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マラソントレーニング

期分け・61

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【期分け・61】前回までの話しで、AT値(無酸素性作業閾値)や、LT値(乳酸性作業閾値)から導いた乳酸の蓄積しない境界強度(速度)のペースで走り込むと、持久力も効率よく向上していくことが、理論的には理解することができました。

ところが、距離走を30k~40kとマラソンに近づけた場合、そのペースも実際のマラソンペースとほぼ同じことになります。そのため、マラソンを目標にした走り込みとしてのペースは、常に目標のレースペースでトレーニングを実施することにもなり、逆に強度が強すぎる傾向になります。もちろん、怪我や故障のリスクも高まることになり、単純に効果的とは言えません。

更に、スタミナをつけるために走り込みを実施しているにも関わらず、最初から目標のレースペースになるため、マラソン経験の少ないランナーほど途中で失速してしまうリスクも高くなります。では、マラソンを目標にした場合、どんなペース設定で走り込んでいけば良いのでしょうか?

冒頭のペースは、5kの記録を基準にすると、90%~93%のペースです。また、体感的には5kを全力で走った感覚を「きつい」とした場合、「ややきつい」となります。同時に、理論上はこのペースでマラソンを走り切れる計算にもなります。しかし、これより更に落としたペースの方が、マラソンに向けた走り込みは、失速のリスクも少なく効果的と予想できます。

具体的には、上記同様に5kの記録から導いていきます。

◆目安1).5kの記録を100%としたときの83%~87%の速度。◆目安2).5kを全力で走ったときの感覚を「きつい」としたとき、「楽である」と感じる速度。※今回も心拍数については割愛します。

以上の2つがマラソンに向けた走り込みにおいて、スタミナアップに効果的なペースとなります。実は、ここからの考え方は各種専門誌や専門コーチ毎による見解が微妙に異なってくるところです。

いわゆるマラソンに向けた「脚づくり」と、呼ばれているゾーンでもあります。つまり、マラソンを攻略していく上でのノウハウ的な要素が色濃く出てくるところです。コーチたちの手腕が問われる部分でもあります(汗)。

もちろん、私が今回示した数値が絶対ではありません。しかし、少なくとも私自身の経験や、私自身の指導経験からは効果的であると考えます。

つづく。

期分け・60

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【期分け・60】前回は、マラソンでサブスリーを達成するための理想的なスピードを5kの記録から考えました。その結果、理論上は5kを19分30秒で走れるランナーなら、5kを21分15秒のペースでマラソンを走り切れる計算となり、サブスリー達成も可能と…。

ところが、実際のマラソンでは、そう簡単にはいきません。つまり、計算上なら乳酸が蓄積しない境界強度のペースですが、3時間前後も走り続けると、話しはかなり違ってくるからです。すなわち、冒頭の計算どおりにマラソンを走るためには、もう少し別のアプローチが必要です。それは、3時間前後も走り続けるためのスタミナ(持久力)を高める走り込みです。いわゆる「脚づくり」と、言われる走り込みです。

さて、ここで勘違いをしてほしくないことは、5kのスピードを否定しているのではありません。やはり、スピードは必要不可欠です。しかし、マラソンを走り切るためには、スピード以上にスタミナがより重要となるのです。

少し視点を変えると、5kを速く走れるスピードがあっても、単純にそのスピードを距離にして8倍以上もあるマラソンまで引き延ばすことは困難です。しかし、マラソンを確実に走り切れるスタミナは、5kと言う短い距離に凝縮して一気に吐き出すことは可能です。つまり、スタミナをスピードとして活かすことができます。(スピードが付いたらスタミナもアップした=×、スタミナが付いたらスピードもアップした=〇)

よく箱根駅伝を走るようなエリートランナーたちやその関係者たちが、若いときにスピードを高め、それから距離をのばしていく方法を推奨しています。しかし、冷静に分析していくと、それは理論的には正しいのですが、過去にそのような方法でオリンピックのマラソンまで到達したランナーは、残念ながらほとんど見当たりません。(かつての瀬古選手や宗兄弟をはじめ、過去のオリンピックランナーの多くは、20代前半からマラソンとトラックを両立していました)

