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春を走る
2025春を走る・3
- 2025-03-21 (金)
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【2025春を走る・3】実業団vs大学の直接対決となる、エキスポ駅伝大会が開催されました。駅伝ファンのひとりとしては、とても見応えのある内容でした。選手の皆さん、お疲れ様でした。
今回の駅伝は、初の実業団チームと学生チームとの直接対決になるとのことで、SNSなどでも大きく取り上げていました。しかし、駅伝大会の歴史を紐解くと、それに近い駅伝大会が過去にも存在したことを知ることができます……。
今から30数年前、私も現役時代でしたが、全国で開催されていた駅伝大会をいくつか振り返ってみます(今は開催中止になっている駅伝大会)。はじめに、当時は日本三大駅伝と言われていた「朝日駅伝大会(福岡県・99.9k/7区間)」、「中国駅伝大会(広島県・107.5k/8区間)があげられます(三大駅伝のもうひとつは、今のニューイヤー駅伝大会)。
上記した2つの駅伝大会は、学生チームの参加も可能で、実際に実業団チームと大学チームが直接対決することもありました。かくいう私も当時の日本三大駅伝は走っていました。特に、朝日駅伝大会は私自身にとってもたくさんの思い出がある駅伝大会です。
それ以外にも、九州を10日間かけてタスキをつなぐ世界最長の「九州一周駅伝大会」。また、ほぼ同じ開催日程で、青森から東京までを7日間かけてタスキをつなぐ「東日本縦断駅伝大会(青東駅伝」がありました。
私は、青東駅伝大会に千葉県代表選手として、11年連続出場しました。この駅伝大会は、青森から東京までの約880kを61区間に分け、7日間で競い合う駅伝大会です。
参加する各都道県は、24名の代表選手を選考し、ひとりの選手は最低1回、最大3回走ります。また、ひと区間の距離は、10kから20k程度になります。当時の私は毎年確実に3回出走していました。しかも区間距離は15kを超える長距離区間に配置されることが多かったと記憶しております。
つまり、1週間で3本も15k以上のロードレース(起伏の激しい山岳コースが多かった)を走っていたことにもなります。今振り返っても「よく走っていたな」と、私も含め当時の選手たちは本当にタフでした。
また、この青東駅伝大会や九州一周駅伝大会を皮切りに、ニューイヤー駅伝大会の地区予選会、元日のニューイヤー駅伝大会。そして、朝日駅伝大会を走り、最後は中国駅伝大会へと連戦が続きました。
現在も駅伝大会の過密スケジュールを、マラソンを目指す上での弊害と指摘する関係者は多数いますが、30年以上前の選手たちは、その流れをまるで職人のように平然とこなしていました(それらの駅伝と並行してマラソンも走っていた)。
あらためて、駅伝大会も含め物事には必ず賛否両論ありますが、今となっては薄れゆく記憶に残る良き思い出になっております……。
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2025春を走る・2
- 2025-03-14 (金)
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【2025春を走る・2】ここ数年、「部活動の地域移行」の話題が多くなりました。内容的には、「これまで中学校・高校の教員が担ってきた部活動の指導を、地域のクラブ・団体などに移行すること」です。
もう少し説明すると、文部科学省が2020年9月に「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について」の書面で、「2023年度から公立中学校での休日の部活動の地域移行をスタートすること」を発表したことです。
それを受け、スポーツ庁と文化庁が2022年12月に策定したガイドラインに基づき、まずは2023年度から3年間かけて、「公立中学校」の「休日」の「運動部」の部活動を優先し、「段階的に地域移行しようとしていること」を指します。
さて、前置きが長くなりましたが、私が在住する千葉県君津市においても、上記した方針にしたがって、「部活動の地域移行」を実施していくことに……。もちろん、様々な問題が山積しているので、市の教育関係者などが号令をかけただけでは、実行できるはずもありません。
まずは、君津市としては地域移行に向け、今年度と来年度をテスト期間とし、中学校の陸上競技の短距離と長距離に絞って試すことになりました。そして、その長距離部門のコーチ(指導者)として、私もお手伝いすることに……。
