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ランニング

東京マラソン2011・上

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先日開催された「東京マラソン2011」は、久々の晴天に恵まれました。同時に、その絶好のコンディションに後押しされて、自己記録を更新したランナーも多かったのではないでしょうか。特に、日本人男子のトップでゴールした川内選手の走りは素晴らしかったですね。川内選手の記録や内容についてのコメントは割愛しますが、これから一気に増えてくると予想される外野からの声や情報に惑わされることなく、川内選手らしいこれまでのスタイルを淡々と貫いてほしいと、陰ながら応援しております・・・。

さて、私が直接コーチする選手(市民ランナー)も川内選手同様、この「東京マラソン2011」に挑みました。具体的には、エリート女子の部に3名、一般女子の部に2名と、5名とも女性市民ランナーです。

では最初に、今回の東京マラソンに挑んだ5選手の設定タイムと実績タイムを振り返ります。

◆M・I女子選手:設定タイム/2時間37分50秒→実績タイム/2時間37分34秒(自己新記録)、◆M・Y女子選手:設定タイム/2時間49分49秒→実績タイム/2時間49分51秒(自己新記録)、◆M・S女子選手:設定タイム/2時間55分48秒→実績タイム/2時間54分18秒、◆C・I女子選手:設定タイム/3時間18分59秒→実績タイム/3時間19分23秒(自己新記録)、◆K・F女子選手:設定タイム/3時間19分59秒→実績タイム/3時間32分29秒

以上のような結果となり、ほぼ目標どおりの記録を残すことができました。特に、エリート女子の部に出場した3選手につていは、この1年間、個々に故障や体調不良に苦しむ時期もありましたが、それらの困難を乗り越えての快走でした。

至極当然のことですが、マラソンは記録や走力がアップすることに伴い、トレーニングの量や質も向上していくので、故障や体調不良に陥る確率も上がっていきます。また、上記3選手ともフルタイムで仕事をこなし、それぞれが家庭を持っている典型的な市民ランナーです。ところが、マラソンの記録を短縮していくに従って、3選手とも慢性的な故障個所を抱えてきていることも事実です。

特に、フルタイムで仕事をしている市民ランナーの場合、故障や体調不良に対する対応が適切にできないケースが多いと感じます。その最大の理由として、実業団選手(プロ)のように専属のトレーナーやチームドクターが存在しないことがあげられます。それは、身体に問題が発生した時点での適切な対応や処置が遅れることにつながり、結果的には完治や復帰させる時期を遅らせる結果にもつながるからです。

また、仮に掛かり付けの治療院があったとしても、今日電話して今日の17時に予約がとれる保証はなく、むしろ希望する日時に予約をとり、身体の治療を受けられるケースの方が圧倒的に少ないのです。更に、「なるべく立ち仕事は避けるように」とか、「車の運転は控えるように」と、治療院の先生からアドバイスを受けたとしても、仕事上それが困難なケースは多く、逆に仕事を通じて症状を悪化させることにもなり、ランニングそのものを断念する市民ランナーも意外と多いのです。

実は、上記3選手も同じような問題を少なからず抱えており、多くの市民ランナーにとっては永遠の課題なのかもしれません・・・。

次回は、エリート女子の部に出場した3選手の実績タイムをもう少し詳しく解析していきます。

つづく。

第2回横浜国際女子マラソン大会

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先日の2月20日に、「第2回横浜国際女子マラソン大会」が開催されました。この大会は、本来なら昨年11月に開催される予定でしたが、APEC横浜の開催に伴い、今月にスライドしました。従って、今回の開催は2010年度開催分となるので、今年の11月にもう一度、「第3回横浜国際女子マラソン大会」が開催されます。

・・・と、前置きが長くなりましたが、今回の大会には、私がコーチする女子選手(市民ランナー)も2名出場しました。2選手とも私がコーチする選手(市民ランナー)の中では、比較的トレーニングの流れが安定しており、更に練習量の多いグループに入る選手たちです。

更に、ふたりとも年間を通じて故障や体調不良が少なく、それは「身体が丈夫」であることの裏返しでもあります。また、至極当然のことですが、そのことはライバルより量と質をあげたトレーニングを積めることにもなり、それだけ記録に対する期待や可能性が広がってくることにもつながります。ところが、今回の結果は明暗を分ける内容となりました。

