期にわけると、10月から12月までのマラソンを目指していく「第一次マラソン期」。年末年始をはさみ1月から3月までのマラソンを目指していく「第二次マラソン期」となります。※期の呼び方については、私が勝手につけている呼び方です。

そして、ほとんどの人が第一次マラソン期で、各地のマラソンを走ったことでしょう。もちろんその結果を個々に反省し、これからはじまる第二次マラソン期を目指したトレーニングに活かしていくことと思います。※このブログでも「マラソン」と題して、第一次マラソン期を10回シリーズで考えました。

ところが、この第二次マラソン期は、第一次マラソン期のように計画的なマラソントレーニングを実施していくことが難しいケースが多くなります。では、その主な理由を考えてみます。

◆1).第一次マラソン期でマラソンを走ったあと、どの程度の休養でトレーニングを再開するのか?そのタイミングをつかめなかった。◆2).第一次マラソン期でバーンアウト(精神的に燃え尽きる)し、12月はほとんど何もせず、暴飲暴食に走った。◆3).年末年始をはさむことから、走り込みを実施する時期とラップし、走り込めなかった。◆4).第一次マラソン期の疲労から風邪や故障をして1週間以上、全く走れない期間があった。

・・・以上のように、主な事例だけでもこれだけあります。皆さんは、いかがだったでしょうか?

実は他にも、第一次マラソン期のトレーニングは、その準備期として7月から8月の夏があり、基礎体力を養成する時期があります。しかし、第二次マラソン期に入る前は、その時期がありません。それどろか上記に記載したとおり、走り込みを再開していくには、逆にとても厳しい時期とも言えるのです。特に、1月末から2月上旬に開催されるマラソンを目指している人にとっては・・・。

次回からは、その第二次マラソン期について、更に考えていきます。

つづく。

福知山マラソン

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京都・福知山マラソン大会が、23日(月・祝)に開催されました。ランニングブームの波は今や全国展開となり、この福知山にもたくさんのランナーたちが集まりました。また、この大会は全日本盲人マラソン選手権大会も兼ねており、視覚障害者ランナーやそれをサポートする伴走者たちの姿もすっかり定着しています。

私は、今年も全日本盲人マラソン選手権大会のスタッフとして今大会に参加しました。

さて、大会当日のコンディションですが、曇空でかなり冷え込んでいました。スタート時間となる10時30分頃の気温は、体感的には10度以下に感じました。しかし、ほぼ無風でこれからマラソンを走るランナーにとっては、逆に良かったようです。

10時30分、号砲と共に1万人近くのランナーたちが一斉にスタート!

と、言っても先頭がスタートしてから最後尾のランナーが通過するのに、やはり20分近い時間を要していました。しかし、特に大きな混乱もなく、視覚障害者ランナーたちも元気よく飛び出していきました。その後、途中の8k地点へ移動しての応援でしたが、ランナーたちの波が途切れることはなく、その様子はまさに川のようでした。

そして、今回もゴール地点は様々なドラマがあり、女性ランナーたちの頑張りが目を引きました。特に、大きな盛り上がりを見せたのは、3時間13分から15分あたりでしょうか。その記録はご存知のとおり、女性ランナーたちにとって憧れの国際女子マラソン大会参加標準記録(3時間15分以内)でもあるからです。

ちょうどそんなとき、ゴールしてくるランナーたちを出迎えていたボランティアスタッフの高校生10数名が「お疲れ様でした!」と、大きな声にとびきりの笑顔をそれて、ハイタッチをはじめたのです。ゴール地点はいちだんと笑顔に包まれ、その出迎えを受けたランナーたちは「また、マラソンに挑戦しよう!」と、大きな感動を受けたに違いありません。

私は、表彰式を手伝うため一旦その場を離れました。そして、再びゴール地点に向かったのは、ゴール地点を閉鎖(6時間が制限時間)する直前でした。すると、「お疲れ様でした!」と更に大きくなったあの声が・・・。

空前のマラソンブームと言われてからもう数年が経ちますが、もはやブームではなく、確実に定着してきたように感じます。それは、各種マラソン大会を支えているボランティアスタッフ方の熱い思いが、ゴールを目指すランナーたちの心まで届いているからではないでしょうか。そして、沿道の声援やボランティアスタッフの支えは、確実にランナーたちの後押しとなり、これからも自分自身との戦いに挑む全てのランナーたちに、勇気と感動を与え続けることでしょう・・・。