具体的には、昨年の9月ころから市の教育関係者や他のコーチとの打ち合わせを重ね、12月から今年の3月までの日曜日を活用して地域クラブ活動を実施しました。また、開催に先立って、君津市内の全中学校に開催案内を配布し、参加希望者を募りました。
もちろん、陸上部の生徒だけが対象ではないので、テニス部やサッカー部など、運動系の生徒や、逆に美術部などの文化系の生徒もいます。参加した生徒たちが記載した目標や目的を拝見すると、「専門的な指導を受けて速くなりたい」、「運動不足を解消したい」など、参加目的は本当に様々でした。
経験上の話になりますが、年齢に関係なく、ある程度走れる人よりも、初心者(未経験者)にランニング指導をする方が、はるかに難しいことは今も昔もかわりません。今回、限られた時間と場所で、経験者(上級者)と初心者を同時に指導することの難しさを、あらためて勉強することができました(部活動なので速くすることが第一の目的ではない)。
一方、コーチたちの指導を真剣な目で聞いている中学生たちの取組み姿勢に、やりがいや達成感を感じることができたのも確かです。この先、どんな方針になっていくのかはわかりませんが、自分にできることは今後も積極的にかかわっていきたい……。
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2025春を走る・1
- 2025-03-07 (金)
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【2025春を走る・1】先日の3月2日は、東京マラソン大会が開催されました。ところが、前週の大阪マラソン大会とは真逆のコンディションとなってしまい、出場した選手たちは暑さとの戦いとなりました。
一般的には、12月から3月上旬の気温は10度前後で安定しており、いわゆるマラソンシーズンとも言われております。ところが、逆に15度を超えるような気温になると、身体が暑さに慣れていないことも相まって、走っている選手たちにとってはある意味、夏マラソンに匹敵するような苦しい体感になります。
今年の東京マラソン大会は、まさにそんな過酷なコンディションだったとも言えます。また、夏マラソン攻略方法のカギは、「前半を抑えて後半ペースアップ」する走法。いわゆる「ネガティブスプリット」の実戦が重要ポイントのひとつになると考えます(詳細は割愛)。
さて、今回の東京マラソン大会は記録を狙える世界屈指の大会でもあるので、男子については、ペースメーカーが3段階に設定されていました。具体的には、「第1グループ:2分52秒~53秒/k」、「第2グループ:2分55秒~56秒/k」、「第3グループ:2分57秒~58秒/k」の3グループです。
スタート後、日本人選手は「第1グループに1名」、「第2グループに数名」、「第3グループに多数」。テレビ観戦で確認した状況ですが、日本人選手たちも積極的に記録へ挑戦していました。
ところが、上記したようにレース後半は気温が20度前後まで上昇し、中間点以降はどの選手も暑さに苦しむ状況へと追い込まれていきました。そんな中で、日本人選手の1位は、市山翼選手が第3グループから後半追い上げ、2時間6分00秒の自己新記録でゴール。しかし、総合順位は10位。世界の壁は厚かったとも言えるのでしょうか。
参考までに上位8選手たちが、中間点通過時に上記したどのグループで走っていたかを確認してみました。「1位~4位と7位の選手:第1グループ」、「5位の選手:第2グループ」、「6位と8位の選手:第3グループ」。
一方、日本人選手の上位6選手は、「日本人1位~2位と5位の選手:第3グループ」、「日本人3位~4位と6位の選手:第2グループ」。また、スタートから第1グループで健闘していた選手は、力尽きて途中リタイヤ。
この結果を振り返ると、世界のトップ選手は、「最初から攻め、暑くなった後半もゴールまで粘り倒した(暑さの中でも極端なペースダウンを回避した)」。一方、日本人選手は「最初から第3グループで力を温存しながら走っていた選手たちが、後半ペースアップして日本人上位でゴールした(勝負に絡めなかったが、暑い中でのマラソン攻略はできていた)」。
もちろん、私がこの結果を正確に分析することはできませんが、世界は暑い中でも積極的に攻めていく選手が増えてきているのは確かなようです。また、オリパラなど世界的に大きな大会は夏開催がメインなので、「日本人でも暑い中ならマラソンで勝負できる」と言われてきました。
