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春を走る

2024春を走る・6

【2024春を走る・6】新年度がスタートしましたが、今年度も強化合宿を軸に選手強化を継続していきます。そして、今年度最初の強化合宿をいつもの千葉県富津市において実施しました。

今月21日に開催予定の「かすみがうらマラソン大会」に向けた最後の強化合宿でした。もちろん、どの選手も最終調整に入っているので、強化合宿に参加せず、自分自身のペースで調整する選手もいますが、目標は「パリパラ」なのは同じです。

あらためて、マラソントレーニングやその調整方法は様々で、どれが正しいとかの判断をすることはできません。また、何よりもシューズが劇的に進化し、それに見合ったトレーニング方法なども確立しつつあります。

それらのトレーニング方法のひとつに、スピードに重点を置き、そのままマラソンも攻略していく流れがあります。例えるなら、自身の持ち味であるスピードを、狩りをするための「ヤリ」に見立てたとします。日々のトレーニングでは、そのヤリをヤスリなどで磨き、油なども塗って切れ味をよくしていきます。そして、本番のレース(狩り)では、目標(獲物)を一息で突き刺し、手にしていくようなイメージです。

一方、スタミナに重点を置き、じっくりと走り込んでいく流れもあります。例えるなら、自身の持ち味である「スタミナ」を畑で育てる野菜に見立てたとします。日々のトレーニングでは、畑にまいた野菜の種に水をかけ、肥料をまいたりと、時間をかけてじっくりと育てます。そして、本番のレース(収穫)で自己記録更新(豊作)を達成できるよう、最後まで天候なども確認しながら慎重にじっくりと調整しくイメージでしょうか。

また、どちらのパターンが良いとか悪いとかの判断はできませんが、前者のスピード重視は最先端トレーニング。後者のスタミナ重視は古いトレーニングと、一般的には思われている節があります。しかし、スピード重視の場合、目標(獲物)を外してしまった場合、収穫が何もない可能性があり、その後も目標(獲物)を外し続けるパターンに陥る選手は意外に多いと感じます。

もちろん、スタミナ重視の場合も失敗するケースはあります。しかし、レース(収穫)の結果が自己記録更新(豊作)でなくても、何も取れなかったことにはなり難く、次のレースにつながる結果(収穫)を得る可能性は比較的高いと感じます。

さて、SNSなどによる様々な情報があふれています。したがって、トレーニング方法なども常に最先端情報ばかりに注意が向きます。ところが、結果が伴っていない情報(トレーニング方法)も多々あります。よく「歴史は繰り返す」と言いますが、まさにそのとおりの時代に入っているかもしれません……。

2024春を走る・5

【2024春を走る・5】令和6年度がスタートしました。そして、毎年のことながら「気持ちをあらたに」と思うのですが、いつの間にか流される日々に戻ってしまいます。もちろん、そうならないよう、今年度こそは……。

さて、4月に入ると、陸上競技も本格的なシーズンに入っていきます。具体的には、いわゆるロードで競い合うマラソンや駅伝から陸上競技場内のトラックで競い合う種目に移っていきます(トラックシーズン)。そして、これから6月あたりまでを「スピード養成期」と、とらえるマラソン指導者も多いでしょうか。

ここでマラソンのスピードとスタミナの関係を数学の「xy座標」に置き換えて考えてみます。まずは、x軸にあたる横方向を「スタミナ」とし、右方向にいくほどスタミナがあるとします。次に、y軸にあたる縦方向を「スピード」とし、上方向にいくほどスピードがあるとします。

仮に、x軸方向に「+5」、y軸方向に「+5」の場合、その選手の座標は(5,5)となります。そして、その座標(5,5)で直交している四角形の面積を、現在の「マラソン走力」と、簡易的に置き換えて考えます。

前述したように、4月からはトラックシーズンとなり、いわゆる「スピード養成期」です。つまり、y軸を上方向に持っていく時期に当たります。したがって、縦方向にのばすことで、その選手の座標位置も変わり、直交する四角形の面積も大きくなります。その結果、「マラソン走力」もアップするはずです。

このように1年間を期分けし、マラソンに必用なスピードを強化する「スピード養成期(y軸)」。同様に、スタミナを強化する「走り込み期(x軸)」など、縦軸と横軸とを分けて考えると、「マラソン走力」をアップする方法もわかり易くなります。いわゆる「見える化」のひとつとも言えるでしょうか。