もちろん、個人差もありますが、スピードを付けた後に、スタミナを付けていく流れは理想的ですが、現実的には移行する過程におて膨大な時間と失敗(失速)を繰り返すリスクが高いと感じます。その結果、移行する過程において選手自身のメンタル面の方が、肉体より先にバーンアウト(燃え尽きる)してしまうケースも意外と多いのです。

そのため、マラソンを目指していくには、スピードよりスタミナに重きを置いたトレーニングの方が賢明で、結果的にはスタミナアップがスピードアップにもつながると考えます。特に市民ランナーの場合、私の指導経験からも最初からスタミナ重視のトレーニング方法にシフトした方が、マラソンを攻略できる可能性も高まります。

さて、話しが少し脱線しましたが、次回からは「脚づくり」と言われる走り込み方法を再びAT値(無酸素性作業閾値)や、LT値(乳酸性作業閾値)から考えていきます。

つづく。

期分け・59

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【期分け・59】今回からマラソンの記録向上につながる、AT値(無酸素性作業閾値)やLT値(乳酸性作業閾値)を高めるトレーニングを考えていきます。

はじめに、このブログでも紹介した5kとマラソンの記録の関係から適切な設定タイムを算出していきます。もちろん、ひとつの例としてなので、全てにおいてこのパターンどおりになるとは限りません。この点は、予めご理解いただければと思います。

◆関係1).5k記録×2倍+1分≒10kの記録。◆関係2).10kの記録×4.5~5.0≒マラソンの記録。

今回もマラソンで「サブスリー(3時間突破)」を目指しているランナーを例にしていきます。但し、5kの記録が、サブスリーを目指すことのできる理論上の最低ラインを突破していることを条件として考えていきます。すなわち、5kを19分30秒以内(10kを40分以内)の記録をマークしていると仮定します。

次に、乳酸が蓄積していかない限界の速度を計算します。それは、5kの記録に対して90%~93%の速度なので、計算すると次のようになります。

◆計算1).19分30秒÷5=3分54秒(1kのスピード)-①。◆計算2).①の90%~93%の記録≒4分12秒~4分20秒(1kのスピード)。

上記のように1kを4分12秒~20秒の間のスピードで走り続けることが、サブスリー達成に必要なAT値やLT値を効率的に高めることにつながるはずです。同じく、5kに換算すると、21分00秒~21分40秒です。更に、5kを19分30秒前後のランナーは、21分00秒前後のペースに対して「ややきつい」と、感じるケースが多く、感覚的な部分もほぼ合致しています。(私の経験上)

また、サブスリーを達成するためのペースを1k毎に換算すると「4分15秒」なので、乳酸を蓄積させない境界強度(速度)のスピードとしては理論上も一致しています。では、5kを19分30秒で走れるランナーなら誰でも上記したとおり、5kを21分00秒~21分40秒間のペースで簡単にマラソンを走り切れるのでしょうか。

もちろん、個人差もありますが、答えは「NO」です。

次回は、この点も加味しながら更に考えていきます。

つづく。

期分け・58

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【期分け・58】今回は、AT値(無酸素性作業閾値)やLT値(乳酸性作業閾値)を高めるトレーニングを、5kのタイムから考えていきます。更にもう少し専門的に説明すると、乳酸が蓄積しない境界強度(速度)でトレーニングを継続していくことで持久力が向上し、AT値やLT値も改善されていきます。その境界強度(速度)となる目安を5kのタイムから算出していく考え方です。

では、実際に5kのタイムから具体的な数値を考えていきます。もちろん、より専門的な器具での測定や個別の細かい分析も必要ですが、我々のような一般的な市民ランナーには不可能です。そこで、簡易的に用いられている計算式と私の経験的なことを織り交ぜて考えていきます。

◆目安1).5kの記録を100%としたときの90%~93%の速度。◆目安2).5kを全力で走ったときの感覚を「きつい」としたとき、「ややきつい」と感じる速度。※心拍数については割愛します。