しかし、その考え方をあらためていく時期かもしれません(パラも)……。
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2024春を走る・12
- 2024-05-24 (金)
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【2024春を走る・12】陸上競技はいわゆる「トラックシーズン」に入っており、神戸でも世界パラ陸上競技選手権大会が開催されております。今年はパリパラも開催されますが、そのパリパラを目指すトップ選手たちが世界から集まっております。もちろん、日本選手たちも多数出場しております。
同大会は、5月25日が最終日となりますが、どの選手も最後まで自身の力を出し切ってほしいと願っております……。
先日の5月18日と19日の両日は、埼玉県熊谷市において東日本実業団陸上競技選手権大会が開催されました。同大会は、オリンピックを目指す実業団選手だけでなく、シニア部門や視覚障がいの1500mや5000mなども実施しております。
このように様々な年齢層や競技レベルの視点に立った競技運営をしている陸上競技大会が増えてきました。パラ競技に携わる者としては感謝のひと言です。あたらめて、御礼申し上げます。
さて、国内の陸上競技大会や記録会などを拝見していると、長距離種目の参加人数だけが突出している大会が多く、他の種目はその競技を成立させることができるか否か、ギリギリの人数で競い合う状況などもままありました。
しかし、日本人がオリンピックの男子400mリレーでメダルを獲得し、さらに100mで9秒台に突入したあたりからでしょうか、各種陸上競技大会においても短距離選手の参加人数があきらかに増えてきました。
前述した東日本実業団陸上競技選手権大会においても、男子100mの予選は29組もありました。こうなると、予選からタイムレースになります。また、その予選を拝見していると、どの組の選手も速く、100mを10秒台で軽く走っている選手の多さに驚きました(日本代表経験選手も予選敗退するケースもある)。
どのスポーツも例外なく競技人口を増やすことが最重要課題となりますが、そのポイントは「強化と普及の両輪(循環サイクル)」をうまく回していくことにつきます。かつては、日本陸上競技界の短距離は、世界と勝負することのできない種目の代名詞でした。
しかし、前述したようにオリンピックでメダルを獲得するなど、強化が好転しだすと、それに憧れを持つ小中高生(一般人も)が増えます。つまり、山で言うとこの「すその(普及)」が広がります。その結果、さらに山を「高くしていくこと(強化)」が可能となり、世界で活躍できる選手が輩出される確率が高まります(強化と普及の好循環サイクル)。
残念ながらブラインド種目を含むパラ陸上競技は、そのような好循環サイクルに至っておりません。もちろん、一般競技と何もかも同じようにはいきませんが、日本陸上競技界の短距離種目が大躍進してきたその過程と取組みなどを……。
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2024春を走る・11
- 2024-05-16 (木)
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【2024春を走る・11】ブラインドマラソンに欠くことのできない存在は伴走者です。具体的な役目としては、視覚障がいランナーの目や杖となり、横で並走しながら安全にゴールまで導くことです。
近年は、どのマラソン大会においても視覚障がいランナーが参加することを拒むようなことはなくなり(かつては安全上の理由などから拒まれた)、各地のマラソン大会においても伴走者と楽しく走る視覚障がいランナーを拝見する機会は増えました。
また、その伴走者を養成するための研修会を、日本ブラインドマラソン協会などが中心となって開催しております。かくいう私もそのお手伝いをすることがあり、先日も伴走者養成講習会の講師をしてきましたが、最近は伴走に興味関心を持って頂ける一般ランナーが増えました。
一方、「視覚障がいランナーは増えているのか?」と言えば、実はそうではありません。正確な数字での確認はできませんが、30歳代より若い世代の視覚障がいランナーは確実に減っていると感じます。逆に、視覚障がいランナーの高齢化はどんどん進んでおり、年齢や体力的な理由からランニングをやめていく人は増えています。
その結果、前述したように視覚障がい者のマラソン人口は減少傾向にあります。
