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盲人マラソン
2014ジャパンパラ
【2014ジャパンパラ】先日の9月6日(土)から7日(日)の日程で、障がい者陸上競技大会の国内最高峰である「2014ジャパンパラ陸上競技大会」が、山口県において開催されました。大会には、来月開催されるアジアパラの日本代表選手をはじめ、全国から多くの選手が参加し、自己の記録に挑戦しました。
はじめに、記録について話しをすると、今大会で誕生した日本新記録は24個、大会新記録は43個でした。参考までに2012年の大会と、2013年の大会で誕生した日本新記録及び大会新記録の数は次のとおりです。
◆2012年大会/日本新記録:29個、大会新記録:53個。◆2013年大会/日本新記録:14個、大会新記録:34個。※パラリンピック及びアジアパラ実施種目以外の種目も含む。
大会のコンディションや会場等の違いがあるので、単純に比較することはできませんが、2012年はロンドンパラリンピック直前に実施された大会であり、各選手の調子やモチベーションがかなり高まっている状態でした。そして、昨年はパラリンピック後の大会となり、選手たちが一息ついた(?)状態でした。
今大会は、10月に開催されるアジアパラに向けた最後の大会となり、代表選手にとってはここまでの調整や調子を確認する絶好の機会となりました。そんな状況を加味すると、選手たちの調子やモチベーションは高まってきていると期待できます。特に、今大会はベテラン勢の頑張りと勢いを強く感じました。
いつの時代も常に、若手選手の育成、次世代選手の発掘と言っており、どのスポーツにおいても最重要課題のひとつであることに違いありません。しかし、科学的トレーニングが浸透してきた昨今では、ひと昔前なら既に引退している年齢に達していても、トップアスリートとして活躍している選手が多くなり、逆に年齢で選手生命を決める常識は無くなりつつあると感じます。
そして、どのスポーツも、若手選手の台頭はチームに勢いを与え、ベテラン選手の頑張りはチームに粘りを与えます。いつの時代もチームには、このバランスが重要と考えます…。
来月のアジアパラに向け、どの選手も最終調整に入っていきます。このブログで何度も記載しておりますが、調整の基本は「迷ったら休養」です。
そして、「風邪に注意」です。
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絆・23
【絆・23】夏マラソンの国内最高峰である北海道マラソンが、札幌市で開催されました。今回、同大会に日本盲人マラソン協会・強化指定選手が初めて公式参加しました。まずは、大会参加にご尽力いただいた関係各位に対し、心より御礼申し上げます。
さて、至極当然のことながら夏季オリンピック&パラリンピックのほとんどは真夏に開催されます。そして、実施される競技は夏の開催に相応しい盛り上がりを見せます。ところが、世界一タフな男女を決めるマラソン競技に関しては、少し状況が違ってきます。なぜなら、一般的にマラソンは、秋から冬にかけて実施される競技だからです。つまり、選手のパフォーマンスが「気温と湿度」に大きく左右される競技でもあるからです。
そのため、気温や湿度の高い夏マラソンに関しては、秋や冬のマラソンと同じようなトレーニングや調整方法とは違いが出てきます。もちろん、マラソンのレース展開やゴールタイムも大きく異なってきます。
もう少し別な言い方をするなら単にスピードではなく、暑さや湿度に対する精神面と肉体面を総合したスタミナが要求されます。ある意味、根性とか我慢と言った非科学的なことを競い合うようなイメージが強くなります。
しかし、上記したようにどの選手も最大の目標であり、全世界の人々が認める大会は、パラリンピック&オリンピックです。そのため、夏マラソンをどのように攻略していくかは、最初の一歩でもあり、全てになります。したがって、2016年リオ、2020年東京ともに暑さをどのように克服していくかが、マラソンで勝負を挑む上で最重要課題のひとつと考えます。
同時に、気温が30度以上となり、湿度も50%をこえるような厳しいコンディション下での夏マラソンをどのように攻略していくのか、逆に科学的な裏付けを取りながらノウハウを蓄積していく必要が急務となります…。
あらためて、今回の北海道マラソンには、日本盲人マラソン協会から男女12名の強化指定選手が出場しました。既に夏マラソンを経験している選手や初めての選手もいましたが、まずは実際に夏の北海道マラソンを走り、夏マラソンを経験することが最初の一歩です。
更に、今回は出場選手のスタート前と直後に採血を実施しました。もうひとつは、スタート前に各選手が自らの調子やコンディションを加味した上での目標タイムを具体的に「〇時間〇〇分〇〇秒」と、自身で設定し、ゴールタイムとの比較分析することも実施しました。