以上の2つについてが、代表的な目安となります。おそらく皆さんもランニング雑誌等で一度は目にしたことのある考え方だと思います。私自身の経験や各種練習会等で指導してきた経験から話すと、目安2の「ややきつい」と感じる速度でトレーニングを継続していくと、持久力は効率的に向上していきます。

何度も話していますが、マラソンは自分自身の肉体と精神のみで勝負していく競技なので、様々なデータの積み重ねは重要です。しかし、生身の身体だけに日々の体調や精神状態、天候等のコンディションも同じではありません。つまり、データを蓄積していっても逆に当てはまらない部分も多く、そのため自分自身の身体と常に対話し、ランニング中に感じる「感覚」は最も重要な要素になると考えます。

したがって、目安1の「数値」と、目安2の「感覚」が常に一致していくような状態を身体で覚えていくことがトレーニングの重要な目的であり、それが持久力向上にもつながっていきます。実は、初マラソンに挑戦し、最初から狙いどおりの走りができるランナーと、何度も失敗を繰り返してようやくマラソンを攻略できるランナーがいます。その差の大きな要因のひとつは、この「感覚」をつかめているか否かによると、私自身の経験からも強く感じるところです。

次回は、マラソンの記録から具体的な数値を考えていきます。

つづく。

期分け・57

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【期分け・57】前回、AT値(無酸素性作業閾値)やLT値(乳酸性作業閾値)を高めることは、マラソンの記録短縮につながると、話しをしました。今回は、それぞれの数値を高める具体的なトレーニング方法を考えていきます。

では最初に、乳酸が一気に増加してくるスピードとはどこを指すのでしょうか?また、それはどんな感覚なのでしょうか?

至極当然の疑問として最初に誰もが思う疑問であります。同時に、マラソン歴の長いベテランランナーにとってもよく理解できない点だと思います。その最も大きな理由のひとつが、AT値やLT値と言ってもそれは「閾値」であり、「ゾーン」を指すからです。すなわち、マラソン経験の豊富なランナーがこれまでの経験や実績を元に次のマラソントレーニングを開始しても、そのときの調子やコンディション等によってそれらの数値も常に変化しているからなのです。

と、言いながらやはり目安となるスピードを導いておく必要はあります。そして、効率的なマラソントレーニングを積み上げていく上で様々な数値が必要不可欠になります。しかし、大切なことは、これらの数値を参考にしながら常に、「自分自身の身体と対話する能力を高める」ことが、トレーニングの目的であり基本になります。したがって、それぞれの数値もその都度、微調整する必要があることを、はじめに理解しておく必要があると考えます。

さて、前置きが長くなりましたが、これから具体的なスピードを考えていきます。何度かこのブログにも記載しましたが、マラソンの自己記録を更新していく上でスピードの目安となる距離があります。もちろん、様々な距離があり、どれが正しいか否かを簡単に決めることはできませんが、今回のAT値やLT値を高める上で目安とする距離を「5k」で考えていきます。

ここでもう一度、5kの記録とマラソンの記録との関係を振り返っておきます。

◆関係1).10kの記録≒5kの記録×2倍+1分。◆関係2).マラソンの記録≒10kの記録×4.5倍~5.0倍。

全てのランナーに上記の関係式が成り立つとは言い切れませんが、走歴を重ねていくとほとんどのランナーがこれに当てはまってきます。逆に大きく食い違っている場合は、そもそも5kや10kのような短い距離を走ることがほとんどなく、ハーフ以上の距離がメインになっているランナーと想像できます。特に、学生時代以前に競技経験がなく社会人になってからランニングをはじめた市民ランナーの多くは、このケースに当てはまるのかもしれません。しかし、これから話しを進めていくAT値やLT値に関しては、この5kやそれよりも短い距離の記録がとても重要になっていきます。※5kのタイム計測は、定期的に実施することを推奨します。

つづく。

期分け・56

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【期分け・56】少し間が空きましたが、久々に期分けシリーズです。前回からの続きで週末トレーニングの組合せパターンについて検証していきます。今回はパターン3の「土曜日:スタミナ系トレーニング+日曜日:スタミナ系トレーニング」についてです。