視覚障がいランナー(特に若い世代)が減少している理由を正確に把握することは難しいですが、事実として全国にある特別支援学校(旧盲学校)の在籍生徒数は毎年減り続けています。これは、視覚障がい児童や生徒も地元の学校(一般の普通学校)にかよう「インクルーシブ教育」が浸透してきたこともその一因と言われています(良い意味で)。
ところが、視覚障がい者が一般の普通学校で学ぶ場合、体育については安全上などの理由から「見学になる可能性が高い」との調査報告もあります。つまり、本来なら体育(運動会や校内マラソン大会なども)で走ることを学んだり、体験もしていきます。しかし、皮肉にもその体験する機会を得ること自体が、逆に難しい環境になってしまうのです。
もちろん、インクルーシブ教育を否定しているわけではありません。しかし、小中高時代に「走ること」をほとんど経験しないまま成人することで、その後も「走ること」とは無縁の生活が続く可能性は高まると推察できます。
これまでは、視覚障がいランナーが「走りたいけど伴走者がいない」との話が多数でしたが、逆に「伴走したいけど視覚障がいランナーがいない」の時代に移ってきていると感じます。それも急激なスピードで……。
伴走講習会を受講された皆様におかれましては、視覚障がいランナーから「伴走できますか?」などの依頼を待つだけでなく、「一緒に走ってみませんか?私が伴走しますよ!」と、逆に声をかけて下さい。そして、運動経験の少ない視覚障がい者に「走る機会を提供」して頂きたいと、勝手ながらもせつに願う次第です。
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2024春を走る・10
- 2024-05-09 (木)
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【2024春を走る・10】恒例のGW菅平合宿(長野県上田市)は無事に終了しました。この時期の菅平高原は、気温が下がる日も多く、午前中の気温が10度以下の日もありました……。
今回の合宿は、マラソン後の調子などを確認することが最大の目的だったので、質も量も落とした内容でした。また、6月からは、パリパラに向けた本格的な走り込みを実施していくので、その準備をするような意味合いもありました。
幸い、主力選手たちの状態は問題なく、6月からは計画どおりの走り込みにシフトしていけそうです……。
さて、パラリンピックの開催はオリンピックの後になるので、開催期間は8月後半から9月前半の日程になります。そして、パラマラソンは、パリ大会も最終日に実施されることが決定しているので、それに向けた走り込みは、6月から8月になります。
したがって、最も暑い季節に最もたくさん走り込むことになるので、身体への負担が大きくなるのは言うまでもありません。もちろん、菅平高原など比較的涼しい場所での走り込みをメインにしていきますが、最終的には暑い中でもしっかりと走れる身体に仕上げていくことが不可欠になります。
また、冬のマラソンと違って、本番直前に練習を落としたからと言っても、簡単に疲労が抜けていくとは限らないのが、夏マラソンの最も難しいところです。もちろん、マラソンに向けた走り込みができていないと、本番でも走れないのは冬マラソンと同じです。
同時に、冬マラソンによくある「成功するための王道」のようなトレーニング方法は、夏マラソンには見当たらず、常に手探り状態のも確かです。まさに「過去の経験とカン」に頼る部分が多いのも「夏マラソン」とも言えるでしょうか。
そんな中、ひとつ言えるのは、トレーニングの量も質も冬マラソンのように追い込み過ぎると、最後は疲労を抜いていくのが困難な状況に追い込まれるリスクが高くなるのも夏マラソンの特徴です。
と、言いながら逆に落とし過ぎると、本番に勝負ができなくなるのは冬マラソンと同じなので、とても矛盾したバランスを保ちながら走り込んでいくことになります。
このようにパリパラに向け、いよいよ「難解なパズル」を組み合わせていく作業に挑む時期に入っていきます……。
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2024春を走る・9
- 2024-05-04 (土)
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【2024春を走る・9】今年もGWに突入しました。そして、今年のGWも長野県上田市の菅平高原において強化合宿を実施しております。
今年の菅平高原は、ラグビーやサッカー選手たちの姿も多くなり、コロナ以前の活気が戻りつつあります。もちろん、長距離選手が走っている姿も多く、GW中の菅平高原は実業団選手の姿を多く目にします。