大会当日は、予想以上の厳しいコンディションとなりましたが、出場した12選手全員が無事に完走することができました。同時に、貴重なデータを残すこともできました。しかし、日々の地道な走り込みこそが、重要である点は今後も揺るぎません。引き続き、地道な走り込みをベースに強化を継続していきます。
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絆・22
【絆・22】関東地方も梅雨が明け、本格的な夏到来です。そんな中、千葉県富津市において、日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を7月19日から21日の日程で開催しました。この日程で強化合宿を開催するのは毎年恒例となっておりますが、今回は来月実施される北海道マラソンに向けた強化と位置付け、参加選手たちも例年以上に気合いが入っていました。
また、今回は強化スタッフの一員でもあり、元五輪選手の大崎栄氏にも全日程参加いただき、選手たちにトレーニングに関する講義や直接指導をお願いしました。実は、「オリンピック選手と市民ランナーの違いは?」と、聞かれたところで、トレーニング内容の質や量に違いこそありますが、大きな違いはそれほどありません。
しかし、あらためてオリンピック選手になった大崎氏の話しを拝聴すると、語弊があるかもしれませんが、「意外と頑張っていない」と感じます。つまり、トレーニングの継続を重視しており、走りのリズムや生活のリズムを常に意識しているので、トレーニングにも「メリハリとゆとり」があって常に自然体なのです。
実は、この点は市民ランナーの方々も常に意識し、頭では理解しています。ところが、市民ランナー(盲人ランナー)の多くは、大会が近づくと焦って走行距離を大幅に増やし、大会直前に怪我や故障をするパターンに陥り易いのです。そして、怪我や故障をすると、更に焦って痛みを我慢して走り続けます。その結果、気持ちまで燃え尽き(バーンアウト)、せっかく始めたランニングも短期間で遠のいていくケースは後を絶ちません。
さて、今回の強化合宿において、故障明けの選手も何人かいました。至極当然のことながら「無理をするな」、「自分のペースで」と、スタッフから言われ、本人も十分に理解しているのですが、やはり最終日には思うように走れない選手もいました。気持ちばかりが焦り、「早く調子を戻したい」、「北海道マラソンを走りたい」と、自分自身の体調や状態を正確に把握できていなかったのです…。
誰もがトレーニングの量と質を上げれば、パフォーマンスがアップすることを知っています。しかし、それを実現するためには、自分自身の「感情をコントロール」することと、自分自身の「身体との対話」が重要であることも理解できます。
ところが、周りに影響されず、毎日同じような自分のリズムでそれらを継続していくことは、実は最も難しい…。
だからこそ、そこに飛躍のポイントが…。
つづく。
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絆・21
【絆・21】梅雨の真只中ですが、6月21日(土)から1泊2日の日程で、日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を千葉県富津市において開催しました。
毎年のことですが、梅雨と言いながらも晴れれば気温は30度以上に上がり、マラソントレーニングを実施していくには厳しい季節に突入しました。本来であるなら、実業団選手や箱根を目指す学生ランナーたちのように、暑い季節は涼しい場所へ移動しての長期合宿が理想です。そして、そのためには、相応の資金と時間の確保も必要不可欠になります。
もちろん、そのような環境づくりを目指して様々な方が様々な方面から努力をしていますが、理想と現実のギャップはそう簡単に埋まらないのが現状です。特に、長期合宿を実現させていくための時間を捻出することは、選手にとってもスタッフ(伴走者込)にとっても、最重要課題のひとつとして残っています。
一方で、パラリンピックや世界選手権と言ったビッグイベントのほとんどは、真夏に開催されます。2020年の東京パラリンピックも真夏に開催されます。その中においてのマラソンは、気温35度以上の中で走ることを想定し、それに対応できる日々のトレーニング方法や暑さ対策を構築していく必要もあります。
そんなことも考慮していくと、現状のように暑い季節でも東京に近い千葉県富津市において短期強化合宿を継続していくことは、決してマイナスではありません。
