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マラソン Archive

夏を走る・4

【夏を走る・4】私の住んでいる千葉県も今年は梅雨らしい天候が続いています。そのため、気温も比較的高くない日もあるので、私のようにジョギングをするだけなら問題ないでしょうか……。

先日の日曜日は、富津合同練習会を実施しました。天候は曇っていたのですが、スタートした9時からゴールのお昼頃までは、ちょうど晴れました。したがって、気温も一気に上昇し、長い距離を走るには過酷なコンディションに……。

同練習会に参加しているメンバーの中には、8月に開催予定の北海道マラソンを目標にしている選手もいます。また、その大会にむけた準備(走り込みなど)を開始する時期にも入っています。

あらためて、夏マラソンは7月から8月あたりの暑い季節にマラソンを走るため過酷です。しかし、本当に過酷なのは、その夏マラソンを走るための準備(走り込みなど)です。なぜなら、8月のマラソンを目標にすると、その準備(走り込みなど)を開始するのは、遅くとも暑くなってくる6月からになるからです。

昨年の9月5日は東京パラのマラソンでしたが、メダルを獲得することができました。そのマラソンに向けた最後の追い込みを開始したのは、昨年の6月からでした。具体的なポイント練習のひとつは、6月から8月第1週までの間に実施した9本の40k走でした。

経験上の話になりますが、いわゆる冬のマラソンはハーフマラソンなどで調子が上がっている場合、スタミナに不安(走り込み不足)があっても、勢いで好記録をマークするケースが多々あります(トップ選手も含め)。

ところが、夏マラソンの場合、スピードが出せる調子に仕上がっていても、スタミナ(全身持久力)がないと最後まで走り切ることはかなり難しいといえます(大失速する)。つまり、暑さの中で長時間動き続けるには、スタミナがより重視されるのです(暑熱対策も含め)。

また、暑い中で長時間走ると、どんなレベルの選手でも脱水症状などの様々なリスクがともない、計画どおりに走り込むのが難しいのは確かです。しかし、計画どおりに走り込めていないと、夏マラソンで勝負するのが難しいのも確かです。

また、この相反するような課題を解消できる的確な方法を、私は見聞したことはありません。つまり、夏マラソンが無くならない限り、この矛盾(?)と向き合い続けていくのでしょうか……。

夏を走る・3

【夏を走る・3】先日の11日から12日の日程で、日本パラ陸上競技選手権大会が兵庫県神戸市で開催されました。同大会に向け、4月後半から強化合宿を重ねてきたので、その成果を確認するために、私も神戸に行きました。

果たして結果は、東京パラのT12女子マラソンで金メダルを獲得した道下選手が、5000mでアジア新記録を達成するなど、目標どおりの記録を残した選手を多数確認することができました。一方、うまく調子を合わせることができなかった選手もいました。

また、その結果を振り返ると、日本代表選手として東京パラを走った選手のほとんどは目標どおりの結果を残していました。ところが、出場できなかった選手ほど練習の成果を記録として残すことができなかったように見受けました。

やはり、大舞台を経験した選手たちは、「確実にひと回りもふた回りも成長した」と、レースをみていてもはっきり確認できました。あらためて、「人は大きな経験をすることで、大きな成長をする」と、感じました。

そして、我々は国から予算を頂戴して選手強化を継続している以上、最終目標は「パラリンピックでメダルを獲得する」です。それ以外はありません。もちろん、選手個々に走力やトレーニング環境が違うので、誰もが最初からその目標に到達することはできません。

陸上競技でパラリンピックを目指すパラ選手は、オリンピックを目指す一般選手に比べると、競技人口は圧倒的に少なく、いわゆる底辺が広いピラミッド型にもなっていません。したがって、一度パラリンピックに出場するレベルに到達した選手が、長期間に渡ってその地位をキープする傾向が強い特性を持っています(競争原理が働きにくい)。

逆の見方をするなら、パラリンピックに出場したことのない選手が、パラリンピック日本代表選手を倒すことは、一般のトップ選手がオリンピック日本代表選手に勝つこと以上に難しいと感じます(私の主観)。

2024年5月に今大会の会場において、WPA世界陸上競技選手権大会が開催されます。そして、この大会で上位入賞した数名の選手にはパリパラリンピックの出場切符が渡されます。今回、目標どおりのタイムに到達しなかった選手たちも、そのチャンスを手にできるよう、今日からさらに精進してほしいと願っております。