◆K選手:2時間55分49秒。◆O選手:3時間3分16秒。

実は、今回のマラソンを目指した走り込みの中では、若さと勢いのあったO選手の方に記録への期待がありました。もちろん、ベテランのK選手も自分自身の流れを崩さず堅実な走り込みを継続していました。

しかし、実際のマラソンでは、最後まで設定タイムを堅持し、力を出し切ったのはK選手でした。そして、期待のO選手でしたが、設定タイムを維持できたのは、25kまでで、その後は無念の失速・・・。

ふたりの明暗を分けた要因は様々ですが、トレーニングの段階でも設定タイムや走行距離を常に意識しながら走り込めていたのは、K選手でした。そして、O選手に関しては、若さと勢いに任せた内容が多く、逆に自分自身の調子を正確に把握することができていない感もありました。

さて、ベテランの域に入ってきたK選手が初めてサブスリーを達成したのは、2004年1月です。その後も毎年安定した結果と記録を残し続け、今回のタイムは彼女自身にとっては、なんと11回目のサブスリーでした。

一方のO選手は、昨年11月に初マラソンに挑戦し、今回が2回目のマラソンでした。ところが、O選手にとっては、今回も厳しい結果となりました。しかし、マラソンランナーとしての大切な資質である「身体が丈夫」であり、「スピード」と「スタミナ」も兼ね備えています。あとは、焦らず経験を積んでいくことが大切なポイントになるでしょう。

今回のマラソンは、自分自身の体調はもちろん、はやる気持ちを如何にしてコントロールしていけるかが重要なポイントであるかを、あらためて教えてくれました。

「ハーフマラソンは10kの延長だが、マラソンはハーフマラソンの延長ではない」

そして、コーチとしては選手への結果を求め過ぎず、腰を据えてじっくりと向き合っていくことが・・・。

第60回別大マラソン大会・下

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2月6日の別大マラソン大会に出場した6選手(市民ランナー)の設定タイムと実績タイムは前回のブログで紹介しました。今回は、目標の別大マラソン大会に向けたトレーニングの流れ及び調整のポイントを振り返ります。

と、言いながら結果的には、6選手とも同じようなトレーニングの流れと調整を実施しています。これは、コーチの私が意図的に指示した訳ではなく、個々の調子や体調を重視した結果としてのことです。つまり、その流れは、1月下旬から2月上旬のマラソンを目指しているランナーにとっては、ひとつのトレーニングパターンとして参考になると考えます・・・。

◆ポイント1).昨年11月下旬から12月上旬のマラソンで自己新記録か、それに準ずる記録をマークしている。◆ポイント2).そのマラソン後に故障や体調不良もなく、12月から年末年始のトレーニングで走れなくなるようなトラブルは無かった。◆ポイント3).別大マラソン大会の2週間前と3週間前の距離走をほぼ完璧に実施できていた。

以上のような共通したポイントに絞れますが、特に目新しいことではありませんね。では、各ポイントについて少し解説を加えてみます。

◆ポイント1の解説).「トレーニングの継続」:6選手とも夏以降、大きな体調不良等もなく、秋のマラソンに向けたトレーニングを計画的に継続できていた。◆ポイント2の解説).「自己管理の徹底」:目標のマラソンに向けて、日々の体調管理(食事や睡眠)や身体の手入れについても日常生活の中で習慣化されていた。従って、秋のマラソン後も大きなダメージもなく、通常のトレーニングを短期休養で再開できた。◆ポイント3の解説).「自身の身体と感情のコントロール」:常に全力のトレーニングではなく、メリハリを付けながらトレーニングを継続し、特にポイント練習(距離走)では、より集中していた。

さて、何度かこのブログにも記載していますが、マラソンは道具を使うスポーツではありません。そのため、「走る」だけの単調なトレーニングを如何にして継続していけるかが、最も重要なポイントになります。ところが、単調な上に、たかだた半年や1年程度の継続で目標の記録や成果を出せるほど、簡単なスポーツではありません。そして更に、焦って欲を出し過ぎると必ず怪我や故障をします。これらは、他のスポーツと大きく違う部分(上手い下手がない)であり、マラソンの難しく残酷な部分でもあります。

「努力は簡単に報われない」

今回紹介した6選手(市民ランナー)についても、試行錯誤を数年単位で繰り返しながら身の丈に合ったトレーニング方法やマラソンを体得していきました。もちろん、これからも上記記載のポイントを軸に地道なトレーニングを継続していくことこそが、重要なカギであることは間違いありません。