横浜国際女子マラソン

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国内初の周回コースとなった横浜国際女子マラソン大会が、11月15日に横浜で開催されました。私がコーチする選手(市民ランナー)7名もエントリーし、このマラソン大会を目標にトレーニングを積み上げてきました。まずは、その結果を下記に記載します。

◆横浜国際女子マラソン結果).M・KO選手/2時間41分04秒、M・SI選手/2時間51分04秒(セカンド記録)、M・YA選手/2時間52分46秒(自己新記録)、M・SA選手/2時間56分29秒(サード記録)、M・KA選手/2時間58分39秒、A・KA選手/3時間6分56秒、K・TO選手/DNF。

大会当日は、スタート時の気温が20度をこえており、最も恐れていた海岸からの風もかなり強く、選手にとっては厳しいコンディションとなりました。案の定、先頭集団のスピードも序盤から上がりません。また、時間の経過と共に風がどんどん強くなり、3週目となる28k以降は応援しているのも辛く感じるほどの突風が、時折吹き荒れていました。

マラソンは走っている時間が長いだけに、コースの特性や気象条件等に大きく左右されるスポーツです。今回の横浜は沿道から応援していて、その強風に体力を奪われ、大きくリズムを崩して後半失速する選手が多かったように見受けられました。そして、実際に歩き出したり、途中の関門で係員に止められる選手の姿を目の当たりにすることは、とても辛く苦しいことです。

私は、日々の練習の中で「市民ランナーの人たちが、無理して雨の中や風の強い日までも頑張って走り込む必要はあるのだろうか?」と、心の中で葛藤するときが多々あります。しかし、実業団選手(プロ)も市民ランナーも、同じランナーであるならどんな人でも、マラソン大会という発表会の舞台を目指して走り込みを地道に継続します。ところが、今回のように思いがけない悪コンディションにぶつかり、家族や職場の仲間が多数応援する目の前で涙ながらにリタイヤしたり、大きく失速している状況にコーチとして必ず立ち会います。それは最も辛い場面となりますが、それは現実です。

そして、そんな時は逆に「あの時、コーチの私が、雨の日や風の強い日でも、妥協することなく計画どおりのトレーニング指示を継続できていたなら・・・」と、必ず自責の念にかられます。

このように、今回もマラソンを深く考えることが多かった一方で、厳しいコンディションに負けることなく自己記録を更新したり、目標タイムを達成する頑張りを見せた選手もいました。もちろんコーチとして、これほどうれしくて充実した気持ちになることは、他にはありません。

マラソンは、走った選手はもちろん、携わった人たちに対しても様々な影響を与えるスポーツなのです。そして、そんなマラソンに関わり続けられることに感謝し、これからも選手たちと共に成長していければと、あらためて強く感じた「横浜国際女子マラソン大会」でした・・・。

マラソン・10

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「最終調整(仕上)期」:目標のマラソン大会1週間前から前日まで。

ここまで、駆け足でマラソン練習について考えてきましたが、いよいよ最後の期となります。しかし、この期についても前期同様、とにかく休養第一になります。

ところで、皆さんは1週間前の練習は何を実施するのでしょうか?

ほとんどの人が、10kから20k程度のペース走を実施するのではないでしょうか。もちろん、私が指導する市民ランナーたちも、10kから15k程度のペース走を実施して最後の仕上としています。ところが、1週間後に走ったマラソン大会での結果については、残念ながら全員が笑顔になるとは限りません。

なぜ、同じにならないのでしょうか?

