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冬を走る

2023冬を走る・2-12

【2023冬を走る・2-12】先日の17日からいつもの千葉県富津市富津公園において強化合宿を実施しました。しかし、別大マラソンから2週間後ということもあり、参加選手は少なめでした。

そんな中、同大会で自身の世界記録を更新したT11クラスの和田選手は、疲労の色を見せることなく、元気に走り込んでいました。同様に、東京パラ金メダリストの道下選手も久々に元気な走りを見せてくれました。

さて、選手の年齢的なことについて話をすることは、私自身としても違和感を感じますが、実は前述した和田選手と道下選手は40代半ばを過ぎています。にもかかわらず、両選手とも毎年確実に進化しています。

しかも両選手ともに、同世代の一般ランナーたちのトップクラスと遜色なく、もはやパラリンピックだけの領域ではありません。もちろん、他にも50歳以上の強化指定選手もバリバリ頑張っており、そのモチベーションの高さにはいつも驚かされます。

また、近年はシューズの進化をはじめ、良質なサプリメントの開発やフィジカルトレーニングの充実などが、選手寿命をのばすことに大きく貢献していることは確かです。しかし、何年も同じようなトレーニングを反復することはマラソンだけでなく、どのスポーツにも共通する「単調で苦痛なこと」に違いありません。

つまり、肉体的な限界よりも、繰り返し同じことを継続することによる「精神面の疲弊」が先に来るように思うのです(私の経験上)。ところが、少なくともパラリンピックを目指している我々の強化指定選手たちは、例外なく年齢を重ねることによるモチベーションの低下はほとんど見られません。

いわゆる「燃え尽き症候群(バーンアウト)」のような状態に陥っている強化指定選手に遭遇したことは、少なくとも私自身はありません。もちろん、なぜそうなのかの理由は、私自身にもわかりませんが……。

しかし、ひとつ言えるのは、伴走者をはじめ、多くの仲間たちに支えられている点は大きな理由のひとつと感じます(単独走が可能な弱視選手も)。あらためて、マラソンは究極の個人競技とも言われていますが、実は仲間たちと力を合わせて挑む「団体競技」とも言えるのでしょう……。

2023冬を走る・2-11

【2023冬を走る・2-11】冬のマラソンシーズンも終盤に入っていきますが、1月後半から2月前半にマラソンを走り、これから3月末までにもう1本走る予定の方々は多いと思います。また、1月に走ったマラソンは、実は3月のマラソンに向けた走り込みの一環と位置付けて走った方もいることでしょう。

同様に、ハーフマラソンなどのレースを練習の一環として走る方は、さらに多いと思います。具体例としては、マラソンを1本走った後、次のマラソンまでの間にハーフマラソンを走るパターンなどでしょうか。

特に、市民ランナーの方々がレースを練習の一環として活用することは、多くのメリットがあります。その中のひとつが、「他者と競り合うことで、自分を追い込める」。つまり、質の高い練習になることです。日ごろ、仲間たちと競り合う練習が少ない方ほど、実際のレースでは強くて良い刺激が体(心肺や筋肉など)に入ります。

その結果、大きな自信につながり、次のマラソンに向けても調子が好転していくケースは、私自身も多く見聞してきました。一方、マラソンの疲労が抜けないままハーフマラソンを走った結果、そのマラソンペースよりも遅いタイムでゴールし、逆に落ち込んでしまう方もいます。

では、あらためて、レースを練習(調整)の一環として出場する場合の注意点をいくつか考えてみます。

一つ目は、「そのレースを走る目的」を自身の中で明確にした上で出場することです。例として、「ペースを落とし、一定のペースで走り切る」。また、「現状の調子で、最後まで頑張って走り切る」など、どのようなイメージで走るかをスタート前に決めておくことです。

二つ目は、「ゴールタイムに一喜一憂しない」。目的は次のマラソンに向け、調子を引き上げることなので、タイムが悪かったとしても、「大丈夫」と自分自身を鼓舞することが必要です。しかし、これはかなり難しいことで、予めタイムが悪かったケースを想定しておくことも大切です。