「継続は力なり」

このように、マラソンは自分自身の目標に到達するまで、膨大な手間と時間がかかるスポーツです。しかし、それが逆にマラソンの魅力であり、ゴール後の深い満足感や大きな達成感につながる部分なのです。

おわり。

第60回別大マラソン大会・上

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第60回の記念大会となった「別大マラソン大会」が、2月6日(日)に大分県で開催されました。私が直接コーチする選手(市民ランナー)も6名参加しました。そして、その中には女性ランナーも3名含まれています。実は、今回の60回記念大会から女子の部が新たに加わり、伝統の別大マラソン大会に、女性ランナーも堂々と出場できることになったのです。

一方で、残念ながら日本マラソン界の低迷が、ここ数年指摘されています。しかし、今回のように、伝統ある大会が積極的に間口を広げていくことは、マラソン低迷を打開するひとつのきっかけにつながると、私は信じています。

さて、今回出場した6名の選手(市民ランナー)たちも、あこがれの別大マラソン大会を目指し、昨年の秋ごろから本格的な走り込みを継続してきました。また、何度かこのブログでも指摘していますが、1月下旬から2月上旬のマラソン大会は、市民ランナーにとって、記録を狙いにくい時期と言えます。それは、目標のマラソン大会時期から逆算すると、最も走り込みが重要な時期が、1年で最も忙しい12月から年末年始にあたるからです。

今回、別大マラソン大会に出場した6名の選手(市民ランナー)たちも、様々な苦労と工夫を重ねながら地道な走り込みを継続してきました・・・。

まずは、今回の別大マラソン大会での設定タイムと実績タイムを記載します。

◆N・T男子選手:設定タイム/2時間41分59秒→実績タイム/2時間40分53秒(自己新記録)。◆H・Y男子選手:設定タイム/2時間46分59秒→実績タイム/2時間47分47秒(自己新記録)。◆K・Y男子選手:設定タイム/3時間9分40秒→実績タイム/3時間8分6秒(自己新記録)。◆M・T女子選手:設定タイム/2時間55分48秒→実績タイム/2時間55分46秒(5位入賞)。◆M・K女子選手:設定タイム/2時間57分14秒→実績タイム/2時間56分52秒(7位入賞)。◆K・F女子選手:設定タイム/3時間21分59秒→実績タイム/3時間20分58秒(自己新記録)。

以上のように出場した6名全員が、設定タイムをほぼクリヤーすることができました。・・・と、言うものの個々には、反省する部分も多々あり、この点については、次回以降のマラソンに活かしていく課題でもあります。しかし、6名とも今回の別大マラソン大会に向けたピーキングが良かったことは確かであり、それが貴重な経験と財産になったことは間違いありません。

そこで次回は、今回の別大マラソン大会に向けた、最後の調整部分を振り返っていきたいと思います。

つづく。

IPC世界陸上競技選手権大会・4

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熱戦の続いた「IPC世界陸上競技選手権大会」も1月30日のマラソンを最後に閉幕しました。そして、その最終日のマラソンで日本勢は、素晴らしい走りを披露してくれました。

車椅子マラソン女子の部に出場した土田選手は、ラストの競り合いを制し、見事に金メダルを獲得。同じく車椅子マラソン男子の部は、ゴール直前まで大混戦となりましたが、その激戦の中、副島選手が銅メダルを獲得しました。

また、弱視のマラソンでは、岡村選手が銅メダルを獲得。そして、全盲のマラソンでは、和田選手が銅メダルと、まさに有終の美を飾るに相応しい活躍を見せてくれました。

その和田選手については、前回のブログでも紹介しましたが、目標どおりの見事なメダル獲得でした。しかも1万メートルに続いての自己新記録達成です。至極当然のことですが、国際大会で自己記録を更新することは並大抵のことではありません。それは、異国の地でコンディションを整えることや、周囲からのプレッシャー等が、他の大会とは比較にならないほど、大きく難しくなってくるからです。

さて、一般のオリンピックや世界選手権に出場した選手たちが残すコメントで、「自己記録ならメダル獲得だった・・・」の言葉を、意外と多く耳にします。しかし、それは大きな舞台で自分自身の力を出し切ることが如何に難しいことかを、逆に物語っているとも言えます。

今回の大会で日本選手がエントリーし、出場した種目数は26選手(ID選手を除く)で、延59種目です。しかし、この中で自己新記録をマークしたのは、たったの3種目で2選手です。そして、そのひとりが和田選手であり、1万メートルとマラソンなのです。