実は、前期から距離を落として各自の目標タイムに合った設定タイムを守ってきた人については、ほぼ間違いなく調子が上がってきています。たとえ本人にその自覚が無かったとしても、1週間前のペース走でそれを実感できる人がほとんどです。

マラソン大会1週間前の練習実績例として、◆1).調整のつもりで走った10k走で自己記録に匹敵するタイムで走れた。◆2).後半ペースアップしたら、いくらでもビルドアップできた。◆3).1週間前のハーフマラソン大会で大幅な自己新記録を達成した。◆4).15k走のつもりでスタートしたが、あまりにも軽かったので20kまで走った。・・・以上のような例を経験された人は多いと思います。実は、残念ながら上記の例はマラソンで失敗した人たちがよく話している内容です。※◆対策1).目標とするマラソンペース以上のスピードで追込むような走りはしない。最後まで余裕を持って走りきる。

また、逆に1週間前の10k走があまりにも調子が悪く、自分自身でも納得がいかないと、翌日の月曜日から水曜日にかけて、もう一度10k走にトライする人も意外と多くいます(追試)。この場合、更に失敗する確率が高まります。※◆対策2).追試は実施せず、勇気と決断を持って、狙っているマラソン大会での目標タイム自体を修正する。

マラソン1週間前は、どんな人でも前期以上にメンタル的(精神的)に不安定な状態になってきます。その結果、必要以上に速く走ったり、追試のような練習を急遽実施する人が多く、失敗を呼び込んでしまう人が後をたちません・・・。※不安症候群。

さて、今回もメンタル的な話が多くなりました。しかし、最終的に明暗をわけるのは、これまで積重ねてきたトレーニングや、それを継続してきた「自分自身を信じる力」の差ではないでしょうか。

そして、長期間のマラソントレーニングを通じて変化してきた自分自身の身体や気持ち。それを目標としてきたマラソン大会という発表会の舞台で出し切る達成感や感動こそが、マラソンの醍醐味なのです。

マラソン・9

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「第1次調整期」:目標のマラソン大会の3週間程度前から1週間前まで。

この期は、ペース走や距離走も20k程度までにとどめ、目標とするマラソンペースとほぼ同じ設定で実施します。もちろん調整段階に入ってくるので、この段階でスタミナが足りないからと言って、もう一度走り込むとか、40k走を実施すると言ったことは原則としてありません。調整のポイントは、走行距離を増やして調子を上げるのでなく、走行距離を落としながら調子を引上げていくことです。実は、狙ったマラソンで失敗してしまった原因の多くは、この期に走り過ぎてしまうことなのです。※「マラソン・4」より抜粋。

上記に記載したとおりですが、設定タイムや走り方については、前期とほぼ同じ考え方になります。サブスリー(3時間突破)を目指している人を例にあげると、距離も15kから20k程度に落とし、その設定タイムは4分15秒前後になります。また、余裕があったとしても設定タイムをキープし、残り数キロでペースアップする走り方に徹します。

さて、この期で最も注意するポイントが別にあります。それは、これまであまり考えていなかったことに対して、とても敏感になり、不安に感じてくることです(勝手に不安症候群と言っています)。具体的には、スタミナに対する不安、スピードに対する不安、体調管理に対する不安・・・。特に、目標のマラソン大会に向け、3週間程度を切ってくると、精神的に不安定になってくる人が突然多くなります。

その結果、思い出したように40k走を実施したり、タイムトライアルのようなペース走を実施したり、新発売のサプリメントを数種類服用したり・・・。そして、その多くの結末は、故障、風邪、バーンアウト・・・、更に目標のマラソン大会では後半失速・・・。

皆さんは、いかがでしょうか?

もちろん、私が指導している選手(市民ランナー)たちの多くも、この不安症候群を一度は経験しています。また、それを克服するのに、やはり数年の時間を要しているケースが多いのも事実です。

つまり、どんなに長期スパンでマラソンを目指したとしても、この期のトレーニング次第でマラソンの結果が決まると言っても過言ではないのです。すなわち、「迷ったら(不安になったら)休養」。このことを実行できるか否かが、重要なポイントとなります。

実際に、マラソン大会で後半大きく失速した人から話しを聞くと、「2週間前の20k走は、自己ベストとほぼ同じで走れたのに・・・」と、そんな内容をよく耳にします。まさに、2週間前は、不安症候群になっていたことの裏返しとも言えます。

このように、ほとんどの人は「休養=不安」と、感じるのではないでしょうか。少なくとも私はそうでした(涙)。だからこそマラソン3週間前からは「迷ったら(不安になったら)休養」と、強く意識していくことが必要と考えます。