これからどんどん新しいことに挑戦し、新しいことを取り込んでいくことは重要なことですが、これまで同様、実施可能なことを確実に継続していくこともトレーニングの基本です。特に、近年は医科学サポートも充実してきており、それらのサポートを受けることによって、これまで厳しいと言われた環境やコンディション下でのトレーニングやレースへの対応策も構築されていくと考えます。
そんな中、日本盲人マラソン協会としては、毎年8月末に開催されている「北海道マラソン」に、今年から強化指定選手を公式に参加させます。もちろん、2020年の東京パラリンピックに対する暑さ対策も加味しての参加です。今後は、専門スタッフからのご協力を受けながら、まずは北海道マラソンでのデータを蓄積していきます。
引き続き、皆様方の絶大なるご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。
つづく。
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絆・20
【絆・20】6月7日(土)から2日間の日程で、日本身体障害者陸上競技選手権大会が大阪長居で開催されました。日本盲人マラソン協会の強化指定選手たちも多数参加し、自己記録の更新に挑みました。
ご存知のとおり、既に梅雨入りして全国各地で記録的な雨量も観測しております。しかし、6月は梅雨の晴れ間になると、気温は30度をこえ真夏と変わらない厳しい暑さにもなります。特に、中長距離種目にとって梅雨らしい雨天の場合、雨がラジエターの役割を果たし、体温の上昇を抑えてくれるので、逆に好記録が期待できます。私自身も現役時代、6月の大会において、雨天の中で自己記録を更新した経験が何度かあります。
ところが、梅雨の晴れ間にぶつかると、気温は30度を大きくこえ、特にトラック上の気温は体温を上回る厳しいコンディションとなります。もちろん、そんな中で長距離種目を実施すること自体が自殺行為と言えます。
果たして、6月7日(土)と6月8日(日)の大阪長居は、見事に晴れました!
大会1日目は、5千メートル。T12クラス(弱視)の堀越選手を筆頭に、T11クラス(全盲)の和田選手や谷口選手たちが出走しました。スタートから記録を意識した積極的な走りを見せていましたが、暑さの影響が大きく、どの選手も後半は失速。特に、堀越選手と和田選手については、単に暑さだけの影響ではなく、動き自体にかたさも見られました。
大会2日目は、1500メートル。前日同様、堀越選手がスタートから先頭に立ち、積極的な走りを展開しましたが、残り300メートルから失速。逆に、和田選手はスタートから抑え気味に入り、残り300メートルからラストスパートを効かせてのゴール。堀越選手は前日以上に動きがかたく、和田選手は本来ののびやかな動きを取り戻していました。
堀越選手も和田選手も陸上競技に対する意欲や意識の高さはトップクラスで、まさに「命をかけて」います。一方で意欲や意識の高い選手ほど、調子の歯車が少しずれると、それが焦りとなって気持ちや感情をうまくコントロールできなくなってくるケースも意外と見受けます。
両選手にとって、この2日間の記録と成績のため、直ちに大きな痛手を受けることはありませんが、気持ちや感情をどのようにコントロールしていくかは、課題のひとつと感じました…。
さて、同じ日程で福島県において開催された一般の日本陸上競技選手権大会で、前人未到の20連覇を達成したハンマー投の室伏選手を筆頭に連覇を重ねた選手が複数いました。同じ大会に毎年連続して出場すること自体、自己管理と節制が必要不可欠となり、誰にでもできる偉業ではありません。
そして更に、勝ち続けることは、ライバルとの駆け引きや外部からのプレッシャーは相当大きくなりますが、最後は自分自身の気持ちと感情をどのようにコントロールしていけるかが重要なカギです。
至極当然のことですが、我々としては同じ陸上選手として学ばせていただく点ばかりです。しかし、それは単に技術やトレーニング理論だけでないことを、世界を相手に戦う真のトップアスリートたちから学ばなくてはいけない…。
つづく。
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絆・19
【絆・19】5月に入り、全国各地で学生や実業団をはじめとする陸上競技大会が最盛期となりました。伝統の東日本実業団陸上競技選手権大会も福島県において、5月17日(土)から2日間の日程で開催されました。そして、今年も視覚障害者1500mを実施していただき、日本盲人マラソン協会からも3年連続の参加となりました。あらためて、大会関係の皆様方に感謝申し上げます。
初めて参加した2012年大会は8名の出場、昨年は4名、そして今大会は7名の出場と、参加人数的には低迷しており、来年以降の課題でもあります。特に、オリンピックを視野に入れた国内トップ選手たちや関係者が集う前で走る機会は貴重であり、視覚障害者ランナーたちの走る姿を直接披露することは、強化と普及の大きな一歩につながるからです。
