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春を走る

春を走る・10

【春を走る・10】今年のGWも長野県菅平高原において強化合宿を実施しております。また、コロナに関する規制も一旦解除されたこともあってか、サッカーチームなどの姿も多く見受けます。そして、このまま元の状態に戻っていくことを願っております……。

さて、今年もGW期間中の菅平高原は、実業団チームや大学チームの姿も多く、どのチームも質の高いトレーニングを積んでいます。そして、これも毎年のことですが、それらの様子を拝見しているだけでも、いろいろと参考になります。

特に、今年はGWの前半に実業団チームの選手たちが集中していたので、菅平高原のトラックは、その選手たちでにぎわっていました。そんな中、ひときわキレのある動きをしている選手がいたので、しばらく見入っていましたが、よく見ると住友電工の遠藤選手でした。

もちろん、私が偉そうに評価することはできませんが、やはり他の選手たちとは違って見えました。特に、短い距離のスピードやそのフォームは他の選手よりも洗礼されていました……。

そして、その数日後の5月4日、宮崎県延岡市で開催された「ゴールデンゲームズinのべおか」において、その遠藤選手が5000mで快走。特にラスト200mからのスパートは菅平で拝見したキレのある動きのままでした(LIVE配信より)。

後半のGWは、ブラインドマラソンの強化合宿を実施しております。今回はトラックでのトレーニングに終始し、今月14日からのトラックレースに向けた最後の追い込みです。さいわい、どの選手も好調で、質を高めたスピードトレーニングも順調に消化しております。

先日の「かすみがうらマラソン」で快走した弱視の堀越選手と熊谷選手も、そのときの疲れも抜け、スピードに乗れる動きをしています。また、東京パラで金メダルを獲得した道下選手も好調で、5000mで自身の持つ日本記録更新が可能なゾーンに入っています。

どの選手も久々のトラックレースになりますが、最後まで怪我と故障に注意しながら最終調整に移行していきます。

春を走る・9

【春を走る・9】先日の24日は「ぎふ清流ハーフマラソン大会」が開催されました。同大会には、富津練習会で切磋琢磨している山口遥選手も出場し、女子の部で3位入賞(日本人1位)。記録も「1時間9分50秒」の自己新記録でした。

ところが、山口選手には、ハーフマラソンそのものをほとんど走らせてこなかったので、この記録が本人にとってどうなのかを過去と比較することは、ほとんどできません。しかし、前日に日体大記録会の3000mを走ってからの出場だったので、体力面とメンタル面とが、うまくかみ合っているのを確認できたのは良かったでしょう。

具体的には、前日の土曜日16時過ぎに日体大記録会(神奈川県)で3000mを走り、そこから岐阜県に移動。翌日の日曜日8時40分にハーフマラソンがスタート。かなりハードな内容でしたが、本人は何事もなかった様子で、いつもどおりに走っていました。

マラソンをはじめロードレース大会の多くは、自分の知らない場所に移動し、知らない道路を走ります。したがって、各種ロードレース大会を走ることで、単に記録や順位だけでなく、「適応力(メンタル面)」を身に付けていくトレーニングにもなります。

この能力は、国内大会だけでなく、代表選手として海外などで戦うとき、大きなカギを握ることになります。慣れない土地はもちろん、言葉は通じない、食べ物は違う……など、一回や二回の経験で克服できることではありません。

しかし、この「適応力(メンタル面)」を鍛える手段のひとつとして、国内での短期合宿はとても有効と考えます(私の経験上)。例として、週末を活用し、土曜日の午前中に移動。午後からすぐにポイント練習を実施し、翌日の午前中にもう一度ポイント練習を実施してすぐに帰宅。翌日は普段の生活に戻る。

市民ランナーの皆様なら当たり前に実施していると思いますが、実はいろいろな視点から効果的だと、個人的には推奨します。特に、これからゴールデンウィークに入ります。そんなに遠くない場所でも連休を活用し、慌ただしく移動するミニ合宿は、「適応力(メンタル面)」を身に付けるよい手段にもなると……。

さらに、仲間と切磋琢磨できれば、その効果は計り知れないでしょう。

春を走る・8

【春を走る・8】多くの方々のご理解とご支援のおかげで、今年のかすみがうらマラソン大会は無事に開催されました。また、同大会は古くからブラインドマラソンを受け入れていただき、普及と発展に多大な貢献と功績を残してきました。あらためて、関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。