三つ目は、「勇気ある撤退」。明らかに調子が悪いとか、故障を抱えているなど、当初の目的を達成することが困難と判断できる場合は、レースをキャンセルすることも必要です。実は、これも難しく、「何とかなる」と無理をして走り、逆に状況を悪化させるケースは、意外に多いのです(この場合、精神的にも追い込まれる)。

もちろん、他にも注意点はあるでしょう。しかし、練習(調整)の一環として出場するレースほど、慎重にシュミレーションしてから挑むようにしましょう。

2023冬を走る・2-10

【2023冬を走る・2-10】伝統の別大マラソンが開催されました。大会当日は、悪天候が懸念されていましたが、選手や関係者の願いが天に届いたようで、スタート前には雨も上がりました。もちろん、レース中も天候は安定し、逆にマラソン大会としては絶好のコンディションだったでしょうか。

そんな中、ブラインド選手たちも参戦し、T11クラスの和田選手が期待通りの快走を見せ、自身の持つ同クラスの世界記録を更新する「2時間23分27秒」でゴールしました。まずは、大会開催にご尽力いただいた関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

さて、別大マラソンは新人の登竜門として多くの若手選手を輩出してきました。今大会も国内の若手選手たちが快走していました。一方、市民ランナーたちにとっては憧れの大会でもあり、老若男女問わず、今年も多くのランナーが快走していました。

特に、「2時間30分突破」や「2時間50分突破」などを目指すグループや、いわゆる「サブスリー」を目指すグループは最後まで熱い走りを見せていました。そして、これも毎年のことですが、それらのグループで競い合ってきたランナーたちのゴールにはドラマがあります。

沿道から応援していると、前述した各グループが集団でペースを刻みながら5k毎のポイントを正確に通過していきます。もちろん、誰がペーサーをしているとかでなく、まるで申し合わせたように、集団の力で正確に突き進んでいくのです。

しかし、30kを過ぎてくると、力尽きてくるランナーたちも……。そんなときは、お互いに励ましあい、何とかペースを刻みながら後半を粘り倒していきます。まさに「チーム戦」です。そして、最後は競り合うことで残りの力を絞り出し、競技場まで戻ってきたランナーたちは、感動のゴールとなります。

また、先にゴールしたランナーたちは、グループから遅れた仲間を「残り50秒だ!」などと声を振り絞り、ゴール地点で最後まで応援します。もちろん、その姿を見ている私も手に汗を握ります。そして、ゴール後に同じグループで走った仲間たちと抱き合って喜ぶ姿や、涙を流して歓喜する姿は、毎年のことながら感動的です。

ところが、意外にも同じグループで競い合ったランナーたちは、所属先も年齢も全く違い、日ごろは特に面識のない関係と思われます。しかし、マラソン大会に出場すると、いつも同じ目標タイムの集団で競い合い、励ましあうことで、自然と固い絆で結ばれるのです。

マラソンは個人競技と言われていますが、マラソンこそ究極の団体競技だと感じる瞬間でもあります。そして、日々のトレーニングを含め、仲間との切磋琢磨こそが、マラソン飛躍のカギであると……。

2023冬を走る・2-9

【2023冬を走る・2-9】先日開催された大阪国際女子マラソン大会は、前田選手が19年振りに日本記録を更新するなど、見応えのあるレースでした。特に、その前田選手の脚は無駄なものが見事に削ぎ落されており、その筋肉は、まるで宝石店に陳列してあるダイヤモンドのようでした……。

まずは、出場された選手の皆様、お疲れ様でした。

さて、同大会には富津合同練習会で切磋琢磨している仲間たちも多数出場しました。そして、今回も現地で応援してきましたが、レース後半は冷たい寒風や冷雨が降るなど、意外に厳しいコンディションでした。

また、現地で女子マラソンの応援をすると、テレビなどで解説者が話しているコンディションとのギャップを感じることが多々あります(良いと言っているが、そうでもないこと)。もちろん、今回は前田選手が日本新記録を達成したので、ある意味、良いコンディションだった点は確かです。