つづく。

マラソン・8

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「第2次マラソン準備期」:目標のマラソン大会の5週間前から3週間程度前まで。

この期の設定タイムを簡単に説明すると、「前期より速い設定タイムで走るが、目標のマラソンペースよりは若干遅いペースで走るタイム」と、なります・・・。とてもわかり難い言い方ですね(笑)。

そこで、今回は具体的な設定タイムの導き方を説明していきます。そして、そのベースとなるのは自分自身が狙っているマラソン大会での目標タイムとなります。まずは、その目標タイムを明確にしておく必要があります。もちろん目標タイムは、あこがれのタイムでなく、到達する可能性のあるタイムを指します。

では、実際にその目標タイムを、3時間突破(サブスリー)に設定している人を例にして考えていきますが、その考え方はとてもシンプルです。それは、目標としているフルマラソンのタイムを40で割ったタイムを、1kあたりの設定タイムとするのです。

サブスリーを目標にしている人の場合、3時間00分00秒を40で割ります。すると、4分30秒となります。これが、1kあたりの設定タイムとなります。そして、その設定タイムで25kから30kのペース走を実施していくのが、この「第2次マラソン準備期」となります。

サブスリーを達成するには、1kあたり4分15秒程度のペースを刻んでいく必要があります。しかし、この期の設定ペースは4分30秒と、若干遅めになります。もちろん、同じサブスリーを目指している人でも個人差が大きく、スピードに自信のない人は、更に10秒程度落とし、4分40秒程度でも問題ありません。但し、逆にスピードに自信のある人が、設定タイムを速くしていくことはご法度です。この点だけは、注意しましょう。

かなり余裕がある場合でも、その設定タイムをしっかりとキープし、ラスト2kから5k程度をペースアップするようにします。また、更に余裕があるからと言って、5k以上も手前からペースアップすると、後半失速したり、適切な練習強度を逸脱し、故障や怪我の原因にもなります。※「マラソン・7」を参考。

特に、この期は自分自身の設定タイムより、速く走りきることが目的ではありません。設定タイムに対し、どれだけ余裕を持ちながら走りきれるのかが、重要なポイントとなります。この点は、常に意識しておくようにしましょう。

また、自分自身の設定タイムについては、一度1k毎に書き出し、頭の中で整理しておくと、より正確なラップを刻めるようになります。

※上記の計算で導きだした自分自身の設定タイムで、30kのペース走を最後まで走りきれなった場合・・・。無理をしないで目標タイムそのものを見直しましょう。ときには、目標を下方修正する勇気と決断もマラソンには必要です。

つづく。

マラソン・7

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「第2次マラソン準備期」:目標のマラソン大会の5週間前から3週間程度前まで。

この期は、前期より若干距離を短くし、その分、設定タイムを上げます。もちろん目標とするマラソンペースより遅めですが、かなり実戦的なペース走や距離走を取り入れます。また、ラスト数キロはペースアップし、心肺や脚により負荷をかけるような走りを意識していきます。

このブログの「マラソン・4」で記載した説明を、そのまま引用すると上記のようになります。もちろん、各人の走力や目標タイムも違うので、必ずしも全ての人にあてはまることではありません。しかし、大切なことは、目標のマラソン大会に向かって距離を増加していくのでなく、距離を落としながら逆にスピードを上げていくような流れにしていくことが、ひとつのポイントとなります。

その点を踏まえつつ、具体的な距離や設定タイムについて考えていきます。

まず最初は、距離についてです。前期は、距離で走り込むなら30kから40k。時間で走り込むなら3時間から4時間程度と話しをしましたが、今期は30k前後がひとつの目安となります。具体的には、25kから30k程度となります。また、時間で走り込んでいた人も、この期からは距離で走り込むようにしていきす。

次に、設定タイムについてです。実は、この設定タイムの考え方こそ個人差が大きく、経験的な要素が色濃く反映される部分です。しかし、この期でも大切なことは、前期よりペースを上げるとしても、ある程度の余裕を保ちながら走りきれるペースがポイントとなります。