さて、今年の同大会には東京パラに出場した4選手が出場しました。特に、堀越、熊谷、米岡の男子3選手はこの大会に向け強化合宿などでは、ほぼ計画どおりに調整することができていました。そのなかでも、東京パラで銅メダルを獲得した堀越選手は、別大マラソンでの転倒・棄権のダメージを払拭し、2時間20分突破を目指したトレーニングを計画どおりに消化することができ、記録への期待も高まっていました。

しかし、当日の気温は20度を超える厳しいコンディションになりました。今回のように、4月中のマラソンで20度を超える場合は、体感的には夏マラソンとそん色なく、後半は厳しい状況に陥り易くなります。特に暑い中でのマラソンは、走り込み(距離走)不足のランナーほど、後半は大失速します。

そんな厳しいコンディション下でのレースとなりましたが、弱視で単独走の堀越選手と熊谷選手は、更にスタートからゴールまで集団もなくほぼ独走。そして、慣れないコースのため、スペシャルドリンクがほとんど取れない中でのレースでしたが、両選手とも無事にゴール。

堀越選手は、5kごとのラップタイムを、すべて16分台にまとめ、「2時間21分21秒(アジア新)」。熊谷選手も同様に、すべて17分台のラップタイムをキープし、「2時間27分32秒(セカンド記録)」。両選手とも蓄えた力を狙い通りに発揮しました。また、総合順位も4位と8位、ともに入賞。そして、全盲の米岡選手も後半を粘り抜き、「2時間45分44秒(自己新)」を達成しました。

もちろん、他の強化指定選手たちも力走しましたが、今大会に関しては上記した3選手との差(本気度)は、強化合宿時から歴然としていまいた。このあと、ほとんどの選手は、一旦トラックレースを走りますが、次の目標は8月の北海道マラソンになります。

パリパラに向け、残された夏は2回です。つまり、夏マラソンの試し打ちができるのも、たったの2回のみです。東京パラが1年延期になった悪影響はここから出てきます。何も考えていない選手たちは、早くも振り落とされていくでしょう。

パリパラに向け、準備できる時間とチャンスは考えているほど多くない……。

春を走る・7

【春を走る・7】4月に入ってから気温の変動が大きくなり、高い日は20度を優に超える日も出てきました。さらに、体も暑さに慣れていないため、特にランニングをするには厳しい季節です。

4月10日の富津練習会は10kトライアルを実施しましたが、参加者は例外なく暑さに苦しんでいました。また、同日は都内の10kレースに参加した仲間も多数いましたが、やはり暑さに苦しみタイムものびませんでした。

特に、暑い中でのレースは、ほとんどの方がベストパフォーマンスを発揮することは難しいのが現実です。もちろん、それは仕方のないことでもあり、いたずらに落ち込むこともないと考えます。

しかし、中には「暑さを言い訳にしたくない」と、失敗の原因を自分自身のメンタル面に持っていく人もいます。それはそれで、悪いことではありません。自分自身がそのように自覚しているなら間違いないことでしょう。

ところが、そのようなコメントをする人の中には、その後の練習で何とか粘り強さを身に付けようと頑張ることがあります。具体例として、明らかに気温が高いにも関わらず、無理な設定タイムで練習を開始し、途中から失速しても、ふらふらになっても、最後までやり遂げようと……。

そのような取り組みかたは、冬の時期ならともかく、これからの季節はとても危険であり、何よりも実施した本人が苦しくて辛いだけで、効果的とはいえません。つまり、暑さの中での練習やレースは、自分自身を冷静にコントロールできるか否かも大切です。

また、暑い中での練習は設定タイムを落とし、レースでは目標タイムを落とし、自分自身にプレッシャーをかけないことも重要で、そうすべきだと思います。

かなり昔の話ですが、「気温がある一定以上になった場合は、そのマラソンを走らない」と、スポンサーなどとの契約の中に、その一文を記載していた海外のトップ選手もいたようです。そのくらい暑い中で走ることは、ダメージが大きいということでしょう。

あらためて、これからランニングには厳しい季節に突入していきますが、決して無理をすることなく、「今日は走らない」と、いった選択も常に考えながらランニングと向き合ってほしいと思います。