ところが、人の体はスピード強化として、y軸を上方向に強化していくと、x軸のスタミナは右方向から左方向に減っていく特性があります。同様に、スタミナ強化として、x軸を右方向に強化していくと、y軸のスピードは下方向に落ちていく特性もあります。実は、人の体は理屈どおりにはいかず、四角形の面積を大きくしていくのは簡単ではないのです。

要は、人の体はスピードとスタミナを同時に追いかけることは相当難しい(極端な例として、100mを9秒台で走り、マラソンも2時間9分で走れる人間は存在しない)。したがって、スピード養成期においてもスタミナを維持していくために、最低限の走り込みが不可欠な点も確かなのです。

もちろん、この点のさじ加減は個々に違うので、試行錯誤をしながら新年度もマラソンにトライしてほしいと思います(自分自身の特性をつかんで独自の練習方法を考えていくのも、マラソンの醍醐味)。

2024春を走る・4

【2024春を走る・4】今年度最後の強化合宿を千葉県富津市富津公園において実施しました。ちょうど寒暖の差が大きい季節ですが、今回の合宿は雨天が多く気温も低く、厳しいコンディションでの走り込みでした。

今合宿の主な目的は、来月開催予定の「かすみがうらマラソン大会」への走り込みでした。同大会は、来月21日に開催予定なので、逆算すると走り込み期の最後に当たるでしょうか……。もちろん、主力選手たちはほぼ全員が参加し、精力的に走り込んでいました。

あらためて、マラソンは自分自身の肉体と精神だけで戦うシンプルな競技です。したがって、目標のマラソン大会に向け、しっかりと走り込みなどのトレーニングを積めてきたか否かが、当日の記録や成績にも大きく影響します。至極当然のことですが……。

ところが、それ以上に記録や成績に影響を与える要因があります。それは、当日のコンディションです。つまり、天候です。シンプルに「晴曇、気温10度、無風」と、なれば良いのですが、逆に「冷雨、気温0度、北風10m」などの悪コンディションになったあかつきには、とても記録などを狙える状況ではなくなります。

また、違う見方をするなら、目標のマラソン大会当日、体調も天候も良いコンディションを「100%」としたとき、当日の天候により記録が左右される割合は少なく見積もっても半分の「50%」以上でしょうか。しかし、冷雨や強風になった場合、悪影響を受ける割合は「70~80%」以上になるかもしれません。つまり、マラソンの記録は努力よりも、当日の天候次第と言うことにもなります(私の主観です)。

特に、4月は1年間の中で寒暖の差も大きく、天候が変わりやすい季節とも言えます。4月21日に開催予定の「かすみがうらマラソン大会」のコンディションがどうなるかは、過去のデータを見返しても全く予測できません。

しかし、今回の強化合宿は、悪天候の中でも40k走やインターバル走を実施しました。そして、どの選手もしっかりと走れていました。今回の経験が、大会当日が悪天候になった場合、その悪影響を受ける割合を少しでも緩和させる対策につながったと……。

2024春を走る・3

【2024春を走る・3】3月も後半に入り、寒暖の差が大きい季節になってきました。また、花粉が舞う季節でもあり、マラソンを走るには厳しい季節とも言えるでしょう。また、ランナーにとっては苦しい条件が重なりますが、体調重視で乗り切ってほしいと思います。

さて、パリ五輪マラソン日本代表選考も終わり、国内の主要なマラソン大会はひと段落と言ったところでしょうか。もちろん、一年を通じ、全国各地でマラソン大会は開催されていますが、陸上競技的に言えば、ここからトラック競技に移行していきます。

このブログでも過去に何度か記載してきましたが、ランニングの魅力に目覚め、各種マラソン大会に参加をしている市民ランナーの方々は、私が現役時代当時よりも格段に増えました。一方、その方々の話を聞いてみると、ハーフマラソンとフルマラソンの経験しかない方が多いことに驚くこともあります。

また、私は練習会などで「1k走(全力走)」を実施することがあります。例として、その1k走を5分前後で走り切ったランナーがいたとします。ところが、その方にフルマラソンの自己記録を訪ねると、「3時間31分」だったりします。つまり、1k走もフルマラソンも、ほぼ同じスピードなのです。

この点は、駅伝やマラソンを競技として取り組んできた選手の視点からすると、信じられない話になります。しかし、どんな距離を走っても、同じようなスピードでしか走れない市民ランナーの方が意外に多いもの確かです。

あらためて、昨年の10月から今月までの間、ハーフマラソンやフルマラソンを何度か走ってきた市民ランナーの方は多いことでしょう。また、走ってきた大会を振り返ったとき、「なんで記録がのびないのだろう?」と、悩む方もいることでしょう。