結論から言いますと、このパターンについての判定は「〇」です。

特に、マラソンを目標に走り込みを継続している初心者から上級者ランナー全てのレベルにおいて効果的なトレーニングパターンと言えます。もちろん、ランナー毎に走力の差があるので全く同じ内容のトレーニングを実施することはできません。しかし、ある数値を用いることで推奨できるトレーニングパターンや内容が見えてきます。

その数値として、「AT(無酸素性作業閾値」や「LT(乳酸性作業閾値)」がよく登場します。実は、私も専門的なことを細かく説明することはできませんが、ポイントを説明すると次のようになります。

はじめに「AT」についてですが、ランナーなら誰でも経験していることです。すなわち、ゆっくりと走りはじめ、少しずつスピードを上げていくと、あるスピードから突然苦しさが増していきます。つまり、楽なスピードでは、疲労物質である乳酸が蓄積されることはありません。しかし、あるスピードからはその乳酸が蓄積はじめるため、それ以上のスピードで走ると苦しさが増していき、走り続けることができなくなります。その境界を「AT」と言っています。

次に「LT」ですが、血液中の乳酸濃度についてです。具体的には、VO2max(最大酸素摂取量)の50%~70%程度の強度であれば、血中乳酸濃度は2~3mmol程度でそれ以上増加することはありません。しかし、運動強度を急激に上げていくとこの血中乳酸濃度は急激に増加していきます。そして、3~4mmol程度を境にこのカーブが急激に上昇し、この限界点を「LT」と呼んでいます。同時に、マラソンのようなスタミナ系の運動は、VO2maxより「LT」の方が持久力を判断する上ではふさわしいと言われています。

また、「AT」も「LT」も境目はポイントではなく閾値と言うだけであって「ゾーン」と考えられており、個人差やその日の体調等によってかなり違いがあります。

以上のように言葉で表現すると、簡単に説明したつもりでもかなり専門的で難解になります。かくいう私もこれ以上専門的な話しをすることはできません。しかし、「乳酸」と言う言葉がひとつのキーワードになることは何となく理解できます。同時に、この乳酸がある一定以上蓄積されないペースなら理論上はずっと走り続けることが可能と言えます。

つまり、乳酸が急激に増加してくる閾値のレベルを改善することができれば持久力アップにもつながり、マラソンの記録も向上するはずです。

つづく。

期分け・55

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【期分け・55】前回は、パターン1である2日間連続でスピードトレーニングを実施する流れを検証しました。今回は、パターン2である「土曜日:スピード系トレーニング+日曜日:スタミナ系トレーニング(土、日曜日を入れかえても可)」についてです。

このパターン2については、既にこのブログでも取り上げたので、詳細につていは割愛しますが、推奨できるパターンとなります。もちろん、その前提としてスピード系トレーニングについては、各ランナーに応じた疾走(スピードアップ)する適切な距離と、その設定タイムと本数を間違わないようにすることは言うまでもありません。同じく、スタミナ系トレーニングについても根拠のない距離を走っても狙った効果を得ることは難しくなります。

また、2日間連続でスピード系とスタミナ系をセットで実施するため、それぞれの強度は特に注意する必要があります。具体的には、自身の全力に近いような強度で2日間連続で実施してしまうと、前回お話しした2日間連続でスピード系トレーニングを実施するパターンと同様のリスクが発生してきます。

ところが、スピード系とスタミナ系トレーニングの両方を6割から8割程度に抑えることで、2日間連続の効果が期待できます。具体的には、土曜日のスピード系トレーニングを8割程度の強度に抑えることで、ゆとりを持ちながら心肺(血管込)に適切な負荷を与えることができます。もちろん、脚筋にも疲労は残りますが、翌日のスタミナ系トレーニングに向けてのフォーム修正や心肺(血管込)への刺激にもなります。