春を走る・6

【春を走る・6】今年度の第1回強化合宿を千葉県富津市富津公園において実施しました。今合宿の目的は開催まであと2週間を切った「かすみがうらマラソン」へ向けたものになりました。

すでに何度も話してきましたが、マラソンの調整方法は様々で正解もありません。しかし、偉大な先人たちが残してきた実績(経験と科学的なデータに裏打ちされた実績)から個々の調整方法に大きな違いは少なくなってきたと思います。

特に、情報伝達が早くなった昨今は、実業団選手が実践しているトレーニングを市民ランナーの方がアレンジして実施しているケースも珍しくありません。もちろん、その記録や成績を保証するものではありませんが……。

一方で、高性能な腕時計などが登場し、心拍数や走行距離など様々なデータを確認しながら走ることも可能になりました。しかし、それを目安にレースを戦っているトップ選手はほとんど見かけません。不思議なことに……。

同様に、優勝インタビューで「30kの心拍数が170以下だったので勝てると思った」と振り返るトップ選手はほぼいません。逆に「30kから身体が楽になってきたので、勝負できると思った」と主観的なコメントが支配的です。同じく、調整の期間に入ってくると、主観的に自身の調子や状態をつかめている選手は本番のレースでも外すことが少ないと感じます(私の経験上)。

例として、2週間前の練習で「身体は重たい感じだが、スピードは出せる」「最初は無理やり動かす感じだが、後半になるほど楽になっていく」など、このようなコメントをする選手は「順調に走り込めたな」と見て取れます。

今回の強化合宿においても、何名かの選手からは、上記したようなコメントを聞くことができました。もちろん、本番のレースまで2週間あるので、最後の調整次第で良くも悪くも大きく変わります。いわゆる「危険なゾーン」に入ってきたともいえます。

昨年の東京パラ2週間前もこのような状態に仕上げることができ、逆にそこから本番までは徹底的に管理しました。もちろん、調子のピークを合わせるためでしたが……。今回はそのようなことはできないので、個々の裁量に委ねるしかありません。

しかし、これまでの失敗と成功から学んだ経験を活かしながら調子のピークを合わせてくれることでしょう。

春を走る・5

【春を走る・5】新年度が今日からスタートします。生活環境などが大きく変わった方も多いことでしょう。月並みですが、まずは新しい環境に慣れるまでは、無理をしないことが第一でしょうか。

そして、これも毎年のことですが、これから気温が高くなっていくので、その対策も不可欠になっていきます(引き続き花粉症対策も)。特に、「寒いから暑い」へ季節が移るため、いわゆる暑熱順化なども考えていく時期に入っていきます。

専門的な話しは割愛しますが、その対策を簡単にいうと「暑さに慣れるには暑い中で運動をする」ことになります。もちろん、何事も一気に実行すると危険が伴うので、少しずつ体を暑さに慣らしていくのはいうまでもありません。

具体的な方法のひとつとして、ゆっくり長く走るのが良いといわれています。ある程度の走歴がある方なら週末の午前中に90分から120分程度の「LSD」が効果的です。しかし、逆に熱中症に陥ってしまっては本末転倒なので、水分やミネラルの補給は忘れないようにすることは必須です。

4月は新しい環境に慣れるのと、暑さに慣れるのと、たいへんな時期になりますが、何事も出足がうまくいけば、その後もうまく回りだします。まずは、無理のない範囲で取り組んでほしいと思います。

あらためて、新年度もよろしくお願い申し上げます。

春を走る・4

【春を走る・4】今年度最後の強化合宿が終わりましたが、すぐに新年度がスタートします。また、4月は「かすみがうらマラソン」が実施されます。同大会は、ブラインドマラソン部門もあり、その中には「IPC公認の部」もあるので、今回の強化合宿に参加した選手たちも出場します。

特に、男子の弱視選手で単独走が可能な3選手が、揃ってマラソンを走ります。3選手とも調子は上向きなので、期待の持てるレースになりそうです。まずは、しっかりと最後の調整を実施してほしいところです。