しかし、今回も3時間前後を目標タイムにしているランナーたちが、25k付近を通過する時間帯は、北よりの向かい風が強くなり、さらに冷雨も降ってくる厳しいコンディションに陥っていました。ところが、その時間帯の先頭集団は、すでに30kを通過し、32kから33k付近を走っていました。つまり、コースの特性上、逆に追い風です。

あらためて、先頭と最後尾のタイム差(完走者)を確認してみました。「30k地点=35分34秒、35k地点=43分19秒、ゴール地点=57分12秒」。この差を大きいと判断するか否かは難しいところです。そこで、昨年12月に開催された福岡国際マラソン大会でのタイム差も同様に確認しました。「30k地点=22分03秒、35k地点=26分36秒、ゴール地点=34分48秒」。

もちろん、大会ごとに参加資格記録や各地点の関門(タイム制限)などが違うため、単純に比較することはできません。しかし、国際マラソン大会の場合(スタート時間が12時頃の大会)、女子マラソン大会の方が、後半になるほど先頭とのタイム差が広がります。したがって、同じレースを走っていても、後半になるほど、先頭と最後尾は、まるで違うコンディションになっている可能性があると感じます(一般的には午後になると地面の温度が上がるなどの影響で風が吹いてくる)。

国際マラソン大会は、市民ランナーの皆様にとっては憧れの大会です。しかし、単純に記録を目指すなら比較的コンディションが安定している午前中にスタートし、正午前後にゴールできる大会をチョイスすることは、ひとつの対策としては正しいでしょう。

2023冬を走る・2-8

【2023冬を走る・2-8】別大マラソンに向けた最後の強化合宿をいつもの千葉県富津市富津公園において実施しました。あらためて、千葉県富津市は房総半島に位置し、一般に温暖な気候として知られているので、この時期でもマラソン練習を実施するには最も適した場所のひとつです。

ところが、合宿2日目は朝から雨模様。その冷雨の中、別大マラソンに向けた最後の距離走(21k~26k)を実施しました。もちろん、富津市は温暖な地域と言いながらも、この時期の雨はこたえます。選手たちは、ウォーミングアップ時から 防寒対策を万全にしていましたが……。

案の定、距離走時の動きは固く、全体的にも重たい感じでした。そして、終盤に差し掛かったとき、ひとりの選手がペースダウンし、足を止めました。駆けつけると、低体温症のような状態でした。幸い、大事には至らず、元気に回復しましたが、見ている以上に厳しいコンディションだったのです。

さて、その低体温症についてですが、専門的には「体内の温度が35度を下回ってしまうこと」を指します。また、人間は35度を下回った場合、自らの身体を震えさせることで熱を発生させるので、寒い日に身体が震えている場合は、軽度の低体温症に陥っている状態との見解です。

一方、ランナーの場合、「走っているときは体温が上がるはず」と思いますが、専門的にはリスクも存在します。具体的には、走ることによる自身の発熱以上に低い気温や汗が原因で、外から身体を冷やされるスピードの方が速いと、低体温症に陥るリスクが高まると言われています。

特に、トップランナーほど、薄手のランシャツ・ランパンで走る傾向が強いのは確かです。そして、長距離を走って汗をかくと、汗に直接冷たい風があたってしまい、急激に体温が奪われ易いのも確かです。したがって、トップランナーこそ低体温症に陥る可能性が高いとも言えるようです。

今週末は、大阪国際女子マラソンなど、各地でマラソン大会が開催されます。それらの大会に出場するどのランナーも当日の天候を確認するとともに、どんな予報になっていても防寒対策の準備は忘れないようにしておきましょう(特に、寒い時期の大会へ持参する荷物はかさばっている程度の方が、「心の安心とゆとり」につながる)。

あらためて、皆様の快走を心より祈念いたします。

2023冬を走る・2-7

【2023冬を走る・2-7】今月28日と来月4日の日曜日は各地で多くのマラソン大会が開催されます。富津合同練習会で切磋琢磨しているランナーたちの多くも、両日に開催されるマラソン大会を目標に走り込んできました。そして、いよいよ最後の調整に入っていきます。すでに何度も記載してきたとおり、調整の基本は「疲労回復」です。そして、適度に刺激を入れながら「調子を引き上げる」ことになります。