そして、2日目のスタミナ系トレーニングを前日同様、8割程度の強度で実施します。と、言うより前日の疲労も残っているので、8割程度の感覚ではいつもより遅くなります。そのため、8割と言いつつ、もう少し頑張るような感覚が必要となるはずです。実はこの感覚が大切で、いつもの8割程度の内容にも関わらず、強度的にはもう少し苦しくなります。つまり、全力に近い負荷を身体に与えなくてもそれと同様の効果が期待できるとも言えます。これは、スピード系とスタミナ系を逆の日程にした場合も同様の感覚になります。

このように、本来1回のスピード系やスタミナ系トレーニングで心肺(血管込)や脚筋を別々にそれぞれ追い込むところを、強度を抑えることで、2日間連続のセットトレーニングが可能になります。その結果、負荷をかける心肺(血管込)や脚筋の異なる個所を連続で強化することが可能となり、短期間で効率的かつ効果的なトレーニングが期待できると考えます。

つづく。

期分け・54

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【期分け・54】前回は週末集中型トレーニングパターンを大きく3つに分け、それぞれを評価しました。今回はそれぞれのパターンを詳しく考えていきます。

はじめに、パターン1の「土曜日:スピード系トレーニング+日曜日:スピード系トレーニング」についてです。このパターンは、おすすめできない「X」と判定しましたが、具体的なトレーニング実施例を記載します。

実施例1).土曜日:400m×10本+日曜日:300m×15本。実施例2).土曜日:200m×15本+日曜日:1000m×5本。実施例3).土曜日:1000m×5本+日曜日:400m×10本。

以上のように2日間連続で、「ゼーゼーハーハー」と、かなり苦しむトレーニングですが、意外と多くの人が実施しているパターンです。もちろん、内容的には上記したパターンと異なるケースもありますが、全力失速に近いスピードで頑張るトレーニングです。

実は、マラソンを目指して走り込みをしていく段階で、各種ロードレース大会や駅伝大会に参加するようになります。そのとき一緒に参加した仲間たちから指摘されることが、「スピードがないとマラソンのタイムも悪くなる」、「長い距離ばかり走るからスピードが出なくなる」等々のスピードが出ないことに対する注釈です。ある意味、指摘されたことは間違いではありませんが、それを鵜呑みにした結果、上記のようなトレーニングパターンに…。

ではなぜ、このパターンを「X」と判定したかです。その理由はいくつかありますが、1つ目の理由は、「怪我や故障のリスクが大幅に上がる」。既に皆さんも経験していることですが、スピードを上げて走ることで、心拍数が上がり、呼吸もかなり苦しくなります。しかし、それ以上に筋肉へのダメージは相当なものになります。特に、スピードに苦手意識の強い人が更に翌日も同様なスピードトレーニングを実施することは、怪我や故障を誘発させる自殺行為とも言えます。

2つ目は、「精神的に燃え尽きる(バーンアウト)」。これについては、個人差もありますが、スピードトレーニングはどちらかと言えば即効性があります。しかし、頭打ちになる時期も意外と早く、逆に苦しい割には効果が見え難くなっていきます。そのため、更に負荷のある内容にシフトしていくのですが、ほとんどの人は苦しいことに耐え続けることが難しくなり、気が付けば走ることからも遠ざかっているケースは意外と多いのです。

3つ目は、「スピードを上げる適切な距離や本数、設定タイムを導くことが難しい」。まさに記載したとおりで、それぞれの走力に合った適切なスピードを導き、どんな距離をどんな設定タイムで走るかを判断できるようになるには相応の経験と知識も必要です。かといって、単に自分自身より速い人と一緒に走ることは、上記した1つ目と2つ目のリスクだけが大きくなる可能性もあります。

以上、大きく3つの理由から2日間連続でのスピード系トレーニングは避けた方が賢明と考えます。

つづく。

期分け・53

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【期分け・53】この期分けシリーズをスタートして1年が過ぎました。大まかですが、年間を通じたマラソントレーニングの話しが少しはできたと勝手に判断しております。また、途中で話しがあちこちに飛んでしまったことをお詫び申し上げます…。と、言いながらこのまま話しを続けていきます。

さて、厳しかった残暑もようやく影をひそめ、秋らしい季節に移りました。本格的なマラソンシーズンの到来です。これから全国各地でマラソン大会が目白押しとなり、週末毎に各種大会が開催されます。同時に、マラソントレーニングに関する雑誌等もたくさん目にするようになってきます。

