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ブラインドマラソン

合宿の意味

【合宿の意味】7月5日まで長野県上田市菅平高原において強化合宿です。先月から活動を再開しましたが、各選手の課題もつかめてきた感じです。また、前回の合宿同様、実業団チームの多くがこの菅平高原で合宿しており、日ごろあまり目にすることのない一流選手たちの貴重なトレーニングを拝見しております。

さて、コロナ禍の影響で4月以降やむなく自主トレに終始してきたランナーは多かったと思いますが、合宿などでみんなが集まって切磋琢磨することの意味について少し考えてみます。まずは、至極当然のこととして、長距離やマラソンのトレーニング方法はほぼ確立されています。

どの選手もマラソンを目指すのに、キャッチボールをやったり、パターの練習をしたりはしません。まずは走ります。そして、長く走ったり、速く走ったりしながらマラソンに対応できる身体をつくっていきます。

個々にマラソンの目標タイムは違いますが、どんな目標タイムであっても、それを達成するための走行距離や設定タイムなども概ねつかめています。そのため、自主トレなどの期間もどんな距離をどの程度のタイムで走り続ければ良いかも把握することができます。

ところが、慣れない単独トレーニングを継続していると、多くのランナーが、「この距離とタイムで大丈夫?」と不安に陥っていきます。まさに「自分を信じて愚直に継続する」だけですが、ある意味、それが最も難しいことである点を、このコロナ禍で味わったランナーは多かったのではないでしょうか。

さて、定期的に合宿や練習会で仲間たちと切磋琢磨していると、あることに気が付いてきます。「距離走は遅い設定タイムで走っているのに、マラソンは速い人がいる」、「スピードトレーニングをほとんど実施しないのに、マラソンはどんどん速くなっている人がいる」。あるいは、「インターバルトレーニングの設定タイムは遅いのに、5000mは速い人がいる」。これはどんなレベルのランナーにもあてはまることです。

このように、運動生理学的に云々と言うより、過去の経験などから身に付けたトレーニング方法を継続した結果、速くなっている人がいる事実を目の前で知る事ができます。「こんな練習で速くなるんだ!?」と、目の前で起っていることほど、説得力のあることはありません。

講習会などで専門的な講義を受けるより、目の前で起っている事実を知る方が、「これでいけるんだ!」と多くの刺激やヒントを得られることはたくさんあります。合宿や練習会に参加する意味は、コロナ禍の後ほど、深くなっていくでしょう。

再スタート・4

【再スタート・4】今年最初の菅平合宿は無事に終わりました。久々の準高地でのトラック練習だったので、かなり苦しんでいる選手もいましたが、どの選手も概ね計画どおりに走り込めていました。

また、菅平高原には多くの実業団チームがきており、かなり質の高いトレーニングを繰り返している選手が多かったように感じました。その中には、東京五輪マラソン代表選手に決定している6選手のうち、4選手の顔もありました。

特に、4月と5月はコロナ禍の影響でどの選手もトレーニングに影響が出ていると思っていましたが、全く逆でした。実業団選手たちはプロとしての自覚と覚悟を持って、この間は質の高い自主トレを軸に走り込んでいたのでしょう。

毎年、この6月に菅平高原で見かける同じ実業団選手の走りとは全く異なるシャープな動きでした。少なくとも今回の菅平合宿で見かけた選手たちは、仕上がっている印象を強く受けました。

「強い選手はどんな状況下でもしっかり走っている」

月並みですが、そんな印象をあらためて強く受けた今回の菅平合宿でした。我々も心を引き締め、来年の東京パラリンピックに向け、走り込んでいきます。

来週から再び菅平高原で強化合宿を実施し、7月中旬からは北海道で走り込んでいきます。東京パラリンピックが1年延期となったので、この夏は暑熱対策などもう一度シュミレーションできる絶好の機会となりました。どの選手もこの夏を無駄にしないでほしいと願っております。

最後になりましたが、こんな厳しい状況下でも我々の強化合宿を受け入れてくれた宿泊先の皆様には、あらためて感謝申し上げます。

再スタート・3

【再スタート・3】6月20日から長野県上田市菅平高原において強化合宿をスタートしました。もちろん、今年はじめての菅平合宿です。

コロナ禍の影響で今回の菅平合宿も実施可能か否かが微妙な状況でしたが、毎年お世話になっている旅館のご理解とご尽力で実施できることになりました。あらためて、厚く御礼申し上げます。

宿泊条件として、一人一部屋、食事中の配置など、3密を回避できる環境を厳守し、我々も合宿参加条件を見直すなど、何とか菅平合宿が実施できる運びとなりました。

選手とスタッフの数はいつもの半分以下ですが、緊急事態宣言の期間もしっかりと自主トレーニングを積んできた選手ばかりなので、問題なさそうです。

しかし、今年の3月以降は多くの大会や記録会が中止や延期になっており、どの選手も実戦から遠のいています。今回の合宿はトラックでのタイムトライアルを軸に、各選手の状態を確認していくことがメインとなります。