もちろん、具体的な方法などに正解はないので、個々に違って当然です。あるランナーは休養第一で、極端に走らないようにする方法かもしれません。また、あるランナーは、逆に落とし過ぎないようにすることで、調子をキープできるかもしれません。いずれにせよ、それぞれが、それぞれの方法で、良い状態に仕上げていけることを祈念しております。

一方、一般的な調整とは違う要因で目標のマラソン大会で失敗してしまうケースがあります。それは「仕事」です。特に、市民ランナーの皆さんは、就業前後の時間を活用しながら日々の走り込みをしております。したがって、仕事上のトラブルなどがない限り、おおむね計画的に練習は継続できます。

ところが、仕事上のトラブルや急な出張や残業などが入ると、逆に一歩も走れない状況に陥るリスクを常に抱えていることにもなります。実は、この点が実業団選手や学生選手(箱根)たちとの決定的な違いになります。つまり、自分自身の意思とは関係なく、大会直前に仕事上のトラブルや出張などの指示を突然受け、結果的には自分自身の調子や体調もコントロールできなくなるリスクが常にある点です。

具体例として、目標のマラソン大会1週間前に突然海外出張を命じられ、長時間のフライトや慣れない食事などの影響で、完全に調子を崩してしまったケースなど、実際に何パターンも見てきました。もちろん、仕事が最優先なので仕方のないことですが、目標のマラソン大会に向け、数ヵ月前から準備してきたにもかかわらず、直前の数週間で全てが崩れ落ちてしまうのは、誰でも納得できないことでしょう。

また、仕事上の突発的なトラブルを未然に防止することは、さらに難しいことです。しかし、自分自身が目標にしていることを達成するには、どんなことが事前に必要なのかを常に考え、職場の上司や同僚たちとコミュニケーションをとっておくことは、とても重要です。

結局は、目標どおりの結果やタイムを残せている市民ランナーの方々は、単純に走り込みの量や質だけでなく、前述したような職場内でのコミュニケーション能力にも長けていると感じます。目標のマラソン大会数週間前に迫った時期だからこそ、仕事上のトラブルなどの影響を最小限にとどめる方法をシュミレーションしておくことは、マラソン調整の隠れた秘策かもしれません……。

2023冬を走る・2-6

【2023冬を走る・2-6】2024年最初の強化合宿をいつもの千葉県富津市富津公園において実施しました。今回の強化合宿は、ちょうど1ヵ月後に迫った別大マラソンに向けた走り込みになります。

今回の強化合宿は、1月6日土曜日から4泊5日の日程で実施し、ポイント練習は3回。具体的には、1月7日に「40k走」を実施し、翌日に「5k×2本+1k」。そして、最終日に「12k走」。

内容的には過去の実績と遜色なく、どの選手もたんたんと走り込んでいました。しかし、ここにきてようやく男子主力選手たちの調子が上がってきており、別大マラソンでの快走が期待できそうです……。

そして、この後からは調整に入っていきます。調整の基本は「練習量を落として疲労を抜く」と「適度に刺激を入れて調子を引き上げる」の2点に集約できます。特に、練習量を落としていくことは、最大のポイントになります。

しかし、これが意外と簡単ではなく、私もコーチの立場から選手たちの失敗事例を、たくさん見聞きしてきました。特に、「選手自身が、自分はどのタイプに該当するかを把握していない」ことによる調整失敗が意外に多いと感じます。

具体的には、「疲労が抜ければ走れるタイプ」と「疲労を抜くと脚力まで落ちるタイプ(刺激の入れ方が重要)」の2つに大きく分類したとき、自分自身はどちらのタイプに該当するのか、あるいは近いのかをつかんでいないことです。

これにより、練習量を落とし過ぎたり、強い刺激を入れ過ぎたりと、結果的には真逆の調整をしてしまうからです。さらに、レースを調整の一環として出場する場合、どのように走るかの判断はさらに難しくなります。