さて、昨年優勝した和田選手や今年4位に入った谷口選手をはじめとする全盲選手にとって、伴走者の確保は常に課題となります。特に、パラリンピックを目指す高いレベルの全盲選手は、日々のトレーニングにおいても走力のある伴走者が不足しているため、質の高いトレーニングも不足気味になっております。
一方、実業団選手として活躍している選手たちの多くは、5千メートルを常に13分台で走る走力をキープしています。同時に、その走力をキープできなくなると、走ることを簡単に断念してしまう選手も多く見受けます。もちろん、仕事として走っているので至極当然なのですが…。
盲人マラソン協会が主催する強化合宿や国際大会に帯同していただく伴走者の多くは一般の市民ランナーたちで、5千メートルの走力も15分前後となります。しかし、パラリンピックを目指す全盲選手たちの5千メートルは、既に15分台に突入しており、伴走者との差も急激に縮まりつつあるのが現状です。そのため、もう一段上の走力を兼ね備えた伴走者の確保が急務となってきております。
そんな状況の中、実業団の大会に参加させていただくことで、まずは実業団選手や関係者の方々が視覚障害者選手に興味と関心を持っていただくきっかけになればと願っております。また、世の中ではスポーツ選手たちが引退した後のセカンドキャリアについても真剣に考える時代になってきました。何かのきっかけにつながればとも考えます…。
単に、毎年恒例の参加ではなく、東日本実業団陸上競技選手権大会に視覚障害者選手が参加できる意味をよく考え、お互いが更に踏み込んだ関係を構築できるよう、選手と共に切磋琢磨していければ…。
つづく。
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絆・18
【絆・18】GW中は、恒例となった日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を、千葉県富津市において実施しました。また、女子選手の強化をスタートしてちょうど1年が経過しました。この1年間で自己記録を更新した選手、怪我や故障に悩まされた選手もいましたが、今年度も無事にスタートすることができました。
あらためて、皆様方のご支援ご協力に感謝申し上げます。
さて、盲人マラソンだけでなく、障害者陸上競技全体の最重要課題のひとつに、選手の「強化と育成」があります。盲人マラソンとして女子選手の強化をスタートしたのも、その理由のひとつです。ところが、それに該当する選手を発掘することは想像以上に難しいのが現状です。特に、選手層が極端に薄いため、選手間の年齢や競技歴のひらきがあり、強化・育成していく選手を増やすほど、そのひらきは大きくなっていきます。※「絆・16」を参照。
一般の競技においては20代が主力となり、30代あたりからベテラン選手と言われ、だんだんとフェードアウトしていくのが、一般的な競技歴になるかと思います。ところが、盲人マラソンは、この1年間で新しく強化指定に加えた選手の最年少は17歳、最年長は60歳と、親子以上のひらきがあります。
もちろん、一般選手も含めて、単に競技力を年齢や性別で判断することはできません。また、その必要もありませんが、年齢差によって日々の生活環境の違いも大きくなり、それが競技に対する意識の違いとなってくるのも事実です。そして、合宿を重ねれば重ねるほど、その意識のズレもお互いに見えてくるので、同じチームとしてベクトルを合わせていくことが、難しくなっていきます。
今後の課題として、この意識のズレを修正していく必要もあります。そのためには、ガイドランナー(伴走者)を含めたスタッフの意識改革も必要不可欠になります。しかし、この年齢差が大きなところも、逆にこの世界の特徴でもあり、様々な可能性を秘めている点であります。
道は年々険しくなっていますが、今年度も新しい選手や協力者を積極的に取り込みながら切磋琢磨していける環境を、更に向上させていきます。
引き続き、皆様方のご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。
つづく。
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絆・17
【絆・17】4月13日(日)の富津合同マラソン練習会は、気温が10度前後と低めだったのですが、長距離を走るには絶好のコンディションとなりました。あらためて、この練習会を簡単に説明すると、1kを4分30秒と5分00秒で距離走を走るグループと、LSDの3グループがあり、私はLSDを担当しています。
そして、今回の練習会に全盲の谷口選手が単独参加。しかも私の担当する2時間LSDを走るとのことで、これまた久々に伴走をすることになりました。もちろん、今の私に谷口選手を伴走できる走力はないので、「絶対に速く走るな、LSDだから」と、念を押してのスタートでした…。