また、本来ならこの6月の菅平合宿あたりから走り込み的な要素も取り入れていく計画でしたが、秋以降の目標となる大会や記録会が見通せない状況です。そのため、多くの選手はモチベーションが下がり気味です。

まずは強化合宿が再開できたことに感謝し、現状の自分自身としっかりと向き合いながら少しずつ本来の状態に戻していきます。

※本日は15時30分からトラックで軽めのジョギングと1000mを1本実施しました。午後から気温が下がりだし、17時の気温は16度。そして、更に気温は下がり、19時で11度。寒い初日になりました。

伴走者・3

【伴走者・3】2020東京オリンピックとパラリンピックが来年の開催に延期となりましたが、具体的な開催日程などについてはこれからになります。現場で選手強化に携わっている者とすれば、東京パラリンピックに向け、ブレることなくたんたんと強化活動を継続していく所存です。

さて、ブラインドマラソンには伴走者を必要とする選手もいます。そのため、今回の延期はその伴走者の方々にも様々な影響を与えることにもなります。特に、日本代表候補選手の伴走者は何よりも高い走力が必須となるからです。

ブラインドマラソンの強化において、日本代表選手と一緒に日の丸をつけて共に世界で戦う伴走者を特別に、「競技専門伴走者」と呼んでいます。公式な規程などはありませんが、ある程度目安となる数値(持ちタイム)などは強化合宿や研修会などで発信してきました。

至極当然のことですが、WPA公認レース中に伴走者が何らかのトラブルで走行不能となった場合はブラインド選手も失格となります。選手同様、伴走者もセットで大会エントリーをし、帯同した国際大会においてはドーピング検査の対象にもなるからです。

また、パラリンピックをはじめ国際大会の遠征期間は数週間にも及び、伴走者はブラインド選手の日常生活サポートも全て兼ねることにもなります。もちろん、その間の伴走者にかかる負担やプレッシャーも相当なもので、伴走者が自分自身の調子や体調の維持管理と両立していくことは並大抵のことではありません。

過去のパラリンピックや国際大会においても、遠征期間中に伴走者が故障や体調不良に陥り、ブラインド選手の競技成績に重篤な影響を与えてしまった事例は多々あります。もちろん、伴走者も人間なので常に大丈夫という訳にはいきませんが、国際大会においてはエントリー以外の伴走者はいないのです。

そのため、ブラインドマラソンの日本代表選手と共に世界で戦う競技専門伴走者に求められる最大の条件は、走力になります。伴走者にとって、ブラインド選手とのタイム差が大きいほど、自分自身のゆとりとなり、そのゆとりがブラインド選手の安心感や安定感にもつながるからです。

もちろん、伴走者に求められる要素は気配りや人間性など多岐にわたります。しかし、繰り返しになりますが、競技専門伴走者に求められる最大の条件は走力です。国際大会において取り返しのつかない結果となった過去の事例を振り返ると、その原因の大多数は伴走者の走力不足に起因しているのは見逃せない事実なのです。

代替案・2

【代替案・2】2月29日から2泊3日の日程で千葉県富津市において強化合宿を実施しました。そして、毎年のことですが、今回の合宿は強化の一環として同地にて開催されている「千葉県民マラソン大会」への参加も恒例となっています。

しかし、3月1日に開催予定の同大会を中止するとの連絡がありました。このため、代替案として大会参加から「10kタイムトライアル」に変更し、当初の日程どおりに強化合宿を実施しました。

また、大会参加を予定していた選手たちがどのように考え行動するかを確認する機会にもなりました。もちろん、大会中止となった状況を判断し、合宿への参加を取りやめる選手もおり、それぞれの考え方や判断を尊重することが第一となります。

3月1日に代替案の10kタイムトライアルを実施しましたが、出走した選手は5名でした。同日9時30分スタートとし、各自が大会参加と同じようにウォーミングアップやそれぞれの準備をして挑みました。

結果は5選手中4選手が自己新記録をマークし、その内3選手が非公式ながら日本記録を更新する好タイムでした。特に、先日の別大マラソンで世界新記録を達成した道下選手は、自身の持つ5000mの日本記録を大幅に上回るハイペースで5kを通過し、そのままのペースでゴールまで押し切る快走でした。

単なるタイムトライアルは大会とは違うので、モチベーションや集中力を高めることは難しく、どんな選手でも自己記録を更新することは本当に難しいと考えます。それだけに、今回走った5選手については走力だけでなく、精神力の向上や強さを確認することができました。