夏を走る・2

【夏を走る・2】関東も梅雨入りし、「今年の梅雨は〇〇」と毎年のように話していますが、まさに梅雨らしい天気が続いています。また、この梅雨の時期は、晴れたら気温が30度を超えますが、雨天になると逆にグッと下がります、

そのため、体調管理が難しい季節でもありますが、雨天時は長距離種目のレースには、うってつけともいえます。その主な理由として、雨が体温の上昇を抑えてくれるのと、呼吸が楽になるなど、思っている以上に走り易くなるからです。

私の現役時代の話で恐縮ですが、当時の6月に開催されていたトラック競技会において、5000mや10000mで何度か自己記録の更新をした経験があります。そして、その自己記録更新を達成したときの天候は、ほぼ雨でした。

また、当時も今も6月は晴れると30度を超える日もあり、レースやトレーニングには過酷なコンディションになります。しかし、梅雨の雨になると肌寒く感じる日もあり、そんな日にレースが重なると、暑い日のギャップもあってか体はよく動きます(私の経験上)。

特に、6月に出場した10000mのレース当日が雨天の場合、かなりの確率で好走(自己評価)していた記憶があります。もちろん、市民ランナーの皆さんがトラック競技会で、10000mを走る機会は少ないと思いますが……。

一方、10000mのレース当日が晴天で、気温が30度を超えるようなコンディションになった場合は、もちろん悲惨(地獄)でした。経験上、トラック競技の5000mまでは、気温が高くなってもパフォーマンスは極端に落ちませんが、10000mになるとトップ選手でも分単位で記録が悪くなります(夏はトラック表面温度が60度に達することもあるので……)。

したがって、スピード強化に軸を置いているこの時期は、市民ランナーの皆さんも積極的にトラックレースを走ってほしいと思いますが、暑さを考慮するなら距離は3000mから5000m程度までが良いでしょう。同様に、ロードレースは10k程度の距離まででしょうか。

簡単にまとめるなら、6月は「晴れれば地獄、雨天時はチャンス」ともいえます。しかし、チャンスを願って、トラックレースの10000mやロードレースのハーフマラソンなどの距離に挑戦するのは、個人的には推奨しません。

なぜなら、上記してきたように晴れたときのリスクが大き過ぎるからです(想像以上にタイムが悪化するのと体へのダメージが大きい)。やはり、6月のレースは、天候がどちらに転んでも目標タイムと実績タイムとの乖離が少なくなるような距離を選択してほしいと思います。

夏を走る・1

【夏を走る・1】5月28日から4泊5日の日程でいつもの千葉県富津市富津公園において強化合宿を実施しました。今回の強化合宿は、6月11日から開催される日本パラ陸上競技選手権大会に向けたスピード強化がテーマでした。

5日間の中で実施したポイント練習は、ロードでの距離走が1回、トラックでのスピード練習が2回。ところが、実施したその3日間とも快晴となり、気温も30度を超えるなど、長距離選手にとっては過酷なコンディションになりました。

さて、今回の強化合宿に参加した選手は、東京パラT12マラソンでメダルを獲得した堀越選手、道下選手。同じく東京パラT11トラックでメダルを獲得した和田選手など、主力選手が揃いました。

また、今回の強化合宿に参加したガイドランナーもエース級が揃い、質の高いトレーニングを切磋琢磨しながら消化することができました。その強化合宿中の具体的なトレーニング内容は割愛しますが、私が強化合宿を見てきた中でも歴代トップ5に入るような充実ぶりだったことは間違いありません。

とくに、合宿最終日に実施した「ペース走+インターバル走」は、全選手がこちらの指示した設定タイムを上回る積極的な走りをしていました。また、いつものように強化合宿を見ていて久々に「これは強い!」と、選手たちの成長に手ごたえを感じました。

そして、選手たちの快走には、常にガイドランナーたちの支えがありますが、今回のようにトップガイドランナーが揃うと、強化合宿(トレーニング)が引き締まります。その結果、選手たちも消極的な姿勢や走りを見せなくなります。

あらためて、マラソンや長距離は個人競技ではなく、「チーム競技」であると強く感じました。もちろん、レース中は個人ですが、過酷で単調なマラソントレーニングを単独で乗り越えていくには限界があります。

つまり、強化合宿(定期練習会も)のように仲間と切磋琢磨しながら厳しいトレーニングを重ねていくことで、はじめて個人の力も上がっていくのです。少なくとも私はそう確信しております。これからも目の前に立ちはだかってくる困難を「チーム力」で乗り越えいきます。