さて、谷口選手は神戸に在住しています。したがって、千葉県富津市で開催しているこの練習会に参加したいと言ったところで、簡単に参加するには難しい距離です。ところが、谷口選手はこれまでも富津練習会に何度か単独参加をしています。それも今回同様、前触れもなく単独で上京してきます。
今更ながら、それぞれの選手がどこでどんなトレーニングを実施するかは自由であり、目標どおりの記録や成績を残せているならどれも正しいトレーニング方法です。谷口選手についても同様で、日本盲人マラソン協会の強化指定選手と言いながらも、どこでどんなトレーニングを実施するかは、全て自己責任となります。
しかし、谷口選手は少しでも良い練習環境や走力のある伴走者を求めて自ら積極的に行動するタイプの選手です。悪く言えば場当たり的とも受け止められますが、全盲の谷口選手が白杖を片手に電車を乗り継いで移動する姿は、まさに「平成の山下清」です。
今回、土曜日の夜は私の自宅に泊まり、日曜日の練習後は最寄駅から無事に帰っていきました。しかし、詳しく話しを聞いてみると、実は木曜日から上京しており、その夜は東京に住む伴走者の自宅に泊まり、一緒にトレーニングを実施。翌日の金曜日は栃木の伴走者宅に泊まり、一緒にトレーニングを実施。それから東京経由で千葉入りだったのです。
谷口選手は、このスタイルで確実に力を付けてきており、その活躍はこのブログで何度も取り上げているとおりです。私もこれまで様々なランナーを見てきましたが、周りが呆れるくらいの行動力を持ったランナーは、障害の有無に関係なく自らの目標に到達する確率は圧倒的に高いと感じます。今後も今の行動力を忘れず、2016年のパラリンピックはもちろん、2020年東京パラリンピックも目指してほしいと願っております…。
つづく。
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絆・16
【絆・16】3月21日(金)から3月23日(日)の3連休を利用し、日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を千葉県富津市で実施しました。今回は、来月開催のロンドンマラソンに出場する女子選手に絞った強化合宿でした。
ご存知のとおり、4月12日にイギリスで開催されるロンドンマラソンは、世界的にも有名なマラソン大会です。そのロンドンマラソンが今年から視覚障害者マラソンのワールドカップも兼ねることになり、日本からは4名の女子選手が招待を受けました。
まだまだ馴染みの薄い女子の視覚障害者マラソンですが、2016年のブラジルリオ・パラリンピックでの実施候補種目にもなっています。また、日本盲人マラソン協会としては、昨年4月から女子選手の強化を立ち上げていただけに、今回のロンドンマラソンは願ってもない朗報です。同時に、今回のロンドンマラソンは、いろいろな意味で重要な位置づけとなるに違いありません。
ところが、パラリンピックで実施される陸上競技は、種目毎に「3ヵ国6名以上の参加者」の条件が満たされないと、その種目が成立しないルールになっています。一般のマラソンを見ていると、そんな条件は必要ないと誰もが感じるはずです。しかし、今回のロンドンマラソンで実施される視覚障害者女子の部については、まさに3ヵ国6名だけの出場です。しかも日本から4名の選手を派遣するので、極端な見方をすると、日本選手以外に女子の視覚障害者マラソン選手は、世界にたったの2名しか存在しないことになります。もはや強化と言うより、「びっくり人間の世界」に近いのが現状なのです。
更に、オリンピックとパラリンピックの開催が公式に統合された影響もあって、パラリンピック種目の削減(メダルの価値を高める意味で)が、重要課題となっています。特に、陸上競技や水泳は障害によるクラス分けが細かいため、メダル数も多くなります。したがって、陸上競技や水泳の種目統廃合が中心に進む方向は避けられない状況でもあります。
既に、男子の視覚障害者マラソンについては、2008年の北京大会から「T12(弱視)クラス」のみとなり、「T11(全盲)クラス」の選手は、T12(弱視)クラスの単独走選手(伴走無)と同じ土俵で競うことになりました。そんな中、2012年のロンドン大会では、T11(全盲)クラスの和田選手と高橋選手が5位と7位に入賞する健闘を見せましたが、T11(全盲)クラスのみなら金メダルと銀メダルだったのです…。
そんな厳しい状況の中、逆に女子マラソンを新たに追加していこうとする朗報を何とか実現させるためにも、今回のロンドンマラソンは大きなチャンスです。そして、チームジャパンとしては上位独占を目標に、その存在を世界にアピールできることを期待しております。
皆様方の絶大なるご声援をよろしくお願いします!