さて、前回のブログでも記載したとおり、パリパラに日本のブラインドマラソン選手を派遣できるか否かも不明な状況です。と、言いながら至極当然のことですが、パリパラに出場することを前提に強化を進めていきます。
そして、そのパリパラのマラソンは、9月8日の実施予定です。日程を逆算していくと、6月から本格的な走り込みに入り、真夏に突入する7月から8月にかけての走り込みがカギになります。
もちろん、パリパラに向けた6月からの走り込みは、ここ菅平高原からスタートします。今回の菅平合宿は、本格的な走り込みに入る前の足慣らし的な意味合いもあります。また、どの選手も先月の「かすみがうらマラソン大会」を走っており、その回復状況を確認することも重要な目的になります。
前回の東京パラのマラソンに向けても、6月から本格的な走り込みに入り、そのスタートも菅平高原でした。そして、7月から8月は北海道で走り込み、最後は千葉県富津市で調整と暑熱順化を実施し、選手村に入村しました(女子は金メダル、男子は銅メダルを獲得)。
今回のパリパラに向けた流れも、その実績をベースに計画していきます。また、東京パラのマラソンコースは後半に上り坂が続く「難コース」でした。しかし、今回のパリパラのマラソンコースを視察した結果、その東京パラを上回る「超難コース」であることを確認しました。
したがって、東京パラ以上にスピードよりもスタミナが要求されます。そしてさらに、石畳に耐え得る強靭な脚力も必須であり、その超難コースでのメダル争いとなります。しかし、それはチームジャパンの選手たちが最も得意とするコースとも言えます。
ますは、今回の菅平合宿を良い流れで乗り切り、6月からの本格的な走り込みにつなげていきます。
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2024春を走る・8
- 2024-04-26 (金)
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【2024春を走る・8】4月21日の日曜日は「かすみがうらマラソン大会」が開催されました。大会当日の天候は晴れ。気温も23度前後まで上がりました。実は、前日の予報では曇だったので、「直射日光されなければ暑さは大丈夫かな?」と祈る気持ちでいました……。
さて、今回の同大会は、ブラインドマラソンの選手たちにとっては、パリパラ出場権を狙える最後の大会でした(最後の国内選考レース)。どの選手たちもこの大会を目標に調整してきました。幸い、どの選手も仕上がり状態は良好だったので、あとは天候次第と言った状況でした。
しかし、前述したように大会当日の天候は晴れました。同時に、気温もこの時期にしては高めとなり、かなり厳しいコンディションになったのです。特に、選手たちが25k付近を通過するあたりから、さらに気温が上がっていたので、どの選手も終盤は苦しみました。
そんな中、ブラインドマラソン男子は、堀越信司選手が「WPA世界ランキング1位」となる記録で優勝。同女子は道下美里選手が優勝しました。ご存知のとおり、両選手とも東京パラのメダリストです。しかし、両選手が残した今回の記録でパリパラに出場できるか否かは、現時点においてはわかりません。
実は、このように日本のブラインドマラソンは、パリパラへの道筋がはっきりしない暗中模索の中にいます(パリパラに代表選手を派遣できるか否か)。そのため、かつてないほどのプレッシャーが、どの選手にもかかりました。さらに、大会当日の暑さとも相まって、どの選手も「自分の力を出し切る」こと自体が難しい状況に追い込まれたレースでした。
優勝した堀越選手と道下選手は、ここまで多くの経験を積みながら自身の目標を達成してきた選手です。しかし、その経験の多くは「自分の思いとはかなり違う理不尽なこと」の繰り返しでした。特に、レースは自分自身の思いどおりにならない最も理不尽なことのひとつです。
その中でも、パラリンピックのように4年ごとに開催される大会は、理不尽の極みでもあり、当日のコンディションが想定外になる確率も高いと感じます(私の経験上)。今回優勝した堀越選手と道下選手は、目の前にある理不尽なことから逃げることなく、自ら進んでその戦いに挑み続けてきた選手です。
今回の「かすみがうらマラソン大会」においては、その積み重ねてきた「理不尽な経験」が活かされました。そして、今回の経験が、次の「理不尽な大会」へとつながっていくことでしょう。
※旭化成陸上部の皆様、ありがとうございました!