例として、マラソン調整の一環として、数週間前にハーフマラソンを走る選手は多いですが、そのハーフマラソンで自己新記録を達成すると、そのままマラソンも走れるタイプ。逆に失敗してしまうタイプなど、どちらの事例も多数あります。

また、レースは生き物なので、常に自分自身の思うようなペースと順位で走ることはかなり難しい。したがって、周りの選手たちや当日の天候などに惑わされ、自分のイメージどおりのペースと順位で走り切ることは、実は簡単ではないのです(うまくできても、次回レースでの再現性はさらに難しい)。

このように、あれこれ考えること自体が調整失敗の原因にもなったりします。やはり、調整の基本は、シンプルに「休養第一」です。したがって、「迷ったら休養」。この原点を忘れないようにしてほしい……。

2023冬を走る・2-5

【2023冬を走る・2-5】2024年も元旦の駅伝観戦からはじまりました。もちろん、自宅でのテレビ観戦ですが、今年もたくさんの感動がありました。特に、箱根駅伝は、今年も見応えのあるレースでした。あらためて、選手の皆様、関係者の皆様、ありがとうございました。

その箱根駅伝は駒澤大学一強と言われていましたが、終わってみれば青山学院大学の圧勝でした。さらに、青山学院大学と駒澤大学との区間成績を比較しても青山学院大学の選手が、駒澤大学に対して2区以降は9連勝と、駒澤大学を圧倒する内容でした。

また、テレビ中継の中で、解説の渡辺康幸さんが青山学院大学のことを「どの大学よりも泥臭いこと(練習)をしている」と、絶賛していました。まさにその通りの走りでした。

さて、駅伝やマラソンの練習において、この「泥臭い練習」をよく見聞きします。かくいう私もそんな話をよくしますが、そもそも「泥臭い練習」とは、どんな練習を指すのでしょうか。

辞書的な意味以外として、「地道に手間ひまをかけ、体や時間を使って行う練習」や「あきらめずとことんやる練習」。また、「形にならない重みのある練習」などを指し、形にならない重さ(重要)であるがゆえに「泥」とでもいうのでしょう。

では、具体的にはどんな練習が、それに当てはまるのか?

一般的には「距離を走る練習」が、最も「泥臭い練習」に該当するように感じます。もちろん、個々に練習環境や練習方法に違いがあるので、正解はありません。

しかし、駅伝やマラソンにおいて、後半の競り合いや起伏の激しいコースでの終盤など、いかにして粘り倒せるかが、勝敗を分けます。いわゆる「スタミナ(持久力)」の有無です。

そして、そのスタミナ(持久力)のカギを握る「走り込み(量と時間)」を、どれだけ地道に積んでこれたか否かになります。ラスト勝負に持ち込めばスピードの勝る選手でも、ラスト勝負の前に力尽きてしまえば、勝負すらできずに負けてしまいます(今回の駒澤大学)。

また、スタミナ(持久力)は、一気にたくさん走っても、目に見えて向上しません(ケガや故障もする)。ところが、逆に練習を休めば、今度はスタミナが目に見えて落ちていきます。

つまり、多くのランナーにとってのスタミナとは、「身に付き難く、落ち易い」方の特性に当てはまり、まさに日々の「泥臭い練習」が、ポイントになるとも言えるでしょう(スピードとは違う)。

あらためて、今年も「泥臭い練習」を、大切に継続していく所存です。

2023冬を走る・2-4

【2023冬を走る・2-4】今年も恒例の年末強化合宿をいつもの千葉県富津市富津公園において実施しております。また、先週の23日は、これも毎年恒例となっている「日体大女子長距離記録会」に強化指定選手たちも出場してきました。

2年前の同記録会においては、T11クラスの唐澤選手が5000mで世界記録(世界初の14分台)を達成しており、今年も自己の持つその世界記録更新を狙って参戦しました。また、同クラスの和田選手は10000mにエントリーし、同じく世界記録更新を狙いました。