ところが、オリンピックやパラリンピックをはじめ世界規模の大会は、記録よりメダル獲得を重視します。しかし、上記にも記載したとおり、「自己記録だったなら・・・」と、悔やむ選手の方が圧倒的に多く、「世界の大舞台では自己の力を出し切ることこそが、メダル獲得へつながる道である」と、国際大会へ帯同する度に強く感じることです。

そして、いよいよ来年はロンドンオリンピック&パラリンピックです。今大会の貴重な経験と実績を活かすべく、選手と共に更なる精進をして参ります。

最後になりましたが、今大会の出場に対し、たくさんの方々からのご理解とご支援を賜りました。この場をおかりし、厚く御礼を申し上げます。

おわり。

IPC世界陸上競技選手権大会・3

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障害者陸上競技大会の世界最高峰であるIPC世界陸上競技選手権大会も、本格的な競技がはじまりました。月並みな言い方ですが、世界から集まったトップアスリートの技術や戦いは見ごたえ十分です。

特に、「立位」と言われている「視覚障害」、「脳性まひ」、「手足切断」のクラスは、一般の大会でもかなり上位で戦えるような好記録が次々にマークされており、ただただ驚くばかりです。

参考までに、全盲クラスの女子100m(T11/伴走有)や腕切断クラスの女子100mは、12秒台前半のタイムが普通に出ております。また、全盲クラスの男子1500m(T11/伴走有)は、4分4秒台、同じく弱視クラスの男子1万mは、30分台と、かなりのハイレベルです。

そんな中、日本選手たちも果敢に戦いを挑み、メダルも獲得するなど健闘しております。

さて、今大会に全盲クラスの男子1万mとマラソンにエントリーした和田選手について少し紹介します。彼は、昨年12月に中国広州で開催された「アジアパラ」にも日本代表選手として出場しました。至極当然のことですが、わずか1ヵ月弱のスパンで大きな国際大会を連戦することは、肉体的にもかなりの負担となります。もちろん、精神的にも自分自身の中で高いモチベーションをキープしていくことは、最も難しい調整だったに違いありません。

しかし、大会直前の千葉県富津合宿では、周りからの期待やプレッシャーに潰されることもなく、「1万mは、日本新記録が目標」と、具体的な目標を掲げていました。和田選手は、どんな不利な状況に対しても、常に冷静な判断と行動がとれるトップアスリートです。もちろん、彼の走力や調整の状況から判断しても十分に狙えると、こちらも大きな期待をして見ていました。

そして、大会2日目に全盲クラス(伴走有)の1万m決勝が実施され、和田選手も出場しました。スタート直後からハイペースな展開となりましたが、前半の5千m通過は、17分20秒前後と設定どおりです。ベテラン伴走者の中田氏と共に、後半は本当に少しずつペースアップしながら順位もあげていきました・・・。8千m以降は、かなり苦しい表情を見せながらの力走でしたが、マラソンランナーらしい粘り強さを余すことなく発揮してゴール。

残念ながらメダル獲得には、あと一歩及びませんでしたが、堂々の4位入賞です。そして、公式記録も「34分21秒89」と、公約どおりの日本新記録を、この大舞台で叩き出したのです。

今回の走りは、和田選手のもうひとつの目標である、「マラソンでメダル獲得」に向け、大きな自信となったに違いありません。

つづく。

IPC世界陸上競技選手権大会・2

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1月17日、IPC世界陸上競技選手権大会に出場するため、成田空港から約11時間のフライトで、ニュージーランド・クライストチャーチに入りました。日本との時差は4時間で、こちらの方の時間が進んでいます。そのため、いわゆる「時差ボケ」を感じることはほとんどありません。また、季節は夏ですが、到着した18日はあいにくの雨で、かなり肌寒い感じでした。しかし、翌日は晴れて夏らしい天気になりました。ところが、本日は再び雨が降り、気温も10度前後と、かなり寒いです。

このように入国してわすか3日間ですが、天気や気温が激しく変動しています。至極当然のことながら、選手たちの体調やコンディションが心配になってきますが、大きなトラブルもなく全選手とも元気です。

また、入国直後から慌ただしく参加選手たちの「クラス分け」が行われています。今大会でクラス分けを受ける日本選手は3名でしたが、全員が無事にクラス確定となりました。

さて、今大会の私は、日本代表チームのヘッドコーチという立場なので、選手やコーチ陣のことはもちろん、目に見えない雑務に追われています。そして、昨日はその大切な仕事のひとつである「ユニフォームの申請」を実施してきました。