この期でよくある失敗例として、距離を落とした分、目標のマラソンペースより速い設定タイムでトライするパターンです。この場合、単に後半失速してしまう可能性が高くなります。しかし、最後までそのペースで走りきれたとしても、その数日後から調子や体調がどんどん上がってくるケースが多く、調子のピークがマラソン大会前にきてしまうことが多々あります。※故障や怪我のリスクも格段にアップします。

つまり、速過ぎる設定タイムで距離走を実施すると、調子のピークが大きくずれてくる確率が高くなるのです。ところが、当の本人は、そのことに気がつくことはほとんどなく、当日のマラソン大会では、後半大きく失速・・・。これまでそんなパターンに陥ったランナーたちを、数多く見てきました・・・。

このように、いたずらに設定タイムを上げ過ぎることは、大きなリスクがついてきます。この点をしっかりと頭に入れて、次回は具体的な設定タイムを考えていきます。

つづく。

マラソン・6

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「第1次マラソン準備期」:9月第1土・日曜日から目標のマラソン5週間程度前まで。

前回、「精神的なスタミナを養成する」ことは、特に重要な目的であると話しましたが、今回はその点をもう少し掘り下げて話しをすすめていきます。

さて、皆さんは、なぜマラソンが辛いと感じるのでしょうか?

「後半、脚が動かなくなるから」、「数時間も動き続けなくてはいけないから」、「脚がとても痛くなるから」・・・と、いろいろな理由をあげてみたところで、誰もが経験しているようなことばかりが直ぐに浮かびますね。

しかし、別の見方をするとマラソンは、「常に頭の中で、様々なことを考えながら動き続けることが可能なスポーツ」とも言えます。つまり、球技のように夢中でボールを投げたり、追いかけたりするような、「無我夢中(無心)」になる瞬間がほとんどないのです。そのためマラソンは、単調な運動を繰り返しながら、常に頭の中で様々なことを考えるゆとりがあります。※マラソンは、無我夢中で走ったり、頭の中が真白になるようなペースでは走らない。

ところが、そのゆとりこそが逆に、「ゴールまで、まだ20kもある・・・」とか、「隣で走っている人の呼吸が激し過ぎて気になる・・・」等々、マラソン中は様々な邪念が頭の中を常にめぐることになり、それがメンタル面に大きく影響します。マラソンは、自分自身の精神的に弱い部分との葛藤が必ずあり、本当はそれが最も辛いのです。

かくいう私もかつて、40k走を実施しているとき、自分自身との葛藤に負け、途中でやめてしまった経験が何度もあります(涙)。また、私が主宰している練習会でも、このようなパターンで途中リタイヤしてしまう人が、毎回必ずいます。※このような人は、はたから見ていてよくわかります。

皆さんは、いかがでしょうか?

ゆっくり長く走ることは、最初は楽なように感じます。しかし、自分自身の弱い部分との葛藤が必ずあり、実はとてもストレスがたまるのです。だからこそ、「第1次マラソン準備期」は、マラソンを走るための土台となる脚つくりはもちろん、長時間動き続けるための、「精神的スタミナ」を養成する大切な期となるのです。

つづく。

マラソン・5

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「第1次マラソン準備期」:9月第1土・日曜日から目標のマラソン5週間程度前まで。

まずはじめに、この期はゆっくり長く走るトレーニングがメインとなります。具体的には、距離走なら30kから40k程度まで、時間なら3時間から4時間程度動き続けることがひとつの目安となります。また、自分にとってかなり余裕のあるペースを保ち、最後までゆとりを持って走りきることがポイントです。

次に、この期の目的をいくつかあげてみます。

◆目的1).ゆっくり長時間動き続けることで脚筋力を強化する。◆目的2).身体の中にある毛細血管を発達させ、持久力を向上させる。◆目的3).長時間動き続けることで、距離や時間に対する不安を払拭させる(精神的なスタミナを養成する)。・・・他にも専門的な細かいこともありますが、主な目的は以上の3つに集約されます。

もちろんどれも重要な目的なのですが、3番目に記載した「精神的なスタミナを養成する」ことは、特に重要な目的と考えます。実は、マラソン練習でよく見かける失敗パターンのひとつに、40k走を実施しようとスタートしたが、途中で力尽きてしまったケースです。そして、その時「来週は、40k走を完走できうように頑張ります」と、コメントしている人たちです。

いかがでしょうか?思い当たる人はいませんか?