さて、その「かすみがらうらマラソン」は、ウェーブスタートを採用しています。知っている方も多いと思いますが、いわゆる時差スタート方式です。具体的には、参加人数が数万人規模になると、何よりもスタートが大混雑します。特に、後方からスタートすると、スタート地点に到達するまでに相当なロスタイムが発生します。

また、マラソンは出走したどの選手も必ず同じ地点からスタートし、同じゴール地点を通過する競技なので、出走人数が増えれば増えるほど、スタート地点までのロスタイムが大きくなり混雑します。同時に、それを回避することもかなり難しい競技特性があるのです。

しかし、その問題を少しでも解消する効果的な方法のひとつが、ある一定間隔でグループごとにスタートさせていくウェーブスタートになります。かすみがうらマラソンの場合、マラソンは5分間隔で4グループが順にスタートしていきます。よく考えたとても良い方法だと、個人的にも思います。

一方、ゴールの着順もそのグループの中で決まれば良いのですが、総合順位については、それら複数のグループをまたいだ順位になるケースが一般的なので、少し複雑になります。かつて、ネットタイムとグロスタイムについて記載したときと同じように、見た目の順位と記録上の順位が一致しなくなります。

具体例として、最初のグループからスタートし、トップでゴールした選手よりも3グループからスタートし、見た目は50番目でゴールした選手の方がタイムが良かったということが起り得るのです。つまり、最後にスタートしたグループの選手たちがゴールするまでは、総合順位が決まらないことになります。

かくいう私自身は、上記したようなケースに出くわしたことはありませんが、他の大会においては、順位をめぐってトラブルになったケースもあるようです。皮肉なことですが、スタートの混雑を避けようとして、ゴールが複雑になってしまう。永遠の課題なのでしょうか……。

春を走る・3

【春を走る・3】今年度のマラソンシーズンを締めくくる「名古屋ウィメンズマラソン」が、13日に開催されました。東京マラソンのキプチョゲ選手同様、ケニアの チェプンゲティッチ選手 が圧勝しました。

ケニアやエチオピアをはじめとするアフリカ選手が長距離・マラソンで圧倒的な記録に到達するようになって久しいですが、あらためてその速さに驚きです。また、ここまで圧倒的な速さを見せつけられると、「長距離は努力」ではなく、「長距離は素質」だと、言えるでしょうか。

かつて、「日本人が100mで10秒の壁を突破するのは難しい」と言われていましたが、選手や関係者の「努力」で、その壁を突破しました。さらに、400mリレーにおいては、「技術」を磨いて、ついにオリンピックでメダルを獲得しました。

一方、日本の長距離・マラソンは、1990年前後までは世界のトップ集団に位置していましたが、上記したようにアフリカ選手たちの台頭で、その記録の差は歴然となりました。もちろん、日本人選手たちの記録ものびていますが……。

さて、今回の名古屋ウィメンズマラソンはペースメーカーも女子選手が担ったので、正真正銘の女子マラソンとして開催されました。そして、同大会には富津合同練習会で切磋琢磨してきた仲間たちも多数出場しました。しかし、当日の気温は20度以上になり、3時間30分以上のタイムを目標にスタートした方々には厳しいコンディションだったと思います。

また、コロナ禍の影響で久々にマラソンを走る方も多かったですが、「ここまでよくモチベーションをキープしてきた」と、感無量で応援しました。ゴールの名古屋ドームでは、今回も「泣いたり、笑ったり」と、数々のドラマを拝見することができました。

満足できる記録を残せなかった方も多かったかもしれませんが、参加した全てのランナーが大会開催に花を添え、多くの方に感動と勇気を与えました。最後になりましたが、大会開催にご尽力いただいた関係者の皆様に御礼申し上げます。

春を走る・2

【春を走る・2】3月9日の水曜日まで千葉県富津市富津公園において強化合宿を実施しました。これで今年度の強化合宿も残すところあと1回となりました。特に、今年度は東京パラもありましたが、世の中の流れが早すぎるためか、あの感動や達成感も遠い昔のことのように感じます……。

さて、3月に入ると、ロングディスタンスの選手たちは「ロード」から「トラック」に移行していく時期にも入っていきます。今回の強化合宿に参加した選手の中にも今月末からトラックレースに切り替える選手もいました。