言葉だけを聞いてもピンとこないと思いますが、オリンピックも含めた国際大会になると、競技場内やその周辺施設で選手が着用するジャージやユニフォーム等を予め大会側に申請しておく必要があります。もちろん、荷物を入れるバックや帽子等も申請する対象になります。別の言い方をすれば、申請していないジャージやTシャツ等を着用しての競技はもちろん、サブトラックでのウォーミングアップ等の実施も禁止となります。

同時に、申請した日本の公式ユニフォームだとしても、国名字の大きさやメーカーロゴの大きさや個数に至るまで、細かい国際ルールが規定されています。そのため、規定に違反している個所は、ガムテープ等を貼って隠さなくてはいけません。残念ながら日本もいくつか指摘を受けました・・・。

また、入国した翌日の早朝に抜き打ちドーピング検査を受けた選手もいました。今や、ドーピング検査は、競技場以外の自宅や宿泊先にもやってきます。もちろん、いかなる理由であろうと、これを拒否すると直ちに失格になるのは言うまでもありません。

このように、国際大会になると、ひとりの選手がスタートラインに立つまでに、クリヤーしておく事項がたくさん出てくるのです。

つづく。

IPC世界陸上競技選手権大会

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IPC(国際パラリンピック委員会)主催のIPC世界陸上競技選手権大会が、いよいよ間近に迫ってきました。この大会は障害者陸上競技にとっては、パラリンピックに次ぐ世界のビッグイベントとなり、パラリンピック同様、4年に1回の開催となります。そして、今回はニュージーランドのクライストチャーチでの開催となります。

既にご存知のとおり、来年はオリンピック&パラリンピックがイギリスのロンドンで開催されます。従って、今大会の成績が、ロンドンパラリンピックに参加する国別出場枠に反映されます。また、更に今大会は、そのロンドンパラリンピックで実施する種目そのものを見直す極めて重要な大会でもあります。そのため、この大会に向けた各選手の取組みや意気込みは、並々ならぬものでした。

しかし、参加標準記録のかつてないレベルへの引き上げ、IPC登録選手制度をはじめとする各種ルールや制度の厳格化・・・等々、この大会に出場するための道程も、かつてない厳しいハードルの連続でした。

そんな幾多の苦難を乗り越え、日本代表選手として今月17日(月)から渡航する日本代表選手は、32名です。それぞれが期待と不安を抱いての戦いとなるに違いありませんが、世界と勝負できる貴重なチャンスです。ここまで蓄えてきた力を何としても出し切って帰国してほしいと、心から願っております。

その日本代表選手団は、18日(火)にニュージーランド到着後、直ぐに「クラス分け」がはじまります。既に、このブログでも説明していますが、障害者の陸上競技は、各選手の障害の種類や程度に応じて、クラスが細かく分類されます。従って、競技以上に、このクラス分けが重要な位置付けとなり、各選手は最も神経を使う部分でもあります。それは、障害の種類や程度が違うと、同じ種目であっても、大人と子供以上のハンディになるケースが多分にあるからです。

「クラス分け」は、まさに障害者スポーツの最重要部分であり、各選手にとっては、「生命線」とも言えます。

さて、実際の競技は22日(土)からとなり、最終種目となるマラソンは30日(日)と、長期間の戦いになります。しかし、ニュージーランドは南半球のため、今は日本と反対の夏です。そのため、現地にてコンディションを整える期間としては逆にとても短く、どの選手も厳しい調整を求められることになるでしょう。

今回、私は日本代表チームのヘッドコーチとして帯同します。至極当然のこととして、かつてない厳しい戦いになることも覚悟していますが、代表選手はもちろん、コーチ陣と監督のパイプ役として・・・。

次回からは、日本代表選手たちの様子や活躍を少しずつ紹介していきます。

つづく。

継続は力なり

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新年明けましておめでとうございます。本年もこのブログ共々よろしくお願い申し上げます。

ところで年末年始は、予定どおりのトレーニングが実施できたでしょうか?予定どおりにトレーニングを消化できた人、残念ながらそうでなかった人も、それぞれの目標に向かって地道な走り込みを今年も継続してほしいと思います。

月並みな言い方ですが、「継続は力なり」です。

さて、正月恒例の「ニューイヤー駅伝」、「箱根駅伝」と、テレビの前にクギ付けとなった人も多かったのではと思います。かくいう私もまさにそうでした・・・。そして、どちらの駅伝も、フルマラソン以上の長丁場をライバルチームと激しく競い合い、その間、何度も抜いたり離されたりを繰り返しながらのデットヒートでした。