既に何度も話しをしていますが、マラソントレーニングに絶対はありません。もちろん、おすすめできないトレーニングもありますが、マラソントレーニングの基本は、「走ってなんぼ」です。特に、走る以前から情報過多に陥り、理論や理屈ばかりが先行しているパターンは意外に多く見受けます。

かといって、場当たり的に40kを走ったり、インターバルトレーニングに挑戦することは、怪我や故障の大きな原因になります。この点は、自分自身の走歴や走力等に合わせたトレーニングを実践してほしいところです。

前置きが長くなりましたが、前回はLSDとスピードトレーニングの関係について取り上げました。引き続き、LSDについて考えていきますが、今回からマラソントレーニングの中で、LSDをどのタイミングで組み込んでいくかを考えていきます。

はじめに、多くの市民ランナーが週末の休日にポイントとなるトレーニングを集中させています。もちろん、マラソンに向けた走り込みもこのパターンに当てはまります。そこで、この週末集中型のトレーニングパターンを検証してみます。

◆パターン1).土曜日:スピード系トレーニング+日曜日:スピード系トレーニング=X。◆パターン2).土曜日:スピード系トレーニング+日曜日:スタミナ系トレーニング=〇(土、日曜日が逆でもOK)。◆パターン3).土曜日:スタミナ系トレーニング+日曜日:スタミナ系トレーニング=〇。※「X」は、推奨できないパターン。「〇」は、推奨できるパターン。

上記のように、走歴や走力に関係なく、主に3つのパターンに集約されますが、皆さんはいかがでしょうか?

次回は、更に掘り下げていきます。

つづく。

期分け・52

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【期分け・52】LSDをスピードトレーニングの翌日に実施することによって、より効果的になると、前回は話しをしました。このように、2日間連続でポイント(メイン)となるトレーニングを実施することは、仕事の合間をぬってトレーニングを重ねている多くの市民ランナーにてきしたトレーニングとも言えます。それは、少ない時間でより効果的なトレーニングを実施していくためにも、週末の休日をより効率的に活用する必要があるからです。

ところで、逆のパターンはどうでしょうか?

すなわち、LSDを実施した翌日にスピードトレーニングを実施するパターンです。実は、日曜日にランニング仲間と近くの競技場や公園等に集まり、一緒にスピードトレーニングを実施するケースは多くの市民ランナーが実施しています。そのため、日曜日のスピードトレーニングを実施する前日の土曜日にLSDを組込むパターンとなります。

パターン的には、前回と同じように2日間連続で、ポイントとなるトレーニングを実施することになるのですが、体感的には微妙な違いがでてきます。具体的には、スピードトレーニングの翌日に実施した場合、疲労を回復させることと、体調を引き上げることを重視しながらのLSDでした。しかし、今回のようにLSDを先に実施し、翌日にスピードトレーニングを実施する場合、回復よりスタミナ(体力)を養成する強化的な目的が強くなります。

そのため、LSDの翌日に実施するスピードトレーニングは、身体が少し重たい感じになります。もちろん、個人差があるので、全てのランナーが同じような状況にはなりませんが、スピードが出にくくなる傾向です。

したがって、いつもと同じ設定タイムでスピードトレーニングを実施しようとしても、身体が重たく感じる分、設定タイムに到達する前にいつもと同じ苦しさを感じます。もう少し別の言い方をするなら、本来より遅い設定タイムで、いつもと同じ負荷を身体に与えることになります。

この感覚はとても大切で、前日にLSDを実施することで翌日のスピードトレーニングを速く走ることが難しくなります。しかし、身体にかかる負荷はいつもと同程度です。つまり、スピードを上げて走れない分、逆に怪我や故障防止につながるとも言えます。

このように、スピードトレーニングを軸にLSDを前日に実施するのか、後日に実施するかで、かなりの違いがあります。もちろん、どちらが効果的なのかを簡単に決めることは難しく、理論的なことはもちろん、ランナー毎の経験やデータの蓄積がより重要になってきます。

つづく。

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