この先も各種大会の動向が不透明なので、今回のようなタイムトライアルなどの代替案を考えながらの強化が続いていくと思われます。選手たちにとってはいろいろな意味で厳しい状況が続くことになりますが、「どんな状況下でも力を出し切れる精神力」を養成する意味でも、逆に代替案をプラスにとらえていきたい。

伴走者・2

【伴走者・2】先週のJISSにおける測定合宿終了からそのまま千葉県富津市に移動し、強化合宿を連続で実施しました。もちろん、東洋大学様と帝京大学様からも連続で伴走サポートをいただきました。また、富津合宿後半は同じ千葉県内にある国際武道大学様の選手にも加わっていただきました。

今回の合宿はガイドロープを必要とする視覚障がい選手が少なかったこともあり、伴走者が不要な弱視選手たちのペースメーカー役も担っていただきました。伴走者を不要とする弱視選手たちのマラソンタイムは2時間25分台と、一般ランナーの準エリートと呼ばれるレベルをもこえつつあります。

そのため、1000mのインターバル走を実施すると、最初から3分切のペースで決めた本数をキッチリと走り切ります。そんなレベルに到達しているので、普通の市民ランナーにペースメーカーをお願いするのは難しくなってきています。

しかし、先週の測定合宿から今週の富津合宿の間、学生選手たちが弱視選手たちもしっかりとサポートしてくれたので、とても引き締まった内容のトレーニングを積むことができました。

また、前を走っている学生選手たちのフォームはとても軽やかで、無駄がありません。一方、弱視選手たちのフォームは重厚な印象を受けます。もちろん、箱根駅伝を目指す学生選手との比較になるので無理もありませんが、様々な気付きも与えてくれました。

そして何より、箱根駅伝とパラリンピックとでは置かれている環境も違いますが、こうやって一緒になれば直ぐに切磋琢磨できるのです。あらためて、「マラソン(ランニング)は素晴らしい!」と感じる合宿でした。

さて、ご存知のとおり、コロナウィルスの影響で全国のマラソン大会が自粛するニュースが急増してきました。実は、3月1日に千葉県富津市で開催予定の千葉県民マラソン大会も、開催を中止する旨の連絡が大会事務局から届きました。

この大会はブラインド選手たちも毎年参加しており、今回も合宿でのスピード強化を試す絶好の機会ととらえていたのでとても残念です。同じように、学生選手たちが目標としている大会にも影響が出てくる可能性があります。

しかし、こんな時だからこそ声を掛け合って、一緒に切磋琢磨しながら更に走り込んでいきたいと思います。引き続き、よろしくお願いします!

2020年

【2020年】今年も正月恒例のニューイヤー駅伝、箱根駅伝の激走からはじまりました。

そして、今年はいよいよ東京パラリンピックです。パラリンピックに向けた強化も今年は「選択と集中」へと移行し、本番を迎えることになります。

と、いいながら今年も「怪我と故障」を防止し、1年間を通じて安定したトレーニングを継続していくことが最も重要な点は、これまでと変わりません。

本年も様々な情報などに惑わされることなく、愚直に走り込んでいきます。

千秋楽

【千秋楽】12月21日、日本体育大学において長距離記録会が実施されました。今回、日本体育大学関係者のご理解とご協力により、WPA公認大会として視覚障がい選手が出場できることになりました。あらためて御礼申し上げます。

同大会には、日本ブラインドマラソン協会の強化指定選手たちがエントリーし、2019年最後の記録更新に挑みました。特に、来年の東京パラを目指している選手たちは自己記録を更新し、世界ランキングを少しでも上げておくことは必須条件です。

記録会当日の天候は曇り、気温は10度以下とかなり冷え込みましたが、風もなく、長距離種目にとっては絶好のコンディションとなりました。注目の視覚障がい男子選手が出場する5000mは12時15分スタート。

日本体育大学の選手たちと一緒にスタートしましたが、最初からハイペースです。特に、T12クラスで単独走の熊谷選手と堀越選手にとっては少し厳しいレース展開と思えましたが、両選手とも最後まで粘りに粘りました。

熊谷選手(T12)/15分10秒59(自己新記録)
堀越選手(T12)/15分28秒45(今季自己最高記録)

夏以降、調子を落としていた堀越選手もよく我慢しました。そして、堀越選手の後もなだれこむように次々とゴール。

和田選手(T11)/15分32秒87(自己新記録・T11日本新記録・T11アジア新記録)
唐澤選手(T11)/15分39秒02(自己新記録・T11日本新記録・T11アジア新記録)
高井選手(T13)/15分47秒78
谷口選手(T11)/16分08秒68(自己新記録)