それぞれの課題やその対策方法は個々に違いますが、前述したように「短い距離も長い距離も同じスピード」になってしまう方も多く、そこの対策がカギになるとも考えられます。そして、その具体策のひとつとして、「短い距離のレースへの参戦(10k以下)」を強く推奨します。

詳細は割愛しますが、速く走るためには手足を素早く動かす必要もあります。そのためには、日々の練習に「短い距離のダッシュ」などを取り入れることは有効です。同様に、スタートから速いペースを体現できる短い距離のレースや駅伝なども効果的と考えます。

大きなマラソン大会もひと段落したこれからの季節だからこそ、逆に短い距離のレースに参戦していくことは、大いに価値があると考えます。

2024春を走る・2

【2024春を走る・2】パリ五輪男女マラソンの日本代表選手が決まりました。マラソンファンのひとりとして、どの選手も万全の調子でスタートラインに立てることを祈念しております。

今回のパリ五輪のマラソン日本代表を決める選考方法は、前回の東京五輪から採用したMGC方式でした。いわゆるMGCで上位2選手を決定し、残り1枠は設定タイムを優先する選考方法です。つまり、強い2選手と速い1選手を選考するようなイメージでしょうか。

また、五輪は夏に開催されるので、特にマラソンは過酷を極めます。つまり、速さよりも強さや安定感が求められます。したがって、MGC方式によるマラソン代表選考は、理にかなっているとも言えます。

その結果、東京五輪の男子は大迫選手が6位、女子は一山選手が8位と、男女ともに入賞。ところが、入賞した両選手ともMGCでは選考されず、その後のタイムで選考された選手でした(大迫選手はMGCでも3位)。

パリ五輪に向けた今回のMGC方式による代表選考は、MGCから男子3選手、女子が2選手選考され、設定タイムによる選考からは女子1選手が選考されました。8月のパリ五輪マラソンでどんな走りを披露してくれるかは誰にもわかりませんが、あらためて万全の体調で当日を迎えてほしいと願っております。

さて、同じパリで開催されるパリパラのブラインドマラソン日本代表推薦選考についてです。実はWPAの不手際などもあり、要は世界ランキング上位者から選考されます(詳細に説明することは難しいので割愛します)。

もちろん、原則として一国からの出場は最大3名(3枠)と決まっていますが、前述したとおり、パリパラ出場枠は世界ランキング上位者から振り与えられます。したがって、日本人1位としても、世界ランキングが10位だった場合、パリパラへのキップを手にすることは難しく、日本人のマラソン代表は「0」になる可能性があります。

実は現時点において、パリパラのブラインドマラソンに出場できない可能性もあり、まさに崖っぷちの状況に追い込まれています。そして、残すチャンスは4月に開催される「かすみがうらマラソン大会」のみとなりました。

逆に言えば、誰にでも出場チャンスが残っている状況です。ここから最後の調整に入っていきますが、どの選手も万全の状態に仕上げ、果敢に挑んでほしいと願っております。

2024春を走る・1

【2024春を走る・1】先週の水曜日からパリパラリンピック・マラソンコース視察のため、フランスパリへ……。そして、本日無事に帰国しました。まずは、関係者のご支援とご協力に心より御礼申し上げます。

さて、羽田空港からフランスパリ・シャルルドゴール空港までは、14時間のフライトでした。時差は日本から見るとマイナス8時間となり、日本がお昼の12時だとすると、パリは朝の4時になります。

今回のパリ視察に参加したメンバーは、ブラインドマラソン男女の主力メンバーと、そのガイドランナー及びスタッフでした。また、コースの映像を記録して頂くために、その専門スタッフにも帯同頂き、万全の準備で現地入りしました。

もちろん、JTB様のご協力もあり、現地ではジャンボタクシーと現地スタッフ(日本人)の方にもコース案内などをお願いし、しっかりとコース視察を実施することができました(2日間かけてじっくりと)。さらに、3月3日の午後からは、凱旋門周辺道路の歩行者天国を活用し、最後の勝負どころとなる石畳のアップダウンも試走することができました。

また、その3月3日の午前中は現地で開催された「パリ2024ハーフマラソン大会(※)」に参加し、パリ市内の路面状況や雰囲気をそれぞれが実走しながら確認することもできました。(※このハーフマラソンとパリパラマラソンコースは被っていませんが、近くを走るので路面状況などは、ほとんど同じ。)

視察前は、「パリパラリンピックは9月なのに、2月から3月の渡航で意味があるのか?」など、不安視する声もありました。しかし、現地入りし、実際にコースをじっくりと確認することで、路面状況の確認はもちろん、パリパラリンピックに向けたトレーニング対策などもイメージすることができました。まさに「百聞は一見に如かず」でした。