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2024春を走る・7
- 2024-04-19 (金)
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【2024春を走る・7】今週末は「かすみがうらマラソン大会」が開催されます。また、同日は全国各地で、マラソンなどのロードレース大会も開催され、多くの市民ランナーが出場します。あらためて、出場される皆様方の快走を祈念いたします。
4月は季節的には春ですが、気温が一気に上がってくる時期でもあります。また、「今年も春まで続くエルニーニョ現象の影響などにより、日本付近は暖かい空気に覆われやすく、4月から最高気温が30度以上となる真夏日が出る可能性がある」と話している専門家もいます。
幸い、「かすみがうらマラソン大会」が開催される地域の週間天気予報においては、そこまで気温が上がる可能性は低いですが、最高気温は20度を超える予報です。もちろん、30度を超える中を走ることは厳しいですが、この時期の20度を超える気温も体にはこたえます。
また、スタート時間が、9時から10時の間に設定しているマラソン大会は多いので、結果的にはゴールに向かうにしたがって、気温はグングン上昇していきます。つまり、スタートの気温が10数度でも、ゴール時は20度を超えている可能性があります。
多くのランナーが、十分な暑熱順化ができていない時期だけに、熱中症や脱水などに対する注意が必須です。と、言いながら明後日のマラソン大会に向け、今から暑熱順化を実施することは相当難しいですが、レース中の暑さ対策やその準備は可能な限り実施しましょう。
そこで具体的な対策として、いくつか書き出してみます(安田の思いついたもの)。特に、5時間以上の完走を目標にしている市民ランナーの皆様ほど、暑さ対策の準備は入念にしてほしいと思います。
一つ目は、給水に関することです。特に、後半は給水用の水などが不足している場合もあります。その対策として「小銭などを持参して走る」のが良いでしょう(スマホを持参し、電子マネーでも良い)。
二つ目も給水に関することです。これも後半の給水地点においては、紙コップなどが不足する可能性があります。そこで「給水用のマイカップを持参して走る」。いつでもすぐに飲める折りたためる簡易的なカップなどを持参しておくことを推奨します。
三つ目は「服装」です。帽子やサングラスはもちろんですが、可能な限り薄着でスタートするようにしましょう。日焼け防止や膝や脚筋などを守るための服装は理解できますが、その結果、暑さに負けてしまっては逆効果になります(可能な限り簡易的なサポーターを)。
そして、最後は「勇気ある撤退」です。そもそも暑さに自信のない方は、スタート地点に立たない選択も正解です。もちろん、スタート後、厳しいと感じたなら途中で歩いたり、休んだりしましょう。それでも体調が回復しない場合は、迷わず「リタイヤ(棄権)」。
以上、ありきたりな対策を記載しましたが、4月以降のマラソン大会は本当に危険が伴います。この点は十分に理解して挑むようにしましょう。
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2024春を走る・6
- 2024-04-12 (金)
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【2024春を走る・6】新年度がスタートしましたが、今年度も強化合宿を軸に選手強化を継続していきます。そして、今年度最初の強化合宿をいつもの千葉県富津市において実施しました。
今月21日に開催予定の「かすみがうらマラソン大会」に向けた最後の強化合宿でした。もちろん、どの選手も最終調整に入っているので、強化合宿に参加せず、自分自身のペースで調整する選手もいますが、目標は「パリパラ」なのは同じです。
あらためて、マラソントレーニングやその調整方法は様々で、どれが正しいとかの判断をすることはできません。また、何よりもシューズが劇的に進化し、それに見合ったトレーニング方法なども確立しつつあります。
それらのトレーニング方法のひとつに、スピードに重点を置き、そのままマラソンも攻略していく流れがあります。例えるなら、自身の持ち味であるスピードを、狩りをするための「ヤリ」に見立てたとします。日々のトレーニングでは、そのヤリをヤスリなどで磨き、油なども塗って切れ味をよくしていきます。そして、本番のレース(狩り)では、目標(獲物)を一息で突き刺し、手にしていくようなイメージです。
一方、スタミナに重点を置き、じっくりと走り込んでいく流れもあります。例えるなら、自身の持ち味である「スタミナ」を畑で育てる野菜に見立てたとします。日々のトレーニングでは、畑にまいた野菜の種に水をかけ、肥料をまいたりと、時間をかけてじっくりと育てます。そして、本番のレース(収穫)で自己記録更新(豊作)を達成できるよう、最後まで天候なども確認しながら慎重にじっくりと調整しくイメージでしょうか。
また、どちらのパターンが良いとか悪いとかの判断はできませんが、前者のスピード重視は最先端トレーニング。後者のスタミナ重視は古いトレーニングと、一般的には思われている節があります。しかし、スピード重視の場合、目標(獲物)を外してしまった場合、収穫が何もない可能性があり、その後も目標(獲物)を外し続けるパターンに陥る選手は意外に多いと感じます。
もちろん、スタミナ重視の場合も失敗するケースはあります。しかし、レース(収穫)の結果が自己記録更新(豊作)でなくても、何も取れなかったことにはなり難く、次のレースにつながる結果(収穫)を得る可能性は比較的高いと感じます。
さて、SNSなどによる様々な情報があふれています。したがって、トレーニング方法なども常に最先端情報ばかりに注意が向きます。ところが、結果が伴っていない情報(トレーニング方法)も多々あります。よく「歴史は繰り返す」と言いますが、まさにそのとおりの時代に入っているかもしれません……。
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