春を走る・13

【春を走る・13】全国各地で陸上競技会や記録会が盛り上がる季節に突入しています。まさにトラックシーズン真最中でしょうか。そして、これも毎年のことですが、この季節は短距離などの種目におても好記録のニュースが耳目に触れます。

もちろん、私は長距離マラソンが専門なので、それ以外の陸上競技種目については素人同然ですが、とても興味関心を持っております。特に、種目によって必要になる能力が全く異なる点は、野球やサッカーなどのスポーツと大きく違う点でもあり、おもしろいと思います。

具体例として、中距離選手とマラソン選手を比較しても、必要とされるその能力はかなり違うと思いますが、マラソン選手と投てき選手では全く異なります。したがって、マラソン選手が砲丸投の種目に出場することはあり得ないし、その逆もありません。

しかし、これが野球選手の場合、打者と投手に大きくわかれますが、投手が打席に立つこともあるし、打者でもマウンドに立つ選手もいます。また、高校や大学などで野球部といえば、みんな仲間であると感じますが、陸上部の場合、上記したように長距離選手と投てき選手の接点はほぼありません(個別の友人関係は別)。

同様に、指導する側のコーチなどの専門知識も大きく異なるので、指導者間の接点も極端に少ないのが現状でしょうか。そのため、高校や大学、さらに実業団チームなどで陸上部と掲げているにも関わらず、実態は長距離選手のみが所属し、それに特化した活動だけのチームも多数存在します(良し悪しは別)。

あらためて陸上競技は、人間が己の身体のみを使ってシンプルに、「どれだけ遠くに投げられるのか?」「どれだけ遠くに跳べるのか?」「どれだけ速く走れるのか?」を極める競技です。そのため、求める能力が種目ごとに大きく異なるので、長距離選手として活躍しながら、片手間に投てき選手としてトップに君臨することは、ほぼ不可能な競技といえるでしょう(十種競技の選手はかなり近いが……)。

さて、6月は陸上競技の日本選手権大会が開催されますが、駅伝やマラソンなどのロードレース大会の応援は、目の前を一瞬で通り過ぎれば終わります。しかし、日本選手権大会は競技場のスタンドから全ての種目を最初から最後まで応援することができます。

日ごろ、コツコツと走り込んでいる市民ランナーの皆様も、鍛え抜かれた超人たちが競い合う陸上競技をぜひとも観戦してほしいと思います。

春を走る・12

【春を走る・12】京都市の西京極陸上競技場において「ジャパンパラ陸上競技大会」が開催されました。同競技場は、全国高校駅伝大会や全国都道府県対抗女子駅伝大会など多くの主要大会を開催しており、陸上長距離界では有名な競技場です。

と、知ったかぶりの話しをしている当の本人は同競技場を訪れるのは、実は初めてでしたが……。

さて、大会は5月14日(土)から15日(日)の2日間で開催されました。また、天候は懸念されていた雨にはならず良かったと思いますが、逆に長距離種目にとっては厳しかったでしょうか。

そんなコンディション下での大会でしたが、東京パラのトラック種目でメダルを獲得したT11クラスの和田、唐澤両選手は積極的な走りを見せていました。同様に、マラソンでメダルを獲得したT12クラスの堀越、道下両選手も粘りの走りができていました。

もちろん、他の選手たちも記録へ挑戦する走りを見せていましたが、今の力を出し切るまでに至っていない様子でした。具体的には、今の調子や走力に見合ったペースをつかみ切れていないためか、スタート直後から安定したラップタイムやリズムを刻めていない選手が多かったように感じました。

トラックレースはロードのマラソンと違い、スタートから速いペースで進みます。したがって、一度リズムを崩してしまうと、そこから立て直して後半挽回することはかなり難しくなります。また、トラックレースに関しては、本命のレース当日までの間、記録会などの実戦をくぐりながら調整する方が良い面もあります。

今回、2日間のレースを視察し、練習不足というよりも実戦不足の選手が多かったように感じました。このあと、6月に神戸で日本パラ陸上競技選手権大会が開催されるので、調整にタイムトライアル(実戦形式)などを加味しながらスピード感覚をトラック仕様に切り替えてほしいと思います。

どの選手も地力はついているので、あとは自信を持って調整していきましょう!