個人的には、パリパラで8回目のパラリンピックになります。その都度、マラソンコースの下見や試走などは実施してきましたが、今回ほどクオリティが高く、充実した視察は初めてでした。もちろん、今回の視察で得た様々な情報と、これまでの経験などを掛け合わせ、パリパラマラソン当日までのトレーニングを立案していきます。

2023春を走る・13

【2023春を走る・13】第65回東日本実業団陸上選手権大会が栃木県の「カンセキスタジアムとちぎ」において開催されました。そして、今大会も男女視覚障がいの部(1500mと5000m)を実施いただきました。まずは大会関係者の皆様に御礼申し上げます。

視覚障がい男子5000mは、東京パラT12男子マラソン・銅メダリストの堀越選手と、東京パラT11男子5000m・銅メダリストの和田選手の直接対決となりました。結果は、3000mから先頭に立った堀越選手がそのまま大会新記録でゴール。

また、同じレースでT11クラスの米岡選手とT12クラスの大石選手が、それぞれセカンド記録をマーク。気温が高く、湿度も高い中での5000mでしたが、どの選手も暑さや湿度に負けることなく、最後までしっかりとしたフォームでゴールしていました。

引き続き、6月の「2023ジャパンパラ陸上」と、7月の「ホクレンディスタンス」でのトラックレースが残っているので、トラック種目での自己記録更新を目標に強化していきます。

さて、すでに何度も記載していますが、マラソンのスピード基準のひとつが「5000m」です。グラフに例えると、縦軸がスピードで横軸が持久力です。この時期は縦軸のスピード強化をメインにしているので、縦軸を可能な限り、上へのばそうとしているイメージです。

最終的には、上記した縦軸の到達点と横軸の到達点で囲った四角形の面積がマラソンに必要な走力(スピード持久力)になるイメージです。このように言葉で言うと簡単にイメージできますが、実際の練習ではそう簡単にいかないのがマラソンです。

人の体は、縦軸のスピードを上へのばしていくと、横軸のスタミナは右から左(0方向)へと縮んでいきます。逆に、横軸のスタミナを右へのばしていくと、縦軸のスピードは下(0方向)へ落ちていく傾向があるので、四角形の面積を簡単に広げることはできません。

つまり、スピード練習だけではマラソンに必要な走力は身につかない。逆に走り込みだけでもマラソンに必要な走力は身につかない。この縦軸と横軸の「いい塩梅」を、つかみながら四角形の面積を大きくしていけるか否かが、マラソン攻略のカギになると考えます(イメージとして)。

第65回 東日本実業団陸上競技選手権大会【トラック競技 5/21】 – YouTube

2023春を走る・12

【2023春を走る・12】福島県会津若松市において開催された伴走者養成研修会のお手伝いをしてきました。今回の研修会も伴走に関すること、視覚障がいに関することなどの講義と、視覚障がい者に対する介助や伴走の実技からなる2本立ての内容でした。また、今回は視覚障がいランナーの参加者も多く、どの参加者も熱心に受講していました。

あらためて、視覚障がい者が歩いたり、走ったりするには、横でエスコートする伴走者が必要になります(単独行動が可能な弱視の方は除く)。そして、その伴走者の役目は「安全の確保」であり、何よりもこれが最優先されます。

もちろん、伴走者は誰でも簡単にできるので、難しく考える必要はありません。実際に、各種マラソン大会では、視覚障がいランナーが伴走者と一緒に走っている姿を目にすることは一般的な光景になりました。それだけ全国各地にも普及し、視覚障がいランナーに対する垣根が無くなってきた点は、たいへん喜ばしいことです。

一方、正しい伴走ができていないケースを拝見することが多いのも確かです。よくあるケースのひとつとして、伴走者の方が記録や順位への気持ちが先行し、最後は「気合と根性」で視覚障がいランナーを強引に走らせている姿は、意外に多いと感じます。

また、そんな姿を拝見していると、単に「気合と根性」だけでなく、伴走者としての技術や知識が不足しているがゆえに、視覚障がいランナーは単に苦しいだけで、自身の力を出し切れていないことが多いのです。これは、パラリンピックなどの国際大会を目指している視覚障がいランナーの伴走者にも該当することです。

かくいう私も25年以上、ブラインドマラソン(パラ陸上)の国際大会などに帯同してきましたが、伴走者の要因で視覚障がい選手が失格や途中棄権に陥った事例は、私が把握しているだけでも両手では足りません。また、その要因を振り返っていくと、そのほとんどが伴走者の「技術と知識不足」に起因するのです。