同一の5000mレースで視覚障がい選手5名が15分台でゴールしたのは日本初。ここまでチームジャパンとして切磋琢磨してきた成果です。特に、この1年間は各選手が自覚と自信を持って積極的に走り込んできた努力が、実を結んできました。

来年も今年の良い流れを継承し、ぶれることなく愚直に走り込んでいきます。

福岡国際マラソン

【福岡国際マラソン】12月1日、スタート時の天候は曇り、気温は18度と高めのコンディション。今年の福岡国際マラソンは2020東京五輪に向けたMGCファイナルチャレンジ最初のレースでした。

さて、3つ目の代表内定の最低条件は派遣設定記録である「2時間5分49秒以内」です。したがって、ペースメーカーもその派遣設定記録更新を目標に先頭でレースを引っ張ります。かくいう私も沿道から選手たちの挑戦を応援しました。

マラソンはある意味、究極の屋外競技です。同時に、自分の体と心だけで、2時間以上も走り続けるマラソンの記録は、それまでのトレーニングやその日の体調などによって大きく変動します。しかし、記録に最も影響を与えるのは、当日の天候です。

どんなに良いトレーニングを積んで、どんなに絶好調な体調でスタートラインに立てても、その日の天候が30度以上の猛暑だったり、逆に0度を下回る冷たいミゾレだったり、あるいは10mをこえる強風下だったりすると、その日の体調に関係なく記録達成は難しくなります。まさに自然との戦いです。

しかし、MGCファイナルチャレンジは記録ありきなので、当日の天候に関係なく派遣設定記録更新に挑戦しなくてはいけません。今回の福岡国際マラソンにおいて、最後までその派遣設定記録更新に食い下がったのは藤本選手でした。

沿道から応援した感覚だと、記録を狙うには気温が高いと感じましたが、案の定、藤本選手も30k過ぎからペースダウン。しかし、最後までレースを投げることなく、2位でゴールしました。ゴール後、藤本選手のコメントも実にさわやかでした。

上記したようにマラソンは当日の天候に記録が大きく左右されます。そのため、当日の天候をみながら選手たちは目標タイムを修正したりもします。しかし、このMGCファイナルチャレンジに挑戦する選手には、その選択はありません。

「どんな天候でも行けるところまで行く!」

この言葉はマラソンに初挑戦する市民ランナーの方からよく聞きますが、一流の選手たちがそのように場当たり的な戦術で走ることはほとんどないと思います。

男子のMGCファイナルチャレンジはあと2レース。ひとりのマラソンファンとして、スピードとスタミナに「度胸とハッタリ」を兼ね備えた選手出現に期待したいと思います。

再び走り込み・8

【再び走り込み・8】11月23日から千葉県富津市富津公園において実施した強化合宿は、12月15日に開催される防府マラソン(IPCの部)に出場する選手たちの調整がメインでしたが、どの選手も精力的に走り込むことができました。

さて、毎度のことですが、強化合宿の日程は休日だけでなく平日も含むため、ガイドランナーの協力を得ることが最大の課題となります。案の定、今合宿もガイドランナーの皆様にはかなり無理をお願いしましたが、視覚障がい選手に対する人数はギリギリでした。

そんな中、同じ富津公園内で強化合宿を実施していた東洋大学箱根駅伝候補選手の皆様にご協力をいただくことができました。もちろん、酒井監督のご理解があってのことですが、かなり無理なお願いをご快諾いただき、無事に強化合宿を終えることができました。

実は、我々の強化合宿中のガイドランナーについては、どの合宿も箱根駅伝を目標にしている関東の各大学にご協力をお願いしております。それぞれの大学はそれぞれの強化計画に則り、厳しいトレーニングを積み重ねている中、ガイドランナーの派遣協力をいただいております。

あらためて、ご協力いただいております大学関係の皆様に厚く御礼申し上げます。

今回の強化合宿は、最終日に「5k×2本」のトレーニングを計画しており、このトレーニングを伴走できるガイドランナーが厳しい状況でした。そんな中、東洋大学から3名の選手が駆けつけてくれました。

もちろん、3選手ともガイド経験はありません。また、簡単なガイド方法をその場で説明しただけでしたが、見事にガイドランナーの大役を果たしてくれました。5kの1本目は様子を見ながら「16分45秒」。コツをつかんだ2本目は、視覚障がい選手の要望どおりに後半ビルドアップして「16分9秒」。

既に、パラリンピックをはじめとする国際大会のガイドランナーとしても十分に通用するガイド技術とそのタイムにただ感心するばかりでした。視覚障がい選手の可能性を引き出せるか否かは「ガイドランナーの走力」が最も重要な点なのは今も昔も変わりませんが、まさにその通りの内容でした。

今後も皆様のご理解ご協力を得ながら視覚障がい選手の強化と育成を継続していきます。引き続き、絶大なるご支援をお願い申し上げます。

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