春を走る・11

【春を走る・11】5月7日、東京国立競技場において「日本選手権10000m」が開催されましたが、同大会の女子10000mには、富津合同練習会で切磋琢磨している山口遥選手も出場しました。

ご存知のとおり、同大会は国内最高峰に位置付けられている大会なので、参加標準記録も国内最高レベルであり、実業団選手をもってしても簡単に参加することはできない大会です。そんなハイレベルな大会に彼女は、今年で3年連続の出場になりました。

また、女子10000mにエントリーしている選手の中において、実業団(駅伝強豪大学も)に所属していない選手は彼女だけです。もちろん、同大会に出場できることだけでも名誉なことなのに、昨年は8位入賞を果たしております。

そして、今年の目標は順位よりも記録を意識しました。具体的には「31分台」、イーブンペースの展開なら「31分40秒前後」を……。しかし、当日は湿度が高く、長距離には厳しいコンディションだったこともあり、結果は「32分20秒33」の記録で、8位入賞。目標記録には届きませんでしたが、2年連続の入賞は「すごい!」の一言です。

さて、日本選手権のようなタイトルのかかった大会は、各地で開催されている記録会や競技会とは雰囲気が異なります。長距離種目の場合、スタート直後からレースのかけ引きがはじまります。同時に、出場している選手個々が背負ってきた思い(欲望)やプレッシャーが、複雑に絡み合います。

とくに、日本代表選考大会に指定されている場合、確実に代表入りを狙う大本命の選手や、一発逆転を狙って捨て身で挑む選手が直接ぶつかり合うので、個々のレースプランや目標と、かけ離れたレース展開になるケースが多いと感じます。また、言い方を変えるなら、ライバルと競い合うことで逆に、持てる力を「発揮できない、阻止される、つぶされる」……。

しかし、男女とも優勝(2位まで)したのは、東京五輪代表選手たちでした。もちろん、下馬評の高い選手たちもいましたが、東京五輪代表選手たちを倒すことはできなかったのです。やはり、東京五輪代表選考を勝ち抜き、さらに大会当日までの長期間にわたって国民からの期待を背負わされ、様々な風評にさらされながらトレーニングを重ねた経験と実績や、その精神力は他の選手たちとは次元が違うのでしょう……。

最後になりましたが、出場された選手の皆様、今年も見ごたえのある素晴らしいレースと感動をありがとうございました。

春を走る・10

【春を走る・10】今年のGWも長野県菅平高原において強化合宿を実施しております。また、コロナに関する規制も一旦解除されたこともあってか、サッカーチームなどの姿も多く見受けます。そして、このまま元の状態に戻っていくことを願っております……。

さて、今年もGW期間中の菅平高原は、実業団チームや大学チームの姿も多く、どのチームも質の高いトレーニングを積んでいます。そして、これも毎年のことですが、それらの様子を拝見しているだけでも、いろいろと参考になります。

特に、今年はGWの前半に実業団チームの選手たちが集中していたので、菅平高原のトラックは、その選手たちでにぎわっていました。そんな中、ひときわキレのある動きをしている選手がいたので、しばらく見入っていましたが、よく見ると住友電工の遠藤選手でした。

もちろん、私が偉そうに評価することはできませんが、やはり他の選手たちとは違って見えました。特に、短い距離のスピードやそのフォームは他の選手よりも洗礼されていました……。

そして、その数日後の5月4日、宮崎県延岡市で開催された「ゴールデンゲームズinのべおか」において、その遠藤選手が5000mで快走。特にラスト200mからのスパートは菅平で拝見したキレのある動きのままでした(LIVE配信より)。

後半のGWは、ブラインドマラソンの強化合宿を実施しております。今回はトラックでのトレーニングに終始し、今月14日からのトラックレースに向けた最後の追い込みです。さいわい、どの選手も好調で、質を高めたスピードトレーニングも順調に消化しております。

先日の「かすみがうらマラソン」で快走した弱視の堀越選手と熊谷選手も、そのときの疲れも抜け、スピードに乗れる動きをしています。また、東京パラで金メダルを獲得した道下選手も好調で、5000mで自身の持つ日本記録更新が可能なゾーンに入っています。

どの選手も久々のトラックレースになりますが、最後まで怪我と故障に注意しながら最終調整に移行していきます。

春を走る・9

【春を走る・9】先日の24日は「ぎふ清流ハーフマラソン大会」が開催されました。同大会には、富津練習会で切磋琢磨している山口遥選手も出場し、女子の部で3位入賞(日本人1位)。記録も「1時間9分50秒」の自己新記録でした。