そんな中、今年の大会は駅伝史上かつてない僅差の戦いとなりました。観戦している私たちはともかく、タスキを付けて勝負している各選手や、監督をはじめとする関係者方は、かつてない緊張感の中での激しい戦いだったに違いありません。至極当然のことですが、たったの「1秒」でも勝ち負けが決まります。その結果、天国と地獄ほどの違いが待ち受けます。特に、今年の駅伝はその傾向がより強かったと感じました・・・。

そして、そんな駅伝観戦の後は、どんな人でも頑張る気持になります。特に、今月末から2月のマラソンを目指しているランナーにとっては、これ以上ない刺激になったことでしょう。

ところが、マラソンは駅伝と違い、たったのひとりで最後まで走り抜かなくてはいけません。そのため、駅伝選手のように前半からトップスピードで押し切るような走りでは、ゴールにたどりつけません。同時に、駅伝では無理して予定より速いスピードで通過した記録を、前半(前区間)での「貯金」と言いますが、マラソンの場合、前半の無理は必ず後半の「借金(失速)」となります。

また、仲間とチームのために前半から積極的に走る駅伝と違い、30k以降のためにゆとりを持って後半まで体力を温存しながら走るのがマラソンです。もちろん個人差はありますが、マラソンは駅伝と違い、前半から飛ばしていった人は、かなりの確率で後半失速します。少なくとも私自身は、この失敗パターンを数多く目にしてきました。

この点は、コーチとして肝に銘じ、今年も地道に堅実なトレーニングと練習会を継続していきます。

師走・3

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今回も前回同様、年末年始のトレーニングについてです。今回は、2月中旬以降のマラソン大会を目標にしているランナーの具体的なトレーニングを考えていきます。

まずは、前回と大きく違う点についてです。1月下旬から2月上旬のマラソン大会を目標にしているランナーにとっての年末年始は、「調整期」でした。しかし、2月中旬以降のマラソン大会を目標にしているランナーにとっては、最後の「走り込み期」となります。この違いをしっかりと理解した上で、年末年始のトレーニングに挑んでほしいと思います。

それでは、「走り込み期」に位置する年末年始の具体的なトレーニング例を記載します。

◆年末年始トレーニング例2).12月29日:30k~40k走、12月30日:軽めのジョグ+100m×10本、12月31日:30k~40k走、1月1日:元旦マラソン大会(10k程度のタイムトライアル)、1月2日:軽めのジョグ、1月3日:2~3時間LSD。※距離走を、2~3時間LSDに置き換えてもOK。

前回の流れと違うのは、29日と31日に距離走を実施し、元旦マラソン大会に出場する点です。かなり詰め込んだイメージになりますが、ゆとりを持った設定タイムをしっかりとキープすれば、乗り切ることができる内容と考えます。もちろん、無理は厳禁ですが、特に走り込み期の距離走については、量より質を上げ過ぎた結果、故障や怪我につながるケースが多いと感じます。従って、前回以上にゆとりを持った設定タイムを意識する必要がでてきます。

そこで、具体的な29日と31日の設定タイムについてですが、目標のマラソンタイムから1k毎のペースを導き出し、そこから「10%~20%程度」遅くしたペースが目安となります。前回同様、1kを4分ペースで走りきることが目標のランナーは、4分20秒~4分40秒あたりのペースが目安となります。※走り込みが目的なので、もっと落とした設定タイムにしてもOK。

特に、29日に距離走を実施し、中1日で再び距離走を実施するので、29日の距離走が重要なポイントとなります。それは、最後までゆとりある設定タイムをキープしていくことで、身体がペースアップしていきたい要求を抑え、スタミナを温存しながら走ることになります。つまり、実際のマラソンに例えると、「前半は体力を温存し、その体力を30k以降につなげていく感覚」と似ており、貴重な疑似体験にもなります。

そして、中1日で再び距離走を実施した翌日に、元旦マラソン大会を走ります。かなりハードな内容ですが、逆にスピードを出し難い状態(※)になっているので、怪我や故障に直結するケースは意外に少ないと感じます。そして何より、スタミナが枯渇した状態から更に頑張れる体力を身に付けるには、絶好の年末年始となるに違いありません・・・。※マラソンの35k以降の感覚。

おわり。

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