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第63回別府大分毎日マラソン・下
【第63回別府大分毎日マラソン・下】当日のコンディションは、早朝から快晴となりました。また、予報では何と18度まで気温が上がるとのことで、2月にしては想定外の気温です。
ところが、10時30分頃だったでしょうか、霧が突然出てきました。結局、霧が晴れることなく選手たちはスタートしましたが、霧のおかげで気温もそれほど上がらず、風もほぼ無風と逆にコンディションは良くなったように感じました。
また、先頭集団のペースも、何が何でも「3分/kペース」と言うような感じではなく、2時間10分切りを目指したペースで終盤まで集団を形勢し、見ごたえのある内容でした。同様に、今回も2時間30分をはじめ、2時間40分、2時間50分…と、それぞれの目標タイムに見合った市民ランナーたちの集団も形勢され、応援する側としても力が入りました。
そんな中、私の選手たち(市民ランナー)も、それぞれの目標タイムに向かって快走しました。特に、女子の部にエントリーしたY選手とK選手の2選手については、自己記録更新と共に上位入賞も期待し、送り出しました。
結果は、2選手とも目標設定タイムどおりにレースをすすめ、後半ややペースが落ちましたが、Y選手が優勝、K選手が2位と、素晴らしい結果を残してくれました。また、他の選手たちも今の力を出し切る内容で、次のマラソンにつながる走りでした。
そして、全盲ランナーの和田伸也選手と谷口真大選手も、一般ランナーたちの胸をかりて快走しました。日本記録を狙った和田選手は、自身の持つ日本記録には惜しくも届きませんでしたが、谷口選手は自己記録を6分も更新する頑張りでした。
◆男性市民ランナー:H選手/2時間29分55秒(自己新)、T選手/2時間46分12秒(自己新)、K選手/2時間52分52秒(セカンド)、Y選手/3時間6分26秒(目標達成)。
◆女性市民ランナー:Y選手/2時間41分56秒(自己新)/優勝、K選手/2時間53分35秒(セカンド)/2位、N選手/3時間4分36秒、K選手/3時間5分00秒、E選手/3時間7分45秒(自己新)、K選手/3時間7分56秒、F選手/3時間24分52秒(目標達成)。
◆全盲ランナー(T11クラス):和田伸也選手/2時間37分28秒(セカンド)、谷口真大選手/2時間42分28秒(自己新)。
さて、今回の別大マラソンを沿道から応援していて、あらためてランニングブームの勢いを感じました。と、言うより、ブームではなく確実に定着しています。それに伴い、単に「マラソン完走や大会出場」を目的にしていた方々が、マラソンを完走することによって、記録を目標に次のマラソンに挑戦する姿も増えてきました。
一方で、最初は自己記録更新が大きな目標になり、日々の走り込みも精力的に取り組んでいきますが、走歴やマラソン回数を重ねることによって逆に記録更新が難しくなっていく面も出てきます。今回の別大マラソンに出場した上記ランナーの中にも、その点を不安に感じたり、焦りを強く感じる方々もいました。
マラソンは記録重視で評価される面が強く、自己記録更新にこだわる姿勢は大切です。しかし、永遠に記録更新を目指していくことは残念ながら不可能です。その点を理解し、更に身の丈に合った目標を掲げて次のマラソンに挑戦していく姿勢は更に重要と考えます。もちろん、この個々の目標設定が最も難しいのですが…。
次のマラソンに向け、どのランナーも更にモチベーションを高めながら挑戦していけるよう、今後も地道な練習会を継続していきます。
おわり。
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