今回の伴走者養成研修会で、誰よりも私自身が刺激を受けましたが、来年のパリパラを目指している視覚障がいランナーやその伴走者たちにも、伴走などに関する「知識と技術」の学びなおしが必須であると、強く感じた次第です……。

最後になりましたが、今回の伴走者養成研修会の開催にご尽力いただいた地元関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

2023春を走る・11

【2023春を走る・10】GW中に実施した菅平合宿は無事に終了しました。もちろん、計画していた練習はほぼ予定どおりに消化することができましたが、合宿後半は天候が崩れ、気温も著しく低下しました。

具体的には、合宿前半は平地と変わらないほど気温も上昇し、練習時の気温は手元で25度を超えていました。また、朝晩の冷え込みも例年ほどではなく、逆に快適な感じでした。しかし、週間天気予報どおり、合宿中盤から天気が下り坂に入り、練習時の気温も15度以下に……。

そして、最終日の練習時は、手元の気温は5度。更に強い寒風が吹き荒れ、体感温度は0度相当まで下がっていました。さすがに、ここまで下がると、練習にも支障をきたすことになり、実際の練習計画も修正しました。

このように、寒暖の差が大きい今年のGW合宿でしたが、途中で離脱する選手(故障やケガ)が皆無だった点は良かったです。また、新しくなった「きずな家」の皆様は、とても快適な環境を提供してくれました。

さて、毎年のことですが、GW中の菅平合宿は必ず実業団選手や学生選手たちの姿があります。案の定、トラックでは今年も国内トップ選手たちが揃って走り込んでいました。もちろん、これも毎年のことですが、とても参考になります。

最初は単に、洗礼されたそのフォームばかりに目がいきます。しかし、疾走タイムやリカバリータイムなどを確認しながら拝見していると、「理にかなった練習」の意味が見えてきます。

詳細は割愛しますが、「最初から最後まで決めた設定タイム(適正タイム)で走り切る」。これは誰もが意識してる基本中の基本に該当することですが、実はこれが練習の中では最も難しく、これをつかめていないがゆえに記録も停滞します。

毎年、菅平高原で拝見するトップ選手たちは、このシンプルなことを確実に実行し、継続しています。つまり、「量が多い練習は設定タイムを落とし、量が少ない練習は設定タイムを上げて、最後まで確実にやり遂げる」。実にシンプルなことです。

これから夏に向かって、気温や湿度が高くなっていきます。長距離やマラソンにとっては厳しい季節に移っていきますが、菅平合宿で拝見したトップ選手たちの練習を参考にしながら個々の適正タイムで走り込んでいきます。

2023春を走る・10

【2023春を走る・10】今年も長野県上田市菅平高原において強化合宿を実施することができます。また、同地の合宿拠点として20数年来お世話になってきた福美津屋旅館は、「きずな家」に引き継がれることに……。そして、来年のパリパラに向け、さらに強固なサポート体制が構築されることにもなりました。

今回の菅平合宿は、トラックでのトレーニングになります。つまり、スピード練習はもちろん、ペース走や距離走、ロングジョグに至るまでの全てをトラックにおいて実施します。また、菅平高原は準高地と呼ばれる標高もあるので、それぞれの設定タイムも抑え気味になります。

ところが、準高地と言っても呼吸が乱れ、思うような走りが難しくなる選手もおり、うまく順応できない選手もいます。このように、専門的な文献に掲載されているデータなどを参考にしても、実際の練習現場においてはそれらとの相違が多々発生するので、やはり経験を重ね、独自のデータを蓄積していくことが最重要です。

また、今回は強化指定女子選手がほぼ揃い、久々に活気のある強化合宿となります。もちろん、ガイドランナーや強化スタッフも揃っているので、単に走り込むだけでなく、大いに語り合える良い機会にもなります。至極当然のことですが、お互いを知ることで、そこに化学反応がおこります。

「そんな考え方があったのか!」

それぞれが地元で日々継続している練習の中において、何かうまくかみ合わないことは誰にでもあります。しかし、お互いをさらけ出し、様々な角度から語り合うことで、意外と腑に落ちる考え方のヒントを得ることがあります。

同じ目標を持った仲間同士が集い、切磋琢磨する最大のメリットは、まさにそこかもしれません。我々の強化合宿の目的のひとつに、「仲間意識の見える化」がありますが、新しい「きずな家」にふさわしい最初の強化合宿となります……。

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