ところが、山口選手には、ハーフマラソンそのものをほとんど走らせてこなかったので、この記録が本人にとってどうなのかを過去と比較することは、ほとんどできません。しかし、前日に日体大記録会の3000mを走ってからの出場だったので、体力面とメンタル面とが、うまくかみ合っているのを確認できたのは良かったでしょう。

具体的には、前日の土曜日16時過ぎに日体大記録会(神奈川県)で3000mを走り、そこから岐阜県に移動。翌日の日曜日8時40分にハーフマラソンがスタート。かなりハードな内容でしたが、本人は何事もなかった様子で、いつもどおりに走っていました。

マラソンをはじめロードレース大会の多くは、自分の知らない場所に移動し、知らない道路を走ります。したがって、各種ロードレース大会を走ることで、単に記録や順位だけでなく、「適応力(メンタル面)」を身に付けていくトレーニングにもなります。

この能力は、国内大会だけでなく、代表選手として海外などで戦うとき、大きなカギを握ることになります。慣れない土地はもちろん、言葉は通じない、食べ物は違う……など、一回や二回の経験で克服できることではありません。

しかし、この「適応力(メンタル面)」を鍛える手段のひとつとして、国内での短期合宿はとても有効と考えます(私の経験上)。例として、週末を活用し、土曜日の午前中に移動。午後からすぐにポイント練習を実施し、翌日の午前中にもう一度ポイント練習を実施してすぐに帰宅。翌日は普段の生活に戻る。

市民ランナーの皆様なら当たり前に実施していると思いますが、実はいろいろな視点から効果的だと、個人的には推奨します。特に、これからゴールデンウィークに入ります。そんなに遠くない場所でも連休を活用し、慌ただしく移動するミニ合宿は、「適応力(メンタル面)」を身に付けるよい手段にもなると……。

さらに、仲間と切磋琢磨できれば、その効果は計り知れないでしょう。

春を走る・8

【春を走る・8】多くの方々のご理解とご支援のおかげで、今年のかすみがうらマラソン大会は無事に開催されました。また、同大会は古くからブラインドマラソンを受け入れていただき、普及と発展に多大な貢献と功績を残してきました。あらためて、関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。

さて、今年の同大会には東京パラに出場した4選手が出場しました。特に、堀越、熊谷、米岡の男子3選手はこの大会に向け強化合宿などでは、ほぼ計画どおりに調整することができていました。そのなかでも、東京パラで銅メダルを獲得した堀越選手は、別大マラソンでの転倒・棄権のダメージを払拭し、2時間20分突破を目指したトレーニングを計画どおりに消化することができ、記録への期待も高まっていました。

しかし、当日の気温は20度を超える厳しいコンディションになりました。今回のように、4月中のマラソンで20度を超える場合は、体感的には夏マラソンとそん色なく、後半は厳しい状況に陥り易くなります。特に暑い中でのマラソンは、走り込み(距離走)不足のランナーほど、後半は大失速します。

そんな厳しいコンディション下でのレースとなりましたが、弱視で単独走の堀越選手と熊谷選手は、更にスタートからゴールまで集団もなくほぼ独走。そして、慣れないコースのため、スペシャルドリンクがほとんど取れない中でのレースでしたが、両選手とも無事にゴール。

堀越選手は、5kごとのラップタイムを、すべて16分台にまとめ、「2時間21分21秒(アジア新)」。熊谷選手も同様に、すべて17分台のラップタイムをキープし、「2時間27分32秒(セカンド記録)」。両選手とも蓄えた力を狙い通りに発揮しました。また、総合順位も4位と8位、ともに入賞。そして、全盲の米岡選手も後半を粘り抜き、「2時間45分44秒(自己新)」を達成しました。

もちろん、他の強化指定選手たちも力走しましたが、今大会に関しては上記した3選手との差(本気度)は、強化合宿時から歴然としていまいた。このあと、ほとんどの選手は、一旦トラックレースを走りますが、次の目標は8月の北海道マラソンになります。

パリパラに向け、残された夏は2回です。つまり、夏マラソンの試し打ちができるのも、たったの2回のみです。東京パラが1年延期になった悪影響はここから出てきます。何も考えていない選手たちは、早くも振り落とされていくでしょう。

パリパラに向け、準備できる時間とチャンスは考えているほど多くない……。

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