さて、トラックシーズンに突入する3月から4月上旬に開催される最初のレースで、いきなり好記録を叩き出す選手は意外に多いと感じます。理由はそれぞれですが、ひとつ言えるのは、冬のロードシーズン中にしっかりと走り込みができており、なおかつ、出場した各種ロードレース(駅伝も)で好記録をマークしていることです。

つまり、冬の走り込みをしっかりと積めており、スタミナ強化ができていたことです。要は、スピード強化もベースはスタミナであり、スタミナのない選手がいくらスピード強化を実施しても思うようにはいかないとも言えます。

ところが、最初のトラックレースで好記録を出した選手がそのまま5月以降に開催される各種選手権大会でタイトルを獲得するかと言えば、決してそうではないようにも感じます。むしろ、その後はじり貧に陥っていくパターンは意外に多いとも感じます(見方をかえれば、蓄えていたスタミナが枯渇したと……)。

しかし、そんな選手も夏の走り込み期を乗り切ると、秋の記録会で再び好記録を叩き出したりします。やはり、上記したようにベースとなるスタミナを強化した上にスピード練習を積めたときが、好記録につながっているとも言えます。

このことから、トラックシーズンに入ってもそのベースとなるスタミナを、少なくとも維持していくことはスピード強化をより効果的にするためにも大切なことと言えるでしょう。したがって、トラックシーズンに入っても長い距離や時間を走るトレーニングは定期的に実施することは必要です。

また、これからは気温と湿度が高くなっていく季節にも入るので、長い距離や時間を走るトレーニングの負担は逆に増えます。そのため、走る時間帯や設定タイムなど、細かい調整も不可欠になりますが、スピードとスタミナのバランスをよく考えながら走り込んでほしいと思います。

春を走る・1

【春を走る・1】第10回大阪マラソン・第77回びわ湖毎日マラソン統合大会が大阪で開催されました。しかし、諸事情により、実際はびわ湖毎日マラソン大会をそのまま大阪に移したような大会となりました。さらに、同大会のコースは折り返し地点が多く、記録を狙う視点からは難コースといわれていました。また、当日の天候は晴れて、気温がやや高くなる予報でしたが、9時10分のスタートだったこともあり、沿道で応援していた感覚だと、その影響はほぼなかったと感じました。

スタート後、何ヵ所か先回りし、直接応援もしましたが、先頭集団はまるで「練習会の距離走」を実施しているような感じで、たんたんと走っていました。実は、先日の別大マラソンも同様でしたが、ペースメーカーの役を担っている選手たちのペースが安定しているので、その集団で走っている選手たちは、30k前後あたりまではストレスを感じないからでしょうか。

マラソンの難しいところは、後半のスタミナ面など様々ですが、終盤までいかにストレスを感じない様にし、その力を温存できるか否かだと思います。いわゆるグリコーゲン(糖)を後半までいかにして温存できるか否か……。

さらに、マラソンはレース中、無我夢中になる局面がほとんどなく、常に頭が働いています(全力ではなく常に余力がある状態)。そのため、集団に入っていても周りの動き(かけ引き)など、目から入る情報がそのままストレスになり、頭で余計なことを考えやすくなります。したがって、そのことが多少なりともエネルギーロスにつながっていくと思われます。

しかし、最近のマラソンは、少なくとも30k前後までは一定のペースでレースが進むので、かけ引きなどを考えたり、周りの動きを意識する必要が少なくなりました。そのため、多くの選手がエネルギーロスを最小限に抑え、終盤まで集団に残れるようになったと感じます。特に、初マラソンの選手は、そもそも余計なことを考えず、無に近い状態で挑戦している点が、好記録にもつながっているのでしょう。

また、至極当然のことですが、「無欲でつかんだ結果」と「狙ってつかんだ結果」とでは、結果の意味がかなり異なります。特に、好結果の後ほど、周囲の評価や期待などを受け易く、激しく心が揺さぶられることにもなり、必ず真価を問われることになります。

もちろん、マラソンでの好記録は、個々のトレーニング量と質の向上が最大の要因になりますが、上記したとおり、30k前後までのエネルギーロスが少なくなっている点は大きいと感じます。しかし、日本代表選考会や国際大会などの場合、周囲の期待やプレッシャーを背負わされて走るため、選手の状況(選手から見える景色)が一変します。まさに真価を問われる場面になるのでしょうか……。

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