傾向的に上記のような失敗パターンの人は、マラソン大会が目標でなく、トレーニングをすること自体に目標がすり替わってしまい、結果的には怪我や故障をする確率が飛躍的に高くなります。そのため、トレーニングの中で同じ失敗(怪我や故障)を繰り返し、目標のマラソン大会前に、精神的にもバーンアウトしてしまう傾向が強いのです。※このブログの「マラソン・2」を参照下さい。

最終的に目標タイムを達成するためには、ある設定タイムを正確に刻んでいく必要はあります。しかし、この期の目的は、ゆっくり長く走ることです。それにより、距離や時間に対する不安を払拭させることと、スピードを上げ過ぎないようにすることで、怪我や故障を防止しながら脚筋力や持久力を養成することなのです。※この期で速く走り過ぎた結果、潰れて途中リタイヤしてしまうと、距離や時間に対し、逆に不安を残すことになります。

既に何度も話していますが、マラソンは道具を使うスポーツではないので、技術的な要素が極端に少なく、とても単調で根気の必要なスポーツです。そのため、球技をする感覚でマラソントレーニングに挑むと、ほぼ間違いなく怪我や故障をします。

つまり、それを防止するための最短で最も効率の良い方法のひとつが、この「期わけ」なのです。特に、この「第1次マラソン準備期」は、マラソントレーニングの中で最も大切な土台部分を構築していく重要な期です。焦らずゆっくり、じっくりと走りましょう。

つづく。

マラソン・4

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前回、11月から12月のマラソンを目指していく「期わけ」をしました。そして、今回からそれぞれの期について考えていきます・・・。しかし、その前に9月の「第1次マラソン準備期」から「最終調整(仕上)期」の主な流れと簡単なポイントを、最初につかんでおきたいと思います。

◆1).「第1次マラソン準備期」:ゆっくり長く走るトレーニングがメインとなります。マラソンを走りきるための、脚力を養成することが主な目的となり、距離走もかなり余裕を持ったペースで実施します。・・・あせらず、じっくりと走りましょう。

◆2).「第2次マラソン準備期」:前期より若干距離を短くし、その分、設定タイムを上げます。もちろん目標とするマラソンペースより遅めですが、かなり実戦的なペース走や距離走を取り入れます。また、ペース走や距離走のラスト数キロはペースアップし、心肺や脚にもより負荷をかけるような走りも取り入れていきます。しかし、一方で、一気にペースを上げ過ぎた結果、故障や怪我をする人が多いのもこの期です。

◆3).「第1次調整期」:ペース走や距離走の距離も20k程度までにとどめ、目標とするマラソンペースとほぼ同じ設定で実施します。もちろん調整段階に入ってくるので、この段階でスタミナが足りないからと言って、もう一度走り込むとか、40k走を実施すると言ったことは原則としてありません。調整のポイントは、走行距離を増やして調子を上げるのでなく、走行距離を落としながら調子を引き上げていくことです。実は、狙ったマラソンで失敗してしまった原因の多くは、この期に走り過ぎてしまうことなのです。

◆4).「最終調整(仕上)期」:とにかく身体を休め、疲労を抜いていくことが目的となります。具体的には、軽めのジョギングと短い距離のペース走で身体に刺激を入れ、より体調を引き上げていきます。また、この段階に入ると、目の前に迫ったマラソンに対し、精神的な不安も頂点に達してきます。その結果、これまで経験のない「マッサージや整体」を受けたり、服用したことのない「サプリメントや栄養剤」を摂り、逆に体調を崩してしまう人が何と多いことでしょうか・・・。このように最終調整は、「不安症候群」との戦いでもあるのです。

以上が、各期の主なポイントと、全体的な流れについてです。そして、どんなことでも同じですが、特にマラソンは、話したり書いたりすることは本当に簡単です。また、一生懸命走ると身体は必ず疲労し、故障や怪我をする確率は確実にアップします。しかし、故障や怪我を恐れるあまり、走り込みが不足すると、今度は目標タイムでマラソンを走れなくなります・・・。

つまり、この矛盾との戦いこそが、マラソン練習なのです(笑)。

つづく。

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