結果は、両選手とも記録更新には届きませんでした……。しかし、その積極的な走りは、「2024パリパラでの2大会連続メダル獲得は濃厚」と、確信を持てる内容でした。

さて、年末強化合宿を実施している富津公園はコロナ禍も一旦落ち着いたこともあり、箱根駅伝に出場する某大学のエントリー選手たちが、いつものように年末ギリギリまで調整合宿を実施しております。そして、その横を我々が走り込みをしているいつもの光景に戻りました。

その年末強化合宿も、29日と31日に距離走(35k~40k)を2本実施する流れは毎年同じです。一方、毎年同じようなトレーニングを実施していくことでマンネリ化に陥る点は懸念されます。確かにそのリスクは否定できませんが、逆に毎年同じ時期に同じような練習を実施することで、選手の状態を比較検証し易くなるメリットもあります。

もちろん、我々は同じ流れを繰り返すことによるメリットの方を、フォーカスしてきました。来年はいよいよパリパラ開催の年になります。昨日実施した距離走のタイムや内容も、過去に実施してきた年末強化合宿時と遜色ないことも確認できました(良い意味で)。

そんな中、至極当然のことですが、調子が万全でない選手もいます(合宿不参加の選手)。しかし、不調から復帰してきた選手たちの経験と、そのデータも同様に蓄積されているので、大きな心配はなさそうです……。そして、この後は年明けの2月に開催予定の別大マラソン大会が、パリパラに向けた重要なターゲットになります。

現時点においては、どの選手にもパリパラ出場へのチャンスがあります。したがって、お互いがライバルになりますが、来年以降も強化合宿を軸に「チームジャパン」として、全員で切磋琢磨しながら世界を目指していく所存です。

引き続き、皆様方のご支援ご声援をお願い申し上げます。

2023冬を走る・2-3

【2023冬を走る・2-3】順天堂大学において測定合宿を実施してきました。今回の測定も前回同様、同大学大学院スポーツ健康科学研究科教授、町田先生のご支援ご指導のもと、無事に実施することができました。ありがとうございました。

あらためて、マラソンのパフォーマンスに影響する指標として、最大酸素摂取量(VO2Max)、乳酸性作業閾値(LT)などがあります。要は、体に多くの酸素を取り込みながら乳酸を貯めることなく走り続けることができれば、マラソンの記録は向上するはずです(理論上)。

しかし、それらの指標(数値)を正確に測定したり、そのデータを解析することは簡単ではありません。なぜなら、測定に必要な専用の器具や設備はもちろん、それらを正確に扱える知識や技量を兼ね備えている専門家の元でしか実施できないからです。

また、ひとりの選手を測定するのに、少なくとも1時間以上はかかります。今回も測定する選手の数は10名以上だったので、相応の時間や労力が必要になります。したがって、測定を実施するための日程や時間などを調整することも容易ではありません。

このように、測定と言っても簡単に実施することはできないのです。しかし、順天堂大学はオリンピックや箱根駅伝などにおいても多くのトップ選手を輩出しており、前述した測定設備の完備やそのデータなども豊富に蓄積されています。また、我々の測定結果についても的確な分析とコメントを頂戴しております。

もちろん、科学的な測定を実施したからと言って、それがマラソンのパフォーマンスに直結することはありません。至極当然のことですが、そのデータから個々の特性や課題を読み取り、日々のトレーニングなどに落とし込んでいくことが必須になるからです。

ところが、科学的なデータを解析すると、多くの選手は「トレーニングの量と質をもっと上げられる」となります。つまり、科学的トレーニングは、「効率的で楽」と思いがちですが、実際は科学的な裏付けがあるので、逆に「もっともっと厳しいトレーニングが可能」と判定されるのです。

今回の測定でも、個々の課題である弱点がそのままデータに反映されているケースが多かったと感じました。そして、それらの弱点を克服するには、トレーニングの量と質を上げることが必須であり、より厳しいトレーニングを自らに課していく気概も不可欠であると……。

結局は、根性論を後押しするのも、科学的トレーニングとも言えるのでしょうか……。

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